うたわれるもの~大いなる父にうたわれしもの~ 作:othello
Side???
荷馬車の中で殺気立つ男たちを押さえる。
「姫さんには、俺の信頼できる部下がついてる。……それにこんなところできたねえ花火を姫さんにみせたくないだろ?」
男たちは齒をかみしめて、こらえる。
「それでいい。さて、動き出した。……もう少し牙を研いでおけよ、お前ら。さぁ、掃除を始めるぞ」
Sideウコン
「行ったな。ウコン、もう外してもいいか?」
「……アンちゃん?」
アンちゃんの言うことが理解できずにいると、ハクが腕をひねる。
すると、紐はいともたやすく緩む。
「こういう縛られ方には抜け出し方がある。ルルティエ、クオン大丈夫か?」
「う、うん……。ありがとう、かな」
「あ、ありがとうございます」
「はは、アンちゃん。やるじゃねえか」
そういいながら俺も縄を力任せに引きちぎる。
「ウコン、作戦通りだとしても少し……ああ、もう!」
どうやら、アンちゃんのやつ……おもしれえが、今はそれを笑っている場合じゃないな
「すまねえ。ルルティエ様にねぇちゃんも」
そういうと、縄の跡の残る二人は腕を隠す。
「い、いえ、大丈夫です」
「うん。大丈夫かな。……それになんだか、ハク」
「うん?」
「……うんん、なんでもないかな」
そういうねえちゃんの頬は少し赤くなっていた。なんだ、満更でもなさそうじゃねえか
「クオンが、何とかしろとかいうから準備しておいたというのに……」
アンちゃんがあきれながらそういう。その準備というのは、おそらく……。
そういいながら先ほどの盗賊たちのことを思い出す。
あの後拍手しながら現れたモズヌという男。
その男はあろうことか二人に手を出そうとした。
その時に感じたアンちゃんからの静かな殺気。
眼から光は消え、もう少し遅ければ男の首はなくなっていただろう。
一瞬でそれを察したオウギが止めに入ってくれたからよかったものの、なかなか肝が冷えた場面であった。
一人状況を理解できないマロロをアンちゃんへの精神安定剤として残し、自分はこの作戦での役割をこなしに向かう。
だが、なんだか不思議とアンちゃんを安全なところに置いたはずだが、なんだかおもしろいことに巻き込まれそうな気がする。
「……ふっ、なんだ? 期待しているのか?」
普段の自分からは感じたことのない感情に頬が緩むのであった。
Side???
荷車が止まった。
全員に目配せをする。
──―コクッ
全員が頷く。
「お前たちとの同盟もここまでということだ!」
ウコンたちをだました女性の声と共に自分たちは荷馬車の布を取り、外に飛び出す。
そこは四方を壁に、そして入り口にからくりの仕掛けられた盗賊団のアジト。
「我は、オリオン。ヤマトの帝の盟友にして名代。我が名そして帝の名において、汝らをとらえる。皆の物、かかれ!」
「「「おお!」」」
殺気だっていた男たちが盗賊たちに一斉に襲い掛かる。
俺は壁を水平に駆け上がり、上のほうにいた男どもを素早い動きと素手により無力化してゆく。
「どうなってるじゃん! くそ、逃げるじゃん!」
下の通路から聞き覚えのある声が聞こえる。
見ればそれはあのモズヌとかいう男。
手下3人ほどを従えてどこかへ向かおうとしている。
「あ、まて……」
声をかけるより早くモズヌたちの姿が消える。
追いかけようにも新たに表れた男たちに手間取り、向かう頃には足取りを追えなくなっていた。奥に進むも過ぎに行き止まりにつく。
仕方ないので外に奴らをぼこぼこにすると、一人がからくり扉のことを話した。
改めて確認すると、壁の一部を奥に押すことができた。
押せば壁がずれて通路が出現する。
その通路を抜ければどこかの道に出る。
その道では薬を煎じるクオンとルルティエに大きめの葉で仰がれ膝枕をされているハクの姿がった。