うたわれるもの~大いなる父にうたわれしもの~   作:othello

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大きな鳥と少女

 

 

 Sideハク

 

 

 

「う……うぅ……」

 

 眼を開けると部屋の中はすっかり明るくなっており、集落の人々の声が聞こえてくる。

 

 クオンはどこかに行ったのか、すでに部屋にはいないようだった。

 

 二日酔いで痛む頭をどうにか抱えながら顔を洗うために井戸へと向かった。

 

「ふぅわー、さすがに昨夜は飲みすぎたな……」

 

 そういって自分は顔を洗い、右の手すりにかけた手拭いを探す。

 

 するとふあふあとした感触に違和感を覚え、そちらを見てみると巨大な鳥が立っていた。

 

「へぇ? ……うわ、うわああ」

 

 その場にしりもちをつき驚くと大きな鳥の方から声がする。

 

「あ、あの、こちらにウコン様という方がいらっしゃるかと……」

 

「あ、ああ……」

 

 戸惑い交じりに返答すると「どうなさいました……?」ときれいな声が返ってくる。

 

「大概なことは慣れたつもりだったが、なるほど。今度はそうきたか」

 

「はい?」

 

「人に耳や尻尾が生えているんだからな。しゃべる鳥くらい、いるだろう」

 

 そうやって納得していると、「え、えっと……」と戸惑った声が聞こえ、「ホロロ……」という声が鳥から聞こえる。

 

「いや、驚いた悪かった。なかなかきれいな声をしているじゃないか。ウコンだな、すぐ呼んできてやる」

 

 そういって宿に戻ろうとすると、足音が聞こえる。

 

「うん? おう、あんちゃん。起きたのかい? おっと、これはルルティエ様。到着してたんですかい。っと、もう二人は挨拶を済ませたんですかい?」

 

「ウコン、お前鳥にも知り合いがいるのか」

 

「はぁ?」

 

「うん?」

 

 二人は互いに不思議そうに首をかしげる。

 

「あ、あの……」

 

 自分とウコンが声の方に振り替えると、鳥が少し身をよじる。

 

 その背中には少女が載っていた。

 

 その少女は先ほど自分と会話をしていたきれいな声で「私はこの子では……」と恥ずかしそうに言うのであった。

 

 

 

 あの後少女をウコンに任せ部屋に戻るとクオンが戻っていた。

 

 クオンと少し話二日酔いの薬をもらったがなんとも言い難い味に思わず吹き出してしまい怒られてしまった。

 

 そんなこんなしていると、何らや外が騒がしい。

 

 何事かと思い覗いてみると、中央の大きな広場に荷車が何台も止められていた。

 

 そしてそれを運んできたと思われる人たちと集落の人々が談笑している。

 

 外に出てそれを見ていると、先ほどぶりのウコンが話しかけてくる。

 

「よ、さっきは満足に話もできなくて済まないな。よく眠れたか?」

 

「いや、来客だろ? 構わない。それと、記憶がなくなるぐらいぐっすりだったよ」

 

「だッははは、違ぇねえ。あのねぇちゃんが起こすに苦労していたぐれぇだしな。見ていて面白かったぜ。泥酔状態のあんちゃんをねぇちゃんが甲斐甲斐しく介抱する様はよ」

 

「ぐ……それを言うな」

 

「ぐははは、いいじゃねえか。うちの連中なんて、今にも呪い殺しそうな目で羨ましそうに見ていたぜ」

 

 それ全然よくないだろ……。と呆れながらもこの荷物。どうやら見知ったウコンの部下が運んできたと思われる連中と話しているのを見て例の都に運ぶものだと察する。

 

「まあいい。ところでこの荷物はなんだ?」

 

 その中で一回り大きく、小奇麗な感じで頑丈そうなものがある。

 

「帝都に運ぶための荷物のものだな。俺たちはこれを護送するために雇われたんだからよ」

 

「じゃあ、もうすぐここを発つのか」

 

「ああ、今引継ぎをしている。それが終わったら出るつもりだ」

 

「そうか」

 

 って、事はここでお別れか。まあ目的地が同じだからいつかまた会えるかもしれないな。

 

 昨日のクオンの話によればウコンに同行はしないとのことだった。さすがに変わっていたりはしないだろう。

 

「もう一度聞くが、俺たちと一緒に行かねえか? こっちも、そっちも悪い話じゃねぇと思うんだがな」

 

「あ~、自分としてはそれでもかまわなんだが。それを決めるのはクオンだからな」

 

「だそうだ。どうだい、ねぇちゃん。一緒に行かねえか?」

 

「うん?」

 

 気づけばクオンが自分の後ろに立ち、荷車を見つめている。

 

「クオン?」

 

「えっ? あ……うん、どうしたのかな?」

 

「それはこっちのセリフだ。昨日話していた都まで一緒に行こうという話、どうする?」

 

「ああ、その話……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

 

「……ん?」

 

 ふしぎそうにクオンを見ると、彼女は優しく笑い諭すように意見を変えた理由を説明してくれる。

 

「よく考えたら先日のようなことがあったことだし、安全のためにあなた達に同行させてもらえるのは助かるかな」

 

「おう、そうか! 歓迎するぜ! あんちゃんたちといると退屈しねぇしな。そうと決まればいつでも出れるように準備しておいてくれ。こっちの用件が済み次第、出発だ」

 

「うん、それじゃあまた後で」

 

 ウコンがどこかに行くのを見守ってクオンに問いかける。

 

「急にまたどういう風の吹き回しだ?」

 

「さて、何のこと?」

 

 なんだか含みのある笑み。

 

 それを感じそちらを見ようとするとよそ見をしていたせいか、何かにぶつかる。

 

「あ、すみません。……あ」

 

「ああ、大丈夫。……たしか、宿の井戸であった」

 

「はい。ルルティエと言います。ぶつかってしまい申し訳ありません」

 

「いや、構わんよ。ぶつかったのはこっちだしな。自分の名前はハクだ」

 

「ハク、様ですね。よろしくお願いします」

 

 いや、様なんて……と言おうとするとクオンが自分の横に立ち、鳥とルルティエを見ながら聞いてくる。

 

「ハク、知り合い?」

 

「あ、ああ。朝顔を洗うときにな。ウコンに用があると訪ねてきたときに少しな」

 

「そっか、私はクオン。見たところ歳は同じくらいかな? よろしくね、ルルティエ」

 

「っ、……はい!」

 

 クオンが挨拶して手を差し出すとルルティエは嬉しそうに、その手をつかむ。

 

「……オリオン様が言ってたのはこのお二人のことだったのですね」

 

「うん? 何か言ったか?」

 

「え、いえ! 別に何も。……ココポ、ここじゃ皆さんの邪魔になるからどこうか」

 

 ルルティエがそういうが大きな鳥、ココポは動こうとしない。

 

「ロルルル……」

 

 ココポはこっちを、正確には自分をじっと見つめているような気がした。

 

「ホロ……ホロロ……」

 

 そして何かを言ったと思うとその巨体を自分にこすりつけてくる。

 

 もしかしてすり寄ってきているのか? 

 

「ココポ? ……ココポがヒトに懐くなんて」

 

「ロロロ……ホロロ……」

 

 なんだか懐かれすぎな気がする。怖いくらいだ。

 

「じゃ、じゃあ、自分たちはこれで」

 

 そういって揃うとする。

 

 トットットット……

 

「……」

 

 ついてきた。

 

 その後走って逃げるも追いかけられ遂には追い付かれて跳ね飛ばさる。

 

 そのまま自分の上にどかりとのしかかってきた。

 

 ルルティエが降りてきて謝ってくるのでどかすように頼むが、ココポは理解していないのか、耳の届いていないのかどいてくれずルルティエに手をつかんでい引っ張てくれるようお願いする。

 

 すると、何故かルルティエは顔を真っ赤にして手を握ってくる。

 

 しかし、軽く触れる程度にしか握らないためこのままでは絶対に手が抜けてしまうだろうと思い、こちらからしっかり握る。

 

「えっ!」

 

「思いっきりぐいっとやってくれ」

 

「は、はい……それでは、行きますね……エイッ!」

 

 ミシミシミシ……

 

「ほぎゃー、だだだ、まてまて。何か鳴ってる! なっちゃいけない何かが鳴っている!」

 

「え、……あ、ご、ごめんなさい。思いっきりと言われましたので」

 

 自分のすごい顔と声にルルティエは手を放してくれる。

 

 顔や声などから非力と思っていたが思ったよりの馬鹿力だった。

 

「何してんだい、アンちゃん?」

 

 ルルティエの向こうから現れたウコンにあきれたようにそう言われてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

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