今朝、学校に行かなくていい休みの日なのに織斑君が家に来ていたそうだ。私は剣道部の練習試合を兼ねて地区予選の相手と交流試合してたけど。
先鋒を務めていた向こう側の生徒が「ずいぶんと変な太刀筋だな」なんてズバッと言ってきた。
そこまで変な動きだったかな?と考えていると「先程の逆胴だが、あれが真剣ならば体を両断されていた」と私を称賛するような言葉が飛んできた。
まあ、確かに逆胴は渾身の一撃を放てる得意な技だけど、ほんの少ししか剣を交えていない相手に見破られるなんて驚きだよ。
どうやって見破ったのかと聞けば「竹刀の持ち方が私とは逆だ、それに右の胴を放つより速さより左の胴を放つ方が速いと感じた」と言われ、こういう人を天才っていうのだろうかと考えてしまった。
そんなことを考えながら副将の試合を見ていると人差し指で太股を叩いてリズムを測っているようにも見えたけど、よく見れば時計を見て苛立っているようにしか見えない。
もしかして、友達と遊ぶ約束でもしているのだろうか?と思いながらも彼女から視線を外して大将の試合を応援するために正面を向いた瞬間、織斑君が道場の出入り口に立っていた。
一応、ここって隣の地区の中学校なんだけど。
「なぜ、ここにいるのだ!?」
いきなり、私と話していた向こう側の征途が立ち上がって織斑君を指差しながら叫んでいる。ひょっとして、待ち合わせの友達って織斑君だったのかな。
私は織斑君と隣の女の子を見比べるように見ていると「氷室さん、試合は終わってるよな?」なんて聞いてきたので「うん、まあ、終わってるよ?」と答えておいた。
よく見れば五反田君や御手洗君まで来ているし、あと目付きの悪い女の人もいる。いったい、どういうパーティーメンバーなのだろうか?
勇者の役割は織斑君だよね。五反田君は戦士か盗賊なのは確定として、御手洗君は魔法使い一択だし、女の人はバーサーカーなのは決定なのは確かだ。
「一夏、久しぶりだな」
「あァ~ッ、誰だっけ?」
ポリポリと後頭部を掻くような仕草を見せたかと思えば彼女のことを知らないと言い放った。不穏な空気というより重苦しい感じだ。
とりあえず、織斑君と近しい友人なのは確かなはずなんだけど。もしや織斑君は彼女のことを本当に覚えていないのだろうか?等と考えながら見ていると女の人が近付いてきた。
「お前だな、私の大切な一夏を惑わしたのは…」
「な、なんだと!?」
驚いたかと思えばギロリと睨んでくるのは何故なのだろうか?なんて思いながら彼女のふりしていることを責めてくるとは予想外だ。
それにしても二人とも殺気みたいな圧力を掛けてくるのはやめてくれないかな?私だって間違えて竹刀を生身の部位に叩き付けそうになるし、あんまり睨まれると怖くて仕方無い。
そんなことを言えば「ふん、この程度の威圧で怯むなど一夏の選んだ女とは思えんな」等と言われたけど。私は無駄なことに労力を割くつもりはないだけです。