「はぁ~……大丈夫かな透子ちゃんのおばあさん……」
私、倉田ましろはこの休日に同じ学校でバンドを組んでる桐ケ谷透子ちゃんとお出かけする予定だった
だけど透子ちゃんのおばあさんが倒れたらしく……今こうして一人ふらふらしている
「この辺あんまり一人じゃ来ないし、ちょっと不安だけど……時間あるし少し歩いてみようかな……」
「わ、大きな公園……。一周まわるだけで疲れそう……でも暇だし……」
「あら?そこでもじもじしてるのは……、確か倉田ましろちゃん……だったかしら?」
「ワンッ!」
「わ、わっ!……い、いぬっ……!!!!!」
「だ、大丈夫よ。そんなに怖がらなくても。ほらレオン、おすわり」
「クゥーン」
「こ、腰が……抜けちゃった……」
「立てる?」
「あ……、えと、ありがとうございます……
あなたは……あっ、ぱ、パスパレの……」
「白鷺千聖よ。ごめんなさいね、ウチのレオンが驚かせてしまって」
「あっ、いえ……。だ、大丈夫です」
「倉田ましろちゃん、よね。月ノ森のMorfonicaの」
「は、はい……。そうです」
「こんなところで一人でどうしたの?」
「あっ、えっと、と、透子ちゃんと遊ぶ約束だったんですけど、あっ、透子ちゃんはも、モニカのベースの子で……それでっ、えーっと……」
「お、落ち着いてあy、ましろちゃん。一つずつ聞いてあげるから。……あ、ごめんなさい、ましろちゃんって呼んでしまったけれど良かったかしら?」
「は、はい!いえ、ぜんぜんっ!……うれしいです」
「そう……。なら良かったわ。
それでましろちゃんはここで何を?」
「はい……。実はーーー」
かくかくしかじか
「そうだったの。それは心配ね、桐ケ谷さん」
「はい……、でも透子ちゃんは『シロまでジメジメしてっとアタシの申し訳なさが倍増するから!……ってドタキャンする奴のセリフじゃないか!』って笑ってたので……」
「良い友人を持ってるわね。……それでましろちゃんはこの後は何かあるの?」
「い、いえ……今日は一日透子ちゃんと遊ぶ予定だったので」
「そう……じゃあ私とお茶しないかしら?」
「えっ……?」
「あ、ちょっと誘い方に語弊があったかもしれないわ。少し説明させてちょうだい」
「は、はい……」
「実はこの後花音、『ハロー、ハッピーワールド!』ドラムの松原花音って子と喫茶店でちょっとしたお茶会をする予定だったのだけれど、もしよければましろちゃんも一緒にどうかしら」
「えっ、でも、そ、そんな急にお邪魔していいんですか……?」
「ええ。花音もきっと喜ぶと思うわ。ましろちゃん良い子だもの」
「えっ!?えぇ……そ、そんなことは、ない、ですよ……」
「ふふ。真逆ね……」
「な、何か……?」
「いえ、何でもないわ。それで、一緒にお茶してくれるのかしら?」
「は、はい……じゃっ、じゃあ、お邪魔します……」
「ありがとう。じゃあ行きましょうか」
「いえっ!、は、はいっ……!」
(ごめんなさいね、先輩の我儘につき合わせちゃって……でもどこか『ほっとけない空気』が出てるのよね……誰かさんみたいな……)
(ううぅ……お誘いについ乗っちゃったよ……嬉しかったけど……私、お茶会の作法なんてわかんないよぅ……!)
「ワンッ!!」
「「わっ!!」」
「「……」」
「ふふっ…」
「あはは…っ」