友人向けに書いたやつをそのまま投稿しました。
忙しくなくなった時に感想とかとかあると続きが出るかも。
わからにゃい
中学校の校門前に制服姿の男女が二人。
平時であればそれほど目を引く光景ではなかっただろう。
明らかに違和感を感じる点が二つある。
女子生徒と思われる方は身の丈に不釣り合いなほどの大きさのアタッシュケースを持っていること。
もう一つは時刻が丑三つ時目前であること。
不自然に電灯も切れ、今夜は新月なのか、煌々と輝く月もない。
結果、周囲は宵闇にうずもれていた。
そんな状況で彼らは普段通りであるかのように話していた。
「先輩、今日は何するんですかー?」
「今日は中級霊1体だな。そんなに難しい依頼でもないさ。」
もっとも、内容は物騒。或いはオカルトに染まり切っていたが。
二人はいつも通り、これが日常だ。とでも言いたげな口調で話しながら裏門の方へ回って行く。
男性───名を柊 修馬という。
雑に整えられた茶髪に、日本人離れした赤目。それを覆い隠すためか頭にはサングラスが掛けられている。その相貌に合わぬブレザーが異質な雰囲気を醸し出している。
柊が口を開く。
「今回の除霊対象は屋上から動かないらしい。そこまで行って叩けば終わりだな。」
女性───名を鴉間 響子という。
こちらは丁寧に整えられたショートの銀髪に、こちらは、いたって普通の黒目。その上から赤い眼鏡を掛けていた。文学少女然とした雰囲気に似合わぬ明らかに大きすぎるアタッシュケース。
鴉間が口を開く。
「でも、ほらここ、ポルターガイストの報告も上がってますよ。警戒した方が良いんじゃないですか?」
柊が胸ポケットから取り出した書類を読みながら歩く。
周囲は完全な暗闇であると言うのにも関わらずだが。
「あー、確かになぁ。つーかポルターガイストだと中級で留まってるかも怪しいぞ。」
「ですねぇ。対雑魚なら私で十分ですが。そこまで行ってると私じゃ厳しいかもです。」
「ま、いつも通り行きゃ良いかな。お前が暴れて、俺がフォローする。」
おーっ。と二人で士気を上げたところで、裏門までたどり着く。
2m程の植え込みを軽々飛び越え、中学校の敷地内に入り込む。
刻は丑三つ。異様な雰囲気の学校が、柊と鴉間を飲み込まんと見下ろしていた。
威圧感に溢れるそれに気圧されることなく二人は進んでいく。
誰から受け取ったのか、柊が校舎の鍵を取り出す。
ガチャガチャと開けるのに手間取っている後ろで、鴉間がアタッシュケースを開いている。
中から取り出したのは機械仕掛けの刀。
専用のベルトと共に腰に鞘を取り付けている。
鴉間が準備を整えると同時、柊が鍵を開ける。
「さて、こっちは大丈夫だ。そっちは終わったか?」
「未だに上手く鍵を開けられない先輩と違ってこっちは大丈夫です。」
「おめーは毎回毎回一言多いんだよ。よし、行くぞ」
「はーい。」
二人並んで校舎に入る。昼間は生徒の声で活気づいているだろうそこも、丑三つ時の今は人の気配すらなかった。
順調に進んでいく。非常灯しか明かりの無い廊下や隙間風が不気味にきぃきぃと音を立てている教室。それらには一切目をくれず、人ならざる怪異だけを求めて進んでいく。
会話もなく、互いの存在を時折確認しながら。
そうして、進むこと2階層。3階へ到達し、屋上まであと一歩というところでようやく、怪異が現れる。もっとも、屋上以外で遭遇するつもりもなかったが。
”それ”は半透明であった。
”それ”は浮遊していた。
”それ”はヒトの女性のようであった。
間違いない──二人はそう確信する。これは本命ではないと。同時に、この程度なら
彼らにとっては既に見慣れた相手。恐るべきもない下級の霊。
そう。思っていた。
”それ”は緩慢な動作で柊達の方へ振り向くと、青白く、細い腕を左右に広げる。
その腕から肉が消え、指が刀のように鋭い爪へと変化した。
かろうじてヒトの様だったその貌も肉が削げ落ち、骸を晒す。
本来ならば起こらない変化。彼らの直観も警鐘を鳴らしていた。
二人は言葉を交わさず、考えを変化させる。
本命ではないが、これは二人してかかるべき相手だと。
鴉間が一歩前に出て、刀に手を掛ける。
対して柊は一歩下がり、ポケットの中に入っている”武器”をいつでも抜けるように構えている。
この場で誰よりも早く動いたのは鴉間だった。
直線の廊下、5mを超す距離を1歩で詰めての居合。
生物であればまず反応できない、強化された人間の神速とでもいうべき居合。鞘に仕込まれていたのだろう機構により速度も、威力も底上げされた居合。彼女の十八番にして、様々な霊、怪異を葬り去ってきた必殺へと至った一撃。
それを、眼前の霊は、刀の
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