そうやって願わない。
過去を彷徨うことはしない。
捨てられないものが、
今もあるから。
次の日、早朝。
まだ日の昇らない、澄んだ世界。
今待ち望むは、
黄昏の逆刻を示し、夜と昼の境目、
世界の境界が渦を巻く時間帯。
この時に私たちは、神鏡を使って、
かの神域への道を開き、進む...らしい。
今もおじいさんが指揮をとりながら、
着々と儀式の準備を進めている。
私達は、まだやることはない。
精々お風呂に入ったり、朝御飯を食べたり、
持ち物の点検__特に
腰にベルトで固定されている、
手作りの鞘__布裁ちばさみのカバーを元に手作りした特別性__から調子を確かめるよう少し抜いて、
赤黒い鋏身に空がうつるのを眺める。
「ハル、大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
二人は、拝殿と本殿を結ぶ道に立っていた。
後ろを振り返れば、不思議なことに大きな鳥居が完全に見え、少しこの道が曲がっていることに気づく。
...なぜ?
「ハル?」
「ん。」
いや、なんでもない。
もう、そろそろ。
朝が来るのだ。
本殿の前で、
朗々と響く祝詞。
震える数々の鈴。
こぎみいい小太鼓が空気を突き、
複雑なリズムの中で気配が加速していく。
これが、
別理の波は、少しずつ境内を、
拝殿を、本殿を満たし、
この神社を少しずつ少しずつ変えていく。
空気が変わる。
風が変わる。
匂いが交じる。
違和感。それは別界の現し。
突然背を温める光。
足元から伸びる大きな影。
振り向かずともわかる、太陽の顕現。
その瞬間だった。
東の旭が西の本殿の鏡を照らし_____
私の鈴が大きく世界に音を奏で_____
同時に鏡が、ギャンと震えたと思えば__
足元の
その中の
引きずりこまれた。
最後に視えたのは、
不思議な空間、水のような鏡の流動、
そこに映る、多分別世界の風景、
それらの集合体の中を落下していく。
とにかく眼を向けるは、
目の前を揺蕩う一本の赤い糸。
即ち、ゆかりと紡さんの縁である。
この縁を
体を
邪魔するように張り巡らされた数々の
なおゆかりちゃんは私にしがみついてもらっている。
片腕は本当に不便だ。
切り捨てる。
ユイが助かった世界も、
私が逆に死んじゃった世界も、
クロも助かった世界も、
ユイの両親も笑顔の世界も、
私に腕が揃ってる世界も、
こともにも目が揃ってる世界も、
あの悲劇がそもそもなかった世界も、
ありとあらゆる別界を、
ありとあらゆる結果を、
ただひたすらに、ひたすらに、
なんで?
あなたはこの世界で
なんで?
あなたはこの世界で
なんで?
ユイはこの世界で生きてるよ?
なんで?
アレにも会わなくて、クロも生きてるよ?
なんで?
あなた
............。
鈍い胸の痛み。
自己犠牲なんかじゃない。
あの時の選択を、何十も、何百も、
夜が来るたび悔いは襲うけど、
それでも、後悔はもうしないから。
覚悟はある。
決意もある。
わかりきった答えだってある。
もう知ってることなのに。
絶えず自問し続けている、その言葉。
でも_______なんで私が_______
「駄目だよ。」
お腹がキツく締まり、
固くなった呼吸が、無理やり捻り出された。
思考が途切れさせられ、
咳き込みながらゆかりを見る。
「駄目だよ。」
「ヒェッ」
変な声が出た。ヤバい。
あの転校生騒動の時に顕現した鬼がいる。
トラウマが蘇る。
絶対零度の視線。
体からただの人でも見えそうな程の覇気。
オーバーキルレベルの論理、
心理武装による心の粉砕。
何故かハァハァしてた人もいたけどそれは無視。
隣で聞いていられませんでした
心なしか背中が湿って、視界が滲む。
「ハルの過去に何があったかは知らないし聞こうとも思わないけれど友達として過去のことを後悔して死なれちゃあ私との交友すらも軽く思えて滅茶苦茶苛つくしへえユイって子を生きてる世界に行かせる?つくづく人の命をなんだと思ってるのかしらその時の選択を変えたりしたらその時進んだ先の人や物命の価値ありとあらゆる出来事が全てただの夢幻扱いじゃないふざけんじゃないわよその時の選択を無碍にするとは本当に呆れて反吐も出ないわ何も知らない私だけど言えることはただ一つあるわよ。
人の命を賭けた本気の決意を馬鹿にするんじゃないわよ!!!
大声。世界の狭間に響き渡る。一つの幼き想い。
涙が出る。嬉しい方のだ。
つまり、そういうことなんだ。
私がそれに手を伸ばさない理由。
選んでしまったら、
あっちでユイに怒られてしまうだろうし。
あの時の私と、ユイを、クロを、チャコを、沢山の命とその想いを、幻想に、無駄にしてしまうその行為。
私自身が許せない。
例え、別の結果があっても、
そこに確かな
過去は、確かに後ろで在るのだから。
私は、私と皆で、目指す未来を、世界を選んでいく。
それを汚し、未来を簡単なものとするなんて、
もう、いやだッ!!!
音は無かった。
それでも、確かに。
刃は通った。
お待たせしました。
テストは終わりましたが心がまだ死んでます。
赤黒い巨大な裁ちばさみを研いだり油を塗る少女(時々話しかけてる).....
何故か西方にある神社本殿....
世界(との縁)すら切れるヤバすぎる神の権能...
遂に判明したゆかりの怒りの恐ろしさとクラスメイトに変態がいること...
うんまあ、ごめんなさい。
プリヤのノベライズ版が1、2巻しか無くて絶望した。
漫画はうちの図書室注文できないんすよ...
ノベライズ版復活しないかな....
しょうがないので借りるか古本買うかしますわ。
っていうかなんで美遊メインの二次、少ないんですかねえ?全部大好き過ぎるからもっとちょうだいイイヤツ。
クライマックス間近なので構想練りに時間かけますつまり遅くなります。
ハル達がいる街を含む、この世界のオカルトへの関心を掲示板形式で書きたくなったのだが需要ある?
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ある
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ない
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そんなことより続きはよ
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ハルちゃんprpr