止まる大結界 迫る記憶-The Legends-   作:飛煙

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第五話『客船大破』

我々は月に来た。あの星はあまりにも穢れている。だから我々は穢れのない月に来た。

今日もあの星からロケットが飛んで来た。

中には人が乗っている。

 

その人たちは、本当に来るべき人々なのだろうか?

 

「星の広さ、乗り物の搭乗人数、街の人口...これらはどれも有限だ。」

 

移住プロジェクト”方舟”に反対して置きながら、こちらへ来る人の多いこと多いこと。

 

「だから賢く使うのが前提だ。5人乗りの移動車両にに10人詰めて使うと、死人が出る。これは当たり前のことだ。」

 

このプロジェクトを支援している我々が一番甘い思いができなければおかしいだろう。なぜ支援どころか毒を吐くやつらがいい思いをしなくてはならないのか。

 

「死人が出る、それは本来乗るべきだった人も、そうでない人、あるいは全員死んでしまう可能性を孕んでいる。」

 

来るべきではないのだ。

 

「それではいけない。我々には考える力がある。議論しなければならない。」

 

選択しなければならない。

 

「5人乗りの車を適切に使うために、10人の中から5人、選ばなければならない。」

 

平等とは、努力の下に成立する。

 

「それが自然だ。常に、最も安定した生存方法をとる。でなければ生き残れない。それこそが穢れのない自然なのだ。わざわざ危険がある、賭けの様なことを選択するのは穢れた考えだ。実に相応しくない」

 

選択しなければならない。

 

「必要な人々は既に月にいる。そろそろ自然な議論をする時が来たのだ。基準を設けなければならない。」

 

どんな人材がが月の民として相応しいのかを。

 

「ただ、議論には前提がある。それは、お互いがある程度同じ価値観を持っていなければならないということだ。

 

 私は、月へ行きたくない人はいかなければいいと思っているが、我々の議論すべき相手は”それはお前たちが利益を独占したいがための言い訳だ”というのだ。続いてこう言った。”人と寄り添うことをやめ、利益に取り憑かれているから簡単に人を切り捨てられるのだ”とね。

 

 私としては、行きたくないという意思を尊重しているつもりなのだが...聞いて分かる通り、話にすらならない。我々は、議論する術を持っていないのだ。

 

 だが選択する術はある。我々は車の前の10人ではない。既に目的地に到着している。我々は10人に選択を迫ることができる。」

 

とある大部屋で演説していた者が、端にずれると、大きく少し湾曲したスクリーンが映し出される。集まっている人々は”おぉ”と声を漏らした。

 

「プロジェクト名”沈没船”だ。船が水の中にどんどん沈んでいく中、人々はどう動くのか。彼らに選ばせてあげればいい。選択の自由を与えるのだ。

 

 具体的な説明をしよう。半径50kmの円状に壁が設置される。壁の外には、壁の中に居ない者の意識を刈り取る高軌道ドローンが無数に徘徊している。

 

 殺しはしない。私は選択を迫ることができればそれでいい。ただ、ここにいるすべての人が知っていると思うが、あの星には化け物が多く徘徊している。

 

 目が覚めることがあればいいと心から願っているよ。」

 

ハハハと会場に笑いが起きる。

 

「円はwaveごとに半分の大きさとなる。初めは60分経つと縮小が始まり、安定状態の時間も半分となる。つまりwave1は60分で縮小が始まり、wave2は30分で縮小が始まる。

 

 簡単だろう?あと大事なことを言ってなかった。これは努力の元の平等を試すものだ。人間に限定するのは不平等だろう?当然だが範囲の中には、化け物もいる。

 

 ふふ、さあ、月に来るのは誰かな?」

 

楽しみで仕方ないという風に話しながら、プロジェクトを実行した。

 

スクリーンには地形マップと範囲内にいる者達の場所が分かるように示されている。そしてまだ異変に気付かない人々の様子も映し出される。

 

「早速何か起こっているようだ」

 

ハイライトとして設けられた枠に、燃えている森が映る。

 

傷だらけの大男が、人々の住む場所へと向かって行く姿だった。




少しグダりました。
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