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「ねぇねぇ真和須くん!その見た目ってことはさ、今日の個性は『酸』でしょ⁉︎」
体育祭が目前に迫ったある日、勝矢の机に身を乗り出してワクワクした表情で問いただす芦戸に、勝矢はそのテンションの高さに若干戸惑っていた。彼女が指摘してる通り、今の勝矢の姿は髪から皮膚に至るまで全身ピンク色で白目は黒くなり黄色い瞳、頭に生えた角のようなものがあり、殆ど芦戸と変わりない見た目だった。違うとすればピンクの色味が白に近いのと、角の数が三本といったくらいである。
「あ、あぁ。そうだが…」
「ならさ、今日空いてるなら個性の応用とかを教えてくれるかな⁉︎」
構わないよ、と勝矢が答えると芦戸は「やったー‼︎」と嬉しそうに飛び跳ねていた。当然スカートもジャンプに合わせて揺れ動くので、中を見ようと峰田と上鳴が目をこれでもかと凝らすが当然の如くその行いは周りにバレ、いつものように耳郎からの制裁を受けたのであった。
すると、爆豪が勝矢の元にやってきた。
「オイ、日替わり」
「(日替わり⁉︎)な、何の用?」
「俺にアドバイスを寄越せ」
その言葉に一同は唖然となった。爆豪がプライドがかなり高いことは今までの行動から知っているため、プロヒーローならともかく、クラスメイトの勝矢に教えを乞うとは思っていなかったからだ。
「…い、意外だな。お前がそんな事頼むなんて…」
「あ?悪いかよ?さっさと教えろや!」
「ちょっとちょっと!私が先に特訓の話つけてたんだけど⁉︎」
「その通りだ。どうしても言うなら芦戸さんと一緒が条件だ。それを呑めないのならこの話は無しだ」
その言葉に爆豪が何か文句を言いたげにしていたが、毅然とした態度を取る勝矢を見て、チッ‼︎と大きく舌打ちをした。
「…わーったよ、それで構わねぇ」
「理解してくれて助かるよ。じゃあ放課後に」
(あのかっちゃんが素直に言うこと聞くなんて…‼︎)
やりとりをみて驚いている緑谷だが、爆豪には爆豪なりの考えがあった。
(あのデクをあそこまで伸ばせた日替わりのアドバイス能力は悔しいが確かだ。ここで我を通して機嫌を損ねさせたら二度とアドバイスを受けられねぇ可能性がある。ここは我慢するしかねぇか)
────
放課後、トレーニングルームにて勝矢は二人の前に立って話し始めた。
「さて、これから始めるわけだけが、どんな感じに伸ばしたいか教えてくれるか?」
「はーい!私はより遠くまで酸を飛ばしたい‼︎」
「爆破力の強化」
二人の要望を聞き、勝矢はふむ…と顎に手を当てて考えた。
「なるほど…わかった。まずは芦戸さんからだ。これは簡単だ、水鉄砲と同じで指と指の間から出すイメージでやれば出来る。こんな風にね」
そう言い勝矢は手をチョキの指同士をくっつけた状態にし、酸を出した。すると、酸は勢いよく遠くに飛んでいった。
「お〜‼︎デ○ビームだ‼︎」
「まぁそんなとこだ。んじゃ、やってみて」
芦戸はさっそく言われた事を実践してみるが、勝矢ほど勢いよく飛ばずにいた。
「ん〜!これ結構集中力いるなぁ〜」
「慣れてけば自然にできるさ。難しいようなら親指加えて三本指でやってみたらどうだ?」
「おっ⁉︎出た出た‼︎やったー!」
「ならそれで慣れてっていくと良い。どんどん鍛えればこんなふうに爪の間から出せるようになる」
勝矢は両手を広げると、その爪の間から連続的に酸を飛ばし始めた。それをみた芦戸は目をキラキラと輝かせた。
「何それすっごくカッコイイ‼︎」
「ただ、これは消費が激しいから使い過ぎに気をつけることだね。それと、溶解度を限界まで下げて粘度を上げれば人に当てても平気かつ、それなりのダメージを与えられるようになる。その場合は飛距離は粘度に応じて下がるけどな」
勝矢が芦戸にアドバイスしている間、その様子を見ていた爆豪はある事を思いついていた。
(範囲を狭める、か…!なるほど、
しばらくすると、勝矢が爆豪の元に近づいてきた。
「待たせたな爆豪、さっそくだが…手のひらを見せてくれ」
「あ?なんでだよ?」
「確認のためだ」
不審に思いつつも爆豪は勝矢に両手のひらを見せる。勝矢は手のひらをまじまじと見ると感心したように息をついた。
「…なるほど、手入れはしてあるみたいだな」
「っ!その言い方、てめェのガチャに『爆破』があンのか?」
「いいや、ただ手のひらから爆発するのなら爆破の際に出た煤が汗腺に詰まって爆破の威力が下がるのではと思ってな。これならほぼ問題ないが…爆豪、今から人体に影響ない程度の酸を出すからそれで手を洗ってくれ。手のひらの細かい汚れや古い角質を落とすと同時に、物理的に汗腺を刺激させる。痛かったら言ってくれ、弱める」
「……」
爆豪は勝矢が出した酸で手を洗い、水道で水を使って酸を洗い落としタオルで手を拭く。そして爆豪が個性を使ってみると少しだけだが爆破の威力が上がっているのを見て爆豪は目を見開いた。
「…っ!中々やるじゃねぇか」
「これは単に溜まってた汚れを落としただけだ。何度もやると肌が弱くなって爆破に耐えられなくなると思うから気をつけな。あとは手を熱いお湯につけて氷水で締めたあとまたお湯に…を繰り返して汗腺を広げる方法があるな」
「爆破は持ってねぇんじゃねぇのか?」
「爆破じゃないが、汗腺から物質が出る個性があるからその応用だ。近所にサウナがあるならそれ使うのもアリだな」
「……サウナは無理だ。ガキん頃暴発して出禁喰らっちまってんだ」
「………そうか」
その後、3人はそれぞれアドバイスを受けつつトレーニングを行っていった。
そして下校時間となり、爆豪は先に帰り、勝矢と芦戸は互いに個性について話し合いながら校門を出ていくと、紺色のサイドテールをした女子中学生が待っていた。
「あ、お兄ちゃんやっと来た」
「ん?何でお前ここに?」
「暇だったから来たの」
「真和須くん、この子って前に言ってた妹ちゃん?」
「初めまして、真和須
「いやいや、私の方がお世話になってるよ。あ、私芦戸三奈。よろしくね」
お互いに自己紹介をすると真奈子はまじまじと芦戸の顔を見ていた。
「ん〜見た感じ今のお兄ちゃんと同じ見た目ってことは芦戸さんの個性は『酸』でお兄ちゃんからアドバイス受けてた感じかな?」
「そう!ちなみに、真奈子ちゃんの個性って何?」
「私はね、『目回しハンド』って言って、私の手のひらにある渦巻模様を見た生き物の三半規管を狂わせる個性だよ。渦巻が九割以上見えてないと効果無いのと自分にも効くのが弱点かな」
「へぇ〜地味に強い個性だね〜。それじゃ真和須くん、今日はありがとう!また明日ね〜」
「ん、また明日」
芦戸が自身の自宅の方へ向かっていき、勝矢と真奈子は二人並んで帰っていく。その途中、真奈子が勝矢に話しかけてきた。
「お兄ちゃんさ、クラスの子から個性について何か言われたりしてない?」
「別に、悪い風には言われてないよ。寧ろ俺が得た経験からのアドバイス貰ってお礼言われたりしてるよ。何でまたそんな事を?」
「いやね、さっき目付きの悪い不良みたいなのがいたからさ、心配でね…」
「あ〜爆豪のことか…まぁ悪い奴ではないんだがな…」
それを聞き真奈子は心配そうな顔を浮かべるが、勝矢はニッコリと笑い真奈子の頭を撫でていた。
「だーいじょうぶだ、
「…うん。お兄ちゃんも、体育祭頑張ってね」
──そして日は経ち、その時がやってきた。
はい、今回は芦戸と爆豪のトレーニングでした。
爆豪が思いついたのはぶっちゃけて言うとAPショットです。
さて、次回からいよいよ体育祭です。
伸ばさせたキャラをうまく活かすつもりなので楽しみにしてください!
また、ガチャで出る個性の案も募集してるのでお気軽に。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=243075&uid=89042