うたわれるもの~大いなる父にうたわれしもの~ 作:othello
クジュウリの村
クジュウリの端にある、村にて大勢の男たちが集まっていた。
「ウコン、俺は5人ほど連れて例の姫様の迎えに行く」
「あいよ、兄貴。俺はこの村で受けたギギリ退治でもしてるさ」
「ふっ、相変わらず人のために何かをするのが好きだな。マロロ!」
馬上よりウコンを見下ろしながら、顔を真っ白にぬりしゃもじに似た杖を持つ男を呼ぶ。
「うっ……、なんでおじゃるかクレス殿。マロは車酔いで倒れそうでおじゃる」
「なんだ、情けない。ウコン、ギギリ討伐ではマロロを効率的に使え」
「わかってるよ。はぁ、もうちっと頭の働く部下が増えて欲しいぜ」
「ウコン殿、それはマロが要らない子と言うことでおじゃるか!?」
「違う、違う。お前の知識は当てにしてる。俺が欲しいのは知恵が回るやつってことさ」
ウコンとマロの話に苦笑いをしながらクレスはウマをさらに奥へと走らせるのであった。
『お母さん、こっち干し終わったよ』
『そうね、じゃあ──ー』
『ハクにも手伝ってもらうかな』
『うへ……。仕事か……』
『そういえば、あいつのところの戻ってきてないだって?』
『ああ、この間薬草を取りに行ったらしいのだが』
そんな街の声を聴きながらクレスは馬を走らせた。
Side:ウコン
「歯車の比率を変えれば、もっと効率よく回るな……」
「へえ、あんちゃんが直したのかい?」
俺が声をかけるとあんちゃんは肩をビクッと、させて俺の方に振り替える。
「なんだ、クオンじゃないのか……。誰にも言うなよ。また違う仕事やらせらされる」
「フッ、なんだいその理由は。ま、いいや。邪魔したな」
俺はそういってアマムを粉に轢く水車小屋から離れてゆく。
壊れてたと聞いたからちょいと直してみようと思ったが、どうやら面白い奴が直してしまったようだ。
来た道を戻る途中で少し上品そうな少女がお茶をもって先にあんちゃんのところに行ったと思うと……。
『ぬわ────―!』
さっきのあんちゃんの変な叫び声が聞こえてきて思わず笑っちまった。
旗小屋の女将に聞くと彼女は薬師らしい。
ちょうど、森でギギリの毒にやられた連中が嬢ちゃんの薬で表情が柔らかくなった。
Sideハク
旗小屋に戻り、女将に水車修理の話をしていると男がやってきて女将に声をかける。
「いよう、少し遅くなっちまって悪かった」
うん? あの男、水車小屋で見た男か。そういえば返ってくるとき、宿の前で外の連中にいろいろと指示していたな。
「連絡が言っていたと思うが、部屋を人数分用意しといてくれたかい? 2,3日だとは思うが、荷が届くまでしばらくやっかいになるぜぃ」
「ええ、うかがっております。遠路はるばるようこそ。お待ちしておりました」
「うちの連中はよく飲み食いするからよ。特に酒飲みばかりだから、代は気にせずじゃんじゃん持ってきてくんな」代金
如何にも鍛えられた体つき、鋭い眼光、顎鬚をたくえているが歳はまだ若い印象を受ける。
身なりに気を付けないといけないのか、その外見は豪放な若者という感じだ。
「んお? もしかして、水車小屋のあんちゃんかい? あんちゃんたちもここの客かい?」
「そういうことかな。よろしくお願いね」
男の質問にクオンが答える。
「こっちこそ、よろしく頼むぜ。騒がしくなると思うが、勘弁してやってくんな」
男はそれから木でできた部屋の鍵を女将から受け取ると、外から別の男の声がした。
「ウコン殿、荷解きが終わったでおじゃるよ」
「ぷぷ──ー」
それを見て一瞬噴出した自分は悪くないはずだ。
最後、だれに笑たんでしょうね・・・(笑)