お嬢様はピーキーがお好き   作:アルキメです。

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周囲の作品がシリアス気味なので初投稿ですわ。

GBN総合掲示板のワンナイトハロウィン回( https://syosetu.org/novel/231188/8.html )で登場したナイトメアハロウィン所属Sランクダイバー『シャークサメジマ』と、百鬼の『オーガ』とのバトルになりますわ!


外伝(リライズ編)『ワンナイトハロウィン/ムラ鮫vsガンダムGP-羅刹天』

 エターナル・ダークネス。

 ナイトメアハロウィン。

 ナイトレイド。

 GBNで有名な三つのフォースの合同によるハロウィンイベントは盛況の中にあった。

 特に主催フォースのメンバーたちと行えるフリーバトルは大変な賑わいを見せていた。

 制限時間は15分と短いものの、指名制ということもあって「自分も自分も」と大勢が挑戦者という気分で大挙していたのだ。

 

 ⁎

 

 フリーバトル用に用意された特設ステージの上空では、二つの機影がぶつかり合っていた。

 一つはフォース『百鬼』のリーダーである獄炎のオーガの駆る『ガンダムGP-羅刹天』。

 ガンダム試作2号機を改造した鬼ような機体は、金棒型の武装――羅刹金砕棒を振るい、赤い閃光となって火花を散らす。

 もう一つは『ナイトメアハロウィン』のメンバーの一人、シャークサメジマの駆る『ムラ鮫』。

 名前から解るように、ムラサメを改造したサメのような群青色の機体は、クロスボーンガンダムX3から転用したムラマサブラスターの改造武装――シールドと一体化させ、ビーム発振器の代わりに鮫の牙のような実体剣を取り付けた――レイオマノで打ち合うたびに鋼鉄と鋼鉄が激突する衝撃音を轟かせた。

 

『シャーッシャッシャ! あの時の小魚ちゃんが、こんなに大物になってくるなんてねッ!』

『ハーッハッハッハ! あの時の雪辱、晴らさせてもらうッ!』

 

 ムラ鮫のコックピット内で、サメパーカーの少女がギザギザに尖った歯をむき出して笑う。

 それはオーガとて同じだった。

 根本から似た者同士、というわけではないが、バトルを心の底から楽しむという一点においてはどうにも共通していた。

 それに加えて、シャークサメジマは新進気鋭だった頃のオーガに黒星を付けたことがある一人で、それきりリベンジを果たす機会を逃していたのだから、今日この場で挑まない理由などありはしなかった。

 

『オラァ!』

『シャ、アッ!?』

 

 上段から振るわれた羅刹金砕棒の一撃に押し負けて、ムラ鮫が大地に叩き落とされた。

 ガンダムGP-羅刹天は、すかさず両肩のFOBT――フレキシブルオーガバインダー天を展開し、内蔵された広角射撃兵装『GNアイズブラスター』を撃ち放つ。

 

『ふっじゃっ!』

 

 頭上より降り注ぐビームの光点を認識したシャークサメジマは、レイオマノを機首にする形でムラ鮫をガシャンと変形させた。

 翼の生えたノコギリザメのような姿に変わったムラ鮫は地を這うほどの低空飛行のまま、ビームの合間を泳ぐように避けて飛ぶ。そのまま直角に飛び上がり、ガンダムGP-羅刹天めがけて真っ直ぐに突撃を敢行する!

 ガンダムGP-羅刹は羅刹金砕棒をビームバズーカに切り替え、背部の疑似太陽炉内蔵兵装『GNリボルバーバズーカ』を展開し、向かってくるムラ鮫に狙いを定めて撃った。

 ムラ鮫もまたレイオマノの先端に内蔵したビーム砲『ブラスターガン』を放つ。

 ムラマサブラスターの14基のビーム発振器を取り除いた分、エネルギーはすべて先端に残したブラスターガンに集中する構造のため、一見してライフル並に細いビームの光条は、その実リボルバーバズーカに匹敵するほどの威力を内包していた。

 その威力を以てビームにビームを当てるという芸当をやってみせ、エネルギーの灼熱の飛沫を撒き散らしながら次々と相殺していく。

 

『シャ・チィッ!』

 

 四発目のビームを相殺した瞬間を縫って、レイオマノの刃を回転駆動させると同時に柄尻に内蔵したブースターを点火し――射出!

 ビームの光条に紛れるようにして、真っ直ぐにブレることなくガンダムGP-羅刹天に向かって飛んでいく。

 回避のタイミングを失したガンダムGP-羅刹天は、すぐさま羅刹金砕棒を両手に持ち直し、防御行動を行う。

 射出されたレイオマノが激突し、ギャリギャリギャリと金属が削がれるような音が鼓膜を打つ。

 

『ッ!? このッ!』

 

 回転により増した切れ味は羅刹金砕棒を容易く切断し、勢いで背部のGNリボルバーバズーカ一基を削り斬って、レイオマノはそのまま上空へと飛んでいった。

 そのわずかな時間に、MS形態へと変形したムラ鮫が腰に佩いた紺色の波模様が目立つ刀型近接武装『村雨ブレード』を引き抜いた状態で、眼前に飛び出した!

 

『もらっシャーク!』

『させるかよッ!』

 

 突き出された村雨ブレードを、刀身にGN粒子を纏わせたGNオーガソード弐式で防ぐ。

 本来は近接兵装としての印象が強いオーガソードであるが、このように状況に応じて防御も行えるのだ。

 接触の瞬間に生じたスパークが両者の間で迸る!

 重圧な外観のガンダムGP-羅刹天と、細身の外観のムラ鮫とではパワーに差があるように見えるだろう。

 事実、攻撃を受けたガンダムGP-羅刹天が徐々に押し返していた。

 無論そんなことはシャークサメジマは理解している。理解しているからこそ、動いた。

 

『シァァァァク――』

 

 ガキン!

 音を立てて、ムラ鮫の下半身だけを変形させた。半変形、というやつである。

 展開した脚部のブースターを解放し、

 

『スクリュゥゥゥゥゥ――』

 

 ムラ鮫が身を捻り、回転する。

 それはまさしく渦――否、もはやひとつの嵐だった。

 瞬間的な加速と、回転力によって加えられたパワーがガンダムGP-羅刹天を怒涛の勢いで押し返す。

 

『トル、ネェェェェェドッ!!!!!!』

 

 一点に集中した威力が、GNオーガソード弐式を半ばから砕いた!

 その勢いのまま完全に小型の嵐と化したムラ鮫は、さらにブースターを噴出。

 ガンダムGP-羅刹天の右腕を食い千切るかのようにこそぎ落す。

 突き抜け、背後に回ったムラ鮫は回転を止め、再びMS形態に変形する。

 警戒を解くことなく振り返り、村雨ブレードを構え直した。

 

『どぉだッ!?』

『クク……フハハハハハハ! いいぞ! これだ! こうこなっくちゃなぁッ!?』

 

 ガンダムGP-羅刹天の右腕を失ってなお、オーガは笑う。

 

『もっとだ! もっとお前を、味わわせろッ!』

 

 残ったGNリボルバーバズーカをパージし、左腕に掴んだGNオーガソード弐式の切っ先をムラ鮫に向ける。

 

『鬼トランザムッ!』

 

 ガンダムGP-羅刹天の内蔵する特殊トランザムシステム――通称『鬼トランザム』の発動と同時に、頭部バイザーがスライド下降し『鬼ノ目モード』へと変化した。

 トランザム特有の圧縮粒子解放に伴い、機体が赤く発光し、残像を軌跡としながら高速でムラ鮫に肉薄する!

 片腕から繰り出されるGNオーガソード弐式の一撃は重く、鬼トランザムによって強化された出力によって速さも向上していた。

 一撃一撃を受けきることはできないと判断したシャークサメジマは受け流すという選択肢をとった。

 その度にムラ鮫の関節が軋む。パワーの差が広がったためだ。

 それでも最小の動きで機体にかかる負荷を最低限に抑えているのは、彼女がSランクたる証左でもあった。

 しかし、機体の損傷の度合いで言えばガンダムGP-羅刹天のほうが大きいはずなのに、それを気にさせないマニューバは、まさしくオーガの技量によるものだ。

 GNリボルバーバズーカをパージしたのも、重量を軽くすることでバランスを取りやすくしたのだろう、とシャークサメジマは察しをつけていた。

 

『シャーシャッシャ! サメちゃんのフカヒレは安くないよ!』

 

 鬼トランザムのマニューバに慣れてきたシャークサメジマは、コントロールスティックを握り直し、一瞬の間にムラ鮫の構えを組み替えた。

 村雨ブレードの柄を両手で握り、下段に構える。

 

『オラァッ!』

『――シャッ!』

 

 繰り出されたガンダムGP-羅刹天の突きの一撃を、下段からのカウンター気味の一閃で大きく逸らす。

 手首と肘関節のアクチュエータを駆動させることで、振り上げた姿勢から即座に上段の構えに切り替え、振り下ろした!

 ガンダムGP-羅刹天はその身を捻ることで、断ち切りの斬撃を曲線を描いた胸部装甲で受け、流してみせた。

 スラスターで距離を取ると同時にFOBTを展開し、近距離でGNアイズブラスターをエネルギーが尽きるまで斉射する!

 ムラ鮫はすぐさま片手に持ち直し、手首を高速回転させることで村雨ブレードをローターシールドとして機能させる。

 円陣を描くように回る村雨ブレードが迫るビームの群をことごとく斬り払っていく!

 だが、先ほどの打ち合いとシャークスクリュートルネードによって軽くない負荷を蓄積していた村雨ブレードは、最後の一発を受けたところで砕け散ってしまった。

 それを好機と見たか、ガンダムGP-羅刹天が素早く斬りかかる。

 

『もらったぁっ!』

『安くないと言ったはずっ!』

 

 ムラ鮫の腕部アーマーがスライドし、拳を覆うように展開する。

 さながら鮫の顎のように展開したアーマーの先端から、牙を形作るようにしてビームが発振した。

 これこそはシャークサメジマが編み出したガンプラ心形流・海洋鮫拳――その理想の具現化。

 その名も、

 

『シャァァァァァク、ナッコォォォォォォ!!!!!!』

 

 肘にまで伸びた尾ひれようなパーツから炎が噴き出す。

 加速力を増して、下段からアッパーめいて繰り出された右拳の一撃がGNオーガソード弐式と激突する!

 開いた顎が刀身を銜えるように挟み込む。

 バキンッ!

 金属が砕けるような音とともに、GNオーガソード弐式が、シャークナッコウが――割れた。

 

『う・お・お・おッ!』

 

 シャークサメジマが叫び、左拳を打ち出す!

 

『ま・だ・だぁッ!』

 

 ガンダムGP-羅刹天もまた、オーガの叫びに応えるように前腕部に内蔵したビームスパイク――GNニードルストレートを発振させて、打ち出す!

 互いの拳が激突し、周囲に衝撃を轟かせた!

 今のムラ鮫は、シャークナッコウの尾ひれのブースターによって、ガンダムGP-羅刹天のパワーと張り合うほどになっていた。

 それでも限界というものは、ある。

 故に出し惜しみなどは一切しない。今、この時、この瞬間に、全力を注ぐのみ!

 

『ぐ、むッ!?』

 

 異変に気付いたのはオーガだった。

 左腕の出力が不安定であることに気付いたのだ。

 先の打ち合いで突きの一撃を大きく逸らされた際、予想以上の衝撃で関節部が歪んだのだろう。

 目に見えるほどの影響は出ていないが、徐々に押されていることは、肌で感じられた。

 

『ええいッ!』

 

 舌を打つ。

 鬼トランザムの稼働時間も残りわずか。

 このまま拮抗し続けれれば、押し敗けるのはオーガのほうであった。

 しかし、これくらいで慌てるようなメンタルはしていなかった。

 勝負な常に何が起こるか解らないのだ。だから最後の最後まで勝ちを捨てるようなことはしない。

 それに、それはオーガ自身の矜持が許さない。

 故にこそ、さらに気づく。

 

『――ハッ! ここからだよなぁッ!?』

『シャーッシャッシャ! もっちろん!』

 

 言葉とともに、互いの拳が砕けるのはほぼ同時であった。

 瞬間、ガンダムGP-羅刹天はほんの少し残ったエネルギーを絞り出すように、片膝に内蔵したビーム砲から、もはや攻撃力をもたない、目くらまし程度のビームを発した。

 

『まぶ・シャッ!?』

 

 弱々しい光条がムラ鮫のツインアイに直撃し、ほんのわずかな時間、動きを鈍らせた。

 それで十分だった。

 ガンダムGP-羅刹天はバーニアをふかし、宙返りを行う。

 その最中にFOBTの先端に内蔵したオーガクロー天を射出する。

 片方はムラ鮫に向けて、そしてもう片方は――

 

『小手先をッ!』

 

 ビームの刃を発振させて迫ったオーガクロー天を右腕でいなす。

 爪先と踵に内蔵したヒートナイフを発熱させ、ガンダムGP-羅刹天に接近を試みる。

 

『その瞬間を、待っていたぁッ!』

『シャリアッ!?』

 

 機体全体を動かして、もう片方のオーガクロー天を――振り下ろす。

 オーガクロー天の有線を認識したシャークサメジマは、その先を見て驚愕を声を上げた。

 その先端にあったのは――レイオマノ。

 あの時、上空へと飛んでいったムラ鮫の武装の一つ。

 落下中だったそれに気づいたオーガは、オーガクロー天を射出し、掴み取っていたのだ。

 

『し、しまっシャークッ!?』

 

 シャークサメジとて忘れていたわけではない。

 レイオマノが落ちてくるまでに決着がつく。そう踏んだからこそ、あえて気にしなかったのだ。

 それが裏目に出た。

 バトルに熱中するあまりに、レイオマノに内蔵した推進力が切れて、落下するまでの時間を計測していなかったのだ。

 咄嗟に右腕でガードの姿勢を見せるものの、レイオマノの切れ味は羅刹金砕棒を切断してみせたほどなのだ。

 ガンダムGP-羅刹天のオーガクロー天によって振り抜かれたレイオマノは、右腕ごとムラ鮫を両断し、群青色を熱い赤の花に変えた。

 

 そして鷹揚のついた男性チックな電子音声が、オーガの勝利を高らかに告げたのだった。




他にも見てみたい対戦カード、あります?(ワンナイトハロウィン限定)

【シャークサメジマ】
 サメ姿のダイバー。浮遊している。Sランク。
 実はサメ自体は寝袋であり、中身はサメっぽいギザ歯でつり目な少女がいる。
 名前の通りサメをモチーフにしており、毛先の尖った濃い青色の髪をしている。
 元々はヴァルガ民で、自身の作り上げたガンプラがどこまで戦えるのか試すとともに、サメ旋風を巻き起こしていた。
 サメ映画好きでもあるのだが、それ以前ではサムライ映画を観てサムライに強い憧れを抱き、通販で購入した剣術指南書を読みながら、独自の剣術を鍛えていた。
 上段からの斬り下ろし、下段からの斬り上げを素早く繰り返す『天地鮫肌の構え』などは、一見して地味に見えるが、これを素早く繰り返すことで常に攻撃を行う剣術となっており、実際に喰らってみると結構厄介なものであると理解できる。
 一人称は『サメちゃん』 二人称は『小魚ちゃん』など。

【ムラ鮫】
 ムラサメをベースにした改造機。
 原典機の白色の部分を群青色に塗り替え、戦闘機形態となる完全変形と、上半身、もしくは下半身のみを変形させる半変形が可能なギミックが施されている。
 クロスボーンガンダムX3から転用した改造武装『レイオマノ』が特徴的で、これはムラサメのシールドと一体化しており、戦闘機への変形時に機首となることでノコギリザメを連想させる見た目となる。
 14基のビーム発振器の代わりに、鮫の歯のような形状の実体剣を取り付け、先端に残したビーム砲にエネルギーが集中するようになっている。
 そのため、ビームライフル程度に見えるビームの光条は、GNリボルバーバズーカを相殺するほどの威力を内包している。
 その他にも刀型近接武装『村雨ブレード』や、腕部アームが展開することで使用可能になる『シャークナッコウ』、爪先と踵に内蔵した『ヒートナイフ』などがある。
 自身の特性に合わせた武装を搭載した反面、武装過剰にならないようシンプル化が図られており『M2M5D12.5mm自動近接防御火器』やビームサーベルなどはオミットされている。
 宇宙専用のスペースシャークパックや空中戦用のスカイシャークパックなどのオプション装備も存在するが、今回はノーマル形態でバトルしている。
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