個性が「穢土転生」な件   作:ボリビア

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着地点どこ…?


とある模範囚との会話4

 レディナガンは初めて、扉間の顔を見た。

 哀れな女という侮辱に対して、怒気を込めて睨みながら正面から彼の顔を見た時、怒りは霧散した。

 少年の目は真っ黒だ。

 公安の人間特有の感情に蓋をした冷徹な目だ。 

 

(なのに、その目は輝いている。)

 

 自分が無くしてしまった輝きを前に怒気が抜けていく。

 項垂れて、懺悔するように自然と本音が漏れていく。

 

「ああ、そうさ。

 疲れたんだよ私は。

 ヒーロー目指して頑張ってたのに、血まみれの自分に気付いちまった。

 正義の為だと納得させてヒーローの務めだと飲み込んでいたつもりだけど、一度立ち止まると駄目だった。」

 

 公安の考えが間違っているとは思わない。

 ヒーロー社会を維持するために、ヒーローの腐敗は公に出来ない。

 敵と繋がったヒーローの存在を認めてはいけない。

 何故ならヒーローとは信頼で成り立っているから。

 個性社会は表の人間が思っているよりも脆い。

 だからこそ、誰がが殺らなきゃいけない。

 レディナガンもそれが正義だと思いながら、実行してきた。

 けれども、子供と握手しようとした時に気づいてしまった。

 

『自分は本当にヒーローなのか?』

 

 血に汚れた己はヒーローと呼べるのか。

 信頼を保つために人を殺さなければならない社会は必要なのか。

 ヒーローも敵も何も変わらないのではないか。

 自分が守ってきたモノがハリボテに思えてしまった。

 レディナガンの本音はヒーロー社会の闇そのものであった。

 

「…。」

 

 彼女の本音を吐き出されてから暫く沈黙が訪れる。

 扉間は眉を顰めて、右手を顎に添えて或ることを考えていた。

 

(…コレが普通なのか?

 それとも彼女は馬鹿なのだろうか。)

 

 扉間はレディナガンの本音を聞いて、本気で彼女がバカであるか心配していた。

 扉間からすれば、彼女の疑問は当たり前のモノで少し考えれば誰でも気付く事だと思っていた。

 ヒーローというある種の特権階級により維持されている社会とは言い方を変えればヒーローに支配されている社会である。

 そもそも『個性』というものが存在する時点で『数の力』と『個の力』の差は少なく、平等を謳う現代社会が成立するためには数多くの歪みを抱えるのは目に見えている。

 

(故に、テロリストや思想犯が数多く存在し、それを処理できる機構がヒーローであり公安な訳だが。

 あー、どうしよう根本的に分かりあえる気がしない。)

 

 扉間もレディナガンの経歴は知っている。

 純粋にヒーローを目指して努力し、デビュー前から公安にスカウトされる狙撃能力を買われて公安ヒーローになったのが彼女だ。

 

(彼女のオリジンはオールマイトの様な表のキラキラしたヒーロー、心が折れるのは必然だっただろうに何をしてんだか。)

 

 もし、彼女が組織的な敵や汚職ヒーローの被害者であれば恐らく今も現役の公安ヒーローとして活動していたに違いない。

 あるいは、プロヒーローとして精神が成熟してからスカウトされれば話は違っただろう。

 どちらにせよ、死ぬか公安の二択によるスカウトを受けた扉間とは根本的に在り方が違う。

 

(公安ヒーローに成るには彼女は眩し過ぎる。

 …だが、ヒーローとしてなら活かせるか?)

 

 能力だけでスカウトした当時の公安に呆れつつも、扉間はレディナガンにヒーローとしての再起の可能性を感じていた。

 彼女の心が折れた理由は市民では無く大義を守らせた事であるのは明白であった。

 その一点を解決出来ればレディナガンが社会復帰出来ると判断したのだ。

 

 

 

 

 




ヒーロー社会ってどう考えても歪んでる様に思えちゃう
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