深夜廻・廻   作:色龍一刻

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人が想う、一時の物語。

左腕が遺した、最後の幻想。


15・それ二廻り 巡り

湿っているような金属音が響き渡る。

 

殺意や害意とは違う、

ナニカが背筋を伝う感覚を頼りに、

地面に飛び込むように避けることこれで三回。

 

もう身体中煤と埃と砂と泥だらけだが、

なんとかあの重くて大きい鋏を落とさずにここまで転がってきた。

 

足の痛みが酷い。

 

冷たい筈の水に触れていても、焼けるように捻転部が悲鳴をあげる。

 

それでも、()()()()()()()()()()()を辿り、

 

この狭い()()()()()()()()を、我武者羅に進み続ける。

 

 

 

風が響く。

 

空気が揺れる。

 

 

鋏の音が響くたびに、生霊とナニカが断ち消えていく。

 

 

切っても、切っても、その猛りは、私に向いていて。

 

()()()()()

 

この気配も、ハルと出会える縁となるから。

 

怖くても、恐ろしくても、

 

今は前へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレ?アレアレアレアレ?アレアレ?

 

 

どこにいるのかなーあそこかなーこれかなーなーなーなー

 

 

 

■カエセ█■██■かえしなさい■███■█あぶないから■■

 

 

 

 

軋み、悲鳴をあげる洞穴、

壁のひび割れから溢れ出る狂った生霊たち。

そのすぐ横をすり抜け、前へと進めば、

次々と車に轢かれるようにコトワリ様に消し飛ばされていく。

 

 

心臓が煩い。

 

一つのことしか考えられない。

 

生霊のことなど意識から消えていく。

 

 

 

もう少し、

 

もう少し、

 

空気は暖かく、乾いていくように。

 

時は遅く、満ちていくように。

 

ああ、もう少しで、

 

ハルと会えるのがわかるんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁は切られ、

 

業は切られ、

 

悪しき定めは断ち消えて。

 

今まさに、

 

やっと、

 

あなたたちの手がとどく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、坑道の壁が爆発______

 

 

 

ゆかり!!

 

 

ハル!?

 

 

 

砂煙と共に飛び出したのは、黄金の髪の少女。

 

紅い糸が周囲を漂い、ゆかりへと穂先を伸ばす。

 

 

_____最後の生霊が断ち切られた。

 

 

突然の再会と無理矢理すぎる合流に驚きつつも、

体は止めず、ハルのもとへ走り切る。

 

黄金の少女は、2、3回転がって勢いを殺し、

逆の壁を蹴ってゆかりへと跳躍した。

 

 

_____迫るのは、黒靄の手々の異形。

 

 

 

___大丈夫だった?

 

___へっちゃらだよ!

 

ハルは無事に一安心したのか、

少し顔を綻ばせ____頭を振り、

コトワリ様に体を向ける。

 

 

 

_____暗がりでも輝く、血の鋏は開かれて。

 

 

鋏返すね。

 

うん。ありがとう。

 

____.....っえ!?

 

 

それを受け取った()()

 

 

 

 

 

無いはずの左腕だった。

 

 

 

 

 

 

______ジャキンと_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁は切られ、

 

業は切られ、

 

悪しき定めは断ち消えて。

 

今まさに、

 

やっと、

 

あなたたちの手がとどく。

 

 

 

 

 

 

 

 

新たな縁を結ばれ、

 

 

願いは縫われ、

 

 

白き心は繋がれた。

 

 

過去の後悔を、

 

 

抱えて、絆いで、

 

 

手をとった。

 

 

 

 

 

 

その左腕は_______

 

 

 

 

 

神と人が選んだ、

 

 

願掛けたる象徴であるのならば。

 

 

この奇跡は、

 

 

一時の現と相変わる。

 

 

 

 

 

 

 

_______閉まることは、なかった。

 

 

 

 

 

 

「この左腕は、ユイが遺した幻想で。

 

 すずなり様が、繋いでくれた。」

 

 

糸が左腕から溢れ出す。

 

真っ赤な、真っ赤な糸が。

 

 

「死んだ人は、もういない。

 

 逢えることもなく、気づくこともできない。」

 

 

糸が、二人の少女を双刃の間に残す、

コトワリ様を包み込む。

 

 

「だけれども、すずなり様と、ここの神様は、

 

 一度きりの、奇跡をくれた。」

 

 

別世界のユイ。

 

別世界のわたし。

 

糸は、いろんな世界を写している。

 

 

「会えない人とは違うけれど、

 

 思っていることは同じでさ。

 

 共鳴するように、ユイに力をくれたんだ。」

 

 

 

歪みじゃない。

 

死者でもない。

 

ユイとお別れして、

 

"ユイ"と出会った。

 

 

「お願い、コトワリ様。

 

 悲しすぎるほど、心に秘めた願いを叶えようとして、

 

 "今"を捨てようとするゆかりの友達を助けることを。

 

 手伝ってくれませんか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再度、承知した___

 

 

 

 

 

神が、光へと融けて。

 

糸を伝い、左腕へと満ちていく。

 

 

鋏は、更に大きく、更に紅く、

 

神如き、その強大さを取り戻す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はハル。

 

 

ダムの底に眠りし縁切りの神。

 

 

かの柱に選ばれし、

 

 

 

唯一の巫女である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの願いはなんですか?

 

 

 

私の願いは、もう叶っているよ。

 

 

 

 

 

 

 




大変お待たせいたしました。
左手を剥離骨折していました。
これは縁なんだろうか。(白目)
まあ、右手でポチポチ出来るので大丈夫です。
次回も遅れると思います。

ぶっちゃけ全体的に左腕使えない感じがハルの生き方を実感できて面白かったりする。(ポジティブ)

ハル達がいる街を含む、この世界のオカルトへの関心を掲示板形式で書きたくなったのだが需要ある?

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  • そんなことより続きはよ
  • ハルちゃんprpr
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