うたわれるもの~大いなる父にうたわれしもの~ 作:othello
Sideハク
現れたのは痩せた体つきに派手な着物。そこまではいいが顔に塗りたくった化粧が男を滑稽な姿にしていたからだ。
しかも、語尾に『おじゃる』とつけるしまつ。
その風貌にぴったりの言葉遣いに白塗りとどこの御公家様だ。だと笑いをこらえるの必死だった。
男の名前はマロロというらしい。麻呂ぽいと思ったら本当に麻呂で思わず変な声が出てしまった。
そのあと少し話し、女将に飯と酒を頼むと外に出て残りの作業に取り掛かり始めた。
『よぉしテメェら、さっさと荷解き済ませてめしにすっぞ』
『『『ウぃー!』』』
『それから、いいかテメェ等、堅気の連中には絶対に迷惑かけるな。判ったかァ』
『『『ウィー!』』』
外から聞こえるそんな声。
「中々に威勢のいい連中みたいだな」
「…………」
「クオン?」
「ん? うん、なんだか面白そうな人たちだね。何処の誰なのか、ちょっと気になるかな?」
まぁ、確かにあんな麻呂が現れたら、気にせずにいる方が無理ってもんだな。
「確かにあの身なりといい、ただモノじゃなかった」
あれはつっこみどころ満載だ。
「そっか、ハクもわかったんだ。ちょっと見直したかな」
こうしてちょいとしたすれ違いによりこの後、クオンの仕置きを受けるのだが、それは自業自得というものだ。
Sideウコン
少なくない数で上がり込んだ俺たちはにぎやかに酒や飯を楽しんでいた。
『にぎやかな連中だな』
『そうだね。でもこんな雰囲気も嫌いじゃないかな?』
女性の声が聞こえ、出所に目をやると昼間の二人が端のほうで向かい合って食事をしていた。
『ねえ、ハク。都にいって見ようと思うけどどうかな?』
『都?』
どうやらこれからの行動方針を話しているらしい。
俺は酒瓶とお猪口を持つと周りの奴に一声かけてその場から離れ、二人の近くに座る。
『ハクには力仕事はダメでも、それを補って余りある知恵があると思うんだ。きっと都に行けば──―』
『もしかして自分の──―』
『フフフ、あまり気にしないで。私のそろそろ都に──ー』
どうやらあんちゃんたちは職探しに都に向かうようだ。
『それでね、どうせ都にいくならせっかくだから帝都に行ってみようと思うんだ。このヤマトに君臨する帝のまします帝都。話によると──ー』
ほお、行先は帝都か。それならちょうどいい。
「ほほぅ? おめぇさん達、帝都へ行くつもりなのかい?」
俺は振り返るようにしてあんちゃんたちに声をかけた。
ハクと呼ばれていた男は、俺が昼間の男と気づいたようで少し驚いていたがクオンとよばれていた嬢ちゃんのほうは、何事もないように座ってお茶を飲んでいた。
「おっと、話しているところ悪いね。別に盗み聞ぎしていたわけではねえんだが、帝都へ向かうって話が聞こえたんで、そこから来たもんとしてつい反応しちまってな」
「帝都から?」
「おうよ、嬢ちゃん。ちょいとばかり野暮用でな」
そこで俺はまだ名乗っていなかったとき気づき、体の向きをあんちゃん方に向けなおし名を名乗ることにした。
「おっと、まだ名乗っていなかったな。俺はこいつらの番張らしてもらっているウコンって者だ」
「私はクオン、彼はハクかな」
「ハクだ。クオンと共にしている」
ハクが少しクオンを気にしているようだが、彼女は特に気にしているようには見えないので問題はないのだろう。
「クオンにハクな。ここで会ったのも何かの縁、よろしく頼むぜ」
「こちらこそかな」
俺はどこか心惹かれる二人に、すこし興味が出ていた。
「お待ちしておりました。クジュウリの松姫様」
「オリオン様ですか?」
「すみません。今はクレスと名乗っております」
「あ、そうでした。私たら・・・」
「お気になさらず。オーゼンさんはお元気そうですか?」
「はい。迎えがウコンさんとクレスさんと聞き、喜んでおりました。後でお預かりした亜手紙をお渡しいたします」
「それはよかった。今日はもう暗いのでこのあたりで野営を。一応、テントとやその他整地は済ませておりますゆえ、配下の方々を少しおかしいただき、休んでいただければと」
「そんな申し訳ないです!わたしは、皆さんの料理を作って待っております」
「・・・相変わらず、優しいですな。判りました、ではお願いいたします」