とあるギーク女の禍難。   作:SUN'S

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第2話(氷室冬香)

◇月℃日

 

私は意外にも織斑君との偽りの恋人関係を始めてからぼろを出さずに頑張っている。織斑君は休み時間は友達とサッカーや鬼ごっこを楽しんでいるけど、私とは登下校の時しか親しそうに話さない。

 

一応、私の学校生活を考えてくれているのかと思ったこともあるけど、あれは学校の中では交際関係を隠しているという周囲へのアピールだそうだ。

 

いつか真っ当な恋人として笑い合えると嬉しいんだけどな。まあ、織斑君のモテすぎるっていう苦悩は平凡な私には分からないし、分かろうとすれば頭を抱えて悩むことになるのは必然としか言えない。

 

それにしても織斑君は他の男の子より運動神経抜群なのに部活しようとは思わないのかな?なんて考えながら教室の窓からグラウンドを眺めていると小さく手を振ってくれた。

 

こういう然り気無い彼氏アピールは徹底してるのは凄いと思うんだけどさ、私の後ろで「織斑君は私に手を振ってくれたのよ!」とか騒ぎ出してるからビックリするんだよね。

 

まあ、織斑君が満足するなら良いけど。

 

◇月>日

 

たぶん、昼頃だったと思う。

 

織斑君と交換したメールアドレスを眺めていると「今から会えないか?」という短いけど、織斑君から初めてのメールが届いた。

 

どう、織斑君にメールを返せばいいのか。

 

ずっと、それを考えているとメールじゃなくて通話で話すことになってしまった。ゆっくりと深呼吸しながら携帯電話を左耳に押し合えると織斑君の声が聴こえてきた。うわあ、電話越しだと声って低くなるんだね。

 

そんなことを考えながら織斑君のメールの理由を聞けば家の前で待ち伏せしてる女子生徒が居るから撤去してほしいそうだ。ああ、デートのお誘いかと勘違いするなんて恥ずかしい…。

 

そういえば織斑君のお家を知らないんだけど、どうやって女子生徒を撤去すれば良いのかな?等と思いながらも織斑君の話を聞いていると金切り声が聴こえてきた。

 

この人は織斑君は怒っているのか、それとも通話の相手である私へ怒っているのかな?そんなことを考えつつ、深い溜め息を吐きながら家屋の屋根を跳び移りながら織斑君の家を探す。

 

私は探偵じゃないから短時間で見付けるのは無理だし、あんまり目立たない外見のお家を探すのは難しすぎるんじゃないかな?

 

独り言のように口ずさんでいると二階建ての綺麗なお家の前で騒ぎ立てるツインテールの似合う女の子をベランダの手すりの間から見下ろしながら覗いている織斑君を見付けることが出来た。

 

とりあえず、あのドアを叩きまくってる女の子を止めれば良いのかな?とベランダで辺りを見回している織斑君の手を乗せている手摺に着地しながら問えば「まあ、うん、頼めるか?」と言われた。

 

まあ、一応、私は織斑君の彼女だからね。

 

あとは任せてくれていいよ?

 

◇月×日

 

私は昨日の突撃訪問を経て、織斑君の女子生徒へ対する苦労を体験することが出来た。あれは怒ることを嫌う人でも怒ると思う。

 

それに説得するために後ろから話し掛けただけで攻撃してくるとか最近の女の子は過激すぎじゃないかな?と織斑君に言えば頷いてくれた。

 

まあ、学校へ通ってる平日は毎日のように女子生徒からデートしようと誘われてる織斑君は選り取り見取りなのは分かるんだけど、女の子を避けるために頻繁にトイレに行くのはヤバイよ?

 

最近なんて織斑君はお腹が弱いって噂が出回ってるし、腹巻きでも編んであげようかな?なんて言ってる子も増えてきてるんだよね。

 

私も織斑君の体格でも細道の逃走ルートは探すけど、あんまり無茶するのはダメだよ?怪我すればお見舞いを口実にお家へ押し入ろうとする人も増えるだろうし…。

 

いや、べつに怖がらせるつもりはないよ?

 

とりあえず、織斑君はプレゼントは受け取らずに周囲を警戒して安全な中学生活を送れると良いね。一応、私は織斑君の彼女だから逃げるときは私のお家を頼っていいよ?

 

うん、まあ、危険分子を排除しようと目論んでる先輩は多いんだけどね。最近は部室に行こうとするだけで来なくて良いとか言われるし、私より強い選手なんていないのにね?

 

 

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