銀魂:白銀ノ魂録実況プレイ 虚ルート 作:一億年間ソロプレイ
どっちかと言うと西郷殿と空木の話の方が多め(軽め)
オカマたちからの恋愛表現 タグ付け 迷う 検索 カチッ
「なぁ…四月の花見の時に一体俺は何をしていたんだ……?まったくあの時の記憶が無いんだが……」
「なんでもありませんよ。何も無かったんです」
「ボケるにはまだ早いですよ」
「年齢を言うにはお前たちもキツい年頃だろ」
「「師匠に比べればまだピチピチですので…」」
「腹立つなぁ…こやつら」
はて、一体本当に何があったんだ、とスケッチブックに書かれていた途中の絵を見て空木は思う。
最初は花見をしている人々の絵だった筈だが、スケッチブックが下に行くにつれて何かしら不可思議な図形を描いている。その時の記憶が空木にはめっきりなかった。
その両隣で事の顛末を知る虚と松陽は目配せした。いつもであれば何かと突っかかっては騒いでいる二人が結託している様子を見せるのは珍しいことだった。
(絶対に思い出させないように)
(それを言うのはこちらですよ)
というのも、三人で花見をしようという話になり、近場にあった花見会場の桜を見ていた空木の口元に謎の黒い物質が入っただけのことであった。
それは生産者からすれば卵焼き、しかし他人から見ればダークマターと恐れられる物質であり、それを食べさせられそうになった銀髪の侍が避けた先に僅かに口を開けていた空木がいただけのことだった。
そして空木が条件反射的に口に入った物を咀嚼し、常人より鋭い味覚によってダークマターの物質を感知し倒れた。それを側の二人が焦りながら家へ連れ帰り、空木が突然起きたと思えばスケッチブックに何かしらの図形を描いていた。
声を掛ける二人にわき目も振らずに一心に描く様子は異常であり、とりあえず思い出させてはいけないと二人は感じた。
「…駄目だ。考えると頭が痛い、頭痛が痛くなる」
「言葉の使い方がおかしくなってますよ」
「ああ、うん………。少し外に出てくる」
「分かりました」
いつも以上に不健康な様子に不安を覚えたが二人は空木を送り出した。
そしてその日、空木は笠を着けずに外に出てしまっていた。
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「阿呆…。何故こんな時に限って懐にも手元にも笠が無い…」
空木にとって日光は弱点であり、昔からの大敵である。どうやっても克服しようがない日に照らされながら空木は家にいた時以上にふらつきながら歩いている。
これでは気分転換兼絵の着想を得る以前の問題だ、さっさと家に帰りたいと思うがここまで来ておいて何も得られず帰るというのは嫌だった。
「おいお前の父ちゃんオカマ~」
「やい、このカマ野郎」
通行人の話し声から歩く音まで聞こえる耳に子供らしい野次を飛ばす声が聞こえた。旅先でも子供が子供を虐めるという痛ましい光景はあったなと思いつつ、その声のする方に空木は近寄っていく。
川辺の付近で二人の子供が一人の子供を虐めていた。受け身を取りつつ虐められている方の子供にぼんやりと視線を合わせ、空木に衝撃が走る。
(み、見えたっ!)
久方ぶりに感じた衝動に身を任せ、空木は懐からスケッチブックと鉛筆を三本取り出し、その内二本を虐めている子供たちの足元へ投擲した。先程まで感じていた怠さが嘘の様に軽くなっていた。
カカッ!と音を鳴らしながら鉛筆がコンクリートの地面に刺さった。
「な、なんだよお前!」
「おい、アイツもカマっぽいけどヤバそうだ!逃げろ!!」
たったったといじめっ子がその場を走り去り、空木は血管を浮だたせながら鉛筆の回収と虐められていた子供に絵のモデルになって貰う為に近寄った。
「大丈夫だったか?」
「う、うん!あの…ありがとう!
空木の血管がまたもや浮き出てきた。空木にとって女性に言い間違えられるのは地雷を踏み抜く行為だが、「子供の言うことだから」と念じて堪えている。
「お姉ちゃんではなく、
「西郷てる彦だけど…あの?」
「頼む、絵のモデルになってくれないか?」
「えっ、えええええ!!??」
「モデル料ならいくらでも出そう。頼む…!」
空木は必死な形相でてる彦の肩をがっしりと掴んだ。目の隈が凄く、一種の迫力のある人間に急に距離を詰められたてる彦はたじたじになっていた。
「母ちゃんに聞いてからでもいい?」
「構わない。早速君の母君に事情を話に行こう」
「あ…えと、母ちゃん色々と凄い人だけど…大丈夫?」
「大抵のことなら動じない。心配するな」
軽く会話を交えつつ、空木は開かれたスケッチブックの上で素早く手を動かしつつ、二人は歩いた。
てる彦がとある店の前に案内した場所。そこには『かまっ娘倶楽部』という、空木にとってはどこかで聞き覚えのある単語の看板が掛けられていた。
てる彦が店の扉を開ける。そこには世間一般から化物と呼称される類の者たち――オカマたちがいた。
「あらてる彦くん!おかえりなさ~い、って…あらま!」
「いい男じゃな~い!でも隈がね~」
「あんら、てる彦おかえ………」
オカマの犇めく並の中から一際背が高く、目立つ人物が現れた。銀髪の結い上げた髪に太ましい眉、立派な青い剃り跡のある西郷特盛が現れた。
西郷はてる彦の横に立つ人物を見た瞬間、固まった。
「てる彦少年、あのだ……女性?が君の母君か?」
「うん、そうだよ。でもちょっと様子がおかしいや」
「あ」
「「あ?」」
「ア、アア、アンタァァ!!!生きてたのねぇ~~!!!!!」
西郷が上空を飛び上がりダイブする態勢になった。そっとてる彦と共にそれを避けた。
扉を突き破りながら西郷は地面に落ちた。
「マ、ママがあんな風になるなんて……まさか恋人っ!?」
「いや、愛人かもしれないわっ…!」
「ママが大きな壁……燃えてきたわ!」
「えっ?」
「断じて恋人でも愛人でもないわ!邪推をするな邪推を!」
「そうよ。コイツはかまっ娘倶楽部設立の際に意見をくれた大恩人よ」
ぱんぱんと汚れを払いながら西郷が空木の前に立つ。そしてオカマもとい元攘夷志士だったメンバーたちが「えええ!?」と驚愕した声を上げた。
「久しぶりね。どこかでおっ死んでるかと思ったら生きていたとはね、村雨」
「俺があの程度の戦力で死ぬ訳が無いだろう、見くびり過ぎだ。それから今は村雨ではない、本名は空木だ」
「あらそう。とりあえず、アンタウチに何の用よ?悪いけど今は営業時間外、営業中に来てくれたらとってもサービスしちゃうわ」
「そうだな…。君の息子のてる彦少年を絵のモデルにさせて欲しい」
「ふーん?戦争から手を引いた後は絵で生計を立ててるのね?意外だわ」
「失礼だなお前…。俺を何だと思っている」
「え、えっと…母ちゃんと空木さん?は知り合いなの?」
オカマたちが「村雨」という単語を聞いてまた驚いている間に、てる彦が手を挙げながら声を出した。
「そうねぇ…。昔、背を預け合った仲かしらね。ところでてる彦。アンタは絵のモデルになることについては良いのかい?」
「うん。全然いいよ」
「そう。てる彦がいいなら、私からは特に何も言うことは無いわ。しかも描いてくれるのがアンタならね」
軽く片目を瞑りながら視線を寄越した西郷に空木は内心安堵していた。
(思わぬところで"ええやつ"…いい人材を見つけられた)
四月に何があったかという疑問はとっくに消えていた。空木の興味は目の前のてる彦に行き、弟子二人の望むルートへ進んでいた空木であった。
「絵のモデルって何をやるの?」
「特に何も。普通に過ごしていて欲しい」
「え?」
「俺はモデルには特に時間を掛けさせない。ただ普通に過ごすのがモデルの条件だ。俺は君に気付かれないように後ろにいる程度の空気だと思ってくれていい」
「へぇ~…なんか思ってたのと違うやり方だ……」
「だろう?俺の師がそういう奴だったんだ」
今までとは違った穏やかさを含む声音で空木は言う。
「…ああ、気にせずとも厠や寝所までには押し入らない。そうだな、五時までは俺が見ているものと思ってくれ」
「は、はい!」
そして、空木のてる彦観察が始まった。
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空木はてる彦を観察しながらも店の手伝いをしていた。とはいっても清掃や座布団を整えるくらいのことだ。
営業時間外、店の片隅で学校の宿題をするてる彦とそれを教えながら手元を動かしている空木という図は定番のものになっていった。
「ねぇ、空木さん。ここの問題どうやって解くの?」
「それは先日の宿題とやらに出ていた問題の応用だな。そこの公式に数字を………」
「アイツも牙が抜かれりゃあんな穏やかになるもんなのねぇ」
「あんな穏やかにてる君に教えてる人が村雨なんて…信じられないわ」
かまっ娘倶楽部の従業員は大抵が攘夷戦争に参加していた者たちだった。攘夷戦争中では村雨は単なる気象の名称を指すのではなく、とある一個人を指すということを知っていた。
そこにいれば血の雨を瞬時に振らせ、ふらりといつの間にか何処かへと消えている。第一次攘夷戦争にも、第二次攘夷戦争にもその名前は轟かせた攘夷志士。
現在は過激攘夷派浪士と指名手配はされているが、その張り紙に書かれた絵は笠を被った人物ということだけ。指名しようにも村雨は偽名の可能性が高く、特徴といっても日本人には多くいる黒髪ということだけ。
そんな人物が今目の前で穏やかに過ごしている。半ば信じられない心地なのが半数、ギャップにやられた従業員が半数といった風に分かれていた。中には村雨時代からのファンも含まれている。
空木自身、知覚していないが意外と村雨に窮地を助けられたという人物は多かった。
「アイツもようやく居場所ってもんが見つかったんだろうよ。戦い以外の、アイツの居場所が」
正体不明とされている村雨について、西郷は通常より多くのこと知っていた。
西郷の妻が死去し、自分が息子の母親代わりにならなければならないという思いが極地に至り、装いと口調を極めたまで良いものの、世間のオカマに対する目線が今よりも酷く冷たい物だった。
戦時中は装いもへったくれも無かったが、そんな事情を含みながら西郷が活躍していた時の、ほんの少しの間のことだ。
夜通しで戦場を見つめる空木に声を掛けたのが、二人の些細な交流の始まりだった。
『アンタ、寝ないのかい?』
『寝るよりは戦場を見つめる方がマシだ』
『いつか体を壊すわよ』
『その程度では壊さん、普通より丈夫だからな』
『アンタ、オカマについてどう思う?』
『オカマ…?』
『言ってしまえば、男だけど女の装をする奴のことさね』
『…ああ。性別が逆という類の話か?特にどうとも思わない。好きに生きたらいいんじゃないか。
男も女もそう大差変わらない、斬ってしまえばただの肉だからな』
『物騒な言い方ね…。でも…そうね、アンタみたいに肯定してくれる人もいるのね』
『ねぇ聞いてよ村雨ェ!案外私らみたいな気高いオカマが多いって知ってたァ?』
『知らんが』
『それで、私らで店を開こうって話になったんだけど………アンタも来るかい?』
『俺はオカマじゃないんだが……、断る。今の俺はここが居場所だ』
『…そう、アンタはまだここが居場所なのね。もう兵も疲弊しきっているのに、アンタはいつまで立っているつもりかしらね』
『戦争が終わるまではここにいる。元々兵なんぞ集ったつもりも無し、疲れたなら抜ければいい。
お前たちには行く当てはあるかもしれんが、俺のような者には無いからな』
『そ。じゃあ私らが開く店"かまっ娘倶楽部"に来てくれたらたっぷりサービスするわ。――アンタの居場所もね』
日ごと、兵が寝静まる夜に二人は些細な会話をしていた。
深編笠を被り、顔は見えずとも笠の編目から覗く目は西郷に焼き付いていた。笠を外して会うのは初めてであったのにも関わらず、空木と村雨が結びついたのもその影響が大きい。
あの会話以降、西郷は攘夷戦争から手を引き、気高きオカマの魂を持つ侍たちを率いてかぶき町に店を出した。
「村雨…空木様がフリーなのも分かったからね、じゃんじゃん攻めていくわよ!」
「アイツを攻め落とすには何十年も掛かりそうだがねぇ…ま、がんばんなさい」
「「「ママァ!!」」」
本来ならば男同士の恋愛なんて茨の道。しかし、ウチの従業員が空木を落とせば強制的にかまっ娘倶楽部の戦力増強になる、気になる女装姿も見れる、アイツの居場所を作れる、そして懐いているてる彦も笑顔になる。
一石四鳥じゃぁないか。
にやりと含み笑いながら西郷はてる彦と空木を見つめていた。
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ヅラ子は白い色紙を取り出しながら空木に差し出した。
「あの、すみません。ヅラ子ちゃんへって、サイン書いてくれませんか」
「今忙しいから無理………どうしたてる彦少年」
「クッ、なんてそっけない…!何としてでも手に入れてみせるぞ、村雨殿のサインをー!」
村雨、と叫んだ瞬間ヅラ子へ鉛筆が飛んだ。
「何やってんのアイツ等」
「あらパー子。あれはいつもの光景よ。ヅラ子が入ってきてから空木様のサインを手に入れられるかって騒いでいるのよ」
アゴ美に説明を受けたかまっ娘倶楽部の新人、パー子は脳内に疑問符を散らした。
「説明しよう。村雨」
またもやヅラ子へ鉛筆が飛んだ。
「――空木殿は我々攘夷志士の大先輩に当たる方だパー子よ」
「ナチュラルにパー子呼び止めろ」
「俺は戦時中に助けられた身でな。あれ以降行方が知れなかったが……まさかこんな所でお会いするとは俺も思わなかった」
「いやあの姿…」
パー子は四月の頃に行われた花見を思い出した。
「確か自分が避けた時にお妙のダークマターを不幸にも食して気絶していた奴じゃなかったか?」と。
その後どっかで見覚えのある双子が連れていったが、それ以降姿を町でも見かけないから不謹慎ながら死んだ物だと思っていた。
「へぇー…」
いくら熱烈に説明されても、西郷への一言でここへ強制的に入れられたパー子にとっては興味の湧かない話題であった。
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外が暗くなり、かぶき町が眠らない町として目覚める頃、空木邸では話し声が響いていた。
「そういえば師匠。私たち最近身長の伸びが止まっているんです」
「赤飯を炊こうか!」
「そういう問題じゃないですよね?なんで祝おうとしてるんですか?」
「いや……お前たち、今が一番輝いているからな………。このまま大人になるというのは少々もったいないというか、俺としても不本意というか…。まだ半年くらいだぞ、まだ半年しか成長記録が書けていないんだ…。まだ足りんぞ…?空白の頁が幾つあると思っている?どれだけ俺がお前たちの成長を楽しみにしていると思っている?それなのにもっと長くお前たちの幼少期を楽しめるだと?まさに祝い事ではないか……」
「長く生きてると、師匠でもどこか壊れたりするんですね」
「この場合、私たちを真っ二つにした時からではないですか?」
ごほん、と空木は大きく咳払いをした。
「とにかくだ。成長しなくても心配するな。なんならそこで止まってくれても構わない」
「とうとう言いましたね!?」
「成長したら存分に見下ろしてやりますからね!」
「ははは。童が何かを言っているようだな。俺は絵を描く作業に戻らせてもらうぞ」
大広間でぶーぶーと文句を言う二人を背に空木は私室へと向かった。
いつもより空木の気分は上々だった。昼の頃に、絵のモデルにしていたてる彦の一際輝く瞬間を捉えられたからだ。
父親のことを複雑に思いながらも、父親への理解と愛が勝った少年。子の窮地を救おうと、昔懐かしの白ふんの西郷と呼ばれた装いでやってきた父親。
目を焼く輝きがそこにはあった。魂を通す二人の侍がそこにはいた。
輝きを見たいが為に少し危ない目に遭わせてしまったのは申し訳ないと思った空木だったが、その分のモデル料を上乗せするつもりだ。
弟子二人を置いて来た部屋の中で一人、頬を緩ませる。
「いつになってもああいう父親というのは、羨ましいものだな」
絵の着色も完了し、細筆で必ず名前を書くことを忘れずにやる。
そこには勇ましい父親と子の姿が描かれた絵があった。
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「てる彦少年、これが絵のモデル料だ」
「ちょ、ちょっと待って!こんなに貰っていいの?」
空木がてる彦へ渡した茶封筒には諭吉が十枚入っていた。
「ああ。ほんの少しの詫びの気持ち、それから良い物を見せてもらったからな」
「や、やっぱ見てたんだ…」
「その節はすまない。やはり窮地にこそ真価というのがよく見えるものでな」
あはは…、と苦笑いをするてる彦であった。「ああそうだ」と、空木が懐から絵を取り出した。
「これが出来上がった絵だ。拙作だが受け取って欲しい」
「僕、こんなかっこよく見えてました?」
「ああ、父子共に、とても勇ましい侍だ」
「そっか…。ありがとう、空木さん!また会おうね!」
「うむ。機会があればまた頼むぞ」
西郷特盛…好感度:大木(第一次攘夷戦争時)→花が所々咲く(現在)。営業時間外にはてる彦のモデル関係でよく来たが、営業時間になると颯爽と帰って行くことには不満を持つ。いつか営業中のかまっ娘倶楽部に連れ込む準備をしている。
西郷てる彦…好感度:花が所々咲く。宿題やら面倒やらを見ていたら上がっていた。用意されているルートは無いが、態度が柔らかくなる変化が楽しめる。てる彦くん可愛い…可愛くない?
ヅラ子・パー子…ヅラ子との再会は軽く流された。パー子としては軽い出会いみたいな感じ。パー子は未だに四月で会った双子についての詳細を知らない。
例の二人…原作がサザエさん時空に近くなるので成長するのも遅くなるという独自設定。
空木…四月、実際は死亡判定が出されていた。お妙の卵焼き is 即死料理(ステータスに五感強化があるせいで強制的に死亡判定になる)。かまっ娘倶楽部には二人の悪影響やどこに行っていたという尋問を避ける為に営業中には行かない。鉛筆は自分で鋭く削るタイプ。