銀魂:白銀ノ魂録実況プレイ 虚ルート 作:一億年間ソロプレイ
ということで今回はゴキブリが出てくるので注意ですぞ。
※ちょっとだけ最後らへんの[気付いたこと]を編集しました。ブレブレですみませんね…
空木邸の庭に植えられた植物の葉が赤く色付き始めた。ここに引っ越してきた時は春だというのに、季節はあっという間に秋になっていた。
相変わらず庭木には一羽の鴉が止まっている。その鴉は空木が定住し始めた頃から見かけるようになった。
「お前も気難しいことだな…さっさと来れば良いものを」
空木は懐から取り出した細い紐のように折られた紙を取り出して、鴉に近付きその足に巻く。
カァ!と一つ鳴いて、訓練された鴉が飼い主の元へその手紙を届けに羽ばたいた。
さて、これからどうしようかと考えた時だった。空木の耳がカサコソという音を聞いた。家の中だけではなく、外の方でもしきりに聞こえてきている。
虫の足音がこんなにはっきりと聞こえてくるものなのか?そう思いながら空木は耳を澄ましていく。
『江戸中で異常発生している巨大ゴキブリについて徹底討論していきたいと――』
『中には赤ん坊が襲われた、ペットが食べられた―――』
「し、師匠、いますか!ご無事ですか!!へぶぅ!」
町の方では何やら大画面でニュースが流れているらしく、遠く離れている筈の空木邸の方にまで放送が聞こえていた。
それに加えて家の方で聞こえていたカサコソ音が大きく鳴り、縁側に接している障子の戸が倒れた。音のした方を向き、そこから見える惨状に思わず声を引き攣らせた。明らかに人体並の全長を持った巨大なゴキブリが松陽と障子を押し倒し、外へ出ようとしていた。倒れた障子の部屋奥では虚が伸びている。やられてしまったようだ。
空木は倒れた松陽の落とした新聞紙を拾い丸めて、飛び掛かるゴキブリに思わず目を使って殺害した。
しかしまだまだ多くの足音が家の中から聞こえてきていた。
『決して倒さない様にしてください』
「実は二人で倒すことは出来たんですが…どうやら仲間を呼ばれちゃって」
放送と松陽から聞こえてきた情報に絶句し、空木は口を開けたまま松陽を見つめた。松陽は笑いながら立ち上がり、そうしている間にもブーンブブーンとゴキブリが飛来してきていた。
空木は思わず遠くを見る。…どこを見てもゴキブリがチラついている。
事の発端となった松陽を見る。にっこりと平常通りに笑っているが若干冷や汗をかいている。
「……江戸は末恐ろしいな」
「本当ですよね」
「お前たちは後で家中を隅々まで清掃することだな」
「…ですよねー!」
「それでも師匠がやってくれるなら仲間を呼ばれることなく始末できますよね?」という松陽の目線を受け取った空木はゴキブリバスターに走り出した。そう言えば虫は殺生の内に入らないか…と考えたが、それよりも生理的嫌悪の方が強かったので無視することにした。
空木にとっては外見もだが、ゴキブリの歩き回る音はより鮮明に聞こえてくる。つまりは不快だ。
暫くしてゴキブリ騒動は収まったと放送が入り、その頃には家のゴキブリも消し去り、虚も気絶状態から回復していた。
それから二人が忙しなく家を清掃する中、空木はのびのびと私室で茶を飲んだ。
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秋もとっくに過ぎて冬。そして今は夜中だ。この冬の夜中に空木はスナックへ行こうとしていた。その名も『スナックお登勢』。名前通り、お登勢という女主人の経営するスナックだが、室内で絵を描いていてもあまり茶化されることが少ないので、空木は週に一度行くか行かないかの頻度で通っていた。
空木は目的の場所に着き、からからりと明るい光の漏れる戸を開ける。
「らっしゃい。おや、アンタかい」
「ああ。いつもので」
「いつものっつっても酒一杯だけじゃないかィ。たまには他のも頼んでくれないのかね」
「酒で失敗すると恐ろしいのはよく知っているからな」
空木が『お登勢』で飲んでいると、たまにだが銀時が現れる時がある。来る度にべろんべろんに酔うまで飲む銀時の姿や、大昔に一度酒で大失敗を犯した父の様子を見ている空木はそんな風になるまで飲むということはしなかった。
空木は室内に入り、いつも定位置にしている端のカウンター席に座る。テーブル席の方ではキャサリンが客に酒を注いでいた。
「酒一杯とは言っても高いものを頼んでいるからノーカウントだ」
「はいはい」
空木が座ってから取り出したスケッチブックの横に酒の入った徳利と猪口が置かれた。早速徳利から猪口に酒を注いで飲み始めた。
お登勢はふぅ、と煙草を吸ってから空木に話しかけた。
「アンタ、今月暇かい」
「…いや、その既婚者とは………お付き合いは…出来ないというか……」
「何気色悪ィ勘違いしてんだよ。普通に予定聞いてるだけだよこっちは」
「ジョークだ」
「もっとマシなジョークを吐いてくれないかねェ……で?」
「特に予定はない」
「ちょっとばかし男手の必要なアルバイトがあんだけど、受けてくれるかィ?」
「…それはどんなアルバイトだ?」
「知り合いに山奥で旅館を経営してる友人がいるんだがね、ここの所繁忙期だから人手が欲しいってもんでさ。十日位でいいから手伝ってくれって話さね」
「十日か……」
空木自身が十日間家を留守にして、二人を家に置いておくことには何の問題は無い。しかし、二人には空木が不在ということで起きる問題がある。
あの二人は致命的に料理が出来なかった。旅の合間などで何かと料理を手伝わせてはいたが、それでも料理の腕は上がらず、塩と砂糖を間違えた後に台所を壊すレベルであった。今も手伝わせて入るが、基本的に空木が朝・昼・晩と作っている。
「受ける分には構わないが……」
「アンタのとこで引き取ってる双子が心配かい」
「心配は心配でも、あの二人が料理を作れるかが問題でな」
「ある程度自立できる程度に料理は教えといた方がいいさ」
「いや、教えている筈なのに塩と砂糖、コンソメとガソリンを間違える位に危ういんだ」
「それで学べるならいいんじゃないのかい」
「その程度ならまだ可愛い方だが、酷い時には目を離すと鍋が爆発する。大惨事の時は台所が故障して使えなくなる」
「…重症だねェ」
「だろう?」
そのお陰で九月初旬の頃には三食外食に頼る羽目になった、という言葉を酒で流し込んだ。
どうやったら味噌汁を作っていた鍋が爆発して、更には台所が爆発する経緯に繋がるんだ。今でも空木は疑問に思っている。しかし、それは某人物の作る料理が全て卵焼き(ダークマター)に変換されるレベルに矯正が不可能なことであるというのを空木は知らない。
「とりあえず、受けられそうだったならその仕事は受けよう」
「期待せずに待っとくよ」
居酒屋で絵を描くと「そんなもん描いてねぇでさっさと注文しろ」という場所が多いが、ここ『お登勢』ではそういったことを最初に言われるも強要はされない。無論、夜の飲食店で絵を描いている奴の方がおかしいのだが、『お登勢』はそんな客もそれなりに受け止めている。
それにお登勢は以前空木の絵を買った客でもある。その絵が早速店の中に飾られているのは尻がこそばゆくなる感覚があるが、飾られた絵を見て褒められるのも悪くはない。
要するに、空木のお登勢に対する好感度は高い方であったから、お登勢のアルバイトの件を受けようと考えている。
猪口に最後の酒を注いでちびちびと飲みながらスケッチブックに鉛筆を走らせる。目の前で煙草を吹かしながら接客をするお登勢に、奇妙な猫耳が生えている天人のキャサリン。赤ら顔になりながら酒を飲んで騒ぐ客たち。
自分が酔うのは嫌だが、他人が酔って醜態を晒すのを見る分にはいい。酔っぱらうと奇怪なポーズをとることがあるので構図の練習にもなる。
「チョットチョット。私ソンナ顔ジャナイデスヨ。マリ○ンモンロー並ノ美女デスヨ」
「いやいやそれはねーよ」
「マリリンモン○ーレベルではないな」
ひょいと横から空木のスケッチブックを覗いたキャサリンが言えば、それに客たちがげらげらと笑いながら茶化してキャサリンがキレながら客を酒漬けにする流れは鉄板だ。
空木はその声を聞きながら猪口に残った酒を飲み干した。
「勘定」
「あいよ」
お登勢に頼んだ酒分の金を支払って『お登勢』から出た。
店内の暖かい空気から身を縮まらせる程に冷たい空気が広がる。自分の背に笑い声が聞こえてくる。そんな場所に簡単に入れる様になったこと、あまつさえ店の女主人にアルバイトをしないかと持ち掛けられることをどこかおかしく感じた。
「…さっさと帰ろう」
酒でも回るのか、余計なことを考え込まない内に家に帰って絵を描く作業に入ろうと思う空木であった。
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朝方、空木邸の大広間にて朝食も摂り終わった三人が座って話していた。
「アルバイトで十日間留守になるが」
「「無理です」」
「…だよな」
二人が飯を作れなくとも外食で済ませられればいい。しかしそれは朝と昼の場合であって、夜の場合は気が進まない。九月には空木という保護者が傍にいたからいいものの、高校生ぐらいに見える二人だけで夜中…しかも繁華街が多いかぶき町内で夜間外出させるというのは空木の胃が足りなくなる位に心配であった。
「いや…しかし……ううむ……」
「単純にコイツと二人きりなのが気に食わないです」
「それは個人個人の問題なのでどうにかしてくれ。俺は関係無いしな」
「物理的に分けたの貴方でしょうが」
「それに了承したのもお前だな?」
「っ……」
悩んでいた空木が意地悪く笑う。バツが悪そうに虚は顔を背けた。虚と松陽を分けた本人は笑ってはいるが、内心あの時の心臓を握った感覚が蘇って気分が悪くはなっている。空木は気持ち悪さを切り替える様に手を一握りした。
一先ず食料問題は外食ということで解決したが、後は二人の安全面のみ。誰かに預けてみるか、それとも二人が何も問題を起こさないことに賭けるか。
「そういえば…何でもやってくれる奴らがいたな」
「げ…」
「万事屋に預けられるんですか?」
「…いや、ないな。止めておこう」
万事屋に面倒を見てもらう、そんな手段が思い浮かんだが却下。二人の小遣いをあの手この手で引き出して使う可能性と、厄介ごとを持ってくる可能性があるからだ。
前者は甚だ不快であるが、問題になるのは後者。巻き込まれた厄介ごとで万が一にでも二人が怪我をし、その特異性を見られたら困るのは二人だ。
いくら昔と気風が違えど分からないものや不老不死に対する考えは共通しているだろう。恐れるか、求めるか。こんなことをおいそれと他人に言えるような秘密でもない。
「…おや、インターホンが鳴りましたね」
「こんな明朝に来客か?珍しいこともあるな」
空木が大広間から出て玄関へ移動する。玄関とも言える木製の門扉、その格子の隙間から見える姿は男の様だった。笠を目深に被っていて、うねった白髪を持った男。
門扉を開ける為に近付けば近付く程、覚えのある気配であることに気が付く。それに薄っすらと香るあの忌々しい血の匂い。
その扉を開けた後、男が笠を外した。顔には斜めの傷痕があり、目の周りの隈は濃い。
「いい加減鴉を使って監視するのも止めたのか」
「ええ。どなたかから頂いた手紙、言葉どおりに、私めも好き勝手にやろうと思いまして」
「随分と長かったな。情報操作でもしていたのか?」
「ええ。長らく世話になると思ったので、その後始末をと」
「そうか。…まぁ、入れ。朧」
扉を開けた空木が朧に中へ入る様に催促した。薄らと笑っている空木の後ろを、朧は付いていく。
行く先は言わずもがな、二人の待っている大広間だ。
「部屋は多くあるから好きな場所に入れ」
「…随分とあっさりしていますね」
「こうなるだろうとは考えていた。半分不死で松陽の一番弟子であるお前なら別に家に住む位は構わない。それよりも…」
「それよりも…?」
「手紙にも書いただろう。寝言がうるさくて構わんのだ。朧、朧、と暇さえあればその名を呼ぶ」
「それは……」
前を歩く空木はちらりと朧の顔を見る。そこには不器用ながらも微笑みを浮かべた男の顔があった。
空木はそれを見なかったことにしようと思って前を向き、大広間の障子を開いた。
「二人とも、来客だ」
一言そうかけて、空木と朧が大広間に入り、二人と対面するように座った。松陽は目を見開かせてその姿を見た。虚は松陽ほどのリアクションは無いが、目には入ってきた人物への興味が見えた。
「この度、ここで世話になる朧と申します。以後お見知りおきのほど、よろしくお願いします」
「…ええ!また、よろしくお願いしますね!」
僅かに流れる涙を袖で拭い、松陽は朧にそう言った。
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[調査結果]
・陸奥…治り変わらず。
・伊豆…治り遅し。
・丹後…治り変わらず。
・出雲…治り早し。龍穴か源泉が近くにあるからか。
・伯耆…出雲より治りは遅いが早し。出雲の影響か。
・大和…治り早し。
・山城…治りは当然の如く早し。龍穴の影響か。
・阿波…治り変わらず。
・江戸…治りは山城と同じく早し。ターミナルに使われている動力源のアルタナが原因だと思われる。
龍脈:天人からの呼び名はアルタナ。惑星の生命エネルギー。生命体に何らかの変質を促す作用がある。
なお、不死性もこのエネルギーを使用しているから起きる現象であると思われる。龍脈によって生かされているということであれば、地球から龍脈がある限り、地球が存在する限り死なないものだと思われる。
つまり、死ぬ為には地球を滅ぼす必要がある。アイツを殺す為には星一つ滅ぼさなければならない。
だがその為にする手間、基気力は無い。なぜなら上記の手段では俺ごと死ぬ。それは駄目だ。
俺は生きて、且アイツだけを殺す方法を考えなければならない。
龍脈のエネルギーが全く無い状態で殺し尽くすのがベストか。狗神で一時龍脈を活動停止させ、俺が殺すこと。
それか、この星ではない場所になら不死を殺せる技術があるのかもしれない。
とは書いたはいいものの、それらの手段を準備する気分にはなれん。片手間程度に探すか。
[気付いたこと]
・不老不死を求める人間へ感じた嫌悪は同族嫌悪に近い。これは記憶が戻ってから気付いたこと。そんな存在に近付いてしまったのは偶然だったが、それでも
・冬になると首が痛い。首と言うか、昔斬られた傷痕。これについては不明だが、痛みほど煩わしい物も無い。この前首を切り離した芸を見せたら顔面蒼白になった二人には気付かれない様にしなければ。
・江戸には携帯電話という絡繰があるらしい。相手が遠くにいても通話ができるものとか。買っておくべきか…?
実は知能ステータス上げたから記憶が戻ってきたという設定があったりなかったり