月から聖杯戦争の勝者が来るそうですよ?(未完)   作:sahala

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サハラ「我と共に生きるは冷厳なる勇者………出でよ!!」

マシュ「先輩、それゲーム違います」

なんか設定が色々苦しいですが、見逃して下さい(土下座)


第10話「謎解きと、舞台裏の雑談」

「謂れはなくとも即参上! 軒轅陵墓から、良妻狐のデリバリーにやって来ました♪」

 

 そのサーヴァントは、死に際だった自分の目の前に突然、現れた。

 

「はい、シークタイムはそこまでです! 今のご主人様は弱々な状態なんですから、悩んでいい結論(コト)なんて一つもありません! 弱り目にたたり目、泣きっ面にハチ、年上の女房は質に入れても即ゲット、と申します!」

 

 やる事なす事、とにかくハチャメチャで。

 

「そんなに首が欲しいなら、同じのが2つ並んでるんだから、片方切っちゃえばいいんですよ」

 

 サラッと残酷な一面も覗かせる。だけど―――

 

「私の願いはただ一つ。誰よりも幸せな良妻になりたいだけですよ。ご主人様(マスター)

 

 いつも見せている陽気な外面からは見抜けないくらいに純粋で。

 

「私は貴方のサーヴァントです。私が仕えたいと焦がれる魂を持ち、好きになってしまった御方です」

 

 自分へ無償の献身と愛を奉げてくれて。

 

「でも今は最後まで一緒にいます。私の、たった一人のご主人様(マスター)

 

 自分に寄り添って消えていった。

 その子の名前は―――

 

 

 

 ―――境界壁・舞台区画。大祭運営本陣営、書庫。

 

「………………………………………」

 

 ぼんやりとした視界の中、机の木目と自分の腕が最初に目に入った。

 どうやら机に突っ伏したまま寝てしまったらしい。窓の外を見ると、外は既に明るくなっていた。

 

「いけない、寝過ごしたかな?」

 

 変な姿勢で長時間いた為か、凝り固まった肩を揉みほすしながら欠伸を噛み締める。ここ数日、徹夜続きでまだ眠いが、こうして自分が寝ていた間にも刻限は迫っているのだ。惰眠を貪るわけにはいかない。

 ふと、さっきまで見ていた夢を思い出した。それは自分の知らない/知っている聖杯戦争。隣にいたのは見た事の無い/忘れられないサーヴァントだった。あのサーヴァントは、誰だったのだろうか?

 

(いや、今はそんな事を考えている場合じゃない)

 

 首を振って思考を一端、止める。自分が考えないといけないのはギフトゲームの攻略方法だ。手早く身支度を済ませ、書庫の外へと足を進めた。

 

 

 

 ―――境界壁・舞台区画。大祭運営本陣営、大回廊。

 

 部屋の外に出て、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。それだけで眠気が残っていた頭がクリアになるのを感じる。ふと窓を見ると、どんよりとした曇り空だった。まるで今の自分達を暗示している様だ。

 交渉から既に六日が経った。明日の夕方にはゲームが再開される。しかし、未だにギフトゲームの謎を解き明かせないでいた。既にペストの発症者は九割を超え、無事な人間も焦りと不安から疲労困憊だ。

 

「ふう………」

 

 大きく息を吐く。あの後、耀の姿を誰も見ていない。状況から魔王一味に拉致されたと考えるのが普通だろう。恐らく、ジンくん達が交渉を行っていた時間中に。あの時はまだ休戦の制約が締結されていないから、その間に耀を攫ったとしても何も問題はない。黒ウサギの審判権限をすり抜け、こちらの目が交渉に釘付けになった瞬間を狙っての犯行。敵ながら見事と言わざるを得ない。

 

「おっす。重役出勤か?」

 

 開口一番、通路を歩いていた相手に皮肉の混じった挨拶をされた。

 

「おはよう、十六夜。そんなに遅かったか?」

「おう、後2時間もすれば昼飯だな」

 

 つまり今は午前10時くらいか。確かに起床には遅い時間だ。

 

「それで、徹夜した甲斐はあったか?」

「ああ、一応はな」

 

 朝方まで読んでいた資料を頭に浮かべる。自分とセイバー達で戦った黒いサーヴァント。他の『ハーメルンの笛吹』達が十六夜達と会っていたなら、耀を攫ったのはこのサーヴァントの仕業と見て間違いないだろう。ジャックによって倒されたと思っていたが、生きていると見た方が良さそうだ。

 

「あのサーヴァントに殺された人達の遺体を調べたよ。最初、奴も魔王と同じでペストだと思っていた。でも―――」

「ああ。そいつにやられた奴等は瘢痕(・・)が目立っていた。ペストじゃねえ」

 

 乱暴に髪の毛をかき上げながら、十六夜は頷く。

 

「ペストにかかると確かに皮膚が黒ずむが、あの死体みたいな瘢痕は出来ない。それに俺が魔王ならわざわざ自分と同じ名前を手下につけねえよ。ミスリード狙いで別の『ハーメルンの笛吹』に仕立て上げる」

「そのペストを除外すると、あんな特徴的な病気は大分絞れてくる」

 

 そう。犠牲者の全身に瘢痕を残して命を奪い、1284年どこらか何世紀にも渡って人々を苦しめた病。その名は―――

 

「天然痘。それが、あのサーヴァントの正体だ」

 

 かつて、童話が真名だった英霊がいた。しかし今回のサーヴァントはそれよりも更に歪だ。病気が正体だなんて、英霊と呼べるのだろうか? 普通の聖杯戦争ならば、まず召喚されないと断言できる。

 

「天然痘、ね。『ハーメルンの笛吹』には、ペスト以外にも様々な伝染病が疑われていた。その中に天然痘があったとしても不思議じゃないが………」

「何か問題があるのか?」

「その考察は間違ってないだろうが、ギフトゲームの方の考察が複雑になったな」

 

 ガシガシと頭を掻きながら十六夜は説明する。

 

「ギフトゲームの勝利条件、『偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ』。これが意味するのは、かつてハーメルンに起きた事実を『ネズミ(ラッテン)』、『地災や河の氾濫(ヴェーザー)』、『黒死病(ペスト)』、そして新しく加わった『天然痘』の中から選択する。ここまでは良いな?」

「ああ、うん。大丈夫」

「で、問題はどれが偽物で、どれが本物かを見極めないといけないんだが………本物が見えてこない」

「本物は、って………偽物は分かるのか?」

「おう。ペストと天然痘、この二人だと1248年6月26日という限られた時間内で130人を殺せない」

 

『一ニ八四年 ヨハネとパウロの年 六月ニ六日

 

あらゆる色で着飾った笛吹き男に一三○人のハーメルン生まれの子供らが誘い出され、丘の近くの処刑場で姿を消した』

 

 ペストは潜伏から発症まで2日から5日。天然痘に至っては7日から16日だ。130人が一斉に発症し、一斉に死なない限り、碑文の通りにはならない。

 

「じゃあ、その二人を倒せば解決するんじゃないか?」

「それだと第一の勝利条件、『ハーメルンの魔王の打倒』と被る。今回の勝利条件は二つ。わざわざ分けてある事には意味があると考えた。『偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ』。この伝承とは一対の同形状であり、“砕き”“掲げる事ができるもの。つまり―――」

「! そうか、ステンドグラス!」

 

 確か、ハーメルンの街には碑文と共にステンドグラスが飾られていたはずだ。“砕き”“掲げる”ものがステンドクラスとすると―――

 

「大祭の街中にあった、ステンドグラスを割れという事か?」

「ああ。調べてみると俺達と別枠の“ノーネーム”名義で100枚以上のステンドグラスが展示されてた」

「そうか、だから彼等は白夜叉の防衛策を突破したのか!」

 

 一、一般参加は舞台区画内・自由区画内でコミュニティ間のギフトゲーム開催を禁ず。

         

 二、"主催者権限"を所持する参加者は、祭典のホストの許可無く入る事を禁ず。

 

 三、祭典区画内で参加者の"主催者権限"の使用を禁ず。

 

 四、祭典区域にある舞台区画・自由区画に参加者以外の侵入を禁ず。

 

 白夜叉が立てたルールは以上の四つだ。火龍誕生祭に参加する者は、白夜叉の許可が無いとギフトゲームの開催は出来ない。

 しかし、ここに抜け穴があった。確かに参加者については厳しく制限されていた。だが、美術工芸品としての出展物(・・・・・・・・・・・・)には何も制限が無い。ジャック・オー・ランタンと同じく、彼等は意思を持ったギフトだったのだ。

 

「だが、ペスト以外のどのステンドグラスを砕いて掲げればいいか分からん。そもそも100枚以上あるステンドグラスを探すだけでも骨だしな」

 

 勝利条件は『ハーメルンの魔王の打倒』し、『偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げる』こと。魔王であるペストを打倒するのはともかく、ステンドグラスの方は闇雲に砕いても駄目だ。もし『真実の伝承』のステンドグラスを砕いてしまうと、それだけでプレイヤー側の敗北が決まる。

 状況は手詰まりに近く、一刻も早くギフトゲームの謎を解かないといけない。しかし―――

 

「なあ、十六夜。一つ聞いて良いか?」

「あん?」

「飛鳥と耀は………無事、かな」

 

 魔王一味に拉致された彼女達が心配だった。休戦期間中は手を出せないと分かっていても、何も情報が入ってこない現在の状況は不安を煽るばかりだ。

 

「まず大丈夫だ」

「………その根拠は?」

「相手方は新興のコミュニティだった。黒ウサギやサンドラといったレアな人材は喉から手が出るくらい欲しがっている。拉致したってことは、殺すには惜しいと思ったんだろ」

「少なくともすぐに殺す心配はない、か……」

「ああ。あまり楽観視はできねえけどな」

 

 そう、楽観視は出来ない。未だに飛鳥と耀は敵の手の内にあり、その気になればいつでも手を下せる。そして明後日までに魔王を倒さなければ、自分達も魔王の手に落ちる。

 

「せめて白夜叉がいればな………」

「無い物ねだりは止めとけ。結局、参戦条件も分からずじまいだしな」

「でも、どうやって封印したんだろうな? “ハーメルンの笛吹”の伝承に白夜叉を封印できる要素なんて無いよな」

「まあな。夜叉は仏門側だから関係あるはずがない。強いて言うなら白夜叉は正しい意味で夜叉じゃないくらいか………」

「? どういう事だ? 夜叉じゃないなら、何で白夜叉なんて名前を名乗っているんだ?」

「ん? ああ、白夜叉は元々は白夜の星霊らしい。でも事情があって仏門に降ったから格下の夜叉を名乗っているんだとよ。本来なら太陽そのもの属性と太陽の運行を―――」

 

 そこで十六夜はピタリと口を止める。そして考え込む様に額に指を当てると、当然ブツブツと呟き始めた。

 

「黒死病が流行した原因は寒冷期………太陽が氷河期に入ったからだ。つまり、太陽の力が弱まったわけだから―――そうか!」

 

 十六夜は獰猛な笑みで叫ぶ。それは、謎を解いて確信を得た人間だけが出せる瞳の輝きだった。

 

「なら、連中は1284年のハーメルンじゃなく………ああ、クソッ!! 完全に騙されていたぜ“黒死病の魔王(ブラック・パーチャー)”!! つまりお前達はグリム童話の“ハーメルンの笛吹”であって、本物の“ハーメルンの笛吹”とは無関係だったのか!!」

 

 そう言って、クルリと踵を返そうとし―――再びこちらに振り返った。

 

「ありがとな、岸波! お陰で謎が解けた! あとは明日に備えて寝ておけよ! 嫁王にもそう伝えておいてくれ!」

 

 そして、こちらの返答も聞かずに今度こそ走り去ってしまった。今の会話の中で、ゲームの謎が解けたのだろうか。それはともかく―――

 

「嫁王、ってセイバーのことか? まあ、ピッタリなネーミングだけどさ………」

 

 

 

 ―――Interlude

 

 ―――境界壁・舞台区画。大祭運営本陣営 バルコニー

 

「………………暇じゃ」

 

 つい数日前まで、“火龍誕生祭”の観戦を行っていたバルコニーで白夜叉はひとり呟いた。白夜叉の周囲には黒い旋風が纏わりつき、彼女は一歩も動けないでいた。常人ならば不気味さに精神を病みそうだが、白夜叉は文字通り何処吹く風と言わんばかりに退屈そうにしていた。

 

(今日で襲撃から六日目になるか………黒ウサギの“審判権限(ジャッジマスター)”は何とか受理された様だが)

 

 チラリと自分を取り囲む旋風を見る。

 

(これが解除されないということは、魔王側にあからさまな不備は無かったのだな。今はさしずめ休戦といったところか)

 

 今でこそ“サウザンドアイズ”に所属し、東側の階級支配者に収まっている白夜叉だが、彼女もかつては魔王として戦場を駆けた身。百戦錬磨の経験から、今の状況を推測していた。

 

(その休戦も今日か明日までが限度じゃろうな。相手は新興のコミュニティとはいえ、“ノーネーム”と“サラマンドラ”でどこまでやれるか………)

 

 だが、それだけだ。今の彼女は力を封印され、見ている事しか出来ない。その状況に何度と知れずに歯噛みしていた。

 

(くそ、本来の力ならば後れを取らずに済んかもしれんというのに)

 

 

『ホッホッホ。ざまあ無いのう、白夜叉』

 

 突如、白夜叉に語りかける声が響いた。だが周囲には人の姿は見えず、それどころか声の出所も判別しない。しかし、白夜叉は全く動じずに宙を睨むと嫌そうに顔をしかめた。

 

「おんしか。何の用だ?」

『いや、なに。微睡んでいたところに面白そうな未来が見えたのでな』

 

 声は陽炎の様な儚さでありながら、確かな存在感をもって笑っていた。

 

『そしたら我が同胞が無様にも手も足も出ぬ状況ときた。おかしくて、おかしくて―――腹が捩れそうじゃ』

 

 否―――嘲笑っていた。害意を隠そうともせず、声の主は白夜叉を見下していた。

 

「やっかみが言いたいだけならば帰れ。あと2000年は居眠りして良いぞ」

『おや、つれないではないか。同じ太陽を司る者だというのに』

「私がおんしと同じだと? 馬鹿を申せ」

 

 いっそうに表情を険しくして、白夜叉は宙を睨む。

 

「おんしは人間を、自分を崇める者を好いておらぬ。それどころか、そやつらの害となって人に仇なす存在であろう」

『はて。これは奇なることを。元より我等はその様な存在であろう。それを人間(羽虫)共が勝手にありがたがっているだけに過ぎぬ』

「戯け。人々に恩恵を与えずして、何が神か。あまつさえ害しか与えぬならば、それは邪神という」

『そもそも“神”という呼称も人間(羽虫)がつけたものだろうに。そなたは虫が好きなのか? ゲテモノ趣味じゃのう。我が物顔で増えて、大地を喰らう害虫の何が良いのやら。下手に喋る分、虫よりも気持ちが悪い』

「貴様………それでも神か? 自らの信者に何も思う物は無いと申すか」

『無い。妾は全知全能故にな、そんな虫を必要とした覚えはない。強いて望むならば、“鬱陶しいから関わるな”といったところかのう』

 

 白夜叉は静かに宙を睨む。その顔は、“ノーネーム”の面々に見せた事が無い、焼けつく様な静かな怒りに満ちていた。

 

「やはり貴様とは相容れぬな」

『当然であろう。そなたが人間(羽虫)に施しを与える神ならば、妾は生粋の“人類悪”。交わるはずもあるまい』

「ならば話しかけるな。貴様の宮殿で、人の滅びる日でも待つが良い」

『ああ、それだがな。流石に惰眠を貪るのにも飽いた。故に、少し余興を楽しませて貰おう』

 

 その時、空気が張り詰めた。物音を立てる事すらも躊躇われ、気の弱い者ならば緊張のあまりに呼吸を止めてしまうだろう。

 

「―――何を考えている?」

『だから余興じゃよ。取るに足らない、ほんのお遊びじゃ』

 

 声の主はそう言うものの、白夜叉は全く信用していなかった。この相手が動く。それが意味する事は、人々に甚大な被害がでるという事だ。しかも質が悪いのは、被害を出す為に積極的な行動に出るのではなく、行動の余波だけで虫の様に人間が潰れていく。まさに天災か、形をもった悪夢としか言いようがない。そして問題は―――名のある神仏でも、同じ様に潰れる事だった。

 

『妾の鏡をどこぞの小僧にくれた様じゃな』

「それがどうした。あれは私に所有権が移った物だ。私が好きに使う権利がある」

『いやいや。むしろ礼を言いたい。よくぞ手渡してくれた(・・・・・・・)。お陰で準備は整ったのでな』

「―――貴様、まさかそれを承知で私に八咫鏡を渡したのか!!」

『呵呵。ご苦労じゃったのう、白夜叉』

 

 いやらしく笑う声の主に、白夜叉は今度こそ憎悪を露わにした。灼熱の太陽の様に、憤怒を燃やしながら宙を通して声を睨む。

 

「“ノーネーム”に手を出してみろ。そうしたら貴様という霊格を八つ裂きにし、火の粉に劣るまで砕いてくれる」

『ほう。そなたの身で? 仏に身を売って霊格を縮小させたそなたが妾に挑むと?』

「ならば仏門に神格を返上するまでだ。三年前の様な過ちは繰り返さん!」

 

 三年前。かつて箱庭を救ったコミュニティが崩壊し、全てを奪われて“ノーネーム”となった。あの時、神格を返上して駆けつけていれば―――それが白夜叉にとって、痛恨の後悔だった。だからこそ“ノーネーム”となって泥をすする様な生活を余儀なくされた彼等をひそかに手助けしてきたのだ。それを、声の主の気紛れ程度で壊されるなど、到底許せる話ではない。

 

「暇を潰したいのであったな? ならば今すぐにでも―――!」

『ああ、月の兎とその取り巻きには何の用も無いぞ』

「………へ?」

 

 つまらなそうに言う声の主に、思わず白夜叉は間の抜けた声を出した。

 

『妾が楽しもうと思っている相手は、先ほどの小僧なのでな。その他は心底どうでも良い』

「何だと―――?」

 

 今度こそ白夜叉は声の主の意図が掴めなかった。人間を羽虫と呼び、鬱陶しいから関わるなとまで言ったこいつが、どうして岸波白野を気にする? 白野は確かにおかしなギフトを持っているが、それ以外は至って平凡だ。英霊を従えているのは確かに目を瞠るが、そんなものは少なくともこの相手には通用しない。なにせ、本気を出せば千の英霊でも視線一つで蒸発させられる様な存在なのだから。

 

「おい、どういうことだ。おんしは岸波白野とどういう関係だ?」

『喋り過ぎて眠いのう。また微睡むとするか。ではな、白夜叉。せいぜいあがくが良い』

「おいコラ待て! 思わせぶりな事だけ言って寝落ちするな! おい、聞いているのか! 天照大神(あまてらすおおみかみ)!!」

 

 白夜叉が宙に向かって叫ぶも、声の主―――天照大神は返事を返さなかった。

 

 

 

 ―――??? ??? ???

 

 巨大な神殿の中。狐の耳と九つの尻尾を持った天照大神は寝台に寝転がる。人間から見れば気の遠い時間の微睡に入る前、天照大神は一人の人間の事を考えていた。

 

(さて………御膳立てはしたぞ。妾に向かって啖呵を切ったのだから、せいぜい頑張って貰おうかのう。御主人様(・・・・)?)

 




サハラ「エリザ来い! エリザ来おおおおいっ!!」

カーミラ「お呼びかしら? 私を引くなんて中々運が良い―――」

サハラ「チェンジ。若くなってから出直して下さい、ババートリー」

カーミラ「(#^ω^)ビキビキ」

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