『正義のサイヤ人』~仲間の夢を未来へつなぐのは間違っているだろうか~   作:灰色パーカー

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1.正義の味方!その名はポーロット!

迷宮都市オラリオ。『ダンジョン』と通称される地下迷宮を保有する、いや迷宮の上に築き上げられた巨大都市。

 

都市を、ひいてはダンジョンを管理する『ギルド』を中核にして栄えるこの都市は人間(ヒューマン)も含めてあらゆる種族の亜人(デミ・ヒューマン)が生活を営んでいる。

 

この都市に住む者の大半は『ファミリア』と呼ばれるものに所属している。ファミリアは天界から降りてきた神が自身の恩恵を与えた者達を集めて組織した集団のことだ。

 

オラリオには法律が敷かれているので、法を犯せば当然ペナルティをくらう。それをわかっていながら、尚犯罪に手を染める者が一定数いる。

 

時にはファミリアが一体となって『悪』を為すことすらある……

 

 

――――――――――――――――――――――

 

そこに一人の少年がいた。純白の髪に紅色の瞳。傍から見ればウサギにも見える少年は、見たことのない造りの建物、大勢の人々、活気ある町の様子に圧倒され、キョロキョロとあたりを見回していた。

 

誰がどう見てもお上りさん状態である。

 

「うわぁ~、すごいな!ここが・・・お爺ちゃんが言っていた迷宮都市オラリオ」

 

この少年、元々祖父と二人で田舎暮らしをしていた。しかし祖父の急死もあり、田舎から出てきたのだった。

 

 

全ては、胸に抱いた理想のために。

 

 

 

「僕はここで夢を叶えるんだ。綺麗な女性との出会いを!両手に花のハーレムを!」

 

そう。この少年、女性との出会いしか考えていなかった。オラリオに来たのも、女性と出会うにはオラリオが一番と祖父に言われたからに過ぎなかった。

 

 

「まずはギルドに行って冒険者登録を・・・うわっ!」

「いってえなぁ!気をつけろ、このガキ!」

「す、すみません」

 

少年が浮かれながら歩いていると、正面から来た男とぶつかった。少年は男に頭を下げるが、男は苛立った態度で立ち去って行く。

 

 

 

「盗みは良くないな~しかも自分からぶつかっておいてその態度、尚良くない」

「痛ててて!な、何すんだよ!」

 

しかし何処からか現れた青年が、去って行く男の手を掴む。そのまま手を背中側に回して拘束する。

 

「何って君、今そこの白髪の少年から財布を()っただろ」

「なっ!」

 

そう言って後から来た青年は、拘束した男の胸ポケットから財布を取り出した。

 

「ほら、白髪の君。これ、君のだろ?」

「え?・・・あぁ!それ、僕の財布!」

 

青年から自分の財布だろと言われ、慌てて自分のポケットを見る少年。青年の言った通り、少年は財布を掏られていた。

 

「はい、どうぞ・・・さて、お前も掏りなんて下らない事止めて、働け」

「こ、この!覚えてやがれ!」

 

そう言って走り去っていく掏りの男。実際その男の腕は相当なものだった。少年の全財産が入った財布。硬貨がぎっしり詰まった財布は持っただけでチャリンチャリンと音が鳴る。

 

それを喧噪の中とは言え、少年に気づかせることなく奪ったのだから。まして少年はそんな重たいものを取られたことに気づいてすらいなかった。

 

まさに洗練された技術。そうそう気が付く者もいないだろう。後から現れたこの青年を除けばだが・・・

 

 

 

「あの、ありがとうございました!」

「いやいや、気にすることは無いよ。当然のことをしただけさ」

 

掏りから財布を取り戻した青年。黒のタンクトップと長ズボン、左袖に何かのエンブレムが入った青色のジャケットを着た黒髪の彼は朗らかにそう言った。

 

「でも気をつけなよ。この町には良い人が沢山いるけど、悪さをする人も少なからずいるから」

「は、はい・・・」

 

青年に忠告され、項垂れる少年。自分が浮足立っていたことが恥ずかしいのか、はたまた単純に掏りにあったことが悲しいのか。

 

 

 

 

「君は・・・見たところオラリオの外から来たようだけど?」

「え・・・あ、はい。その、冒険者になりたくて」

 

どこか暗い雰囲気が漂い始めた少年に対して、青年が話題を変える。少年もその問い掛けに直ぐに答えた。

 

「冒険者か……確かに冒険者はこの都市固有だもんな。それに、手っ取り早く金を稼ごうと思ったら冒険者が一番だしね。その分危険も多いけど」

 

「その・・・お金を稼ぐっていうのも理由の一つなんですけど、それだけじゃないというか・・・」

 

冒険者になりたい理由をはぐらかす少年。当然だ、会って数分のこの青年に「自分は出会いを求めて来ました」などと言えるはずが無い。そんな図太い神経を少年は持ち合わせてはいない。

 

「・・・まあ、多くは聞かないさ。冒険者になる理由なんて人それぞれだからね」

「す、すみません」

 

深く詮索されなかったことに安堵する少年。もし踏み込んで聞かれていたらうっかり話していたかもしれないと、内心バクバクであった。

 

「冒険者志望だとまずはギルドに行かなきゃなんだけど、場所はわかるかい?」

「は、はい。あの一番高い建物ですよね、ギルドがあるの。入国したときに城壁の門番さんから聞きました」

「うん、それであってるよ」

 

冒険者になるためにはまずギルドで冒険者登録をする必要がある。そのことを知っているかも含めて聞いた青年だったが、杞憂だったらしい。

 

「この道を真っすぐ行けば着くから。観光とかもしたいだろうけど、この町はいつもこんな感じだから先にギルドに行くことを勧めるよ」

「はい!何から何までありがとうございました!」

 

そう言って少年は、ギルドに向けて走って行った。青年は走って行った少年が見えなくなるまで、手を振っていた。

 

 

 

「ポーロット、どうかしたのですか?」

 

青年が少年を見送ると、誰かが声を掛けてきた。青年をポーロットと呼んだ声の主は、白のシャツに緑のショートパンツ、茶色のサイハイブーツに緑のコートを羽織り、フードで顔を隠していた。

 

「ん?いや、ちょっと掏りにあった少年と話をね。掏られたものはちゃんと取り返したよ」

「そうですか、それは良いことです。ですがパトロール中にいなくならないで下さい」

「ごめんごめん」

 

この青年、否、ポーロットはもともと町のパトロール中であった。そこに掏りにあった少年を見かけたので、ああして財布を取り戻し少年に返したのだ。

 

「一度ホームに戻りましょう。そろそろ交代の時間です」

「そうだな」

 

 

彼らの仕事はこの町の、オラリオの治安を守ること。

 

弱きを助け、悪を征する正義の味方

 

 

青年の名はポーロット。かつてオラリオの暗黒期と呼ばれた時代を終わらせ、都市に平穏をもたらした最強の戦士。

 

 

 

これは、本来の歴史から逸脱した、別の歴史の物語・・・・・

 




初めまして、灰色パーカーです。本作品を読んでいただきありがとうございます。

私は、他にも執筆している作品があるので頻繁に投稿することは難しいですが、自分の思う話は最後まで書き切ろうと考えています!

もし何か感想などありましたら、是非送ってほしいです。励みになります。



尚、私はダンまちのヒロインではリューさんとシルさんが好きです。
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