うたわれるもの~大いなる父にうたわれしもの~   作:othello

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より遅くにすみません。


高貴なるもの

 sideハク

 

「悪い、乗せてもらう」

 

 そういうと、ためらいなく荷車に乗り込んだ。

 

「──―ぎゃふ」

 

「ぬわ! なんだ!?」

 

 荷台に乗り込むと尻に気持ち悪い感触が伝わり、慌てて立ち上げる。

 

 何かを踏みつけたように感じ改め自身が腰を下ろしたところを見ると、真っ青な顔をしたマロロが倒れていた。

 

「お、おい。どうした!?」

 

 慌ててマロロを起こす。

 

「う……うぅ……」

 

「大丈夫か? 何があった?」

 

「ふ、二日酔いに……揺れがひどくて……おえぷっ……」

 

「…………」

 

 ハクは迷わず手を離した。

 

「ぐふぅ!」

 

「よっこらしょっと。はぁ、やっと休めるな……」

 

「ひ、ひどいでおじゃる……急に手を放すなん……うぷっ……」

 

「うぅ、やっぱり山道は苦手でおじゃる……」

 

 二日酔いなのに荷車に乗るバカに慈悲はないとばかりにマロロを開放する手を離したハク。

 

 その様子を見て言えてウコンは下がってくると、マロロに声をかける。

 

「だから言ったじゃねえか。呑みすぎるなと。しかも歩けば少しは楽になるってのに、無理して車に乗ったままだしよ。これで、本番で術使えなかったら兄貴に報告しておくからな」

 

 ウコンの呆れ口調にマロロは肩を震わせる。

 

「おじゃ! だ、だいじょうぶでおじゃ……うっぷ。あのお方の期待を裏切ることはできないでおじゃる。しかし、そう慕うのは山々でおじゃるが……」

 

「また、あの貴人たるものってやつか?」

 

 昨日も聞いたが、その『兄貴』ってやつは相当二人に尊敬されているようだな。

 

 その割には姿を見ないが……いないのか? 

 

「そうでおじゃる。貴人たるものこのような山道汗水たらして上るような……」

 

「いくら落ちぶれても……落ちぶれたからこそ……優雅さを忘れるわけには……行かぬでおじゃ……うぷっ……」

 

「兄貴もお前さんと同じだってのに、なんでこうも違うのかね」

 

「あのお方は……」

 

 優雅さのかけらもないだろ、心で突っ込みを入れているとマロロの言葉が止まる。

 

「マロロ?」

 

「な、何でもないでおじゃる。ウコン殿もここには……」

 

「そうだな、すまねえ。なんだか、あんちゃんとは昨日今日の仲じゃねえ気がしてな」

 

「なんだ、そ……うっ」

 

 その時、真っ暗な空間に浮かぶ扉を幻視した。

 

「あんちゃん? お前さんも気持ち悪くなったのか?」

 

「いや、今──―」

 

 扉が見えたと言おうとすると、真横でマロロが吐いた。

 

「…………」

 

「あんちゃん、わりぃが介抱してやってくれ」

 

「おおおぃ、これをか!?」

 

「まあ、そこで楽をしてるんだ。そのくらいはやってもらわねえとな」

 

 そういうと、ウコンは任せたと言わんばかりにスタスタと前方へ歩み去ってしまった。

 

 これだけ歩いて、休めると思ったらこれか……とはいえ、ここで見捨てたら薄情者扱い確定だな

 

 自分はそう考えるとマロロの後ろに回り背中をさする。

 

 しばらく介抱しているとクオンがやってきた。

 

「だいぶ具合が悪いみたいだね。ハク、これを」

 

 クオンはそういって丸薬と水筒を差し出してきた。

 

 どうやら二日酔いの薬と乗り物酔いの薬を持ってきてくれたようだ。

 

「助かった、手伝ってくれるのか?」

 

 すると、クオンはそのままニコニコと微笑み返し、ススス……と離れて行ってしまった。

 

 途中で止まると、水筒を持っているように。いや、つかわないと言ってきた。

 

 俺は心の中で怒りながらもマロロの介抱をするのだった。

 

「た、確かハク殿と言ったでおじゃるか。……ハク殿は優しい御仁でおじゃるうっぷ……」

 

 マロロに感謝されるも今の状況では嬉しくとも何ともない。

 

 少し離れてくれるようお願いするが、「ハク殿は謙虚である」と言われ、もうあきらめたように介抱してあげた。

 

「ここまでしてくれるなんて、ハク殿は真の友……心の友でおじゃ」

 

 特に何もしていないのに変な奴の好感度が上がり、「どうしてこうなった?」と内心ため息を吐くのであった。

 

 

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