連邦政府中央情報局東アジア統括本部の庁舎は、戦争の被害を免れた数少ない巨大建造物で、地上約400メートル、階数にして110階という、Tシティの中でも有数の階数を誇っていた。
中央情報局は、任務の内容に応じていくつもの部署に分かれており、割り当てられるフロアも課によって異なっていた。
マリーダたちの所属する特殊作戦執行部は新設されたばかりの部署だが、現段階ではあくまでも試験運用のため、正式な課名としてはまだ承認されていなかった。そのため、あくまでも俗称としての部署名であり、プルシリーズの名から取って、『P部隊』などと呼ばれていた。
P部隊に与えられたフロアは97~102階で、ごく一部の関係者以外は完全な立入禁止区域、
わずか12名という人員数から考えると、破格の割り当て階数とも言えるが、戦闘用のクローンである彼女たちの生体データを採取するための設備を多数設置していることや、プルシリーズの存在そのものが機密の塊であることから、個体が庁舎の外に出ることは、特別な許可が必要であった。そのため、普段はほぼ軟禁状態にある彼女たちに日常生活上のストレスが溜まらないよう、各個人用の寝室に加え、食堂や浴室など、あらゆる居住スペースが、フロア全体に備え付けられていた。
マリーダ含め、総勢12人の少女たちは、この場所で互いに役割分担をしながら、衣食住を共に過ごしていたのだった。
「♪ い~のちぃ~短かぁしぃ~ 恋せよ乙女ぇ~ 紅き~唇ぅ~褪~せぇぬ間にぃ~」
居住フロアの一番片隅にある浴室から、プルの鼻歌が聞こえてきた。
P部隊が編成された当初は、まだ浴室というものがなく、各寝室に備え付けられたシャワーで入浴を済ませる仕様になっていた。
しかし、それにプルが猛抗議。かつてエゥーゴの(形式的には)捕虜となっていた時代、プルは、砂漠において貴重な飲料水を全て自身の入浴や水浴びに浪費し、当時のルー・ルカやエル・ビアンノから激しく罵倒されるほどの風呂好きであった。
新しく生まれ変わってからもその傾向は変わらず、P部隊の暫定リーダーであるマリーダに対し、「シャワーじゃ泳げない」と言った主張を次々と展開。その後も、マリーダの再三に渡る説得にも応じることがなかったプルは、庁舎をこっそり抜け出して、市街地の
プルシリーズの長姉であるエルピー・プルは、他の個体に比べて、なぜか社交性と逸脱性が抜きん出て高い。その統制の難しさは、好戦的でも常に従属的だったプルツーなど足元にも及ばず、クローンの生みの親であり、彼女らを
これ以上、この天真爛漫な少女を放置しておけば、P部隊の秘密情報が漏洩してしまうことを危惧したマリーダは、ついに根負けする形で浴室の設置を決断。上層部に事後報告する形で余っていた資料室を改装し、四人が同時に入浴できる広さの浴場を作らせたのであった。
だが、この件以降、プルシリーズによる居住フロアの
プルの要求だけが通るのを不公平に感じたプルツーが、多種多様のドリンクメーカーや自販機、さらには雑誌コーナーからオンライン環境までも追加設置するよう、マリーダに要求した。
更には、それを知った他の姉妹たちまでもが口々に要求をエスカレートさせ、ぬいぐるみや人形の愛玩部屋、植物園に観賞用のシアタールームまで次々に新設させたことで、フロアはさながら、少女たちによる願望の巣窟と姿を変えてしまったのである。
ネオ・ジオン時代には、(プルを除いて)時に助け合い、仲睦まじかったはずの姉妹が、これ程までに欲深い性格だったとは、マリーダにとって衝撃の事実であった。
美化された過去への使命感から、当時は断腸の思いで部隊のリーダーになることを引き受けていたマリーダは、姉たちの恩知らずな言動にしばらく頭を抱えていたが、「これも現実世界に生まれ変わった証拠」と自分に思い込ませることで、何とか困難を切り抜けたのであった。
ちなみにプルツーが設置させた自販機の一番奥には、地球原産の天然乳を使用した
「♪ 熱き血潮~のお~ 冷~えぬ間にぃ~ 明~日の月日~はぁ~ な~いものぉを~」
一日の任務を終え、プルは、終始ご機嫌な調子でゆったり湯船に浸かっていた。
マリーダに無理を言って作らせた浴槽は、かつてアクシズに住んでいた頃の西洋風の石造りとはまるで正反対で、ヒノキと呼ばれる貴重な木材を使って作られた、余分な構造や派手な色彩を極力排除した、東洋風のデザインになっていた。
お湯に使われているのも、もちろんバブルバスなどではなく、天然の温泉である。
好奇心旺盛なプルは、新しい人生をスタートしたこの地域で最も早く順応し、(無許可の外出を予防するために、わざわざ浴槽を設置したマリーダの努力の甲斐なく)定期的に庁舎の外へ抜け出しては、地球の文化、とりわけTシティ周辺の風土と触れ合い、この界隈で昔から受け継がれる『和』なる思想について、積極的に自らのライフスタイルに取り入れていたのだった。
彼女が口ずさんでいる古風な歌も、この地域で西暦時代に流行った歌らしい。
「おい、プル。私も一緒に入って良いか?」
プルが湯船に浸かっていると、不意に浴室と脱衣室とを隔てる扉をノックする音が聞こえてきて、プルツーが控えめな様子で顔を覗かせた。
「あれ、プルツー? 珍しいね。今日のカンファレンスはどうしたの?」
プルが吃驚した様子で手招きすると、プルツーはいったん脱衣室に頭を引っ込め、衣服を脱ぎ出した。
そして、置いてあった桶で体を流した後、やや駆け足の調子で浴槽をまたぎ、湯船にしゃがみこんだ。
浴槽いっぱいに張られていた湯が一気に溢れ、大量の湯気と共に床一面に広がっていく。
「いい湯加減だな・・・あぁ、カンファレンスは明日に延期になったよ。マリーダがこの後、ジンネマンを連れて、連邦のお偉方に面会しに行かなくちゃならないらしい。それで、明日のブリーフィングとまとめてやることになった」
そう言ってプルツーは、無邪気な子どものように、両手でお湯を何度もすくってみたり、身体のあちこちを手の平で撫で回したりしていた。
以前の彼女なら、風呂などにこだわりはなく、シャワーで済ませることが多かったようだが、プルによってこの温泉の浴室が新設されてからは、すっかり気に入った様子だった。
肌に滑らかさが生まれ、上がった後も体温が保持されるという
とは言え、プルツーは他人と一緒に入浴することなどほとんどなく、大抵は一通りの仕事を終えた後、夜になってから一人で入っていることが多かった。
それが、わざわざ自分から一緒に入りに来るなど、青天の霹靂も良い所であった。
プルツーの行動は、明らかにいつもと違っている――。
それはつまり、彼女が何らかの
「プルツー、何か話したいことがあるんでしょ? 話してみてよ」
待ち切れなかったプルが、先んじて尋ねた。
するとプルツーは言いにくそうな様子でしばらく言葉を飲み込んでいたが、やがて意を決したように口を開き始めた。
「いや、昼間のことなんだけど。プルには悪いこと言ったなと思って」
そう言って、照れくさそうな調子で、視線を落とす。
「昼間のこと?」
プルが聞き返した。
「ほら、連邦軍のモビルスーツに見つかって、危うく撃墜されそうになっただろ」
「ああ~。あのことか」
どうやらプルツーは、今日のジンネマン救出作戦時において、ヘリの操縦をほったらかし、プルと取っ組み合いのケンカを始めたことについて、振り返っているようだった。
「プルだって、それなりのつらい経験をしてきたから、アクシズを離れたのに。それを、自分とは年季が違うとか何とか、小賢しいこと言って。あたし、プルのこと一度も見下した事なんてなかったのに」
プルには意外だった。
他の姉妹にはもちろん、ことプルとの関係においては、ライバル心からかプルツーの方から非を認めることはなどなかった。
それを、こんなにも
いつもは見せることのないプルツーの真摯な態度に、プルはしばらく反応に困っていたが、それ以上余計な詮索をせず、素直に彼女の気持ちを受け取ることにしたのだった。
「いいよ、もうそんな。あたしもあたしで、余計なこと言っちゃった訳だし、気にしなくて良いから」
「そうか。良かった。それ聞いて、安心したよ」
プルの反応を見て、プルツーも安堵した様子だった。
二人は、互いの視線を一瞬合わせた後、ほぼ同じタイミングで表情を和らげた。
浴室に、再びゆったりとした時間が流れ始めた。
身体が芯から温まり、眠気を誘うほどの心地よさがどこからともなく込みあがってくる。
と、その時。
プルツーがふと、おかしなことを呟き始めた。
「なぁ、プル。私たちは、どうして今ここにいるんだろうな?」
「へ?」
一瞬、何を言われたのかわからなかったプルは、思わず両目を丸くしながら、思わずプルツーの方を見た。
「ど、どうしてって? それは・・・お風呂に入りたいから、お、お風呂場にいるんじゃないかなぁ?」
プルツーと来たら、この期に及んでいったい何を言っているのか。
単に冗談で言っているのか、あるいはもっと深い問答について、こちらの意見を求めているのだろうか。
考えても考えても、的確な言葉が思い浮かばなかったプルは、頭に浮かんだ通りの言葉を口にした。
プルの返事を聞いたプルツーは最初、その余りに短絡的な内容に一瞬、呆気に取られていたが、すぐに真意を理解した様子で、声を出して笑い始めた。
「ふふ・・・くっく、あっはっは。さすが、プルらしいね」
プルツーが笑い始めたのを見て、プルは慌てたように彼女の身体をゆすり始めた。
「な、何よもう~。これでも私、頑張って答えたんだよ! プルツーがおかしなこと聞くからでしょ!」
頬を膨らませるプルの顔を見て、プルツーは謝りながら、必死に笑いを堪えようとしていた。
「あはは、悪い悪い。ついなんか、おかしくなっちゃって。私が聞いてるのは、そういう物理的な居場所の話じゃないんだ。どうして一度は死んだはずの私たちが、今こうして生きているのか?ってことについて、答えて欲しかったんだよ」
「なぜ、今生きている?」
何度聞いても、やはりプルツーの言っている意味がわからない。
プルは、再び首を傾げた。
「理屈ではわかっているんだ。グレミーが管理していた、私たちの遺伝子情報を連邦が盗み出して、まったく同じ肉体を仕立て上げた。でも、私が知りたいのは、そういう事実や現実としての意味合いじゃなく、何か大きな流れの中で、必然性を持って再び生まれてきたんじゃないかって思ってさ」
そう言って、プルツーは、湯面に歪む自らの身体を眺めていた。
彼女の視線の先には、浴槽の底よりも更に深い場所にある。
「過去に連邦とジオンの戦争が始まってから今まで、数えきれない人々が死んだ。普通のパイロットはもちろん、ニュータイプも強化人間も・・・なのに彼らは、一人として生き返ることはなかった。そりゃあ、生身の人間なら、当たり前の話さ。でも、私たちは、幸か不幸か遺伝子情報を盗み出されていたために、再び生を受ける機会に恵まれた。これって、クローン技術云々とか、単純に戦争を継続している連中の都合と言うだけで、説明がつく出来事なんだろうかって、時々思うことがあってな」
「・・・それってつまり、私たちが生き返った理由は、科学技術以外にも何か原因があったんじゃないかってこと?」
ようやく真意を掴みかけたプルの反問に、プルツーは小さく頷いた。
「今となっちゃ記憶も曖昧だけど。≪クィン・マンサ≫の爆発に巻き込まれて大けがを負った後、アーガマで息を引き取った私は、長い長い夢を見ていたんだ。あてもなく宇宙を飛び回りながら、かつての戦場をいくつも巡っていた。そこには、破壊されたモビルスーツの残骸に紛れて、死んだ兵士たちの魂が数えきれないほど彷徨っていた。当然、私に殺された連中もいて、そいつらが口々に罵ってくるんだ。お前が憎い、どうして自分たちを殺したのかって」
プルツーの話にプルが黙って耳を傾け始めたことで、浴室の中は、すっかり静まり返っていた。
唯一、天井から落ちてきた滴が下に落ちては、湯面にわずかな波紋を打つ音だけが聞こえた。
「彼らにも、家族や大切な人たちがいたのに、二度と会えなくなってしまった。私たちで言えば、ジュドーやその仲間との繋がりを一切絶たれたようなもの。だからその時の私は、自分の犯した罪を償うつもりで、連中の怒りや悲しみを全部受け止めるつもりだった・・・でもそんな時、兵士たちの亡霊に交じって、別の小さな声が聞こえてきたんだ。お前は、このまま宇宙を彷徨っていても何も学べない。もう一度、元の世界へ戻り、亡くなった人たちの痛みを知ることで、果たすべき義務を全うしろ、と」
「果たすべき、義務」
「ああ。現実世界は、あたしたちが考えているほど単純じゃない。モビルスーツを乗り回して、戦争でたくさんの人を犠牲にしてきたことを、ただ悲しむだけなら、彼らと同じように、永遠に宇宙を彷徨っていれば良かった。にも関わらず、なぜ自分が、こともあろうにもう一度『プルツー』として生まれたのか。罪悪感や不幸を一方的に感じる自己満足に対して、もう一度考え直せって、言われた気がしたんだ」
そう言って、プルツーは湯面に落としてた視線を再び上向かせ、自分の存在を確認するかのように、自らの両手を持ち上げた。
「・・・」
一方、それまでプルツーへの傾聴に終始していたプルも、共感する
プルはプルツーほど、死後の記憶を鮮明に覚えていた訳ではなかったが、実は彼女もまた、連邦によって新しい肉体を与えられた時、大勢の何者かによる強い意志と、大きな力によって生を受けた、という自覚を強く持っていた。
それが今、改めてプルツーから思いを打ち明けられたことで、彼女の頭の中で、別々に離れていた点と点が、一直線に結びついた気がした。
「そっか。プルツーは昔、そんな夢を見ていたんだね・・・」
プルがそう言うと、プルツーははたとした様子で話を切り上げ、照れくさそうに作り笑顔を始めた。
「ははっ。何を言っているんだ、あたしは。まだ頭が混乱してる。やっぱりジンネマンの救出作戦でサイコウェアを使い過ぎたみたいだ。それじゃ、プル。あたしは先に上がらせてもらうよ」
押し黙るプルを見て、その場にいることが、急に恥ずかしくなったのだろうか。
プルツーは一度、思い切り自分の身体を伸ばした後、湯船から立ち上がった。
プルツーには、かねてから自分が過去の体験に縛られている自覚があり、年齢不相応の苦労を積み重ねてきたという一種の
そのため、それを蔑ろにされるような言動に過剰な警戒心を持っており、ましてプルのような、身近な存在に言われることで、ひときわ感情が高ぶってしまうのであった。
そうした葛藤を、正直にプル本人に打ち明けたことで、幾分か肩の荷が下りた様子だった。
その証拠に、プルツーの笑顔には、照れながらもどこか満ち足りた雰囲気が醸し出されていた。
「プルもそろそろ上がった方がいいよ。たまには妹たちの調理を手伝ってやらないと。何せ今日は、あの不摂生そうな
立ち上がったプルツーは、そう言い残して、元来た道を同じ足取りで戻っていった。
そして、脱衣室との隔てていた浴室に、手をかけた時――。
「待って、プルツー!」
「? 何か・・・あっ! こら、プル!?」
浴室を出ようとした、まさにその時。
プルツーは、不意に背後で浴槽のお湯が弾け、駆け寄ってくるような足音を聞いた。
何事かと思って振り返ろうとすると、ほぼ同じタイミングで、彼女の全身にプルの身体が覆いかぶさってきた。
急な重みに耐えきれず、プルツーはバランスを崩し、そのまま浴室の床に倒れこんだ。
「バカッ、そんな恰好で! お前、一体何を!?」
関わり慣れた間柄とは言え、プルツーは突然の姉の抱擁に困惑している。
そんな妹の狼狽を尻目に、プルは、彼女の肩の辺りに顔を埋めながら、迷いのない声を上げた。
「プルツー! あたし、わかるよ! あたしも同じ事考えてた。どうして私たちだけが、生まれ変われたのか。ジュドーに会うためでも、一から新しい人生をやり直すためでもない。もしも私たちが、キュベレイのパイロットじゃなく、人のために役立つ仕事に就いていたなら・・・戦争で悲しむ人たちの心を癒す存在になっていたなら、もっと別の姿で生まれ変わっていたと思うもん」
「プル」
悲しみとも、慰めとも受け取れるプルの訴えを聞いて、全身が強張っていたプルツーの身体が、心なしか一瞬、緩んだ。
「でも、生まれ変わった私たちは? 見ての通り、やっぱり戦うための兵士だった。連邦の技術が使われていることだけが唯一の違いで、あとはグレミーの時と同じ、武器を振り回す事と、生体データを採取される毎日。これはきっと、過去に殺めたり、傷つけてきた人たちの気持ちを、私達が全然わかってないことへの罰よ。家族を失い、愛する人たちと離れ離れになった人たちの気持ちをもっと深く理解するために、神様がもっと苦労しなさいって言っているんだわ」
「プル、お前、そこまで考えていたのか?」
日常から天真爛漫なプルには、おおよそ自分の心理などわかってくれないだろうと考えていた感情が裏切られたことに、プルツーは小声ながら感嘆の声を上げた。
一心不乱に、自分に抱き着いていたプルの顔を覗き込む。
「でもね、プルツー。私、負けないよ。今の私は、以前の我がままで独り善がりなエルピー・プルじゃない。もちろん、いつかはジュドーやルー、エルやビーチャの皆には会いたいけど。こうしてあなたやマリーダ、他の妹たち、そしてマリーダのパパが一緒に居てくれることになったんだから。これからどんな試練が待ち受けても、絶対に乗り越えて見せる。私は私。せっかく生まれ変わった皆の幸せのため、そして世界中の人が、これ以上戦争で悲しい思いをしないため、前に進み続けるからね!」
そう言って、プルはプルツーの身体を改めて強く抱きしめた。
第一次ネオ・ジオン抗争の時代に比べて明らかな飛躍を遂げた、『自分』という存在を受け入れつつあるプルの決意。
その様子を見て、プルツーもまた、プルに呼応するように抱擁した。
「ああ。負けないさ。私たちは今までも、そしてこれからもずっと一緒だよ」
遺伝子のレベルで、全く同じ身体を持つ姉妹。
かつて憎しみ合い、戦争の名の下にその短い命を散らした二人が、時空を超え、新しい肉体を持って生まれ変わった。
その理由とは、自分たちの存在意義を確かめ、過去に犯してきた罪の数々を償うこと。
今この時、プルとプルツーには、かつてのような対立の感情はなく、むしろ互いの意思を共有することで、共に戦おうとする決意が芽生えていたのだった。
「・・・それにしても、プルツー。もしこの話をマリーダが聞いたら、どう思うだろうね? あの子には、今でもさんざん我がまま言って困らせてる訳でしょ。それでいて、もう負けない!とか。なんか私、急に恥ずかしくなってきちゃった・・・」
「・・・しかも二人して裸でな。こんなに立派な浴室やら自販機まで、ほとんどストライキみたいなことやって用意してもらってるのに・・・」
この後、しばらくの間、二人が複雑な気持ちでひたすら顔を赤らめていた事実は、本人たち以外誰にも知られることはなかった。