深夜廻・廻   作:色龍一刻

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紅い糸が、空を舞う。
銀の燐光が、天を流れた。




16・ただ三廻り 万華鏡

 

 

あの夜。始まりで、終わりでもあった夜。

最後に渡されたのは、私の左腕だった。

 

 

_____これ、還したかったんだ。

 

 

それは悲劇の象徴だった。

 

それは約束の証だった。

 

目頭が熱くなって、また、空を見上げてしまう。

 

それでも、この綺麗な夕焼けは_______ああ、

 

 

ああっ、泣かないの! 

ごめんね、わかってるつもりだったけど、やっぱり辛いよね。

 

 

滲んでゆく景色を、振り払って、前を向く。大丈夫だと。

 

 

この腕はね。私の遺体と共に見つかっちゃったんだけどね。

()()()()()()()があの山にこっそり埋めてくれたんだ。

 

なんか儀式とか呪文とか唱えたらね。何でか私の残りと一緒に残っちゃった。

 

 

 

『そういうことか。

 安心しろ勇敢だった嬢ちゃん。

 お前さんの親友はこれからも必ず守ってやる。

 俺らの仲間がよ。』

 

『まあ、生き残れたらって感じですけどね。

 アイツは彼女らのお陰で弱ってるとはいえ、

 犠牲は想定内ですよ。』

 

『馬鹿。そこはカッコよく断言しとけ。

 ()()だろうが。』

 

『ここまでお膳立てされちゃあ、

 死ぬ気で頑張るしかないっしょw』

 

『隊長。残留思念の固定及び

 霊体化した左腕の保存術式安定化、

 完了しました。』

 

『よし、いっちょ大仕事だ。

 神殺し、わくわくするねえ。』

 

『いつだって俺らは命懸け。

 信念が全てで生きている。

 一つ、覚えててくれよ。

 ここに、カッコよくてカッコ悪い、

 意地汚い大人達がいたことを。』

 

『違いねえ。』

 

『隊長カッコつけすぎwwww』

 

 

  ははははははははははははwwwwww

 

 

『よし! いくか!』

 

『せーの。』

 

『デッデッデデデデ!』

 

『カーン』

 

『しまらねえなオイ!』

 

『何で最後ネタに走るんですかねぇ...コレガワカラナイ』

 

『wwwwwwwwwwwww』

 

『さっさといくぞ! 町の住民が来ちまう。』

 

『わかってますよ。』

 

『しまっていこう!!!』

 

 

 

『おおッ!!!!!』

 

 

 

 

___頑張れよ、見知らぬかわいい少女ちゃん。

 

 

 

 

 

 

あの場所から、少しずつ離れていく"大人たち"。

 

ボロボロのお地蔵、その奥に隠された、洞窟へと入っていく。

 

彼らは、多分....

 

 

 

 

_____うん。大丈夫。 わかっていたことだから。

 

 

 

そして、

 

 

 

そして数日が経って、あの山に雨が降ったんだ。

 

ぴちょん、と。

 

タオルを伝ったその音は、

 

"大人たち"が遺してくれた()()()を破って、

 

私が遺してしまった、遠い遠い幻想を、

 

拾おうとしてくれ(しちゃっ)たんだ。

 

 

 

 

 

もう一度会えますよ?

 

 

 

 

 

鋏の音が聞こえたと思ったら、

 

私は、ハルに会えてしまっていた。

 

ハルのすぐ隣にいてしまった。

 

ハルの声を聴いてしまった。

 

ハルの悲しみを、また知ってしまった。

 

ハルの決意を、揺らがしてしまった。

 

 

私は、ユイだ。

 

でも、もう"ユイ"でしかないのだ。

 

ハル(人間)のように、進むことの許されない永遠の幻想。

 

だけど大人たちが、私に約束(決意)してくれたように。

 

 

 

私だって、もう一度、

 

 

ハルの、私の、大切なものを、

 

 

今度こそ、

 

 

守ってみたい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん。わかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴の音が、遠く、全てを震わすように、響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はユイ。

 

 

銀の"手"を失いし縁結びの神。

 

 

かの柱に選ばれし、

 

 

 

紅き幻想である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの願いはなんですか?

 

 

私の願いは、今まさに、叶ったよ。

 

 

 

それは、よかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルは()()()()()

 

 

この洞窟に揺蕩う、無数の縁。

 

銀の燐光と、紅い糸が、左腕から舞い上がる

 

 

「行くよ。ゆかり。」

 

「う、うん。」

 

へたりこんでいるゆかりの手を握る。

 

そして、

 

ただひたすらに、ただひたすらに、

 

吉縁を束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、束ねて、______________

 

 

 

収斂の彼方。その頂は、

 

 

可能性(運命)をも、凌駕する。

 

 

 

 

 

一歩踏み出した瞬間、

 

()()()()、みかがみ様がいる方向であろう壁が砕け散る。

 

 

「え"。」

 

 

 

二歩踏み出せば、

 

()()()()、二柱の影響で歪んだ空間の膜が、彼女らをみかがみ様のもとまで道を繋ごうとする。

 

 

「え"ぇっ」

 

 

三歩目は______

 

濁流の如く押し寄せる凶縁(生霊)を_____

 

 

 

全て叩き斬る(もういやだ)っ!!!

 

 

 

 

 

ジャッキン

 

 

 

 

 

一刀両断。刀ではないけど。

 

 

 

「ゆかり、閃光玉!」

 

「は、はいぃ!」

 

前方へ投げ捨てられた強烈なフラッシュから、ゆかりの目を鋏の影で守る。

 

 

さあ、光の縁を紡ぎ視ろ。

 

 

視れば、わかる。

 

 

 

 

 

みかがみ様。

 

 

 

 

 

それは、

 

鏡合わせのように、

 

世界と世界(パラレルワールド)を繋げていて、

 

一つ一つに色とりどりな人間(私達)が散らされて、

 

シャリン、シャリンと、姿形を変えていく。

 

いろんな()が、私達の世界が、

 

くるりくるりと廻っている。

 

 

そう、それはまるで、

 

万華鏡(カレイドスコープ)のようで、

 

とてもきれいな_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁっえ?」

 

 

「ッ!」

 

 

意識が、飛んでいた。

 

紅い糸(因果)が歪む。

 

その瞬間に空間(鏡面)の狭間から反射された閃光の欠片を幻視し、"当たる縁"を切り飛ばす。

 

ジッと概念体であるはずの糸が焼け落ちる音を聞きながら、

 

旧鏡面湖(みかがみ様)へと続く縦穴に、落ちる。

 

 

「ゆかり、大丈夫!?」

 

「だだだだだ大丈夫っ!こんなのただのジェットコースターよ!」

 

余裕そうである。

 

 

このままハルは、自然落下に体を任せ、

空間の狭間(ギャップ)と反射光線の処理に尽力する。

 

 

「あゔぁばばばばばばばばば」

 

「ほ、ホントに大丈夫...?」

 

 

因みに、

握り合っている右手(ハル)左手(ゆかり)を、

因果収斂(運命)の糸でぐるぐる巻きにしてあるので、

離れることはありえない。

 

 

 

 

時に、クイックブースト。

 

時に、インサイドループ。

 

時に、結んだ空間(結界壁)を蹴り落ちる。

 

 

風切り音とは違う、

空間(世界)焼き撲(拒絶す)る音を傍目に、

下へ、下へと。

 

 

「ハルッ!」

 

 

「ッ!!」

 

そして二人は、

そのまま水面に突っ込んだ。

 

 

 

衝撃を殺す。

 

息もできるように。

 

兎に角深い縦穴の地底湖だ。

 

光は無い。

 

真っ暗な世界に、白い光が漂っている。

 

 

 

クルナ

 

 

 

薙ぎ切る。

 

爆ぜた光が、音を創る。

 

 

ほう、上で煩くしていると思いきや、二人か。それも中々の_____断ちびとか。なるほど、血族も思い切ったことをする。

 

 

 

ゴメンネ

 

 

横切る。

 

またも、

 

 

私の"後悔"は一段と醜いな。自分で祓いたかったものだが、もう難しいことだ。縁切りの巫女よ、感謝する。____時が満ちるのは早い。人の身を捨てたからか、時間の流れに鈍くなっているのかもしれん。

 

 

 

アアアアアアアアアアアッ

 

 

叩き切る。

 

 

____街の鏡面より見ておった。まさか、お前たちが来るとは。我々の力不足故に、こうなってしまっている。本当に申し訳ない。

 

 

 

生霊では、もうないのだろう。

長い時の中で、彼らは肉体から離れすぎた。

 

 

切る。

 

 

そう悲観するでない。ハルさん。我々は自ら肉体を捨てたのだ。肉体を力に還元し、その時が来るまで私達の意思と記憶を残す。ただ、それだけだよ。

 

 

 

切る。

 

 

あらあらあら、まあまあまあゆかりちゃんじゃないの! 覚えてる? ひいおばあちゃんですよ。まだ産まれたばかりだったけど。

_____怖い思いをいっぱいさせちゃったねえ。ごめんねえ。

 

 

ゆかりのひいおばあさん。

 

鈴神家で飾られた、天井付近の写真の数々。

 

それは、つまり。

 

 

 

「.....」

 

「おじいさん、おばあさん...。もしかして、ご先祖様たち?」

 

 

 

左様。

 

 

 

数多の光が、彼女たちを包み込んだ。

 

 

 




特殊タグが上手く働かなくて、
これ以上投稿遅らすのもなーと、
運営さんに対応してもらったら自分のミスでした。
軽く死ねる。



・topic.1 【みかがみ様】

みかがみ様の権能の原案として、
『平行世界の観測』『願いを引きつける』
という設定がありました。
では、みかがみ様の神器はどうしようかと、
解釈的に合いそうな物を探してたら。

『平行世界の観測』
 →見る、覗く。
『平行世界』
 →イメージ『鏡合わせの像』
      『その中に写る異物』→可能性のゆらぎ
『願いを引きつける』
 →『光の無限変化、可能性の具現化』

 = 万華鏡じゃねえかこれ!?という回答です。

まあ、調べてる最中カレイドスコープ繋がりでプリヤを発見しちゃったわけですけど。



・topic.2 【覚醒ハルちゃん(仮)】


運命を凌駕するレベルで、
縁理を操作する術を手に入れたハルちゃん。
器として最高最良だけど、やり方は無理矢理。
理由としてユイの方の時間制限。
ハルの方はそういうのは撤廃されていますが。
"ユイ"の縁から幻想(燃料)を出力してるとはいえ、
ユイの本当に最後の残りモノが摩りきれる前に決着をつけないと、
因果と反動で肉体バラバラ+魂が縁と世界と言う膨大すぎる情報に押し潰されて消し飛ぶというバットエンド。

仕方がないの。
ユイちゃんの残留思念、ほぼ使いきってるのを他のユイちゃんから無理矢理供給してもらって水増ししてるの。騙し騙し状態での無茶苦茶。
まるでジャンプ系主人公のようだ。(白目)

もちろん、
そうなればコトワリ様、
すずなり様も権能の暴走で自滅します。
権能の効果を拡張して、シンクロ率が高いことをいいことに出力増強しているから、
平行世界から供給される半無限エネルギーをなんとか調整しているハルちゃんが消し飛べばそりゃあ、エンジン大爆発よ。


簡単に言うと、
平行世界から縁結びでエネルギーを抽出、
悪影響のもの(別世界のハルやユイの悲壮後悔殺意etc)
を切り捨て、
良いものだけを強固に繋ぎ止めてエネルギーを受け取っています。
しかしながら、エネルギーを誘導する触媒がこときれそうになってるわけで、時間制限あり。
なおハルちゃんだけでエネルギーを操作しようとすると、莫大な情報で魂ごと叩き潰されます。


なおこの無茶苦茶は、世界や現実が曖昧な今しかできません。世界を隔てた縁結びなんて一介の神にできるわけないだろいい加減にしろ!!!

可能性の獣? 知らない子ですね.....



期末テストなので今しばらくお待ちください。

ハル達がいる街を含む、この世界のオカルトへの関心を掲示板形式で書きたくなったのだが需要ある?

  • ある
  • ない
  • そんなことより続きはよ
  • ハルちゃんprpr
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