ラプラス戦争後から数年後。地球。太平洋沖。
連邦軍極東管区戦犯刑務所。通称メガフロート・プリズン。
全長2000m、全幅1600m。日本列島の南南東およそ130kmの海上に位置するこの島は、まだ宇宙世紀が始まる前、旧日本政府が軍事用の拠点として建設した、
周囲360度を大海に囲まれた、文字通り脱獄不可能なこの刑務所には、ジオンやその残党に所属していた将校・兵士を中心に、約800名が収容されていた。
受刑者たちは、重罪の判決を受けた者が大半であり、その罪状は 一般市民の虐殺から、権力の乱用まで多岐に渡るが、いずれにせよ、最低でも禁錮50年以上、それ以外は終身刑か死刑が確定している者たちで占められていた。
とは言え、そもそもの罪に至った経緯が仲間内による陰謀や、作戦上の不手際から引き起こされたケースも多いために、収容されてから今以て英雄視されている受刑者は多く存在した。
支持者を抱える罪人は、見捨てられた罪人よりも扱いが厄介で、下手に殺せば
そのような状況もあって、この刑務所では受刑者たちがいかなる形でも情報を共有できないよう、収容室の間取りを全て独房とし、食事や運動も含め、外部との接触は一切禁じられていた。
外界との接触を一切断たれたことで、囚人たちは、やや黒ずんだ白いコンクリートの壁に一日中囲まれながら、洗面所と仕切りのない便座で用を足し、金属色むき出しの、鉄パイプで仕立てられたベッドの上で、気の遠くなるような刑期を満了するか、あるいは死が迎えに来るのをひたすら待つのであった。
「307番、昼食の時間だぞ」
コン、コン。
威圧感の感じられる、だがどこか事務的な若い男の声と共に、拳でノックする音が聞こえてきた。
ほどなくして。鋼色の、暑さ5センチはあろうかと思われるドアの下に設けられた長方形の仕切りから、トレーに乗せられた食事がガチャンと滑り込んできた。
「・・・フォン・ブラウンから久方ぶりの復帰か。娘さんの体調は良くなったのか? 主任技師さんよ?」
四畳半ほどの広さしかない、独房。
ベッドに寝そべっていた、とびきり恰幅の良いひげ面の大男が、野太い声で尋ねた。
それまで読んでいた分厚い本を枕元に放り投げ、ゆっくりと起き上がる。
「ああ。医者に診せたら、重力のせいで自律神経に一時的な負担がかかっていたらしい。これだから地球に戻ってくるのは嫌だったんだ。一時はどうなることかと・・・月面にいた頃よりも、呼吸が荒くなったり、やたら腹痛を訴えるようになったからな。まだ小さいから、重力に慣れるまでは、とても安心できない」
技師と呼ばれる男の不満げな話を聞いて、囚人の大男は戒めるように声をかけた。
「まあそう言うな。所長の野郎に聞こえるぞ。とにかく無事で良かったじゃねぇか。くれぐれも娘さんを大事にな」
どちらが縛る側で、縛られる側なのか、わからなくなってくるような。感情のこもった会話。
しかし、このような光景は、この刑務所の中では、特段珍しい光景ではなかった。
海上の刑務所と言えば防犯上の聞こえは良いが、このメガフロートプリズンは、職員たちにとっては著しく移動を制限されるため、最も配属を忌避される勤務地でもあった。
加えて、ここの所長は代々連邦軍からの天下りとなっているのが慣習で、ろくな人材に恵まれていない。
一方の囚人たちはというと、かつての敵国とは言え、数多の戦場を潜り抜けては、自らの正義心や主義主張を貫いたエリート勢も多い。
そのような連中と、利権にすがる自分たちの上司とを見比べれば、年齢の若い職員ほど、囚人とコミュニケーションを取りたくなってしまうのは、当然の感情的帰結とも言えた。
「娘に感謝されたよ、いつも仕事で忙しい父親が、ずっと傍に居てくれたって。あんたが助言してくれたおかげだ。世話をかけたな。307番・・・いや、スベロア・ジンネマン」
扉の外に立つ男は、周りに聞こえない声で名前を呼んだ後、そのまま部屋を離れていった。
廊下の奥へと足音が霞んでいくのを聞き届けてから、囚人の男はトレーを持ち上げ、ベッドの傍にある、備え付けの小さなテーブルに置いた。
よく見ると、いつもはメニューに載るはずのない、紙コップに注がれたホットコーヒーが添えられている。
「あいつめ。こんなことまでする必要はなかったのに。しかしせっかくもらったんだ、人の善意はありがたくもらっておくか」
男は、そう言って少し顔を綻ばせた。
独房には時計がなく、食事や運動、就寝などの報せによって、ようやく何時かを初めて把握することができた。
男は、トレーに載せられたパンとソーセージ、ポテトサラダを平らげた後、最後に残してあったコーヒーの入った紙コップに口をつけ、ゆっくりと味わった。
「!? この豆は南米地方の上物じゃねぇか。美味いな・・・それにしても、昔はあれだけ連邦の事を恨んでいたってのに。今となっちゃ連中の家族の心配をするなんざ、腑抜けたものだな。えぇ? スベロア・ジンネマン大尉よぉ」
独房の中、一人照れ笑いを浮かべる男。
この男の名はスベロア・ジンネマン。
かつて一年戦争を戦い抜いたジオンの軍人で、0096年のラプラス戦争において、ジオンの残党である『袖付き』の一員としても戦った経験を持っていた。
ラプラス戦争後も、彼はザビ家最後の生き残りであるミネバ・ラオ・ザビの私兵として彼女の傍に立ち続けた。
一方で、ラプラスの秘密を暴露された連邦は、血眼になって当時の犯人たちの捜索を続けていた。
そうして、ジンネマンが昨年に地球へ降下した際、空港で彼を拉致。軍事裁判所に送致して、裁判にかけたのである。
判決は即日決定され、ジンネマンは第一級戦争犯罪による銃殺刑。詳しい罪状は非公開で、彼は自ら法廷で弁明することもままならず、この刑務所に収容されたのであった。
コーヒーを飲み終えた後、ジンネマンはおよそ身体のサイズに合わない大きさのベッドに再び寝そべり、枕元に置いてあった本を読み始めた。
彼が以前から愛読しているその本は、世界の哲学や信仰について記された本で、彼としては東洋の精神世界に関する記述に特に興味を惹かれていた。
「輪廻転生。人は肉体が死んでも魂は不滅。そして、再び生まれ変わる・・・か。では、思念体は魂なのか? クローンや強化人間でも、転生することはできるのか?」
ジンネマンは元々、信心深い訳ではない。むしろ、連邦軍に妻子を殺され、自暴自棄に陥っていた後、神や仏はやはり存在しなかったのだと確信した時期すらあった。
だが、ある時期を境に、怒りや憎しみだけでは、自らを奮い立たせることはできても、長い時間をかけて刻まれた心の傷を癒すことはできないと悟った。
どこかで一度立ち止まり、自身の抱える矛盾と向き合おうと考えたこともあった。
しかし、その頃にはもう、彼に信じられる存在などいなかった。
そんな、心の居場所を見つけようともがく窮地を外から救い出してくれたのが、他ならぬ
「マリーダ。お前は今、天国で幸せでいるのか。そこはどんな場所だ? せめてどこにいるのかだけでも、俺に教えてくれ」
彼女のことを思うたび、ページを捲るスピードが極端に遅くなっていく。
やがて、ジンネマンはそれ以上、本を先に読み進めることができなくなっていた。
マリーダ・クルス中尉。ジンネマンの新しい娘であり、彼と、そして彼の仲間たちの光となった存在。
かつて、第一次ネオジオン抗争の後に、年端もいかない娼婦として仕立て上げられたことにより、想像を絶する経験をさせられた。
女性としての機能さえも失った彼女は、その後ジンネマンによって地獄の淵から救い出され、以来、彼を父のように慕っていた。
ラプラス戦争において18年という短い人生を終えたが、直後に思念体となって彼の前に現れ、生きる道標を示してくれた。
ジンネマンにとって、マリーダこそが、現世における天からの遣いに他ならなかった。
だが、今となってはそんなマリーダも、もう居なかった。
死亡直後に思念体となって現れて以降、二度と姿を見せることもなく、ジンネマンは再び家族を失った悲しみに押しつぶされそうになっていた。
「唯一の救いは、いずれ俺も死ぬことを約束されているってことだ。連邦から銃殺刑の判決を受けたおかげで、あと数年、いや、来年には刑が執行されるだろう。その時はマリーダ。必ず俺を迎えに来てくれよ」
静かに本を置き、ジンネマンはベッドに横たわったまま、静かに瞳を閉じた。
独房の中に、波の音と、カモメの鳴き声が微かに聞こえてくる。
部屋には、建物の中庭しか見えない、およそ50㎝四方の格子窓しかなかったが、五感を研ぎ澄ませることにより、外界のイメージは膨らませることができた。
それは、宇宙では、おおよそ体験しえなかった感覚だった。艦船の中ともなれば、洒落っ気の欠片もない使い古したエンジン音だけが、唯一の音楽。
地球ならではの、五感全てに語り掛ける自然の音は、疲れ切ったジンネマンの心に一抹の安らぎを与えると共に、自らの死によって、愛しいマリーダとの再会を望む
「ん? ヘリの音がするな。物資の輸送は先週終わったはずだが。それとも看守の交代か」
ふと、ジンネマンは自らの大きな身体を起き上がらせた。
彼は、海の遠くの方から徐々に近づいてくるヘリのローター音を聞きつけていた。
「いや、機体は複数いる。かなりの速度だ。しかもモビルスーツの推進音? それにしては音が甲高い。それに巡航形態で空を飛ぶにしたって・・・こんなところまで、いったい何を?」
長く戦争に参加していると、特に地上では
だがジンネマンが気になったのは、それとはまた別のことだった。
こちらに向かってくる機体の接近速度が、尋常ではなかったのだ。
しかも、速度を維持したまま、途中で音がいくつかに散開したのがわかった。
何だ、何が始まるというのだ?
まるでここを標的に、爆撃を加えるつもりであるかのような・・・。
独房の中、ひとりジンネマンが右往左往している時だった。
(お父さん、ベッドの下に隠れてください!)
「何っ、マリーダ!?」
不意に、頭の中に聞き慣れた女性の声が聞こえてきたかと思うと、直後に外で爆発音が聞こえてきて、島全体が地震に遭ったかのように大きく揺れた。
ジンネマンは地面にひっくり返りながらも、すかさずベッドの下に潜り、頭を地につけた。
「敵襲だ! 敵襲! 総員、配置につけ!」
辺りに焼け焦げた匂いが漂ってきたかと思うと、刑務所内に警報音がけたたましく鳴り響いた。
館内放送から、叫び声にも似た、慌てた様子の指令が聞こえてきて、それを合図に、銃を持った看守やら警備兵たちが一斉に外に飛び出していった。
やはりジンネマンの予想した通り、正体不明の連中は、この刑務所に攻撃を仕掛けにきたのである。
「さては、ここに収容されている連中の支持者か? それにしてもこんな大掛かりなやり方で・・・うおぉ!」
再び、耳を
音の大きさから判断して、武装ゲリラには所有できない規模の、ミサイルや爆弾が使われている。しかもこんな白昼堂々と。
一体、連中は何者なんだ? それともまた地球規模の戦争が勃発したというのか?
「畜生、階下で火災が発生しやがった! おいっ! 誰か、ここを開けろ! 開けてくれ!」
扉の隙間から煙が立ち込め、独房の中に充満し始めた。
ジンネマンは隠れていたベッドの下から這い出し、扉を叩きながら助けを求めた。
人は、例え近い将来に処刑されるとわかっていても、予想だにしない出来事に遭遇すると、途端に生への執着で躍起になる。
今のジンネマンにとっては、それは当然の行動とも言えた。
ましてや、ラプラス戦争で悲劇の別れを経験してから、ずっと想い続けてきたあのマリーダが、自分に語り掛けてきたのだから。
今は死ねない。どうやってもここから出て、マリーダに一目会わなければ――その信念が、彼の心を確実に駆り立てた。
「くそっ! 開け! 開けろ! マリーダぁぁ!」
ジンネマンは叫びながら、ありったけの力でドアを蹴飛ばしたり、体当たりをして脱出を試みた。
すると、ほどなくして、独房の扉の前に、二人の足音が聞こえてきた。
随分と軽い感じの、まるで子どものような走り方である。
「あ、いたいた! ここだよプルツー! ようやくマリーダの
「まったく、道理で見つからないはずだ。座標が0.8もズレてる上に部屋番号まで違う。まぁいい。さっさと始めるよ、プル!」
ジンネマンがドアの前で暴れていると、外の方から、やはり子どもの少女を思わせる声が聞こえてきた。
「おい、お前達は誰だ!? マリーダを知っているのか!?」
マリーダの名を口にする少女たちの声を聞いて、ジンネマンは叫んだ。
「話はあと! パパ、今からこのドアを
「ファンネル!? そんなモノでここを破壊する気か? しかもパパって、一体お前たちは・・・!」
騒乱の中、ジンネマンは自分が色々と聞き間違えたのではないかと思ったが、それを確認する暇などなかった。
ジンネマンが距離を置く前に、猛烈な爆発音が響いて、扉が粉々に砕け散った。
かつて戦場で経験して以来の衝撃に、ジンネマンの巨体は軽々と吹っ飛び、反対側の壁に向かって叩きつけられた。
「あちゃ~。ちょっと火力強すぎた?」
「プルのバカ! あれほど火力を下限調整しろと言ったじゃないか! 彼に何かあったら、マリーダに怒られるのは作戦立案者の私なんだよ!」
少女の一人が、もう一人の少女を、金切り声を上げて怒鳴りつけた。
「えぇ? そんなこと言われてもぉ。これ、モビルスーツの操縦よりも反応が速すぎて制御が難しいんだよ。ってか、いいじゃん。死ななきゃ別に」
「いつつつ。お、お前らは!?」
壁から床に叩きつけられた衝撃で、意識が朦朧とする中、ようやく立ち上がったジンネマンは、目の前にうり二つの年恰好をした少女が立っているのを見て、絶句した。
「プルトゥエルブ・・・? い、いやマリーダなのか」
マリーダの幼い頃に瓜二つの顔立ちを持つ少女たちは、どちらもジンネマンがこれまで見たことのない、軽金属と思われる黒っぽいスーツに身を包んでいた。
両手には、彼が知りうるどの銃種とも似つかない、ブルパップ式ということだけが確かなライフルを抱えている。
だが、何より驚いたのは、少女たちの頭上に、モビルスーツのファンネルを思わせる、漏斗の形状をした小型の砲台が直接浮遊していたことだ。
モビルスーツを介さず、しかも地上を飛び回るファンネルなど、聞いたこともない。
「話はあとだよ。スベロア・ジンネマン。あたしたちはあんたをここから助け出すためにやってきたんだ。今は余計な説明をしている暇はない。グズグズしないで、さっさと仕度をしな!」
やけに好戦的な口調の少女の方が、そう言い残して部屋を出て行った。
「そうそう。急がなきゃ、追手が来ちゃうよ! 早く帰ろ! 帰ってお風呂、お風呂! プルプルプルプル~!」
遅れて、ドアを破壊したと思われる
独房を出ると、すでに刑務所は1メートル先も見えないほど煙やほこりが舞い上がっており、その先々で、銃声や爆発音が聞こえていた。
「こっちこっち! もう、パパったら遅いんだから! 太りすぎだよっ!」
軽薄そうな少女が、呆れかえった口調でジンネマンに呼び掛ける。
「む、無理を言うな! さてはお前ら、強化人間だな!? 俺は、これでも長い囚人生活でだいぶ痩せたんだ! それよりパパと呼ぶのをやめねぇか!」
幼い見た目とは明らかに異なる、尋常離れした速度でどんどん先へと遠のいていく少女たちを必死で追いかけながら、ジンネマンはようやく刑務所の外に出た。
無機質な独居房から一転。辺りには、真っ青な空と穏やかな海。そして、破壊し尽されたコンクリート製の瓦礫が積み重なっていた。
「あれは・・・あれが、最初に攻撃を仕掛けた機体か」
ジンネマンが空を見上げると、そこにはかなり小型のモビルスーツが三機、
一機当たりの大きさは、通常のモビルスーツに比べて数分の一ほど。しかしその小ささを生かして機動力はけた違いに高く、看守や兵たちの迎撃はいとも簡単に回避していた。
「マスター。あれは無人化された小型モビルスーツです。軽量なため自律航行が容易な上、人の代わりにニュータイプと交信可能なAIが搭載されている。すべて
「マリーダ!」
しばらく上空に見入っていたジンネマンを、聞き覚えのある声が呼んだ。
視線を地上に戻すと、そこには先ほどの少女たちと共に、あのマリーダ・クルスが立っていたのだ。
「お前・・・本当にお前なのか」
ジンネマンの問いかけに、マリーダは潮風によって乱れた長髪を軽く振り上げながら、どこか照れ臭そうに頷いた。
目前に立っている、死んだはずの娘。
まだ戦闘が収まっていないことなどすでに忘れてしまった様子で、ジンネマンはゆっくりと、おぼつかない足取りでマリーダに近寄った。
「ちょっとちょっと、再会を喜ぶのはあとだよ! マリーダもパパも、早くヘリに乗って乗って!」
あと一歩の所で、マリーダの身体に触れることができると思われたジンネマンに、さっきの少女の一人が駆け寄ってきて、腕を引っ張った。
上空に待機していたヘリが飛んできて、すぐ傍に着陸していた。
ジンネマンとマリーダは見つめあっていた視線をいったん離し、ヘリに乗り込んだ。
「さぁ、出発するよ!」
少女が操縦桿を握ると、機体が急上昇を始めた。
「お、おい! 看守たちはできるだけ傷つけないでくれ! あいつらはこの刑務所で、俺に親身に接してくれたんだ!」
燃え続ける眼下の景色を見て、ジンネマンは慌ててマリーダに懇願した。
「安心してくださいマスター。あなたが彼らに親切にされていた事実は、すでに情報として把握しています。ちょっとばかりのケガは致し方ありませんが。家族と離れ離れになったりはしません」
自分を捕えていた連中の心配をするジンネマンを見て、マリーダはかつて抱いていた父の面影を、確かめたようだった。
そして、それまで固い表情を崩さなかった顔を少しほころばせ、照れ隠しをするように、反対側の窓を見た。
「よし、全員乗ったな。グリニッジ標準時14:22、P部隊。スベロア・ジンネマン救出成功。急いで本部へ戻るよ!」
「りょ~かい! 今日のデザートは、再会を祝ってアイスとチョコパフェの二本立てだね!」
高度に上がりきったヘリが、機体を前のめりにして進み始めた。
ヘリの指示に従うように、それまで援護射撃していた小型のモビルスーツたちもそれに続いた。
ジンネマンを一年近くに渡って閉じ込めていた全長2000mのメガフロートプリズンが、煙に塗れながらあっという間に、海上の点になっていく。
戦乱の宇宙世紀が、一世紀を迎えようとしていたこの年。
正規の戦場とは異なる場所で、ひっそりと新たな歴史が刻まれようとしていた。