未だ昼過ぎて、
夜はまだ遠く、
聴こえ始める。
宵のざわめき。
うるさい目覚ましが薄い壁を突き破って隣から聞こえてくる。
夢を彷徨っていた意識がこの部屋に戻ってきて、
ああ、朝が来た。
少し頭痛がする。
重心が変わり、悲鳴をあげるゲーミングチェアを酷使して、自分の部屋を見渡せば、デスク、パソコン、スマホ、ノート、酒酒酒酒酒、つまみ、古本、新聞....
まあ、いつも通りの汚さだった。
パソコンに立ち上げられままのブラウザに並ぶ、
電子掲示板に打ち込まれた嘲りに苛立ちながら、
マウスを動かしログを辿る。
毎夜の情報収集は時々起こる口論の末、
こっちの寝落ちで決着がついたようだ。
流石に睡眠時間2時間を3週間弱続けたのは厳しかったのかもしれない。
ぐちゃぐちゃのメモ帳と成りへたカレンダーとスマートフォンの日付を比べ、26時間のロスと体の怠さに渋面を作るしかなかった。
流石にまる一日寝たのだから酔覚めの頭痛は納まって欲しい。
そう思いながら上司に電話をかける。
「すいません、寝てました。」
『19時半。あーもうちょい寝てればお前の奢りだったのになあ。残念だ。』
『先輩起きたんすか?! やった部長の奢りだ焼肉ぅ!』
賭け事かいな。
「......ちなみに内容は?」
『正午過ぎたらお前、過ぎなかったら俺の奢り。』
まる一日空けたのに対処が優しい。
「お情けをありがとうございます。」
『前から言ってるだろ無理するなと。お前がなにを焦ってんのか知らんがノルマは熟されてるわけだ。別に怒らんよ。』
気まずい。
「.....焼肉はちょうと胃にキませんか? 内臓がへそを曲げてるっぽくて」
『焼肉無理だと! もうちょと上品なモンに変えろ!』
『うぇえええええええええ!?!?』
『うるせえ!』
部長、あなたもです。
『どうせ酒かエナドリでもキめて虐めたんでしょう?懲りないわねぇ。』
『バイタルセンサからの覚醒時自動バイタルチェックのデータ受信を確認。呼吸音...覚醒直近を考慮すれば正常と判断。心拍...平常時と比べ15オーバー。要検査項目と確認。血圧...覚醒直近を考慮しても低下しすぎています。要検査項目と確認。旭様のGPSデータチェック。これより神野宮宅へ急行します。部長、許可を。』
ヒェッ
『うむ。許可する。』
「部長!?」
『諦めろ旭君。』
酷い目にあった。
味がめちゃくそ薄い朝ご飯と顔面ぶっかけ消毒液はどうしても身に堪えるものだ。管理厨許すマジ。
皿洗いの音が響く玄関扉を閉め、
...美人なんだけど、
やっぱいけ好かんわ。
「旭様。目薬をどうぞ。」
「コンタクトで良いだろ。」
「術式の安定稼働期間を6時間ほど過ぎています。"眼"の保全を考慮し抑制剤の使用を推奨します。」
気づいてたか。
「へいへい。」
受け取ったそれの、
キュプリと蓋を開けて、青白い目薬を垂らせば、
視界に広がっていた日常は、
普通の非日常へと変わってゆく。
目の奥の熱さが断ち消え、脈動が少しずつ薄れていく。
「この感覚慣れん。やっぱ眼鏡欲しいわ。『見鬼の人』みたいなの。」
「調整含めて160万ほどなりますが。」
「やめやめ。下っ端には厳しい。」
「早速ですが依頼が来ています。貯めていた分の一つなので拒否は不可。お受け下さい。」
「げっ....詳細。」
「■■町で発生している神隠し案件に巻き込まれたお子様の発見と援助。だそうです。」
発見はわかる。
「援助ぉ? 連れ戻すとか保護とかじゃなくて?」
「はい。援助です。」
まーた、めんどくさい話になっていきそうだ。
毎度とはいえ、つくづく人使いが粗い。
「依頼主様が直々にご相談にいらしています。お忙しい身のようですので早急のご決断を。」
「と、言っても強制だろ? 受けるよ。」
「声紋照合完了。
「了解。」
地域の事務所で依頼主と対面を取り、
依頼の詳細を聞く。
まだ涼しい朝時、依頼主は、
職場へと向かう前に来た雰囲気の、
ザ、エリートらしい大柄の男性だった。
娘に持たせた携帯電話に内蔵させた、
高性能GPSが、探知できなくなった。
依頼は、そんな話から始まった。
貯金の数割を切り崩し、
入手した探知機がエラーを吐いた。
断りを入れて、職場から飛び出し、
____かかってきた電話口を、開いた。
お前さんの言っていたように、
お前の娘さんには自由にさせた。
...さっさと帰ってこい。
一発ずつ殴り合おう。
本当に、すまない。
どこまでも、俺たちは無力だった。
____何も言うことは無かった。
履歴には、たった数件の娘からの着信。
そこに、なにも、助けを呼ぶものは無く。
ただ、ただただ、心から無性に、
泣きたくなったのだ。
午前9時。その街へ向かうために準備しながら、
さっきまでのことを思い出す。
『迷惑をかけます。』
馬鹿言え、わかりきったことだわそれは。
こっちは
遺書だって両手に数え切れないほど書いてきたわ。
『ついて行かせて下さい。』
ついてくるのなら、命の保証は無い。
前金は貰ってるから、その分の働きはするがな。
『ありがとう。』
どこまでも、無骨で凡庸な社会人でありながら、
どこまでも、誠実で不器用な依頼主だった。
言ってしまえば依頼だって不器用過ぎるものだ。
こんな依頼じゃ同じ"運営"の事務所でも断る所は断るだろう。
だけどな。
_____あの時、あの夜のことは、
俺が知らなかったうちに終わってしまっていた。
いや、違う。
俺は目を逸してたんだ。
あの町の真実。夜の姿。
幾らでも情報は揃っていた。
俺は恐怖していた。
後悔していた。
娘は、腕と友達を喪った。
取り返しのつかないことだった。
だから、今度こそは。
ああそうかい。後悔はするなよ。
_____俺の娘を、
あたりめーだ。
どこまでも、彼は、私が好みとするタイプだった。
ただ、それだけだ。
あ、あと。
「あ、部長。さっきぶりですね。
時間がないのでさっさと本題入りますが、
■■町区域担当の亜空間研究員『黒鉄』発案の、
D11棟A型実験室で行われていた客観世界構築の最終施行、参加者リストに二人、ぶち込んどいてください。
よろしくお願いします。では。」
ガチャン、と、金属同士が擦れ、嵌り、機械仕掛けが駆動する感触を確認する。
手に持つ長年の相棒は、緊張と闘志で熱く、さながらカイロのように淡く熱気を纏っている。
それは幻覚だ。
もう一度しっかり握りこめば、
それは冷たく、いつも通りのにび硬い感触。
行くぞ。
ああ。
掲示板では、スレ住人が騒いでいるのを流し眺め、苦笑しながら、歩き出す。
捻じれ狂い始めた空間の狭間から漏れ出る神気に、
ナニかが胃から込み上げるが、
再度無理矢理気合で胃に押し戻し、
調合してもらった薬を呑み下して吐き気を抑制する。
大丈夫か?
ああ、いつものことだ。薬もあるしな。
過敏だとこういうとき辛いよなぁ。
さあて、術式展開を開始する。
神霊様もある程度妨害しようとすると思うから、
なにかおき次第対応よろしくー。
了解。
『β部隊展開完了。空間観測と固定維持の準備完了です。』
よしよし、α部隊揃ってる?
点呼ッ! .......問題なし!
礼装の最終確認も大丈夫?
そう言われ、自分の腰に吊り下げたモノを引っこ抜く。
手に握るその金属の包は、
認識不全の術式で覆われた、
鉄砲と呼ぶには特異過ぎるものだ。
それに込められた16発には、それぞれが破邪、破魔の御札、術式媒体、マーキング、浄化、解析等々...が複数刻まれた弾丸が収められている。
運営の技術の集大成。
西から東、正統から異端まで、ありとあらゆる霊的技術をごちゃまぜにクロスオーバーされた、もはや運営の研究員も説明しようがなくなってしまった奇跡的な混沌の産物。
.....の
祈りの一射。
銀の弾丸。
西洋の魔術、錬金術の亜種である、
構造解析と霊機錬成に一辺倒に長け過ぎたとある
やっとのことで解析と複製ができたと聞いていたが...
部署も重要度も違う人だからな。
会うことも出来ないと思うが、
いつかお礼がしたいものだ。
確か名前を.....
全最終確認完了。
空間干渉かいs______
ッ!
空気が緊迫を伝えた、
瞬間。無我に。
神経に沿って精密に、
それでいて高速で霊力を廻す。
肉体強化。霊機による加護を添えて。
鈍足と化した視界に、
飛び込むは儚き、真っ白な怪異。
ゆっくりと進む時間に、
迫り来る虚無の殺意に、
銃口を、
鳴らした。
・Main Order / USMC運営
神域に飲み込まれた民間人及び関係者の救出。
発生源である神格Level.4以上と推定される一級神霊の封印及び非活性化、又は被害終息の説得。
民間人及び地域に被害が及ばない程度の、
施行禁止指定の空間跳躍を含む、
あらゆる術式の使用を認めます。
このオーダーは準一級優先任務に指定されました。
担当外の運営職員は直ちにこのオーダー以下の優先任務を放棄或いは凍結、保存し、支援に当たってください。
遂行中の任務の放棄凍結が不可能な場合、
早急の解決を求めます。
貴方の働きに、幸あれと。
Unrealistic Singularity Management Committee
認証コード:003572819
漏れた煙は、その怪異と共に薄れ消える。
じゃこんと、自動的に次弾が納まる。
お見事。
こちらこそ、警告助かった。
やっぱり来るか。
もうすぐ第一ゲートが開く。
全員警戒と戦闘体制。
いつだって俺たちは命懸け。
削れる精神と命の先に、
「救えるものは、救い出す。手を伸ばしてから、考える。」
もう、後悔なんてしたくないからな。
『今度こそ』を、繰り返さないように。
夜は廻り朝が来る。
夜の恐怖は時が経てば薄れていく。
その恐怖は、俺達が担っていくものだ。
まだ、その少女は、その時ではない。
142:貫徹
ということで連れてきた。
143:名無しの霊感持ち*
このような電子掲示板を利用したリアル情報リンクサイトは初めてですが、頑張って慣れていきますのでよろしくお願いいたします。
144:名無しの霊感持ち
新人さんいらっしゃーい。仲良くしていきましょ。
145:貫徹
まあ依頼主だから、チュートリアルテンプレ宜しく。
146:名無しの霊感持ち
了解。
147:テンプレお兄さん
テンプレと聴いて。
→"USMCへようこそ"『URL』
148:名無しの霊感持ち
うわ出た。
149:名無しの霊感持ち
うわ出た。
150:名無しの霊感持ち
うわ出た。
151:名無しの霊感持ち
うわ出た。
152:名無しの霊感持ち
>>143さん、肩苦しい口調は無しで大丈夫ですよ。
まあ色々胡散臭い集団だと思いますが、
ぼちぼち付き合っていきましょうね。
権限持ちの誰か、依頼主のコテハン変更宜しく。
153:Longinus✓
了解。
154:貫徹の依頼主
わかった。少々文字の打ち慣れもしないが、よろしく頼む。
155:名無しの霊感持ち
ロンさんせんくす。
156:名無しの霊感持ち
わお無骨っぽい人。
157:貫徹
でしょでしょ〜? 顔見たときコイツ絶対かてぇ!って思ったもん。
158:ゲロP
依頼主になんてことも思ってやがる...
159:名無しの霊感持ち
ゲロPだ! ゲロPじゃないか!
160:名無しの霊感持ち
生きていたのか!?
161:ゲロP
貫徹の依頼主さん。私は...まあここではゲロPと呼ばれてる者だ。呼びにくいと思うし"P"と呼んでくれ。後で現場で合流する筈だ。一応貴方の護衛を担当する。よろしく頼む。
162:貫徹の依頼主
Pさんや貫徹さん、他の皆様も、私のわがままを聞いてくださり本当にありがとうございます。なんと言ったらいいのか...。
163:名無しの霊感持ち
ゾワゾワっとした。
164:名無しの霊感持ち
いかん丁寧語中毒だ!逃げろ!
165:名無しの霊感持ち
終わり!! 閉廷!! 以上!! 解散!!!
166:名無しの霊感持ち
\解散!!!!/
167:名無しの霊感持ち
おちんちんランド閉園!
168:ゲロP
お前ら.....ッ!!!
169:貫徹
wwwwwwwwwwww
170:名無しの霊感持ち
うわぁ...
171:貫徹の依頼主
賑やかでいいですね
172:名無しの霊感持ち
賑wやwかwでwいwいwでwすwねw
173:ゲロP
ああもうホントごめんなさい。
いつもはみんな真面目なん...いやそうでもないけどちゃんとみんな動いてくれてますんで娘さんのために!
174:名無しの霊感持ち
娘さん?
175:名無しの霊感持ち
あ、(察し)
176:名無しの霊感持ち
何才くらいで?
177:貫徹の依頼主
今年で小4くらいだったと思います。
178:名無しの霊感持ち
全エネルギー配給設備調整完了。
今現在下4桁レベルの操作が可能です。
179:名無しの霊感持ち
現実領域の侵食に伴う抑止的反動の抑制力場を展開中。
安定状態まで残り、18秒。
180:名無しの霊感持ち
偽装結界の効果減衰が異様に速い。
エネルギー供給を増やして見てくれ。
181:名無しの霊感持ち
第4ジェネレーター触媒投入完了。臨界点まで3秒。
少々霊位が揺れますのでご注意を。
182:名無しの霊感持ち
了解。霊位の揺れに備え、
超遠距離関節エネルギー回線にガイドラインをかけます。
現供給割合から3%ほどロスの可能性あり。
別回線からのアシスト頼みます。
183:名無しの霊感持ち
最優先エネルギー供給対象は"楔"だ。
パーセンテージを1ミクロも下げるなよ!
184:ゲロP
このロリコンども....
185:貫徹
ゲロP、そろそろそっち着く。よろしく。
186:名無しの霊感持ち
まあ、俺たちもこんな風に頑張ってサポートしてるからよ。パパさんも娘さんのために頑張れよ。
187:貫徹の依頼主
ええ、もちろんです。
この年になって、親知らずが4本できました。
痛すぎて転げ回りました。
テスト期間中のことです。
鎮静剤使っても疼いて集中できませんでした。
そんな中で書いちゃったところですね。
練りが浅くてごめんね。
今年は厄年な気がする。
・topiks
・代理人/貫徹
なんかネタで生えてきた人。
とある組織のわけあり下っ端である。
先祖帰りの一人。特異持ち。
結構の強権を持ってるのになぜか下っ端である。
因みに稼いでいるほうなのだが特異なお目々と管理厨のせいで晩年金欠である。虚しい。
あ、性別は女の子です。
所持する特異は、眼式【貫通】
モノを"見抜く"お目々である。
こともやハル、
その上位版眼を持つ『見鬼の人』の【見鬼】とは違い、視た相手を"見抜き"、怪異なら瞬間的に分解する。
つまり、対象を低次元領域に叩き落とし、
自然事象として世界に処理させる。強い(確信)
元ネタは強制成仏カメラ。
ホラーゲーム定番アイテムである。
なお本編での活躍は多分無い。
・管理厨
なんかネタで生えてきた人。
メイド以上にメイド。ナース以上にナース。
それ以外何者でもない。
何十回か下っ端ちゃんのお目々をくり抜こうとしているが、代理人にコンタクトレンズか目薬を(半強制だが)使うことで衝動を抑えている。
人体壊し、殺人技巧大好き。
性別は男です。美人型。
・ゲロP
唐突の再登場。
超感覚レベルの特異過敏。
ゲロを吐くイケメソダディ。
礼装化改造銃使い。
怪異ブレイカー。
・運営
要注意団体の可能性あり。
正式名称
Unrealistic Singularity Management Committee
略して
渦巻→廻る 的な抽象ネタ。
委員会じゃねーか!っていうツッコミを待ってた。
正式名称出していないのにツッコミされるわけないことを失念していた。馬鹿である。
ハル達がいる街を含む、この世界のオカルトへの関心を掲示板形式で書きたくなったのだが需要ある?
-
ある
-
ない
-
そんなことより続きはよ
-
ハルちゃんprpr