半刻が過ぎて、
今一度、昔々の物語、
ここに咲くは、二輪の花。
鈴神ゆかりは焦っていた。
音が瞬き、世界に色が戻った時、
ふと意識が戻れば、この洞窟に立っていた。
時を辿るつらら状の石が連なり、
低く丸い台を重ねたような段々を、
地下水がサラサラと流れていく。
こういうのを鍾乳洞と言うんだっけと思いながら、
改めて直視しようと目の前の境界を睨みつけた。
そこには、この綺麗な鍾乳洞に、無理やり
岩壁から突き出る折れた循環パイプ。
サビや凹みだらけの運搬コンテナ。
危険を促す看板や塗料、ライトが散らばり、
線路跡や、キャタピラ跡?が奥へと続いている。
『この先_____』
この先、繋がっているであろう神域。
そこから漏れ出る気配は、
まだ短い人生ながら、
一度も感じたことのないほど濃密なものだった。
境界にすら踏んでいない。
この場所ですら、はっきりと感じ取れる。
すずなり様の澄んだ神力とは違う、
少し澱み始めている廃れの気配。
恐ろしい。
怖い。
気持ち悪い。
だけど。
息を吸って、吐いて。
強く鈴を握って、
確かに
鋏を浅く握って、
ハルの無事をただひたすらに祈って。
強く、強く。
一歩を。
慌てるな。
気を強く持て。
ゆかりにはすずなり様がついている。
お前が成したいことはなんだ。
お前は儂の立派な孫だ。
友達は大切にするんだよ。
変な目の色。
外国人ー?
へんなの。
おかしいねー。
ぼーっとして何見てんの?
これだから、■■は....
おかしいやつはおかしなことしかしないんだね。
そんなのいるわけ無いじゃん。
いい加減にしなよ。
病院行けば?
ねえ、あなたの名前は?
ゆかりって言うんだ!
へー。紫色っていう意味なんだ。なんでー?
本当は
珍しいね、良い名前だと思うよ。
人を繋ぐ運命の糸。ちょっとキザったらしいかな?
いってぇ! おいつむぐ! 抓るな抓るな!
あーお兄ちゃんったらゆかりに鼻なんか伸ばして!
手ぇ出したら承知しないんだからね!
チビッコに手なんか出すわけねえだろ!
ちゃんと寝れてるか?
ま、お前んちの忙しさは知ってるからな。
いつでも俺たちの家に来いよ。
いつでもいいよ!
変なっ、影みたいなのにっ、追われ、れてッ!
___もう大丈夫。おじいさん?
チッ__
三次元空間歪曲。
事象現実の局地的改変。
陰陽、時刻、場所。
運が悪かったな賀神の嬢。
隙間を抜けて、やつが一瞬顔を出しやがった。
結界の再構築は完了した。
さっさと家に帰りな。
____もう、お父さんったら...ごめんね? つむぐ。
グスッ....エグッ...こわかったぁあ.....
____もう大丈夫。もう大丈夫だから。
.........っ。
____しょうがないなあ。
______....はい、お守り。
リーン...
.....え、
これ、大切なものでしょ?
ゆかりちゃん言ってた。
売ってる鈴より凄いものだって。
そんなの渡したら、ゆかりちゃん怒られちゃうでしょ?
いいんだよ。
おじいさんが言ってたんだ。
"本当に守りたいと思った人に渡しても良い。"って。
それが、今。つむぐなんだよ。
ありがとう。ずっとずっと、大切にする。
うん、すずなり様は、絶対守ってくれるよ。
そうだよね。すごい神様だもんね。
私だって知ってるもん!
本当は、あの時、
すずなり様が大きく鈴を鳴らしてくれたんだ。
でも、私は動けなくて、
目の前のお兄ちゃんが駆け寄って来るのと、
その後ろに迫ってくる車が交互に見えて。
そしたら、誰かが体を強く横に押しくれたんだ。
だけど、咄嗟に、お兄ちゃんの手を掴んじゃって、
頑張ってくれたんだと思うんだ。
無理をしたんだと思うんだ。
現に鈴は黒ずんでぐちゃぐちゃで。
私だけが助かっちゃった。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさいっ。
ごめんなさいっ。
ごめんなさいっ!
なんで、なんで、
私だけが_________
はじめまして、
片腕なの。こわく、ないの?
_____一歩を踏み出した。
空気が、更に湿り気を持つ。
ただひたすら、鈴の導きを辿り、奥へと進む。
あの時から、紡との縁は遠くなった。
心に残った棘は、計り知れないほど同じで。
それを隠すように、片方は
もう片方は
性格は、真逆に蓋をして。
私は今まで生きてきた。
そうやって数年たって、その偽りの私が、
いつの間にか本当になれたとき。
ハルと出会ったんだ。
挙動不審。
揺れ動く視線。
かと思えば停滞する動き。
突然の涙。
抱きしめているナニカ。
出会い、そして隣の席で過ごす彼女は本当におかしい
誰もその気に
私も、最初はすわ厄ネタかなと、引いて横目で見ていた。
だけど、なんでか、
ほっとけなかったんだ。
まるで
声をかけちゃったんだ。
ふふっ.....
思い出して反射的に顔の骨格が上がる。
そしたらあっという間にクラスの不思議系マスコットに昇進。
私の心配がまるでいらなかったようじゃない。
ずっと、ハルに、紡の影を重ねていた。
ずっと、紡の代わりにしていた。
魁兄を助けられなかった罪滅ぼし。
未だ紡の手を取れない罪悪感。
ねえ、ゆかりはずっとなにをこわがってるの?
わたしより、こわいの?
____うん。
大丈夫。
わたしがいるから、何時だって助けになるよ!
____なんで? 助けてくれるの?
え? だって_____
友達だもん。当たり前でしょ?
その思いは優しくて、
視つめた瞳の奥には、深い深い決意が燃えていて、
怖くなった。
私にその友達たる価値があるか。
ハルは、あると言うだろう。
でも私には、わからない。
坑道を進めば、
空間が歪んでいく。
どうしようもないほどの悲しみと欲求の生霊の怪異が、私の行く手を遮る。
返して返して返して返してててててて
まだ諦めたくない諦めるなんて諦めるなにをなにをすればばばばばば
鈴を一振り。
リーン...
サッと走る糸の通り怪異を避けて、後ろ手で『閃光玉』。
強烈なフラッシュ。
上がる悲鳴。
彼らの元は同じ人間。
生霊故に生理現象は色濃く残る。
狙うのはそれだ。
鋏を使えるのは多分一度だけ。
あの空間で渡されたときから、みかがみ様とは違う、
恐ろしいナニカが私を見ているのを感じている。
あれが、多分、ハルから聞いたコトワリ様という神様なのだろう。
やっと会えた会えた会えた会えた会えたたたたた
糸が赤く染まって______横っ飛びに跳ね、
指の間から閃光玉を落としながら回避。
チラと振り返れば空間の歪みが坑道を埋め尽くさんと迫って来ている。
___危なかった。糸のおかげで奇襲に対応できた。
鈴をしっかり握って、走る。
まだ止まるわけにはいかないんだ。
空気が濃くなってくる。
呼び声が洞窟を反響する。
生霊が世界を歪ませる。
糸だけが、道を知っている。
だけど。
なんでか、
この先を知ってるような気がするんだ。
へへー。ここが私ん家が秘密にしてる場所だよ。
水がキラキラしてて、綺麗でしょー?
あちこちに変なライトがあったり、
この先? そうそう! でっかい湖があるの!
と言っても近づけなくてねー。
これが縦の穴の一番奥にあるせいで、
降りることができないんだ。
まあ、鏡みたいで面白いから見る価値あるよー?
元々私ん家が掃除してた神社が湖を渡った先にったらしんだけど、これもちかくへんどう?ってやつでどこかに行っちゃったんだってー。
たしか家に神社の古い写真があるのを見たことあるし、後で持ってきてあげる!
あ"ぁ"!?
お父さん! メンチを切らないの!
チッ、その時かっ、
幸い目を
それでウチの娘はオマケレベルで考えてやがるなッ...!
それはそれで苛つくが、今回は運が良すぎた。
記憶を介した
だがお前は......あのレベルの神の目を欺くにはそれ相応、未だ現存してる中で繋がりは少ねえぞ。
いやでも、いや、あの糞ジジイに恩売るのは.....
お父さん、友達の娘の命とそのちっぽけなプライド比べてないで早く頭下げてきなさいよ!
ああもうわかったわかった!
安倍の穏形術に頼るっきゃねえ。
縁は処理を済ませればある程度大丈夫だと思うが、
帰って来て俺がいいと言うまで決してこの家を出るんじゃねえぞ!
賀神の嬢は特にだ。
こなくそお前らは本当に面倒毎ばっか持ってきやがって....
..........。
ああ、なんだ。その、あれだ。
安心しろ。お前らは必ず、守ってみせるさ。
意外と早く書けました。どうも私です。
伏線回収がツライ。
されど負けずネタを積んだ結果こうなった。
どうして...(現場ネコ)
縁のお父さんは好みをかき集めた結果の産物。
口下手系ほっとけないおじさん(仮)。
今頃糞爺めえ!と叫びながら借りの対価を返してるところなんでしょう。しかし安倍の好々爺はただで返すわけもなく精神と時の部屋(迫真)に叩き込まれたお父さんの命は如何に!
あ、お父さんは典型的無限進化するなろう主人公です。
可愛そう(鼻ホジ)
縁ちゃんの記憶はフラッシュ済み。
記憶消去は主人公の嗜み。オプションですね。
紡ちゃんはピーチ姫スタイル。
もうちょい怪異や神々に危機感持とうよ巫女の末裔。
ハルちゃん? まあ原作が転校する何日か前なわけで、心の傷はまだ表に出たまま。仕方ないね♂
生霊の怪異の皆さん。
世界を超えた願いの代償に色々狂っちゃった人達。
でも大丈夫! 断ち切り鋏さえあれば一発で現行きです。副作用は魂の消耗ぐらい。安心だね()
アイテム、閃光玉。
おじいさん手作り。
殺傷能力は無いが兎に角眩しくて
低級の霊なら成仏直行もの。
聖なる光が目を焼きます。
とある用事で何泊か遠出するので遅れます。
感想と評価よろしくお願いします。
ハル達がいる街を含む、この世界のオカルトへの関心を掲示板形式で書きたくなったのだが需要ある?
-
ある
-
ない
-
そんなことより続きはよ
-
ハルちゃんprpr