月から聖杯戦争の勝者が来るそうですよ?(未完)   作:sahala

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 最近、自分でも執筆のペースが落ちていると思います。このままだと完結まで時間がかかりそうなので、書こうと思っていたいくつかのシーンはカットして書いていきます。(それでも時間はかかりそうですけど・・・・・・)

相変わらずの亀更新ですが、今年度もよろしくお願いします。


第3話「串刺し公」

 ―――“アンダーウッド”上空・吸血鬼の古城・城下都市

 

 耀は荒い呼吸をしながら城郭の外壁に寄りかかった。しかし一息つく間もなく、すぐに新手の敵の足音が聞こえて来た。

 

「っ、また・・・・・・! アーシャ、どこかに隠れられる所はない!?」

「こっちだ! 早く来い!」

 

 アーシャが指差した先に、廃墟となった家屋があった。入り口に積もった瓦礫を掻き分け、亀裂から全員が入った。最後に入った耀は、瓦礫の隙間からコッソリと外を見張る。

 そこにはどす黒い苔が体中に生えた様な人型がいた。いや、むしろ苔が人型をしていると言った方が適切かもしれない。いずれにせよ、鉄錆の様な臭いを撒き散らしながら、人型の苔はウロウロと耀達を探す。

 この化け物の名は冬獣夏草。生き物や死骸を苗床に繁殖する菌類だ。最初から吸血鬼の古城に住み着いていたそれ等はギフトゲームの制約の対象外であり、新鮮な苗床(エモノ)として耀達に襲いかかっていた。動きは速いが体は脆く、はっきり言って耀やアーシャの敵ではない。

 ただし―――それが何百体といるなら話は別だ。冬獣夏草には自我が無いのか、味方の犠牲を顧みない人海戦術に耀達の体力はジリジリと削れていた。そのために耀達は冬獣夏草から逃げ回っていた。それに、もう一つ深刻な理由があった。

 耀が見ている先で何十体もの冬獣夏草がウロウロとしていたが、やがて耀達を見失った事を理解してゾロゾロと別の場所へと移動していく。足音が聞こえなくなり、ようやく耀は息を吐いて後ろを振り返った。

 

「・・・・・・全員、無事?」

「ああ。チビ達も怪我した奴はいないぜ」

「耀お嬢ちゃんのおかげで、全員無事だ。ありがとうな」

 

 アーシャと猫又の老人―――ガロロ=ガンダックが返事をした。その先に十数人の子供達が怯えた様子で縮こまっていた。

 

(それにしても参ったな。一緒に飛ばされてきた子がこんなに多いなんて・・・・・・。一人や二人なら飛んで逃げれたけど、この人数はちょっとオーバーだ)

 

 これが耀達が戦闘を避けたもう一つの理由。吸血鬼の古城に飛ばされたのは耀やアーシャだけでなく、戦力にならない子供達も一緒なのだ。さらにガロロは足を負傷して走れないときた。彼等を守りながら戦えるほど、余裕があるわけではない。

 

「さて、この状況をどう捌くよ? 残念だが、今の俺は猫だましするのがせいぜいだぜ?」

「うーん、それは本当に残念・・・・・・」

「そもそも菌類に猫だましが効くわけねーだろ」

 

 おどけたガロロに漫才の様なやりとりをする耀とアーシャ。不安な子供達の為にガロロはわざと明るく振る舞っているのだろう。

 

 ザッ、ザッ、ザッ―――

 

 突然、耀の耳に新たな足音が聞こえて来た。

 

「どうした? 新手か?」

「待って、この足音は・・・・・・」

 

 警戒しだした耀にアーシャも臨戦態勢を取る。しかし、聞き覚えのある足音に耀は注意深く耳をそば立てる。

 

「おかしいな。ここら辺にいるはずなんだけど・・・・・・」

「間違いはないのですか?」

「ますたぁのコード・キャストですもの。間違いなんてありませんわ」

 

 やがて、三人分の足音と共に話し声が聞こえて来た。そして耀の視界に見覚えのある三人が姿を現す。

 

「白野!」

「耀! 良かった、やっぱりここに―――」

 

 安堵の喜びをあげようとした白野へ、静かに、とジェスチャーを送る。白野達は慌てて口をつぐみ、耀達が隠れている廃墟へ入って来た。

 

「白野もこっちに来ていたんだ・・・・・・」

「うん。フェイス・レスさんや清姫と一緒に飛ばされたみたいだ」

「ちょっ、待てよ! フェイス・レス? なんで“クイーン・ハロウィン”の騎士がここに!?」

「貴女は確か・・・・・・“ウィル・オ・ウィスプ”の地精でしたか」

「そこにいらっしゃるのはガロロさん? どうして貴方まで・・・・・・」

「よう、“一本角”の竜の嬢ちゃん。お互い、変な所で会っちまったなあ」

 

 互いに顔見知りの相手を見つけ、驚きの声があがる。隠れ家にしている廃墟がにわかに騒がしくなり、耀は手を叩いて皆を静かにさせた。

 

「えっと・・・・・・とりあえず、情報交換しない?」

 

 ※

 

「じゃあ、白野達はさっき動き始めたんだ」

「ああ。それまで俺が気絶していたからな」

 

 耀が纏めた内容に白野が頷く。

 

「大変でしたわ・・・・・・ようやく起きたと思ったら、自分はアレキサンドリア・ハクノとか言い出すんですもの。ますたぁの気が狂ったかと私は心配で、心配で・・・・・・」

 

 よよよ、と清姫が泣き真似をする。

 

「アレキ・・・・・・なに?」

「忘れて。お願いだから忘れて」

「まあ、いずれにせよ。ミスタ・キシナミは無事に帰れたら精密検査を受けた方が良いでしょう」

 

 頭を抱えて冷や汗を流す白野にフェイス・レスはいつになく優しい口調となった。

 

「治療に長けたドルイドへ私が紹介状を書きますから」

「い、いや、そこまでしてもらわなくても・・・・・・・・・。むしろ忘れて。それが一番の治療法だから」

「大丈夫。ちゃんと良くなりますから。何も心配しなくて大丈夫ですよ。ね?」

「・・・・・・・・・フェイスの姉御にここまで心配されるとか、何があったんだ? というか、本当に大丈夫なのかよ、お前?」

「だあああっ、もう! この話は一切がっさい! 以後、絶対に忘れる様に!」

 

 注射されるのを嫌がる子供をあやすかの様に優しい雰囲気を出すフェイス・レスに、アーシャが胡乱な目つきで白野を見る。しかし、白野は顔を真っ赤にしながらブンブンと腕を振った。

 

「むむむ・・・・・・何か面白そうな気配」

「そ、そんな事より! どうやって“アンダーウッド”に帰るか考えよう! すぐに考えよう!」

 

 明らかにごまかしている白野に興味はあるが、そんな事を気にしている場合じゃないか、と耀は思考を切り替える。―――後で清姫から聞けばいいのだし。

 

「そうは言うがな、坊主。逃げるにしても、ちょいと大所帯だぜ?」

 

 事の成り行きを見守っていたガロロが口を出す。

 

「一度に大人数を運べる様な手段がまず無えしな・・・・・・。竜の嬢ちゃん、あんたが変身して子供達だけでも運べないか?」

「それは・・・・・・・・・」

「えっと、難しいと思うよ。清・・・・・・バーサーカーは竜に変身した時、自分を制御できなくなると言ってたから」

「・・・・・・・・・まあ、制御できるなら、自分でバーサーカー(狂戦士)なんて名乗らないよな」

 

 言葉に詰まった清姫の代わりに、耀が答えた。とっさに清姫が真名を“アンダーウッド”の住人には伝えていない事を思い出し、名前を言い直した。ガロロは一瞬だけ怪訝な顔になったが、それ以上は追及しなかった。

 

「それに俺ら以外にも飛ばされてきた奴らがいるだろう? そいつらはどうする?」

「それについては・・・・・・コード:view_map()、発動!」

 

 白野はホログロム画面を出現させ、地図を呼び出す。城を中心とした城下都市に赤いマーカーや青いマーカーが現れた。しかし、すぐに白野は首を傾げた。

 

(・・・・・・? 城のマップが出ない? いったい何故・・・・・・いや、そんな事よりも―――)

 

 改めて城下都市のマップを見る。敵を示す赤いマーカーは城下都市のいたる所にウジャウジャといる。そして味方を示す青いマーカーは―――

 

「これは・・・・・・避難している人達はバラバラに散っている」

 

 白野の言う通り、青いマーカーは城下都市のあちこちに点在していた。十人単位で纏まり、赤いマーカーを避ける様な位置に固まっていた。view_map()を興味深そうに見ていたガロロだったが、白野の報告に渋い顔になった。

 

「やっぱり俺達以外にもいたか………。悪いが、こいつらの避難が済まない内は俺は避難できねえな」

「しかしガロロ大老。あなたは‟六本傷”のリーダーであり、“龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)”連盟の重鎮。コミュニティの為にも一刻も早く避難すべきなのでは?」

「はっ、俺はもう隠居した年寄りだぜ? 連盟にしても金庫番くらいしかやる事がないから、サラ嬢ちゃんに席を用意して貰った様なもんだ。そんなジジイよりも若いモンから優先してくれや」

 

 フェイス・レスの進言にガロロが笑って首を振る。優先順位で言えば、組織の重鎮であるガロロを先に避難させるのが正しいだろう。しかし、そんな物よりも子供達の安全を優先すべきだとガロロは言った。

 

「でもさあ、どうすんだよ? 逃げようにも簡単に逃げれそうにないし」

 

 view_map()の地図を見ながら、アーシャが口を出す。今ところ、赤いマーカーは避難民達と接触はしていないが、時間の問題だろう。城下都市全体の大通りに広がっているので、彼等に見つからずに避難民達と合流するのは難しい。

 

「どうする? 一か八か、奴等に奇襲をかけてみるとか? こっちは奴等の居場所が丸分かりなんだし、不意打ちするのは難しくねえよ」

「愚策ですね。奇襲を行うにはこちらの数が少な過ぎます。私一人でも対処は可能ですが、避難民を守りながらとなると難しくなる」

「うぐ・・・・・・。す、すいませんでした、フェイスの姉御」

「バーサーカーの嬢ちゃんは・・・・・・駄目だろうな。火力はともかく、避難民を気にしながら戦うなんて器用な真似は出来そうにねえな」

「お恥ずかしながら、その通りですわね。私の宝具は加減なんて出来ませんから・・・・・・」

 

 ああでもない、こうでもないと議論が始まる。しかし、すぐに白野の緊迫した声が遮った。

 

「ちょっと待って・・・・・・マズい、避難民に接触しようとしている奴がいる!」

 

 バッと耀が地図を覗き込むと、赤いマーカーが建物の中にいる青いマーカーを外から包囲していた。

 

「私、ちょっと行ってくる!」

「あ、おい! ヨウ!」

 

 アーシャの声に答える事なく、耀が外へ飛び出した。

 

「私も出ましょう。ミスタ・ハクノ、案内をお願いします」

「ますたぁが行くなら、私も行きます!」

 

 フェイス・レス、清姫が名乗りを上げる。

 

「ここはあたしが守るから、避難民達を頼んだ!」

「分かった! ガロロさん、アーシャ! ここの守りをお願いします!」

 

 アーシャとガロロに今いる子供達の護衛を任せ、白野達も飛び出して行った。

 

 ※

 

 耀が行った先では、今まさに冬獣夏草達が避難民達がいる建物に押し入ろうとしていた。とっさに廃材で作ったであろうバリケードを打ち壊し、建物の中へ流れこもうとしている。

 

「やああああっ!!」

 

 耀はすぐさま旋風を巻き起こし、建物に張り付いていた冬獣夏草達を引き剥がす。そして建物の中に入り、避難民していた子供達を見つけた。

 

「あなた達、怪我はない?」

「あ、あなたは・・・・・・?」

「話は後。ちょっと外の敵を片付けてくるから、良いと言うまで隠れてて」

「わ、わかりました!」

 

 再び耀が外に出ると、冬獣夏草達が群れをなして襲いかかってきた。

 

「こ、のっ・・・・・・・・・しつこい!」

 

 跳びかかってきた冬獣夏草を力任せに殴りつける。ゴシャッ! と衝突音を響かせ、殴られた冬獣夏草が腹に大穴を開けてふき飛んだ。それだけに留まらず、後ろにいた冬獣夏草達も巻き込みながら廃墟の壁ごと貫通していった。

 次に近くにいた冬獣夏草の頭を耀は殴りつける。すると冬獣夏草の頭が何回転もしながらねじ切れて飛んでいった。ふと、首がねじ切れた冬獣夏草が崩れ落ちると、耀の目の前に人間大の瓦礫が飛んできた。他の冬獣夏草が投げ飛ばしたのだろう。

 

「りゃああああああっ!!」

 

 気迫と共に耀が飛んできた瓦礫を殴りつける。瓦礫は飛んできた力と速度以上の衝撃に、バットで打ち出されたボールの様に跳ね返った。さらに瓦礫そのものが砕け散り、拳大の散弾となって冬獣夏草達に降り注ぐ。

 

 

(・・・・・・? 体がいつもより力が漲っている気がする。どうしたんだろう?)

 

 冬獣夏草達を紙屑の様にふき飛ばしながら、耀は内心で首を傾げる。冬獣夏草達は決して弱い相手ではない。力で言えば、耀が箱庭で初めて戦ったワータイガー・ガルドと同じくらいだ。それを無傷で圧倒しているのは、好調というだけでは説明がつかない。

 

(これ程の怪力・・・・・・ひょっとして、清姫の力かな?)

 

 成る程、竜に変身した清姫の力を宿したなら、この漲った力にも説明はつく。そんな風に耀が一人で納得している間に、近くにいた冬獣夏草達は全滅していた。

 

「これは・・・・・・!?」

「まあ。耀さん、お強いのですね」

「ふむ・・・・・・・・・」

 

 ようやく白野達が耀に追いついた。白野達は辺りに散らばった冬獣夏草達の残骸に目を丸くした。唯一、フェイス・レスだけがジッと耀を―――正確には胸元のペンダントを―――見つめていた。

 

「あ、白野。こっちは片付いたよ」

「い、いや、見れば分かるけど・・・・・・」

「自分でも驚くくらい力が湧いたんだ。多分、清・・・・・・じゃなくて、バーサーカーと友達になったからだね」

「私のおかげ、ですか・・・・・・?」

 

 清姫が怪訝な顔になった。小首を傾げて少し考え込み、彼女はすぐに首を横に振った。

 

「多分、違うと思います。それは耀さんの力でしょう」「え?」

「“げのむつりー”、でしたか? 耀さんの宝具(ギフト)は親しくなった幻獣の力を得るものでしょう? 竜に変身できますけど、私は一応は英霊ですから・・・・・・幻獣には分類されません」

 

 清姫の言った事に、耀は首を傾げた。冬獣夏草達を一掃する様な怪力の持ち主など、今まで仲良くなった相手の中では清姫以外に思いつかない。

 

(知らない内に、誰か他の幻獣と仲良くなっていたのかな・・・・・・?)

 

 うーん、と考え込むが、答えは出そうになかった。

 

「今はそんな事より、避難民達を優先すべきなのでは? 考えるのは後でも出来ます」

 

 フェイス・レスに言われ、耀は思考を打ち切った。

 

「そうだね。ここにいる人達はどうする?」

「とりあえず、ガロロさん達と合流して―――」

「待って」

 

 フェイス・レスが白野を制し、剣の柄に手をかける。やがて、耀の耳にも聞こえてきた。

 

「新手・・・・・・!」

 

 先程の戦闘を聞きつけたのだろう。ゾロゾロと冬獣夏草達が耀達に向かって来ていた。フェイス・レスは剣を抜き、清姫は鉄扇を構える。耀が拳を構え、白野は彼女達の後ろでいつでもコード・キャストを発動できる様にアゾット剣に魔力を込め―――

 

「――――――串刺影槍(カズィクル・ベイ)!!」

 

 突然、冬獣夏草達が槍に貫かれた。漆黒の槍が冬獣夏草達の影から生え出し、天高くと突き上げた。それも一つや二つではない。まるで地獄の刑罰の様に幾つもの槍が、罪人である冬獣夏草達を串刺しにした。しかも、それだけではない。

 

 ゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュッ!!

 

 離れて見ている白野達にも聞こえる大きな音が響く。すると音と共に冬獣夏草達が見る見るうちに干からびていく。

 ―――まるで体中の水分を槍に吸い尽くされているかの様に。

 

「「「「PU、GYAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaa!!」」」」

 

 冬獣夏草達の断末魔が響く。目の前の一団だけでなく、城下都市全体から聞こえてきた。おそらく、城下都市全体の冬獣夏草達が目の前の凄惨な光景と同じ目にあっているのだろう。力の限り鳴き騒いでいた冬獣夏草達だが、次第に声がガラガラと枯れていき、ついにはピクリとも動かなくなった。しかし、吸い出す音はなおも響く。ようやく音が収まると、そこには風化した様に朽ち果てた冬獣夏草達の死体が槍に刺さっていた。

 

「なに、これ・・・・・・?」

 

 あっという間に行われた惨状に、耀の呆然とした呟きが漏れた。槍が硝子細工の様に砕け散り、同時に生命力を欠片も残さずに吸い尽くされた冬獣夏草達の死体がボロボロと崩れ落ちる。だが、白野はそんな事よりも気になる事があった。何故なら―――白野はこの光景を見たことがある(・・・・・・・)

 

(今のは・・・・・・まさか・・・・・・・・・!)

 

「ますたぁ!」

 

 ハッと、清姫の呼びかけに目を向ける。見れば、黒ずくめの影が白野に向かって一直線に飛んでくる―――!

 

「シッ!」

 

 先に反応したのはフェイス・レスだった。彼女は即座に蛇腹剣をギフトカードから呼び出すと、影に向かって連続刃を振るう。神速で振るわれた刃は鞭の様にしなり、影を容赦なく真っ二つに切り裂いた。

 

「っ!」

 

 フェイス・レスの顔が仮面の下で一瞬、驚きに染まる。影は真っ二つどころか無数に分解し、コウモリの群となった。彼女は即座に手元の柄を操ってコウモリの群を切り裂こうとするが、コウモリの群は巧みな動きで連続刃をかわすと、白野へとむかった。先頭のコウモリ達が白野の目の前で血色の悪い手に変わる。

 

「がっ!」

 

 手は白野の首を掴み上げ、そのまま廃墟の壁へと叩きつけた。同時にコウモリの群が白野を掴み上げた手を中心に集まり、密度が高まり―――

 

「動くな。動けば、この男の命はない」

 

 

 




カットシーン『白野の目覚め直後』

フェイス・レス「ミスタ・キシナミ。先程、私を妙な名前で呼んでいましたよね? あれはいったい、どういう事でしょうか?」
白野「いや、その・・・・・・夢を見ていたというか・・・・・・・・・」
フェイス・レス「夢? それはどんな?」
白野「ええと・・・・・・フェイス・レスさんが双子の妹を持つイギリスの英霊で、仮面の下が絶世の美形で、変装するとバラグーダというセコンドに早変わりする、なんちゃって・・・・・・・・・」
フェイス・レス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ポンとフェイス・レスは白野の肩に手を置く。

フェイス・レス「あなた・・・・・・疲れているんですよ」

 この時以来、フェイス・レスは白野に優しさを含んだ憐れみを感じたそうな。

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