うたわれるもの~大いなる父にうたわれしもの~   作:othello

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野営

 

 

 side:クレス

 

「よお、ハク。元気にしてるか?」

 

「なんだよあんた、また来たのか?」

 

「いやー、美人さんに囲まれてたからな。からかいに来た」

 

 俺はお椀に飯を入れてハクものもとにやってくる。

 

 彼の隣に腰を下ろすと、ハクはめんどくさそうな顔をしながら自分の座る分を開けてくれる。

 

「はいはい。だが今その美人さん二人はお代わりを取りにっていないぞ。もう気は済んだか? 今よそってる分を食べたいんだ、せっかく二人が作ってくれたおいしい料理が冷めちまう」

 

「さっき向こうで見たからな、二人に関しては知ってる。さて、それじゃあ、俺もいただこうかな」

 

「……ここで食うのか?」

 

「この一杯に乗ってる分だけな。一応できるだけの奴らとは一緒に飯を食いたいと思っている」

 

「はぁ……全員と食べるのにその椀一杯とか、なかなかの量になるぞ?」

 

「はは、これくれえ朝飯前よ……っと、ルルティエ様にクオンの嬢ちゃんが戻ってきたな。すまんね、ちょいと邪魔してるよ」

 

 そういって挨拶すると二人は驚きをしたものの、丁寧にあいさつを返してくれる。

 

「あ、クレス様」

 

「えっと、ハク。そちらはどちら様かな?」

 

「うん? クオンはあったことなかったか? ウコンの兄貴分でクレスっていうらしい」

 

「ク、レス……」

 

「おう、ヤマトの都で派遣会社やってるクレスって言うものだ。一応ウコンの武芸や町民とのコネクション、渡りの付け方などを教えてやったものだ。お見知りおきを」

 

 そう挨拶をすると、クオンが自分を見て固まる。

 

「おじ、さま……?」

 

「クオン?」

 

「クオン様?」

 

「クレス伯父さまだよね? ウルトリィ母さん、フミィリルも心配していたんだよ……」

 

「お、おい。クオン?」

 

「はは、クオンの嬢ちゃん。悪いが私には妻も娘もいないよ。すまないね、捜し人じゃなくて」

 

「いや、だって……」

 

 狼狽し、手や体の震えるクオン。俺が何か言おうとしたとき先に行動したのはハクだった。

 

「クオン!」

 

「っ……! ハク」

 

「落ち着け、とりあえず深呼しろ。すー、はー。ほら」

 

「「スー、ハー」」

 

 ハクがクオンの肩をつかみ落ち着かせると、深呼吸で冷静さを取りもしたようだ。

 

 クオンは恥ずかしそうに「ごめんなさい」と謝る。

 

 俺は構わないさと笑い飛ばし、二人に「料理おいしかったよ、御馳走さん。そうそう、ハクが二人を美人さんってほめてたよ。よかったね」といって去ると、後ろで「ちょ、ばか……」と声が聞こえた気がするが無視して去っていくのであった。

 

 sideハク

 

「あの野郎……」

 

 最後に爆弾落としていきやがった。

 

「そ、そんな美人さんなんて……」

 

「ありがとう、ハク。お世辞でもうれしいかな」

 

 二人は照れながらも感謝してくれる。……でも、ちゃんと言った方がいい気がした。

 

 だって、一応本心だから。謙遜とかしてほしくなかった。

 

「い、一応言っておくが本心だからな……そこは誤解しないでほしい」

 

「「……///」」

 

 それからはみんなが顔を隠して少し食事が気まずくなってしまった。

 

 何とか話題を考えていると、今日のご飯は二人が作ってくれたことを思い出した。

 

 そこから少し話を広げようやく、いつもの雰囲気になる程度にはなった。

 

 すると二人は家事仕事で汚れた体を洗いたい。

 

 せっかく近くに川があるから風呂に入ろうという話になっていた。

 

 殺気のわびも兼ねて風呂の水くみと火加減調整は自分がすることになった。

 

 覗かないように再三注意されたが、そんなに覗きそうな顔してるか? 

 

 そんな話をしているとパンパンという手を鳴らす声が聞こえ、見れば焚火にまえに立つウコンの姿があった。

 

「予定通り、日が暮れる前に野営地につくことができた。今のところ順調だな。問題はこの先だ。判っているとは思うがここから先、国境にかけてまで深い森が続く。街道とはいえ、デコボコだったり、抜かるんでたりもする。足取られて荷車が這ったりしないよう気を付けておけ」

 

「「「うす!」」」

 

「それと、だ。ここ最近で賊の被害が散発している。賊の規模からいって襲われることはないと思うが。まあぁ、各々警戒を怠らず、気を引き締めて取り掛かってくれ」

 

「「「ウィっす」」」

 

 それから騒ぎすぎないように注意をして騒がしさが戻る。

 

 そしてその時は忘れていた。

 

 ギギリを駆除する時も『心配いらない』と言われたことを……。

 

 飯を食い終わり、牛串の串を爪楊枝代わりに加えゆっくりしていると後ろで誰かの声と物を落とす音がする。

 

「うん? ……ルルティエ? 大丈夫か?」

 

「は、はい……。すみません」

 

「どこかへ運ぶのか?」

 

 見れば地面に麻袋が広がっている。おそらく運んでいる途中で盛大にぶちまけたのだろう。

 

「手伝おう」

 

「あ、いえ……だ、大丈夫です。このくらい一人で……」

 

「女の子がこんな重そうな袋を運ぶなんて大変だろう。実際躓いたわけだしな」

 

「でも……」

 

「任せてくれ。かわいい女の子に対する男のくだらない教示みたいなもんだ」

 

「あ、……」

 

 戸惑うルルティエをよそに、その袋に手をかける

 

「よ……ぉっと!」

 

 えっ!? お、重っ──ー

 

「ハク様?」

 

 こんなに重いものをこの子は運ぼうとしていたのか……。しかしここで持てませんでした等あまりに情けない。

 

 自分は何とか持ち上げる

 

「あの、どうかなさいましたか?」

 

「い、いや、別に……」

 

「ありがとうございます。なんだかご迷惑を……」

 

 ルルティエは丁寧に礼をするがこちらとしては一刻も早く目的の場所に荷物を運んでおきたかった。

 

「いや大丈夫だ。それより場所は?」

 

「私の天幕まで……」

 

「よ、よし、分かった。案内してくれ」

 

「はい……」

 

 やっとこさのことで荷物を運ぶ。

 

 疲れて汗をかいた自分にルルティエは感謝と自身の手拭いで汗をぬぐってくれる。

 

 その後ルルティエの出したお茶をもらい、一服していた。

 

 お茶を入れるのはうまいので聞くと家族にもふるまっていたそうだ。

 

 それからクジュウリでの話、虚弱体質のことを聞かせてくれる。

 

 俺はそれを聞くだけに努め、途中で慰めてあげたりする。

 

 少し話が暗い感じになってしまったのでさっきの茶葉を片付けるルルティエに少し厳重そうな箱の中身を聞いてみる。

 

「たくさん茶葉を持ってきたんだね? 

 

「はい。薬にも なりますから。

 

「本当に家庭的で心の優しい子だな」

 

 そんなことを思いながら今日の夜も更けてゆく

 

 

 

 

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