月から聖杯戦争の勝者が来るそうですよ?(未完)   作:sahala

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 しばらくSSから離れていたら、書き方を忘れたみたいです。どうにか及第点の文章にはしたつもりなので、よろしくお願いします(ペコリ)


第10話『壊れた物と壊れないモノ』

 ―――“アンダーウッド”地下都市中央広場

 

 避難所として設けられた中央広場には、多くの獣人が中央広場に詰め寄っていた。仮設テントが立ち並び、怪我を負った者は列を作って応急処置を受ける。

 

「ここで結構ですわ」

「大丈夫? 体は辛くない?」

「ええ、大丈夫です。魔力を消費し過ぎただけですから、少し休めば元気になります」

 

 広場の片隅。テントの下に設けられ寝台に、バーサーカーは耀の手を借りながら腰掛けた。バーサーカーの身体は軽く、耀一人でも大した苦労もなく運ぶ事が出来た。

 

「なんだ。倒れたと聞いたけど、元気そうじゃない」

 

 不意に、耀の背後から少女の声が聞こえた。振り向くと、そこに竜の少女の片割れ―――エリザベートが呆れた様な顔で立っていた。

 

「えっと、君は―――」

「“アンダーウッド”のスーパーアイドル、エリザベートよ。はじめまして、地味な子リス」

「・・・・・・春日部耀」

 

 いきなりリス呼ばわりされた事に、少しムッとしてしながらも耀は名乗り返す。エリザベートは、そう、と頷くとバーサーカーに向き直った。

 

「アンタが倒れるなんて珍しいじゃない。そんなにキツかった?」

「・・・・・・貴女には関係ありませんわ」

「ふ~ん。ま、ド田舎の蛇だとこんなものね。その点、アタシは楽勝だったわ! 迫り来る巨人達に、蝶の様に華麗に舞いながら戦うア・タ・シ♡ 観客(オーディエンス)がいたら、興奮で沸き立っていたわね!」

「あー、ハイハイ。そうですか、それは良かったですね」

 

 心からどうでもいい、という態度のバーサーカー。しかしエリザベートは相手の反応に気付く事なく、さらに饒舌になっていく。

 

「巨人達に次々と飛び移りながら戦うアタシは正に戦場に降り立った可憐な蝶! もう映画化も待ったなし! タイトルは―――そう、『進撃のエリ、」

「何言ってるの、調子に乗って何度か危なかったでしょうに」

 

 上機嫌のエリザベートに、新たな少女が割って入った。

 

「飛鳥! 無事だったんだ」

「貴女もね、春日部さん。それと、そちらの子は―――」

「バーサーカーとお呼び下さい。飛鳥さん、でしたか?」

「ええ、よろしく。バーサーカーさん」

「ちょっとアスカ、アタシの武勇伝に水を差さないでくれる?」

 

 挨拶を交わす二人の横で、エリザベートは不満そうな声を上げる。

 

「アタシの活躍で巨人達をボコボコにしたじゃない」

「あら? 敵陣深くまで斬り込み過ぎて、周りから袋叩きにされそうだったのは気のせいかしら? 背中ががら空きだったわよ、アイドルさん?」

 

 飛鳥の指摘に、エリザベートはうぐっと口を閉じた。

 巨人が相手でも鎧袖一触にしたエリザベートだが、彼女には興奮状態になると周りが見えなくなるという欠点があった。その為、飛鳥が何度かフォローして襲い来る巨人を二人で打倒したのだ。

 

「べ、別にピンチじゃなかったし! あれは・・・・・・そう、リップサービスよ! いつもより大勢で詰め掛けて来たから、むさ苦しいデカブツ達にも私を間近で見る権利を許しただけだもの!」

「―――ちょっと待って。いつもより(・・・・・)? 南側は、今日みたいに巨人の襲撃が何度もあるの?」

「あ・・・・・・・・・」

 

 耀の指摘に、しまったという顔になるエリザベート。

 

「え、ええと・・・・・・・・・アタシ、そんな事言ったかしら?」

「うん。バッチリ言ってたね」

「き、気のせいじゃない? このアタシが、サラから口止めされてる事をペラペラ喋る様な―――」

「サラ? 連盟の議長にも関係ある事なの?」

「は、はあ!? サラは全然、これぽっちも関係ないんですけど!? デカブツ達の狙いは恩恵(ギフト)なんですけど!?」

「つまりサラの持つ恩恵を狙って、巨人達が何度か襲撃をかけているという事だね」

「~~~っ、何でさっきからバレているのよ! 貴女、エスパー!?」

 

 耀の推測に逆ギレするエリザベートを尻目に、バーサーカーは頭痛を耐える様に額を抑える。

 

「このバカドラ、余計な事をペラペラと・・・・・・・・・」

「大変そうね、貴女も」

「言わないで下さい。泣きたくなってきますから」

 

 ガックリと肩を落とすバーサーカーに、飛鳥は慰める様に肩を叩いた。

 

「それで、さっきの話は本当なの?」

「・・・・・・・・・その質問にはお応え出来ません。嘘は嫌いだから言いませんが、私は“一本角”で禄をはんでいる身。頭首のサラ様が口を閉じている以上、私が言って良い事ではありません」

「そうよ! ゲスト達に余計な混乱を招かない様に、ってサラが言ってたんだもの! アタシ達から言うわけないじゃない!」

「・・・・・・・・・あの、もう黙ってくれません? お願いですから」

 

 どや顔で胸を張るエリザベートと頭を抱えるバーサーカーに、飛鳥達は先程の話が本当だと確信した。

 

(それにしてもエリザベートは隠し事が下手というか、穴の空いたバケツというか・・・・・・・・・)

 

 エリザベート相手に内緒話はすまい。そう心に決めた飛鳥達であった。

 

「まあ、良いですわ。こうして大きな襲撃があった以上、もはや隠し事など無意味。今頃、“のーねーむ”さんと“うぃる・お・うぃすぷ”さんの両代表にサラ様が説明されてると思いますから」

「そうね。後でジンくんから聞く事にするわ」

「ええ、そうして下さい。いずれにせよ、また襲撃されるでしょう。その時は、貴女方にも協力して頂くと思います」

「任せて。これでも私達、強いから」

 

 むん、と細腕に力コブを作る仕草をする耀。力強いというより可愛らしさが目立つ耀の仕草に女性陣達は和気藹々とした雰囲気になったが、エリザベートが何かを思い出した様に声を上げた。

 

「そういえばさ、アンタ達の荷物は大丈夫なの?」

「? 大丈夫って、何が?」

「確かデカブツ達が最初に襲撃をかけたのは南地区でしょう? そこって、アンタ達の宿があった方角じゃないの?」

「ああ、うん。それなら別に―――!」

 

 大丈夫、と言おうとして耀は思い出した。確かに普段の耀の荷物ならば問題ない。元から所持品の少ない彼女からすれば、自分の荷物は無くなったとしても惜しい物はあまり無い。着替えやその他の日用品など、その気になれば買い戻せる。

 ただし、今日だけは違った。自分が入れた覚えはなく、しかし友人が大切にしていた品物が入っていたのだ。そのことを思い出した耀の顔が真っ青になる。

 

「ごめん! ちょっと見てくる!」

 

 グリフォンの恩恵で、耀は弾かれた様に飛び出した。エリザベート達の驚く声を背中で感じながら、宿に向かって一直線に飛んだ。

 

(お願い、どうか無事でいて!)

 

 風を追い越す勢いで飛びながら、一心不乱に祈る。宿の前に降り立つと、半壊した建物が耀を出迎えた。今にも崩れ落ちそうな天井や柱には目もくれず、耀は自分の部屋があった場所へと駆けた。

 

(せめてヘッドホンはちゃんと返さないと・・・・・・・・・そうじゃないと、十六夜に顔向け出来ない!)

 

 せっかく順番を譲って貰ったのに。今度こそは足手纏いにならないと強い決意で来たのに。何の活躍もなく、その上でヘッドホンまで壊れていては自分の居場所が無くなってしまう。パニックで水に溺れる様な焦燥感に襲われながら、耀は瓦礫をどかしていく。

 

「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 瓦礫の下から、ヘッドホンは見つかった。しかし―――粉々だった。ヘッドバンドもアームも、スピーカーも全て圧し潰されて粉々になっていた。外装に着いていた炎のエンブレムだけは辛うじて無事だったが、それ以外は完全にスクラップ状態だ。素人目に見ても、元通りにするのは不可能だと分かる。

 耀は震える手で残された炎のエンブレムを拾うと、その場に力が抜け落ちた様に座り込んだ。

 

(どうしよう・・・・・・・・・だって、このヘッドホンは十六夜の大事な物で―――)

 

 そう。楽しみにしていた筈の収穫祭を差し置いてまで捜していた、彼の大事な宝物。これを捜す為に“コミュニティ”に残って、代わりに、私に頑張って来いって、なのに、その宝物を私が盗んだ事にされたら・・・・・・・・・? 

 最悪な未来が想像され、極寒の地に放り出された様に耀の身体はガタガタと震えだした。

 

「そこで何をしているっ!!」

 

 ビクッ!! と耀の背筋が跳ねた。恐る恐る振り向くと、そこには厳しい顔をした友人がいた。

 

「セイ、バー・・・・・・・・・」

 

 震える声で名前を呼ぶ耀は、反射的にセイバーの目から隠す様にエンブレムを握り締めた。しかし、床に散らばったヘッドホンのパーツは誤魔化せない。セイバーは耀の足下にあるヘッドホンの残骸を見ると怪訝そうに眉根を寄せた。

 

「そなた、それは―――」

「っ、違う!!」

 

 咄嗟に叫びながらも、耀は自分のした事に後悔した。

 何が違うというのか? 十六夜がヘッドホンをなくした事で耀は順番を譲られ、そのヘッドホンはいま自分の手元にある。状況も証拠も全てが自分を『十六夜のヘッドホンを盗んだ犯人』と示しているのに。でも違う。自分はそんな真似なんてしていない。しかし―――もし、弁解しても信じて貰えなかったら? そう思うと、口の中がカラカラに乾いてうまく言葉が出なかった。それにセイバーが厳しい顔をしていたのは、ヘッドホンを盗んだ自分を咎めるからではないのか?

 

「ヨウ、上だ!」

 

 セイバーが鋭い呼び声に、ハッと頭上を見上げる。崩れかけていた天井がミシミシと音を立てていた。パラパラ、と耀の顔に小石が落ちる。そして―――轟音と共に、天井の瓦礫が耀へと降り注いだ。自重に耐えきれず、圧し潰される様に宿屋が崩れる。辺りに濛々と砂埃が立ち上がった。

 砂埃が収まると、そこには瓦礫の山と化した宿屋―――それを背に、耀を抱えたセイバーが立っていた。耀に瓦礫が当たる直前、セイバーは疾風の様に駆け寄り、耀を抱えるとそのまま窓から飛び出したのだ。お陰で二人に瓦礫は一切当たる事なく、崩れた宿屋の下敷きにならずに済んだのだ。

 

「怪我は無いか?」

「う、うん。大丈夫」

「そうか………」

 

 傍らに耀を下ろし、セイバーはホッとした様に一息をつき―――キッと顔を厳しくさせた。

 

「馬鹿者! 今にも崩れそうな建物に入るなど、いったい何を考えているのだ!」

「セ、セイバー?」

「一つ間違えれば死ぬ所だったのだぞ! そなたが優れた恩恵を持っているのは知っている! しかし、それは危険な事をして良い理由にはならぬ!」

「………っ」

 

 セイバーの叱責に、耀は顔を伏せた。この友人は、自分の事を心配していたのだ。厳しい顔つきだったのはヘッドホンの事ではなく、危険を顧みなかった自分に対してだったのだ。

 

「ごめん、なさい・・・・・・」

「うむ。とにかく、そなたに怪我がなくて何よりだ」

 

 頭を下げる耀に、セイバーはようやく安堵した笑顔を見せた。そして、改めて耀の手にあるエンブレムを見た。

 

「イザヨイのヘッドホンに付いていた紋様か・・・・・・・・・。一つ聞くが、それはそなたが持ち出したのか?」

「・・・・・・・・・、」

「違うのか?」

「・・・・・・・・・違う」

 

 そうか、とセイバーは腕を組んで難しそうな顔になる。

 

「とすると、ヨウの知らぬ内に荷物に入れたという事か。しかし、いったい誰が? ヨウやイザヨイに悪意を抱く者など“ノーネーム”にいるはずは無いが・・・・・・・・・」

「セイバー・・・・・・・・・私の事を疑ってないの?」

 

 ブツブツと呟きながら考え込むセイバーに、耀は恐る恐ると聞いた。それに対し、セイバーはあっけらかんと応えた。

 

「疑うはずが無かろう。そなたがその様な真似をするはずがない」

「でも・・・・・・・・・」

「短い時間だが、そなたの人柄は知っているつもりだ。ヨウ、そなたは姑息な手段を良しとする奸物ではあるまい」

 

 それにな、とセイバーは言葉を切る。

 

「余はそなたを友と思っておる。友を信じるのに理由はいるまい」

「それだけの・・・・・・・・・それだけの理由で、私を信じてくれるの?」

「もちろんだとも。確かに疑う事が必要な時もあろう。しかし、打算や損得勘定を抜いてまずは信頼できること。それが友というものであろう?」

「セイ、バー・・・・・・・・・」

 

 箱庭に来る前、耀には人間の友人はいなかった。周りの人間は動物と会話している耀を奇異な目で見て近寄らなかったし、耀自身も父が遺した“生命の目録(ゲノム・ツリー)”と動物の友人がいれば良いと思っていた。とはいえ、人間の友人が欲しくなかったわけではない。耀だってお互いに信頼し合える人間の友人が欲しかった。

 しかし、それは耀には難しい話だった。動物と会話できるという異能もさることながら、グリフォンの背に乗りたいなどと普通の人間からすれば妄想にしか思えない夢を語る耀を理解する人間はいなかった。自分の夢を語る度に笑われてきた耀も、いつしか人間に対して無関心な態度を取る事で人間を遠ざけ、自分を守ってきた。そうする事で夢を笑われる事はなくなり―――動物以外は誰も、耀に関わらなくなった。それでもいい。自分の―――父と交わした大切な夢を笑うくらいなら、人間の友達なんていらない。自分には動物の友達がいれば、それでいい。そう思い込んできた。

 箱庭に来て、耀に初めて人間の友人が出来た。耀と同じく異能を持ち、耀に対して奇異な目を向けない友人達。さらには実在したグリフォンとも友人になれ、かつて耀が願った事は全て叶えられていた。だからこそ、今の関係を壊したくなかった。せっかく手に入れた絆を失いたくなかった。ヘッドホンが壊れた時、箱庭で手に入れた全てが失われると思っていた。

 だが―――それは違った。目の前の友人は、明確な根拠が無くても自分を信じると言ってくれた。自分がヘッドホンを盗んだ犯人だと疑われると恐れていた耀に、全幅の信頼をおいてくれたのだ。

 その事に、耀は目頭が熱くなるのを感じた。

 

「ヨ、ヨウ? いきなりどうしたと言うのだ? どこか痛むのか?」

「なん、でもない………なんでもないよ」

 

 涙を流す耀を見てアタフタと慌てるセイバーに、耀は鼻声になりながらも答えた。

 無くなった筈のヘッドホンが耀の荷物から見つかり、今は無残に壊れてしまった。十六夜にどう説明すればいいのか分からないが、少なくとも耀が盗んだとは疑わない友人がここにいる。耀が箱庭で育んできた絆はヘッドホンの様に簡単には壊れなかったのだ。その事に気付いた耀の目から溢れる涙は、温かく、喜びに満ちたものだった。

 

 *

 

 ―――箱庭第七桁2105380外門・旧〝■■■■・■■”跡地

 

 手入れが全くされておらず、地面に敷かれた石畳からも雑草が伸びた道を一人と一匹が歩いていく。リーダーを失い、住人もいなくなった居住区。建物の壁には蔦が無造作に絡み合い、打ち壊された窓や扉は修繕されることなく廃墟の街並みと化していた。そんな場所をブラックハウンド犬がフンフンと鼻を鳴らしながら、自分の主人を先導していた。

 

「夏草や兵どもが夢の跡、か………。かつてはこの外門で最大規模を誇ったコミュニティも、こうなると無残なものだ」

 

 雑草を踏みつけながら、衛士・キャスターは誰に聞かせるでもなく呟く。やがて自分の使い魔が、目的の場所を探り当ててバウバウと吠えだした。

 

「ご苦労、エセル。下がっていいですよ」

 

 バウ、と一吠えするとブラックハウンド犬の輪郭がグニャリと歪む。不定形のスライムの様に形を変えて、衛士・キャスターの陰の中に入り込んだ。

 

「ほう………これはこれは。良く醸されている」

 

 使い魔が見つけた場所を見て、衛士・キャスターは眼鏡の奥で糸目をニヤリと歪めた。

 一見すると、何の変哲もない地面。しかし、そこだけが雑草の一本も生えていない地面。よくよく見れば、地面にうっすらと風化した灰の様な粒子が積もっている。その灰を一つまみして、衛士・キャスターは目元に近づける。

 

「通常、これだけの時間が立てば残留思念の欠片も残らないというのに。雑草の繁殖も許さないとは、中々に執念深い」

 

 魔術師(キャスター)の名を冠するこの英霊には、はっきりと視えていた。灰からドス黒い怨念が立ち昇っている。自分以外の一切を拒む様な怨念が、風化してもなお他を寄せ付けぬオーラを醸し出していたのだ。

 

「だが―――その執念深さ、嫌いではない」

 

 灰を投げ捨て、衛士・キャスターは眼鏡を外して哂う。そして―――懐から、一冊の黒い革表紙の本を取り出した。

 

『我は魔術師にして征服者。車輪の軸、円の中の立方体―――』

 

 衛士・キャスターが本を開いた途端、辺りの空気が変わる。見えない手で押しつぶされる様な閉塞感の中、衛士・キャスターは朗々と唱える。

 

『顕現せよ、ハド! ヌイット! 天界の一団はヴェールを上げ、我が面前に!』

 

 空間が放電しながら軋みを上げる中、衛士・キャスターの詠唱が続く。すると、地面に積もった灰に変化が現れた。まるでお互いに身を寄せるかの様に積もり、徐々に形が大きくなっていく。しかし衛士・キャスターはそれに目をくれず、トランス状態に入った様に自らの魔術回路を加速させていく。

 

『我に従え! 我のみを求めよ! されば汝を一切の苦痛より救い出すであろう! まさしくその通り! 我が肉体の奥底を賭けてそれを誓う! 我が神聖なる心臓と舌を賭けて! 我が与え得る全てに賭けて!! 汝の欲する一切に賭けてっ!!』

 

 灰はやがて塊となり、塊は明確な輪郭となる。獣の様な輪郭が現れ、鋭い爪を持つ四本足が地面を踏みしめる。猫科の肉食獣の顔が現れ、口から鋭い牙が伸び、血の様に紅い眼がギラリと光った。そして―――!

 

『G………GEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

 辺りを震撼させる様な咆哮が響き渡る。衛士・キャスターは満足そうに本を閉じると、目の前に現れた巨大な虎の様な形になった灰の塊に微笑んだ。

 

「Good morning,Mr.Gasper. How are you?」




問.sahalaは蒙古タンメン中本へ、プリズマイリヤコラボの麻婆拉麺を食べに行きました。その結果、どうなったでしょう?

答え.お腹がズンガズンガしました。ゲプッ。

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