第22回スーパーファイト準決勝戦終了後、次はいよいよ決勝戦となる。本来ならばここまでの戦いで負けた選手は重症で病院に運び込まれ無い限り、会場から出る事は許されていない。閉会式に皆集まって貰うからだ、しかも大会の歓声で聞こえていないが実は今会場外では現在災害レベル鬼に分類される災害がある程度鎮静したとはいえまだ暴れているのだ。尚更外には誰も出せない…しかし、とある1人の負けた選手が負けた鬱憤ばらしを兼ねて、会場外の怪人を退治していた。
準決勝敗退、恐らく3位決定戦があるなら今大会3位の実力の武闘家ライバー、仙河緑こと緑仙。理不尽な強さを持つチャランコ(サイタマ)にやられて高いプライドが折られ非常にイライラしているのだ。そしてその原因のチャランコは絶対に優勝するだろう、そしてそんな奴の表彰式には出たくない、でも会場から出られない。ならば会場外に居る怪人を退治する名目で会場から出れば良いのだ。怪人を退治するのはヒーローとたまにライバーの仕事…本業をやるならスタッフも止められない。
そして緑仙とその緑仙の試合を観ていたライバー達は会場外の怪人を見つけては退治していた。実はこの少し前にS級ヒーローの鬼サイボーグことジェノスが災害レベル鬼の怪人を複数退治してくれたおかげで暴れているのは災害レベル狼か虎くらいの雑魚しか居ない。
緑仙は災害レベル虎の怪人を踏んだり蹴ったりして充分痛めつけてから駆除していく。
「緑仙…めちゃくちゃ印象悪いよ…」
「良いじゃん別に、悪い怪人なんだからさ」
「やってる事がもはや怪人退治じゃなくて弱いものいじめだよ…」
「弱いものいじめでもちゃんと怪人を退治してるもーん、善行だもーん、悪いことじゃ無いもーん、ね〜ふわっち?」
「…え?ああ、弱いものいじめは善行ッスね(?)」
「不破君!?その脳死発言は流石にアウトだからね!?」
「ウィーーー、ウーッス」(脳死)
特に何も考えずに…いやむしろわざとやってるのでは無いかと思うレベルで脳死で相槌をうつ不破湊と怪人の死骸に腰掛ける緑仙…恐らくもう怪人は全て片付けただろう。意外と早く終わってしまった。
「戻るの嫌だなぁ〜、でも時間もあるし…このまま帰ったら流石に不自然かな?」
「…大丈夫だと思うけど…一応怪人との戦いで怪我をしたからやむを得ずにそのまま帰宅したって言っておくよ」
「サンキューゆめお〜」
「…なんか反抗期の妹の為に学校をサボる理由を考える兄の気分だな…」
「え、ゆめお先輩妹居たんっすか!?」(脳死)
「うん、不破君。君はもう黙っててくれ」
スーパーファイト運営への連絡は夢追に任せ、緑仙はまずこの不機嫌を収めるためにとりあえずカラオケとかで思いっきり歌いたい気分になった。とりあえずはA市に向かおう。
そうして緑仙達はすぐさまC市から立ち去った…自分勝手な理由で勝手に大会から抜け出すのは褒められるべき事では決して無いが…後々の事を考えると、偶然とは言え緑仙がライバー全員引き連れてC市から立ち去ったのは非常に素晴らしい選択となった…
何故なら緑仙が立ち去ってすぐにこのC市になんと災害レベル竜の怪人がスーパーファイト会場に向けて現れたのだから…
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にじさんじ事務所本部のオペレーター室、先程の慌てようがまるで嘘のように落ち着いたこの部屋で出雲霞と黛灰、そして結局出番が無かった剣持刀也がくつろいで居た。怪人は駆けつけたS級ヒーローや手の空いたライバーの手によって災害レベル鬼十数体と竜が数体退治された。しかし退治出来なかった怪人、退治報告がされていない怪人はこれまた不思議な事に同時に消えたのだった。
出雲霞の状況把握能力でその怪人達が何処に消えたのかはすぐに分かった。Z市のゴーストタウンだ。
「結局彼らの目的は分からなかったけど、居場所が分かっただけでも上出来か…とりあえずこの大混乱が完全に収束したらヒーロー協会と協力してZ市の怪人達の生き残りを始末するか」
「それって大体いつ頃になるんだ?」
「…うーん、早くても1ヶ月以上じゃない?」
「その間にまた襲撃仕掛けてきそうだからもっと早く叩いた方が良くないか?」
「いや、まだ敵の総力が分かってない…今片手間にヒーロー協会の情報を傍受してみたけど、分かるのは敵は怪人協会というグループ。リーダーは怪人王オロチと名乗る怪人くらいかな」
「片手間にとんでもねぇ事やってんじゃねぇよ!」
サラッと物凄く重要な事を吐いた黛に剣持は驚く。だがそんな剣持を全く気にせず、黛は先の情報を端末を通して全ライバーに伝える。
「これでよし」
黛は自身の送った情報に一定数の既読がされた事を確認するとゲーミングチェアに深く座ってリラックスしようとする…
『失礼、怪人協会からの使者の者だが、少し宜しいか?』
何時からそこに居たのか…この部屋に入る為に開ける必要のある音の鳴る自動扉を無音で潜り抜けて来たのか……黛達の背後にはいつの間にか怪人が立っていた。
まるで枯れ木のように細い身体に紫色の体色、頭部は山羊の頭蓋骨の見た目をした全身に謎の言語が延々と綴られている怪人。
黛は素早く拳銃をその怪人に向け、剣持と出雲霞はその怪人に飛びかかった…しかし、飛びかかったと同時に2人は即座に身体が完全に動かなくなり、地面に這いつくばった。
「か、身体が…!」
「なんだ…これ!」
『再び失礼、小生は戦を仕掛けに来た訳では無いので適当にあしらわせて貰った…』
「…使者って言ってたね…侵入したのは攻撃以外の用が合って来たのかな」
『左様』
黛は拳銃を降ろす。それと同時に怪人は剣持と出雲の謎の束縛を解いた。
『要件を話しても良かろうか?』
「どーぞ…」
『では……改めて小生は怪人協会の幹部…そして十二災厄が1つ。地獄の女神に使えて「呪王」の名を授かった者…今昼は小生が属する怪人協会の長である怪人王及びその側近、ギョロギョロからの伝言を預かった。伝言は「3日間だけ猶予をやる。それまでにヒーロー協会の最高戦力と共にZ市のゴーストタウンへ来て人質として捕獲した人間の子供を救出しに来い」以上である。』
【怪人協会幹部 呪王 災害レベル:竜】
「はぁ!?」
「なんだそれ!?」
怪人協会とZ市が拠点のであるのは先程聞いたから分かる。しかし、わざわざ自分達にそれを教えてきて尚且つヒーローと共に助けに来い、更に人質が居る?剣持と出雲は思わず混乱する。その中黛は冷静に呪王に質問する。
「質問するけどいいかな?」
『小生が答えられる範囲なら良かろう』
「分かった…まず、何故僕達ライバーもなんだ?ヒーローなら分かるけど」
『ふむ…ギョロギョロの意図は分からぬが、小生が思うには貴殿貴女らはヒーローと同等かそれ以上の脅威。更には一部の怪人も貴殿貴女らに辛酸を舐めさせられた。貴殿貴女らがヒーローと同じ標的にされるのも可笑しくは無かろう』
確かにそうだ。
「…僕達ライバーが行く必要と理由が無いな。ライバーが怪人を退治するのはヒーローの様な理由じゃない。完全に自己防衛や自利益だ。人質も僕達に関係無いはずだ」
人質を見捨てるのは良心がとても痛む事だが、わざわざ敵の中心部に行く必要は無い。余計に犠牲を増やしかねない。それにキングやタツマキで恐らく充分だろう。
『行く必要が無いと言うのは誤謬だ…小生ら怪人協会はヒーロー協会の最高戦力を潰せる自信と戦力を持つ…ヒーロー協会を潰したら…次は貴殿貴女らだ…ならば手を組んで潰せる内に潰した方が良かろう?』
「それだと…わざわざ俺達にメリットを与えてないか?真の狙いは?」
『…知らぬ…知っていたとしても真の狙いを戦の前に敵に話す使者等居らぬ』
…確かにそうだ。
「………」
『……ああ、失敬。もう1つ伝言を預かっていた…』
「何…?」
呪王の顔が少し歪む。果たして笑ってるのか、悲しんでるのか、怒ってるのか…
『「俺らはドレイクの郷と6人の王達と利害が一致したから同盟を組んで怪人協会に与した。だから魔界すら生温く感じる災厄を引き起こしてやる。魔界の裏切り者、魔界ノりりむ、えま★おうがすと*1、レヴィ・エリファ*2、夢月ロア*3。及びドレイクの郷の裏切り者ドーラとその家族。そして魔界を滅ぼした鈴原るるを魔界王の名に掛けて処刑してやる」だそうだ。』
「……ッ!」
黛は呪王の口から出た先輩と後輩の名前、そして1度は聞いた事ある魔界王という単語…そして処刑という不吉な言葉に悪寒を覚える。
『決して自慢では無いが……小生ら怪人協会は十二災厄を恐れるつもりは微塵も無い。むしろ現十二災厄の座を明け渡してもらう心意気だ。鈴原るる、キングの影に隠れて安心しきって居てはもはや敗北したのも同じと思って頂こう。』
呪王の顔がカクカクと揺れる。恐らくは嘲笑ってるのだろう。
『貴殿貴女らはとても強い結束で固められていると聞いた。そしてその仲間が…家族が…後々命を奪われると知り。じっとしていられるか……3日後にヒーローやキングと手を組んで同時に小生らを叩けば最悪な展開は回避出来ない事は無かろう。100人も居るライバーのうち誰一人としてその考えに至らぬ事を祈ると良かろう…しかし至ってしまえば…ククク、おや、これでは行く必要と理由が出来るかも知れぬな…クカカ!クカカカカ!』
呪王は骨である頭部をカタカタ揺らして笑うとぶわっと煙のようにその場から消失して見せた。剣持と出雲は突然の消失に驚くが、黛は眉ひとつ動かさない。しかし……右手は爪がくい込む程強く握り拳を作っていた。
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〜???〜
そしてその日の夜…Z市にある怪人協会アジトの地下深くにて…戻ってきた呪王がとある二人組みの片割れに話しかける。
『魔界王よ、貴殿の伝言をにじさんじに伝えた。どうやらギョロギョロの宣戦布告より効果があった様だ』
『クハハハ!当たり前だ!魔界王なんざガキでも知ってるくらい恐ろしくてこわーい魔界を統べる王!そんな奴が最強種族であるドレイクと手を組み更に実力が十二災厄に次ぐとされる王の名を持つ者が俺含め6つも居る!ヒーロー協会如きに土下座してでも協力しないと手も足も出ない程の大災厄だ!十二災厄なんざ目じゃねぇ程のな!そんな奴が殺すと宣言して来たら人間と怪人が仲良しや家族ごっこしてる無駄に仲間思いなライバー共は焦って確実にその大災厄を排除しようとする!ならば3日後くらいにヒーローと共にこの怪人協会のアジトに来るしかない!クフフ!完璧だな!』
『流石ですね、魔界王。完全にヒーローもライバーも理解している。』
『理解している…?それは違ぇな、ただヒーロー協会もにじさんじも単純なだけだ。正義を名乗る馬鹿は目の前に差し伸べられる助けの手を例え罠であろうと手を取らなければならない。仲間思いなライバー共はとても慎重だが仲間の命を脅せば罠に引っかかざるを得ない。ただそれを利用しただけだ。そんなどうしようも無い愚か者共を理解出来るはずが無いだろう。魔界の者が人間と共に仲良く暮らす?地上最強と古来から謳われたドレイクが家族を持つ?反吐が出る!理解が出来ん!出来るはずもない!理解したくもない!脳が腐る!!!』
魔界王は下品で粗い口調で両隣に居る呪王と神兵と名乗る怪人に自慢げに語る。
『ああ……!グフフ…!そんな腐れ脳共の目の前でその大切な仲間を惨殺したり陵辱したらどんな顔をするのか楽しみになってきたな!』
『…とても下品な発想ですね』
『魔界王としての品格がなってないぞ』
『うるせぇ…裏切り者共とその仲間共をどうしようが俺の勝手だろう』
『そうですが…陵辱という単語が出た辺りで貴方があまりにもキモイので』
『女見つけたら本来の目的忘れて陵辱しそうだな』
『…俺をレイプ魔か何かだと思ってないか?』
『勿論ですよ』『当たり前だ』
『………ヒーローとライバーを殺したら貴様らも殺す…』
この話の怪人協会は原作の怪人協会より大幅強化されてます。
ONE版より村田版の怪人協会の方が強かったですがその村田版の怪人協会より全然強いです。どのくらい強いかというと
ONE版で1人で怪人協会の全勢力の殆どを圧倒していたタツマキが大した成果も挙げれずに負けるくらいです。というかサイタマ先生とキングを除いた怪人協会アジト突入組では絶対に歯が経ちません。それくらい強化されてます。
でもこの話にはその分ライバーが居るので展開は原作から大きく変わりません