ホラー……が、好き、なので……ゾンビを……愛でたいと……思います   作:寿限夢

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 三日も間が空いてしまいました~!
 待たせてしまい、申し訳ありません!【土下座】 
 とりあえず切りの良いところまで仕上げましたので、どうぞお納めくださいませ~!

 ※なお、今回は一部の地の文を某ナレーション様の声をイメージしてお読みしていただくとより楽しめると思います。
 具体的に言うと、【かぐや様●告らせたい】の某ナレーション様を……


 ※誤字脱字報告ありがとうございます!


ホラー少女と嘆き妖精

 紫乃の背後から現れた亡霊が、女へ向かって飛んで行く。

 悲鳴を上げたばかりの女は抵抗することも出来ず、亡霊十体が全員女に纏わり付き、そのAGIを吸い上げた。

 

「……【死霊術】……!」

 

 女から奪ったAGIを使い、紫乃がゾンビを召喚する。

 当然、一度だけではない。紫乃は繰り返し何度も【死霊術】を使い、ゾンビを大量召喚する。

 

「【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……!」

 

 女はその光景を、黙って見ている。

 いや、正確には動いているのだが、AGI低下により、動作が遅くなっているのだ。

 

 「【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……!」

 

 紫乃のゾンビを召喚する手は止まらない。

 やがて吸い上げたMPが切れ、紫乃のMPも切れた。

 しかし、紫乃はすかさずインベントリから取り出しておいたアイテム――MP回復用ポーションを一息に飲み、飲み干したそばからまた【死霊術】を使い、ゾンビを召喚し続ける。

 

「【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……!」

 

 繰り返される【死霊術】により、教会の半分がゾンビに埋め尽くされた。

 しかし、女も黙ってはいない。

 【呪い】により緩慢になった動作のまま息を吸い、聞いたものに容赦なく死を振り撒く、恐怖の悲鳴をはり上げた。

 

『――――ッ』

 

 召喚されたゾンビたちに、死の悲鳴が襲いかかる。

 紫乃は【死霊術】を中断し、自身の身を【ダークウォール】で防いでいた。

 召喚されたゾンビたちのHPが、徐々に減っていく。

 

『――――ッ……』

 

 やがて、女の悲鳴が途絶え、一時の静寂が舞い降りる。

 これまで通りなら、今の悲鳴でゾンビの大半が倒れ、光の粒子となって消えていただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、今度はそうはならなかった。

 召喚されたゾンビのほとんどが無事生き残り、女へと向かい、歩き出していた。

 

『ッ!?』

 

「【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……!」

 

 驚愕する女を余所に、紫乃は、また新たにゾンビを召喚し続ける。

 なぜ、ゾンビたちは無事だったのか?

  答えは単純。紫乃のゾンビたちが、先ほどより強くなっている(・・・・・・・)からだ。

 

 

 

 ――

 

『あっ……』

 

 パネルの表示が変わったあの時、紫乃の目に飛び込んできたのは、自身のステータス表示であった。

 そこに記されいるステータスポイント残り【45】の数字。

 それを見て、紫乃は直感したのだ。

 

『これ、なら……!』

 

 それから紫乃の行動はお察しである。

 女の攻撃から身を守りつつ、パネルを操作してMPポーションを取り出し。

 そして、自身の持つステータスポイント全てを、INT値へぶっ込んだのだ。

 

 それにより、今の紫乃のINT値は95。武器補正を含めれば115の三桁の大台。

 そして、紫乃のINT値に依存したSTR値・VIT値を持つゾンビのSTR・VIT値は38と、それまでの倍近くなっている。

 

 だが無論、それだけでは足りない。

 多少ステータスが上がったからと言って、そう簡単に勝てる相手ではないのだ。

 そこで

 

 

 

 

『……なら、質じゃなくて……量で、攻めよう……』

 

 

 

 そう!

 紫乃が思いついた作戦、それは、質ではなく量で攻めきる物量作戦!

 【呪い】で相手の行動スパンを長くし、その間に強化したゾンビを大量召喚する!

 たとえ倒されようと倒されまいと、【呪い】とポーションでMPを回復させ、ゾンビを量産し続ける!

 

 つまりは! 圧倒的物量差、数の暴力による、力技のゴリ押し!

 

 

 

「【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……っ!」

 

 紫乃の【死霊術】により、今や教会内のほとんどが、ゾンビに埋め尽くされている。

 もはや、女の元へゾンビが到達するのも、時間の問題。

 

『――――ッ!』

 

 当然、女も黙って見ている訳ではない。

 広範囲に届く死の悲鳴をあげ、ゾンビを迎撃する。

 

 

 が、焼け石に水!

 

 

「【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……!」

 

 たとえ最前列が倒れても、次から次へと新しく召喚されたゾンビが投入され、女へ向かい歩いて行く。

 女はすぐさま迎撃したいが、体が思うように動かない。

 自身に憑りつく【呪い】の亡霊たちがAGIを吸い、その行動を抑制しているからだ。

 

「【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……【死霊術】……!」

 

 そうしている間にも、ゾンビは次々と現れ、女へ近づいていく。

 そして。

 

 

 ――がぶっ、

 

 

 ついに、その時が訪れた!

 

 

 

『――ああぁッ!?』

 

 

 攻撃でない女の悲鳴が、教会内に響き渡る。

 最前列のゾンビが、とうとう女の元へと到達し、その首筋にかぶりついたのだ。

 

 

 ぶち、みち、ぶち……っ!

 

 

『ひぃぃッ!!』

 

 ゾンビが女の首筋の肉をかみちぎり、音をたてて咀嚼していく。

 女は悲鳴をあげ、地面へ倒れこんだ。

 そこへ後続のゾンビたちが続々と到着し、女の腕や髪、ドレスなどを引っ張り、地面に押し倒していく。

 そして、我先にと言わんばかりに食らいつき、その体を貪り始めた。

 

 

 くちゃ、くちゅ、ぐちゃ、くち、ぐち、ぶちゅ……

 

 

『ぁあああ――ッ!!』

 

 全身を苛む痛みに、女は獣のような声をあげた。

 同時に辺りを攻撃する声をあげ、自身に群がるゾンビを攻撃し、消滅させるが、すぐさま他のゾンビが群がり、また貪っていく。

 

 終わることのない無限地獄。

 感情のないはずの(AI)の顔に、絶望が浮かんだ。

 

 かつん、こつん、ごり、ぐち、くちゃ……

 

『ぁ、あ、ぁあ――ッ』

 

 やがて、女の腕と足がちぎれ、首と胴だけになった。

 女のHPは、もうほとんど残っていない。

 女が息を吸い、最後の攻勢に出ようとした。

 しかし、

 

 

 ぶつッ……

 

『ぁ――』

 

 それよりも速く、女の喉笛にゾンビが食らいつき、その胴から食いちぎった。

 女の首が宙を舞う。

 宙を舞った女の首は、やがて地面に落ち、ゴロゴロと転がりながら紫乃の足下まできて、光の粒子となって消えていった。

 それと同時に女のいた場所に、光輝く魔法陣と大きな宝箱が現れる。

 

 

『レベルが21に上がりました』

 

 

「ふぅ……」

 

 女が光の粒子となるのを見届け、紫乃はその場にぺたりと座り込んだ。

 

「危なかった……」

 

 そう言う紫乃のMPゲージは、もうほとんど空になりつつあった。

 あらかじめ買っておいたMPポーションも、すでに使い果たしている。

 もし女がもう少し強ければ、やられていたのは紫乃であっただろう。

 

「でも……なんとか……勝てちゃった……みんなの……おかげ……」

 

 そう言って紫乃は、残っていたゾンビたちの労をねぎらい、丁寧にひとりひとり頭を撫でていく。 

 なお、身長差があるので、ゾンビにはしゃがんでもらっている。

 

 ひとしきりゾンビたちを撫で終わった後、紫乃は女のいた場所にある、宝箱へと向かった。

 

「わ、おっきぃ……」

 

 現れた宝箱は、かなり大きなものだった。

 横幅は三メートル、縦は一メートル、高さは二メートルほどだろうか。

 

「何が……入ってるんだろ……?」

 

 初めての宝箱を、紫乃はゆっくりと蓋を開ける。

 そして、

 

「わぁ……♡」

 

 箱の中身を見て、喜びの声を上げた。

 

「かわいい……♡」

 

 中に入っていたのは、一本の杖とローブとドレス。

 濃紫を基調とし、縁沿いに豪奢な金糸の編まれた美しいローブ。

 肩と背中が大胆に空いた、大人びた魅力を放つ黒のミニワンピースドレス。

 そして、先端から長い黒髪を絡ませた、目隠しをした女性の頭部が付いた、悍ましくも何処か芸術的な杖。

 

「また……会った、ね……」

 

 杖に付いていた女性の頭部を見て、紫乃がポツリと呟く。

 言われてみれば、その女性の顔は確かに、先ほど倒した女に似ている。  

 

 紫乃は手に持った杖を撫でながら、装備の説明を見ていく。

 

 

 【ユニークシリーズ】

 

 単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者だけの為の唯一無二の装備。

 

 一ダンジョンに一つきり。

 

 取得した者はこの装備を譲渡出来ない。

 

 

 

 『冥者の法衣』

 

 【INT +20】【MP +20】

 

 【破壊成長】

 

 

 『弔詩(ちょうし)ノ礼装』

 

 【INT +25】【MP +25】

 

 【破壊成長】

 

 

 『嘆きの妖杖』

 

 【INT +25】

 

 【破壊成長】

 

 スキル【嘆きの妖精(バンシー)

 

 

「ふふっ……嘆き妖精(バンシー)……だったんだ……♡」

 

 杖の説明を読みながら、紫乃は杖の女性の唇を、指でプニプニとして遊んでいる。

 ちなみに嘆き妖精(バンシー)とは、アイルランドおよびスコットランドに伝わる女妖精で、人の死を叫んで予告するものとされているものである。

 

「残りは……戻ってからに……しよ……♡」

 

 なんか弄くっていたら開いた女性の口に、指をじゅぽじゅぽと出し入れしながら紫乃は、手に入れた装備をインベントリに仕舞い、魔法陣の上に乗った。

 

「ふふっ……ちょっと……温かい……♡」

 

 それからほどなくして、紫乃は光に包まれて、いつもの町に転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――その頃、とある管理室では。

 

「ウソだドンドコドーンッ!!」

 

「うわ、なんだよウルセーな!」

 

嘆き妖精(バンシー)がやられた!」

 

嘆き妖精(バンシー)? ……ああ、あの隠しダンジョンのか?」

 

「特定期間内にゾンビとスケルトン、それからゴーストをこれまた特定数撃破したプレイヤーの前だけに現れるってやつだったか……改めて思うけど、やらせる気ねーよな?」

 

「まぁ、深夜テンションでやった仕事だったし!」

 

「で、どんな奴がクリアしたの?」

 

「……これ」

 

「ん~……えっ?」

 

「えっ?」

 

「これって……」

 

 

 

「……この子、【死霊術】獲得してる……」

 

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……いやいや」

 

「……いやいやいや」

 

「……いやいやいやいや」

 

「……いやいやいやいやいや」

 

 

 

『え、マジで?』

 

 

 

 

 




 --運営にとっては【死霊術】は遊び。完全に悪ふざけのつもりでした。
 まぁ普通はあんな条件で、取れるとは思わないからね!
 それと同じく【嘆き妖精(バンシー)】の方も……

 まぁ、それはまた後日。

 速ければまた0時に投稿出来るかもです!
 評価・感想があれば励みになりますので、気が向いた方はよろしくお願いします!!【ジャンピングスライディング土下座】

サービス回……いる?

  • いりゅううう!!(ホラー)
  • いりゅううう!!(セクシー&ギャグ)
  • 要らぬ!!
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