皆さま、これからもどうぞ宜しくお願いします!
「わーたーしーがー‼︎普通にドアから来た‼︎」
午前の授業を終え、午後のヒーロー基礎学の授業にて、オールマイトが颯爽と登場すると、教室内は歓喜の渦に包まれた。そして彼が今日行うのは『戦闘訓練』。各自入学前に提出した『個性届』と『要望』に沿って業者に発注した『
生徒達はそれぞれケースを持って更衣室で着替え始めた。
「いいじゃないか少年少女!カッコイイぜ!」
各々のコスチュームに着替えた彼らを見てオールマイトはそう評価する。勝矢のコスチュームは黒と銀、緑色のアーマーのような服装だが、胸部の左側と各所にはカプセルをあしらった飾りが付いていた。
また、出てきた個性に対応出来る様に、伸縮自在かつ彼の皮膚や髪の毛を元にした耐衝撃、対温度変化や酸などの科学変化に優れた素材となっており、障子や葉隠のような個性になっても対応可能なコスチュームとなっていた。また、ベルト部分には幾つかの小物入れが装着されていた。
結構な無茶振りの要望で上手く通るか不安だった勝矢だったが、むしろ業者側としてはかなり燃え上がり、複数の企業が合同で開発して完成したとの事だそうだ。
さて、オールマイトが今回の訓練について説明する。
内容は敵対ヒーローの二人一組の屋内戦闘訓練、設定としてはテロリストが市街地のアジト内に核兵器を隠し、それをヒーロー側が確保するというアメリカンなものである。制限時間は15分で、ヒーロー側の勝利条件は相手2名の確保または核兵器の確保。敵側はタイムアップが相手2名の確保である。
「そして、チームと対戦相手を決めるのは…くじだ‼︎」
「適当なのですか⁉︎」
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることもあるし、そういうことじゃないかな…」
「なるほど、先を見据えた計らい…! 失礼致しました!」
「いいよ! 早くやろ!」
くじを引き、それぞれチームメイトが決まる。勝矢が組んだのは砂藤であった。
「よろしくな、砂藤」
「あぁ、よろしく。それで真和須、今日の個性は?」
「まだ引いてない。本番に回せば相手に手の内を分からなく出来るだろ?」
「あ〜確かにな。期待してるぞ」
────
一回戦の緑谷・麗日ペア対爆豪・飯田ペアの戦いはヒーロー側の緑谷・麗日ペアの勝利だったものの、互いに課題の残る結果となった。
まず爆豪はあからさまに私怨丸出しの行動を行い、飯田との連携はまるで取れてなかった。しかも『核兵器』を守ってる設定に関わらずビルを半壊させる攻撃を行ったのも良くなかった。同じことを言うならば天井をぶち抜いた緑谷も同様である。麗日は状況判断が甘く、実戦を意識していない戦い方であった。
それを踏まえてMVPは敵役を徹底した飯田と言われた時、本人はかなり感動していた。
続く二回戦は轟・障子ペア対尾白・葉隠ペアは轟がビルごと凍結させ二人の動きを止めて、悠々と核兵器を確保し、あっという間に決着がついた。
「中々に面白い個性だな…」
「真和須、呼ばれたぞ?俺たち敵チームだってよ」
「ん?わかった」
二人がビルに入ってくなか、オールマイトは生徒達に語りかける。ちなみに相手は芦戸・青山ペアである。
「さて!この二組についてわかることは?」
「ふむ…敵チームで言えば、砂藤君は増強系個性って聞いてるが…やはり対応が難しいのは真和須君ではないでしょうか?」
「そうですわね。400以上もの個性がある中、ピンポイントで対策を練るのは難しいかと…」
「ヒーローチームは二人とも中〜遠距離が得意だから砂藤ちゃんへの対策はできそうだけど、真和須ちゃんが何の個性を出すかによっては一気に不利になりかねないわね」
飯田、八百万、蛙吹がそれぞれ答えるとオールマイトはその通り!と答えた。
「実際の戦闘では相手の個性がわかっていない状態での戦闘が大部分だが、真和須少年の場合はわかっていても対策がし辛いのが彼の大きなメリットだ!この戦闘では真和須少年が出す個性によって戦況が大きく変わるだろう!」
「お、真和須がガチャを始めたみたいだぞ‼︎」
切島の言葉を聞き、一同はモニターを見る。出てきたカプセルを割って中身を見た瞬間、勝矢はなんてこったと言ったような顔を浮かべた。
「……何か、ハズレっぽいのが出たみたいだな?」
「もしかして、無個性とか?」
「ちょうど体で見えないね〜」
勝矢の反応に疑問を持つなか、ちょうど勝矢が体を動かし、個性が書かれた紙が見えた。それを見た一同はその内容に唖然とした。
『…『さしすせそ』?』
────
勝矢side
「…すまん砂藤、個性面ではサポート出来なさそうだ…」
「えっと、とりあえずその『さしすせそ』ってどんな個性なんだ?」
核兵器を設置した部屋で、申し訳なさそうな顔で話す勝矢に砂藤が質問すると、勝矢はその個性について説明した。
「砂藤、料理のさしすせそって知ってるよな?」
「あぁ。砂糖、塩、酢、
「それが両手から出てくる。それが『個性: さしすせそ』だ。ちなみに味はその日の体調次第だ」
「……」
黙ってこちらを見ている砂藤に勝矢はヤケクソ気味に叫び出した。
「そうだよ‼︎戦闘向きじゃないよッ‼︎ホント悪いと思ってるよ!でも、個性が無くとも戦えるから心配ねぇから…」
「いや、そうじゃなくて…砂糖、出せんだよな?俺の個性、砂糖摂取すると強くなるから出してくれるとありがたいんだが…」
「…マジでッ⁉︎よっしゃいくらでも出してやるからな!」
────
「何やってんだアレ?」
「何か、ヤバイ薬の取り引きみたいだな…」
上鳴と瀬呂がそういうのも無理はない。彼らの目に映るのは勝矢が手から何か白い粉を小物入れに詰めて砂藤に渡している光景だからである。
「オールマイト…あれは大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ飯田少年、アレは砂糖だ。砂藤少年の個性を引き出すために渡してるようだ」
「砂糖?もしかしてさしすせそって、料理のやつ?」
「手から調味料が出てくる個性か…!確かに当たり外れが大きいな」
「砂藤じゃなければあまり役に立ちそうにない個性だな…いや、でも酢とか醤油で目潰しくらいにはなるか?」
そう話しているうちに砂藤が部屋から出ていった。数分後、芦戸・青山ペアと接敵し、事前に砂糖を摂取し個性を発動させたうえで二人を襲撃する。すぐに二人は避け、距離を取る。すると砂藤は芦戸の方に向かって行った。どうやら青山の相手は勝矢がするようである。
「真和須のやつ、あの個性でどう青山を相手にするんだ?」
「やっぱ目潰しか?」
「上鳴、アンタさっきからエグいよ?」
(フフ…まだまだだな少年少女達…ヒーローの強さは何も個性の強さで決まるものでは無いのだよ!恐らく、私の予想が正しければ真和須少年は…)
────
「見つけた☆」
フリーとなった青山はビル内を彷徨いてようやく核兵器のある部屋にたどり着いた。
(あとは確保するだけだけど…真和須くんがいないね☆僕を探そうとして離れたのかな?いや、彼の個性がわからない以上、隠れてるかもしれないし、油断しないようにしなきゃ☆)
そう考え、慎重に核兵器に近づく青山だったが、あと2m程というところで核兵器の陰に隠れていた勝矢が飛び出し、接近してきた。すかさず青山は自身の個性であるネビルレーザーを彼の足元に放つが、勝矢はそれを躱し、肉薄する。
「レーザー撃つときポーズ付けるのは良くないかな。軌道がわかりやすい」
「えっ?ワァ⁉︎」
それだけ言うと勝矢は青山を掴み、そのまま一本背負いの要領で地面に投げられ、そのまま確保となった。砂藤の方も、効果が切れる前に砂糖を摂取しパワーを維持し続けた結果、芦戸を追い詰め確保し、勝矢達敵チームの勝利となった。
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「真和須、スゲーな最後の接近戦!普段からトレーニングしてるのか?」
「まぁな。そうでもしないとあぁいう個性の時どうしようもなくなるからな」
「なるほど…!万が一のため個性に頼らない戦い方も考えておくとは…!」
「なぁなぁ!あとで味噌出してくれへん?」
「あ、あぁ。構わないが…」
講評では勝矢がMVPとなった。出てきた個性に戸惑ったものの、偶然とはいえ有効な活用法を見つけて味方をサポートした事と、最後の迅速な確保が評価されたようである。
なお、放課後に麗日用にと八百万が創ったタッパーに味噌を手のひらから出して詰めてたのだが、出し方がう○こみてぇと瀬呂に言われ、彼が耳郎にシバかれるまで落ち込んでいたのは別の話である。
Q.アレ食べて平気なの?
勝矢「一応調べてもらったら本物と変わらないから安全だ。ただどういう原理で出てるかは俺もわからんから深く考えないようにしてる」
勝矢のコスチュームは仮面ライダーバースのヘルメット部分がなく素顔剥き出しものを想像すればわかりやすいかと。