引く渦。推す腕。
その先に、その元に、
鏡が、鈴が。
「広い....本がたくさん...。」
「えーと...ハルちゃんが必要そうな本は...」
あの独特な、古びた紙の匂い。糊の匂い。太陽の匂い。革の匂い。
様々な気配に包まれたここは、
「広い書庫だねぇ...」
「代々家が管理してきたものだからね。アレに関することなら何でも揃ってると思うよー。...探し出すのが一苦労だけど。」
がらがらと車輪が着いた脚立や、上下に動く本用のリフトが運ばれてくる。
「ここの本って大きかったり重かったりするからさ、脚立を降りるのが厳しいからいつもこれを使ってるの。」
「へー。」
戯れに近くの本棚から一冊ふんぬと抜き出してみると、確かに、重い。
片手では厳し過ぎる程度には。
一回床に置いて調べてみれば、表紙の革や、長年の経過でなにかを吸い込んだ厚い紙、一ページずつ太い糸で纏められていたりと、総重量は計りしれない。
ゆかりちゃんはまだがらがらと脚立とリフトを押して、本を集めてくれているようだが。
「ゆかりちゃん。なにか読んでていい?」
「全然いいよー。本は重いだろうし机がないから床に座って読んでてー。危ないやつはお父さんが管理しているけど、もしもおかしな本があったら触れたりしないようにねー。」
「あ、危ないやつ...?」
「オカルト的に言うと
「わ、わかった。」
恐る恐るさっき引っ張り出した本の題名を改めて見てみる。
【 鏡沢地史 】
うん。大丈夫そうだ。
ぺたんと座ってドサッと置く。
ぺらりぺらりと。
............銀鉱山?
...19■■年■月■日の地質調査により、
小規模ながら高品質の銀が■■されていると
.........■■■■■......
開発開始は19■■年■月■日、■道完成が19■■年■月■日。
......採■された銀鉱石は■■■■■■......19■■年■月■日、
鉱害が......■■■■■■...
劣化したパイプから漏れた高■度の金属を含む■水が
....■■■.....■■■により、
地盤沈下が発生。旧鏡面湖が■道に流れ込み...
石灰層を削りとり拡大...■■■■■......
地底湖・鏡面湖が...■■■■■■■...
■■事件、後の■■事件による地域の反対により...
鉱業は停止.........■■■■鏡沢銀鉱山に隣接する形で
...20■■年■月■日■■■■■■新鏡面湖となった。
■■水質調査は完了し、鏡面湖の■■■■■■は■■■に安定.....
20■■年■月■日、国の■■■保存■■■■によって管理が決定...
■■■■■■■■■■■■■となることを願われる。
銀...
______『銀の鈴』________________
「ゆかりちゃん、ゆかりちゃんのお母さんが言ってた神鏡?って何で作られてるの?」
丁度、大量に本が積まれたリフトを押しながら、ゆかりちゃんがやってくる。
「んー?銀だよ。今の鏡も部分的に銀で作れていることが多いけど、鈴鳴神社にある神鏡はなんと全てが銀で作られてて___純度が_____」
銀、鉱山。
鉱害、毒。銀...。
リフトから本を次々と床に運び、
片っ端からキーワードに沿う題名や、目次を確認していく。
「っあった!」
【 鉱業と神教の発展 】
鏡沢周辺地域には鈴鳴という伝承が____
■■__■■■科学的見解に■■■■____
銀の鈴が■■■■____■■鉱山中のヒ素に反応_____
伝承と融合、危険■■■を知らせるという_____■■■■、
音を鳴らし、■■■■の合図とする____空気穴の確認にも使われ、
■■■■■■とすることで■■を促進したと考えられている。
銀の鈴!危険...鉱毒?ヒ素??
...んー関係ある気がするけど言葉や漢字が難しい...。
仕方ないよね、次。
「ゆかりちゃん。旧鏡面湖って?」
「_____元々あの神鏡の名ははすずなり様が九十九神として誕生した場所に由来していて_____え、きょ、旧鏡面湖っていうのは、ここから西南にある枯れた湖のことだけど...そう!そこにみかがみ様は賀神家によって奉られていたんだけど、例の鉱害の際に起きちゃった地盤沈下でどこかに湖が消えちゃったらしくてねー_____その時に賀神家が本家と分家に分かれちゃって__今も行方を眩ました分家が隠された三つ目の鏡面湖でみかがみ様をどうにか静めようとしているって噂が_____」
「この本に書かれた新鏡面湖は?」
「あ、それは二つ目。それが記録として公式に残された湖なんだ。」
「...二つ目...ってことは一つ目って?」
「この鏡沢全域に拡がる地下水脈と合体しちゃってるんだ。鈴鳴神社にある湧き水もそうなんだよ!」
鈴鳴神社にあった歪み。
湧き水。
鏡沢全域!
リフトから本を。
《鏡沢水脈分布》
______________
■■■■■■
■■■■■■■■
旧鏡面湖____《__》
■■■■■■
■■■■■■■
■■■■■■
■■■■■■
鈴鳴神社____《湧き水》
■■■■■■■
■■■■
■■■■■
■■■■■■
_______________
.................。
「ゆかりちゃん。行方不明事件があった場所ってわかる?」
「それだったら...町内新聞にちょっとならあるかも。持ってくるね。」
ただの予想。ただの勘。
だけど、私は今までそれに助けれてきたからこそ。
それに賭けていくんだ。
「はいはーい。事件発生から今日までの行方不明事件の部分のページ。ハルちゃんが何を考え付いたのか知らないけど、頑張って手伝うからねー。」
「ありがとう。ゆかりちゃん。もしかしたら______
目を走らせる。
事件が起きた予想地点、またはその周辺を当て嵌めていく。
水脈の地表から浅い部分、また涌き出ている部分を。
そうしたら、
_____当たり。」
浮き上がるのは、水と湖と神を繋ぐ、大きな大きな地図だった。
昔の話だ。今も旧鏡面湖の水が、水脈を循環しているとは考えにくい。
第二の地底湖もしかり、同じ水がそこに留まることはないはずだ。
なら、この水脈のどこかに、
「どう思う?ゆかりちゃん?」
「.........。」
「ゆかりちゃん?」
「すごい!すごいよハルちゃん!みかがみ様は水神で、水と鏡を司ると言われてたんだ!絶対そうだよ!第三の湖の場所に、囚われた人達がいるかもしれない!紡ちゃんも!早速おじいさん達に言ってこよう!」
「.........。」
「...ハルちゃん?」
「ん、じゃあ片付けてからにしよっか。ちょっと散らかしちゃったし...。」
「あー、うん、そうだね...。」
それだけじゃない気がする。
水。鏡。みかがみ様。
銀。鈴。すずなり様。
鏡沢、湖、銀鉱山、地底湖、地下水脈。
私以外にこれに気がつかなかった人がいないはずがない。
これらの本を集めた人や、管理しているゆかりちゃんの家族が。
ならなんで、発見されていない?
ならなんで、ここまでこの事件が騒がれる?
初めての異変なのか?
私がこの街に来たから起こった?
事件が載る新聞。それを新聞が保管される棚へと運ぶ。
棚に日付ごとに片付けながら、チラ見できる年間の見出しを______
『交通事故。中学生をひき逃げ。咄嗟の回避で大事にならず。』
『交通事故。小学生。誰かに突き飛ばされバイクと接触しなかったとのこと。情報提供を求める。』
『水難事故。小学生。川の真ん中で誰かが手をとってくれたとのこと。周囲に人影は無く。』
『交通事故。中学生。』
『行方不明。小学生。誰かが手を引っ張って教えてくれたとのこと。』
『交通事故。小学生の兄妹、意識不明の重体。』
「っ!」
年別に分けられた新聞、二年前の夏。
その白黒の写真は、二人で笑う兄妹の写真。
その一人は、
「紡、ちゃん...。」
一人、意識不明の重体。一人、病院で死亡が確認された。
リィィィィーン...
鈴が、鳴る。
ゆかりの嘘つき!
神様はお兄ちゃんを守ってくれなかった!
何も私に教えてくれなかった!
嘘つき!嘘つきっ!嘘つき...........
神様は万能じゃないんだよ。
全てを助けれる訳じゃないんだよっ。
引っ張ったり、押したりしてくれるのは...
一人しか、無理なんだよ!
その神がまだ、手を持っていた頃。
助けを求める
導いてくれる。推してくれる。
その温かな手は、
冷えていって、
今は、鈴の音が、残るばかり。
【 すずなり様と銀の鈴 】
※この物語はフィクションです。実在の地名や地形、特色、地学、歴史、化学的理論とはなんにも関係がありません。ないったら無いんだよ!
初の3000文字越えだよ。キツいよ。絶対ガバッてるよ!
こんな長くなる予定じゃなかったんだ!本当なんだ!
ちょっと聞いてくれよ!
~教室にて~
筆者「んー、この設定出したいんだけど正確に調べてないし思い付きだし色々後でガバりそうで怖いな...やめとくか!ハルちゃんには悪いが気づかなかったことに...」
同級生「何やってんの?早く部室でクトゥルフやろうぜ。...それ新しいシナリオ?GMまたやってくれるん?」
H「いや、物語書いてるの。クトゥルフとは別よ。」
D「ふーん。ま、部室で待ってるわ。早く来いよ!」
H「んー...(クトゥルフで閃く)...ダイスの女神様に決めてもらうか。」
ハルの幸運値決め 1D100 → 47
運命の幸運ロール 1D100 → 04
_人人人人人人人人_
> クリティカル <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
H「ファッ!?」
まあ、そういうことさ。ダイスと安価は絶対。はっきりわかんだね(白目)
ハル達がいる街を含む、この世界のオカルトへの関心を掲示板形式で書きたくなったのだが需要ある?
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ある
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ない
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そんなことより続きはよ
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ハルちゃんprpr