月から聖杯戦争の勝者が来るそうですよ?(未完)   作:sahala

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我が王をお迎え出来ませんでした………すまぬ、ウェイバー。
代わりに来たのは、ケリィとアイリ。キャットとステゴロ聖女、ラーマ。キッドと百顔ハサン。
嬉しいちゃ、嬉しいが………なんか釈然としない。


第6話「一発触発」

「―――で、貴様ら。いったい何をしていた?」

 

 褐色の肌と頭に立派な龍角を持つ女性は、腕組みをしながら目の前のエリザベートとバーサーカーに問う。

 頭に大きなタンコブを作った二人は、正座させられながらもふくれっ面で答えた。。

 

「私、悪くないもん」

「それはこちらのセリフですわ」

 

 つーん、とお互いにそっぽを向きながら答える二人。褐色肌の女性は頭痛に耐える様にコメカミを押さえながら、溜息をついた。

 

「お前達な………収穫祭が始まるから喧嘩をするな、と私は言ったはずだよな? 〝アンダーウッド”の十年ぶりの復興を兼ねた式典だから、大人しくしてろと言い渡したよな? くれぐれも、騒ぎを起こすなと、ちゃんと言ったよなあ?」

 

 一句一句に力を込めながら、褐色肌の女性は怒気を纏いながら口元をひくつかせる。額に青筋を浮かべながらプルプルと震える様は、噴火寸前の火山を思わせた。

 しかし、それで反省する様なら問題児とは呼ばれない。

 

「だってコイツが先に突っかかって来たんだもん!」

「この馬鹿がグリーさんごと宝具で攻撃したから注意しただけです。先に手を出したのはドラ娘の方です」

「はあ? 私がいつグリーを攻撃したのよ? 槍でブッ刺した覚えはないけど?」

「貴女の歌声はそれだけで凶器ですわ。いい加減に自覚しなさい!」

「なっ、私の歌の何処が悪いと言うのよ! 貴女こそ耳が腐ってるんじゃない?」

「何もかも手の施しようが無いレベルで悪いです、このドラ音痴!」

「むっかー!! また言った! 今日こそ皮を剥いで財布にして―――」

「や め ん か! この馬鹿ドラ共!!」

 

 ゴン! と鈍い音と共に、握り拳が喧嘩していたドラ娘二人に降り降ろされた。

 

「~~~っ、何するのよ、サラ! 乙女の頭をグーで殴るなんて酷いじゃない!」

「そうですわ! 殴るのはこのジャイアントカゲだけにして下さいまし!」

「やかましい! 二人して騒いだ時点で喧嘩両成敗だ馬鹿共!」

 

 怒りの余り、咆哮の様に気炎を吐き出す褐色肌の女性。ビリビリと彼女の怒声が響き渡る。

 

「………あれは誰?」

 

 三人から離れた所で一連のあらましを眺めていた耀は、隣にいた犬の亜人に問う。

 

「サラ=ドルトレイク。我等“龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)”連盟の議長にして、“一本角”の頭首様だな。今の〝アンダーウッド”の実質的なボスと言ってもいい」

「ドラコ・グライフ………連盟?」

「うん? お嬢ちゃん、連盟を知らんのか?」

 

 犬の亜人が不思議そうな顔をしながらも耀に説明する。初対面の耀にも丁寧に説明する辺り、彼は根っからの世話好きなのだろう。

 

「連盟というのは、複数のコミュニティが集まって作られる組合みたいなものさ。“龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)”連盟の場合、“一本角”、“二翼”、“三本の尾”、“四本足”、“五爪”、“六本傷”の六つのコミュニティが集まって出来てるというわけ」

 

 あれが連盟旗だよ、と犬の亜人は近くにあった旗を指差す。そこには、二本ある龍角の一本が醜くへし折れている鷲獅子の姿が描かれた旗が風に煽られてはためいていた。

 

「あれが連盟旗………でも連盟って、何の為に組むの?」

「そりゃアンタ、お互いの利益の為さ。例えば連盟を組んでいれば、魔王に襲われたとしても他のコミュニティが援軍に来てくれるからな」

「助けに来てくれるの?」

「応よ。まあ、あまりに分が悪いと見捨てられるかもしれんが………口約束よりはマシさ」

 

 ふうん、と相槌を打ちながら耀は旗印を見上げる。そんな耀に構わず、犬の亜人は話を続けた。

 

「しっかし、議長様も大変だねえ。ああやって、あの嬢ちゃん達の喧嘩騒ぎに駆り出されるのは何回、いや何十回目かね?」

「え? 二人が喧嘩する度に止めに来てるの? 連盟の議長が?」

 

 耀は驚いてサラの方へ視線を向けた。余程腹に据えかねているのか、公衆の面前にも関わらずに正座したドラゴン娘達二人にガミガミと説教をしていた。しかし説教されてる当人達は、お互いの顔を見たくないと言わんばかりにフンッと顔を背けていた。あの様子では馬の耳に念仏だろう。

 

「だってなあ………あのドラゴン嬢ちゃん達、戦闘に長けた“一本角”の二枚看板だぜ? あんなの止められるのはその“一本角”のリーダーの議長様か、“二翼”のグリフィス様くらいだろ。グリフィス様は、あー………ちょいと気難しい方だからな」

 

 先ほどまでペラペラと喋っていた犬の亜人が、唐突に口を濁した。明後日の方向を向いて誤魔化そうとしているあたり、そのグリフィスという人物に何か思う所があるのだろうか?

 耀がそんな事を考えていると、後ろから駆け足で向かってくる靴の音が響いてきた。

 

「耀さま! こちらでしたか!」

「やっと追いつきましたよ」

 

 黒ウサギと、彼女に抱えられたジンが耀の前に現れた。見れば飛鳥とセイバー、ジャックとアーシャがぞくぞくと耀の元へ駆けてきた。

 

「まったく。急に飛び出したと聞いたから心配したじゃない」

「まあまあ、飛鳥嬢。これといった危険は無かったのですから、よしとしましょう」

「そうだぜ。何もこんなに急がなくても………べ、別にお前の事なんて心配してないからな!」

「アーシャ………テンプレ乙」

「第一声がそれかよ!?」

 

 ツインテールを逆立てて吠えるアーシャをどうどう、とジャックが宥める。その様子を見た犬の亜人は豪快に笑い声を上げた。

 

「ガハハハハ! どうやら嬢ちゃんのお迎えが来たみたいだな。それじゃ、俺はこれで」

「うん。色々教えてくれてありがとう」

「なあに、良いってことよ。じゃあな。〝アンダーウッド”の収穫祭、楽しんでいってくれや」

 

 ヒラヒラと手を振りながら、犬の亜人は雑踏の中に消えた。その直後、タイミングを計ったかの様にサラが耀達の方へ視線を向けていた。

 

「もしや………そこにいるのは〝ノーネーム”と〝ウィル・オ・ウィスプ”か?」

 

 〝ノーネーム”という単語に、周りの群衆から注目が集まる。皆の注目が集まる中、ジンとジャックが代表して進み出た。

 

「はい。お久しぶりです、サラ様」

「ヤホホホ。この度はお招き頂きありがとうございます」

 

 共に一礼するコミュニティの代表達。その二人を見て、ようやくサラの眉間から皺が取れた。

 

「遠路はるばるようこそ、お二方………と言いたい所だが、御見苦しい物を見せてしまったな。すまない」

 

 後ろ頭を掻きながら、サラが二人に頭を下げる。

 広場の至る所に出来た斬撃の痕や焦げた様な臭い。エリザベートとバーサーカーの喧嘩で、街の広場として少しばかり問題がある土地となっていた。

 

「こんな所で立ち話、というわけにもいくまい。どうか我等の本拠地まで来て頂けないだろうか?」

「はい、ちょうどご挨拶に向かおうとしていた所ですので問題ありません」

「助かる。諸々の話はそこでするとしよう。さて、エリザベートとバーサーカー。お前達はこの広場をちゃんと片付けて………二人とも?」

 

 喧嘩した二人に罰を与えようとして振り向いたサラは違和感に気付く。いつの間にか立ち上がっていた二人は、険しい顔つきである人物を睨んでいた。その視線の先は―――

 

「セイバー? いったいどうしたの?」

 

 耀が違和感に気付いて、セイバーに声をかけた。耀の疑問に応えず、セイバーは険しい顔でエリザベート達と睨み合う。やがて、セイバーがおもむろに口を開いた。

 

「貴様等、サーヴァントだな?」

「そういうアンタも、聞くまでも無いわね」

「――――――」

 

 一人と二人の間に、敵意の宿った視線が飛び交う。

 場に張り詰めた緊張感が漂う。事態の異常さに気づき、周りの群集も固唾を飲んで三人を見守った。

 

「見たところランサーと・・・・・・・・・そなた、バーサーカーであろう。言葉は通じる様だが、狂気を孕んだ音色は余の耳を誤魔化せぬ」

「清廉な闘気・・・・・・・・・偽りや虚偽を含まない真っ直ぐな瞳。そういう貴女は三騎士の一つ。それも、名高い剣の英霊と見ました」

「いかにも。よもや、この地でサーヴァントに会うとは予想だにしてなかったが。さて―――」

 

 セイバーは剣を実体化させ、手元に呼び寄せる。ブンッと風切り音を一つ響かせると、切っ先をエリザベート達に突きつけた。

 

「キャス狐が現界した以上、よもやと思ったが他のクラスのサーヴァントまで現界しているとはな。そなた達のマスターは誰だ?」

「ふうん。やる気ってわけ? 良いわ、売られた喧嘩は高値で買ってあげる」

 

 ガシャン! と音を立て、エリザベートの槍が構えられる。纏う殺気は先程の喧嘩と比べ物にならない程に冷たく、血生臭さを漂わせていた。

 

「ま、待って下さい、セイバーさん! どうして急に“一本角”の方と戦おうとされているのですか!? 一体、何が―――」

「お黙りなさい。部外者は下がってなさい」

 

 慌てて止めに入った黒ウサギをバーサーカーがピシャリと言い放つ。ユラリと構えたその手には、龍の意匠が施された鉄扇。

 

「そこのドラ娘だけならば偶然と見なせましたが、また一人サーヴァントが現れたならば最早必然。これは聖杯戦争。そう見るべきですわ」

「然り。となれば、他のサーヴァントを放置するわけにはいくまい」

 

 エリザベートはスッとバーサーカーの横に立つ。

 

「今まで一緒にいたよしみよ。あのサーヴァントを倒すまでは協力してあげる」

「貴女と手を組むなんて、本来ならあり得ませんが良いでしょう。セイバーは聖杯戦争において最優のサーヴァント。ここで潰さない道理はありません」

「二対一か? 構わぬ。何者であろうと、奏者に降りかかる火の粉は払わせて貰おう!」

 

 セイバーが言い終わると同時に、エリザベート達の体は弾丸と化す。迎え撃つは、真紅の皇帝。愛剣『隕鉄の鞴・原初の火(アエストゥス・エストゥス)を正眼に構え、襲い掛かる二人に剣を振りかぶり―――

 

 刹那、三人の間に落雷が落ちた。

 

「「「っ!?」」」

「双方、そこまで!! これ以上の狼藉は、“箱庭の貴族”の名において見過ごせません!!」

 

 髪の毛が緋色に変化した黒ウサギが金剛杵を振りかぶりながら三人の間に入った。折を見て、サラも炎の翼を広げながら黒ウサギに並び立つ。

 

「黒ウサギ! 邪魔をするでない、そなたには関係が―――」

「関係ならばあります!」

 

 文句を言いかけたセイバーに黒ウサギは毅然と言い返す。その姿は普段問題児達に手を焼いている彼女とは結びつかない程、威風堂々とした姿だった。

 

「ここは神魔の遊技場である箱庭。揉め事はギフトゲームで決着を付けるのが習わしです! ギフトゲームの審判を司る“箱庭の貴族”として、箱庭の法律(ルール)を侵す真似は見過ごせません! セイバーさん、この場は剣を収めて下さい!!」

 

 滅多に見せない黒ウサギの怒気にセイバーは押し黙る。彼女とて、かつては法を司った皇帝。この場で自分の言い分に正当性が無い事に気付けない程、愚かではなかった。

 

「エリザベート達も下がれ。互いに因縁のある相手の様だが、彼等は“龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)”連盟が招待した賓客だ。この場で戦う事は許さん」

「サラ! でも―――」

「頭首の私の言うことが聞けないか、エリザベート・バートリー!!」

 

 サラの鞭打つ様な叱責にエリザベートは押し黙る。

 

「事はお前達だけの問題ではない! ホストがゲストに襲いかかったとあっては、外交も出来ぬ奴と連盟全体が嘲笑の的になる! それが分からぬ程に愚か者なのか!!」

 

 サラの言うことはもっともだ。今のエリザベート達は、“一本角”に籍を置く身。ここでセイバーを倒した場合、“一本角”は賓客である“ノーネーム”の同士を来日したその日に殺した事になる。それは“龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)”連盟が“ノーネーム”に仇なす為に招待状を送った事になり、連盟全体の信用低下に繋がる。同時にエリザベート達を監督しきれなかったとして、連盟の議長であり、彼女達のコミュニティの頭首であるサラには重い罰が下される。

 エリザベートとバーサーカーは共に反英霊だ。生前の悪行から人々に忌み嫌われる物として顕現する彼女達だが、行き場の無い自分達をコミュニティに迎え入れたサラ達の恩を仇で返すほど性根は腐っていない。

 

「・・・・・・・・・サラが言うなら仕方ないわね。良いわよ、合意(サイン)してあげる」

「そうですわね。少し、正気を見失っていましたわね」

「あなたはいつもじゃない」

「空気読みなさい、ドラ馬鹿」

 

 お互いのコミュニティから叱責を受けた三人が矛を収めたのを確認し、ジンはサラに頭を下げる。

 

「我等“ノーネーム”の同士が“一本角”の同士達と揉め事を起こしてしまい、申し訳ありませんでした」

「いや、こちらこそすまない。どうやら互いに因縁があった様子。同士の詳しい事情を知らなかったのは私の落ち度だ。私の顔に免じて許して欲しい」

 

 炎の翼を消し、サラもまたジンに頭を下げる。

 

「ついては本陣までご足労頂けないだろうか? そこで改めて謝罪をしよう」

「ヤホホホ、それは良い。ささ、行きましょう皆さん」

 

 先導するサラに、場の空気を和ませる様にジャックが陽気な笑い声を上げる。そんな中、セイバーはジンに頭を下げた。

 

「すまぬ。ジン。余の勝手な振る舞いで、そなたに迷惑をかけた」

「いえ、そんな。頭を上げて下さい!」

 

 ジンは恐縮して手をワタワタと動かした。奔放な振る舞いが多いが、ローマ皇帝であったセイバーに謝られるなど冷静に考えれば凄い経験だ。そんなジンに代わり、飛鳥がセイバーに声をかける。

 

「まあ、大きな騒ぎにならなかったみたいだから良いわ」

 

 その代わり、と飛鳥は言葉を切る。

 

「ちゃんと説明すること。あの娘達と何があったのか、全部含めてね」

「・・・・・・・・・分かった」

 

 少しの沈黙の後、セイバーは静かに頷く。

 

「そうだな。いずれは語らねばならぬ事だ。そなた達ならば、余の―――いや、余と奏者の歩んだ道程を語る事も許されよう」

「セイバーさーん、行きますよー!」

 

 先に歩いていた黒ウサギが声をかける。セイバー達は早足で黒ウサギ達の元へ向かって行った。

 

 ※

 

 広場からセイバー達が去ると、緊張感が一気に抜ける様にざわめきが戻った。皆、先程までの出来事を互いに噂しあいながらも各々の仕事に戻っていく。耀から離れた犬の亜人も、全ての騒ぎが終わった事を確認して広場から立ち去る。

 大通りを歩き、途中に路地へ。右へ、左へとクネクネと入り組んだ路地裏を迷いの無い足取りで歩いていく。やがて人気が無くなり、街の喧騒が遠くなった所にその人物はいた。陽の差さない路地裏とはいえ、気温が高いにも関わらずにローブをすっぽりと被り、机の上でタロット・カードをシャッフルしている占い師姿の男性。

 そんな見るからに怪しい人物に、犬の亜人は警戒することなく近付いていく。

 

「ああ、ご苦労様。首尾はいかがですか?」

 

 タロット・カードを弄っていた手を止め、占い師の男性は犬の亜人に顔を向ける。すると突然、犬の亜人の姿が蜃気楼の様に歪んだ。歪みが治まると、犬の亜人の姿が黒いブラックハウンド犬に変わっていた。ブラックハウンド犬は、尻尾を振りながら己の主人の足元に近寄る。

 

「へえ………ランサーとバーサーカーを発見しましたか。おまけにランサーはエリザベート・バートリー。真名まで調べるなんて、さすが私の使い魔。バーサーカーの方の真名は分からずじまい………まあ、いいでしょう。竜に変身するという逸話を持つなら大分情報は絞られます」

 

 バウバウ、という鳴き声が響き、得た情報を全て主人へと伝える。占い師の男性は、自分の使い魔の働きぶりに満足そうに微笑んだ。

 

「この場に来たのはイレギュラーチャイルド2、イレギュラーチャイルド3、箱庭の貴族にセイバー………分かりました、引き続き監視を続けなさい」

 

 バウ、と一吠えすると、ブラックハウンド犬の姿が変わる。先ほどの犬の亜人の姿ではなく、今度は雌の猫に姿を変えるとその場を走り去っていった。一人残された男性は、再びタロット・カードをシャッフルしながら思案する。

 

(マスターのいないサーヴァントとして、ランサーとバーサーカーが召喚された………つまり、ターゲットが召喚するしないに関わらず、一定のサーヴァントが集まるということ。そしてターゲットが死なない限り、彼女達に魔力切れという概念は無いものと見ていい)

 

 手元でシャッフルしながらも、カードを一定の位置に置いていく。

 

(サーヴァント同士で敵対心が煽られている………時は近い。残りの二体、アサシンとアーチャーもすぐに姿を現すでしょうね)

 

 思案しながらもタロットを動かす手は止まらない。やがて、机の上に三枚の山札が置かれた。

 それぞれの山札が示すのは過去、現在、未来。この山札の一番上をめくり、カードが示す運命を確認するのだ。

 

(この〝アンダーウッド”は現在、巨人の攻撃を受けている。その背後にいる人間を出来れば確認したいですね。まあ、いずれにせよ………)

 

 占いの準備が終わり、男性はローブを脱ぐ。眼鏡を外し、男性―――衛士・キャスターは山札のカードをめくった。

 

「今は静観の一手だな。状況が動けば………一手仕掛けるのも手だよなあ?」

 

 クツクツと、衛士・キャスターは嗤う。タロットが、運命を示した。

 過去を示すは「戦車」。意味は、勝利と達成。

 現在を示すは「隠者」。意味は、用意周到と沈黙。

 そして、未来を示したのは「運命」―――の逆位置。

 「運命」のカードは正位置ならば、幸運の変化を示す。しかし、逆位置ならば。

 示された意味は―――その運命はカルマに支配されるという事。

 

 

 




セイバー顔ヒロイン統一トーナメント。一回戦

モーさん「ハハハハハ! どうした、グレイ! セイバー顔して、それでもTYPE-MOONのヒロインか!?」
グレイ「せ、拙にも良く分からないのです! ヒロインXにそそのかされて無理やり出場させられたんです!」
モーさん「いけないなあ、父上の事を悪く言っては!」

*上記の内容は本編と全く関係ありません。

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