死神のヒーローアカデミア   作:icy tail

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第9話

オールマイトが戦場に駆けつけた。

 

「もう大丈夫…」

 

相澤先生も13号もやられ、絶望的な状況だった。

崩れそうなところを雨梟が踏ん張っていた。

 

「私が!来た!!」

 

絶望しかけていた生徒たちから安堵の声が漏れる。

恐怖の緩和で泣いてしまっている生徒もいる。

それほどまでに平和の象徴の存在は大きい。

オールマイトは敵の近くで傷だらけで座り込んでいる雨梟を視界に入れると、即座に行動を開始した。

 

「うおっ!?」

 

それは、到底目で追える速度ではなく、助けられた雨梟も困惑しているくらいだ。

雨梟を抱えながらオールマイトは言った。

 

「…志波少年。ありがとう。教師の私がこんなことを言うのは間違っているのだろうが…君が戦ってくれたお陰で間に合ったよ」

 

「…いいんすよ。俺が勝手にやったことなんで」

 

「ははっ!それでもだよ!志波少年は休んでいてくれ!」

 

そう言って雨梟を入り口の方で固まっている皆の所に預け、脳無に突っ込んでいった。

入り口の方に戻った雨梟の所にいち早くやって来たのは耳郎と八百万だった。

 

「志波!」

 

「志波さん!」

 

「ん?耳郎に八百万か。無事だったんだな」

 

「なに言ってんの!自分の心配しなって!」

 

「そうです!あんなに無理されて…!」

 

「そう…だな。悪ぃな、心配かけちまって」

 

「ホントだよ…ほん…と…に…心配…した…っ…!」

 

「私も…死んでしまうのではないかと…っ…!」

 

「お、おい!ちょっ!な、泣くなって!俺は生きてっからよぉ!」

 

2人が自分の事を心配して涙を流してくれたことに困惑してしまった雨梟。

結局2人が泣き止むまで慰め続けたのだった。

今までに恋愛経験が無い雨梟には少し荷が重かったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思わぬハプニングがあった後、緑谷たちがここに避難できているかを確認するために辺りを見回した。

すると、ただならぬ様子でオールマイトの戦闘を見ている緑谷を発見する。

 

「おーい!デクー!」

 

「…」

 

呼んでみても返事がない。

なんだが、危なっかしく見えてしまう雨梟。

もう一度緑谷を呼ぼうとした瞬間、なにかを決意したように緑谷がオールマイトが戦っている戦場の方に飛び出していった。

慌ててオールマイトの方を確認すると思惑が失敗してダメージを受けてしまっていた。

 

(ちっ!あれか!)

 

「待て!デクっ!早まるな!くそっ…っつう…!」

 

慌てて立ち上がろうとした雨梟だったが、先程負った傷のせいで動けなかった。

どうすれば良いのかを考えていると、緑谷の横から爆豪たちが割って入ってきた。

 

「っ!あいつらまで…!」

 

結果的にはオールマイトが窮地から脱することもでき、怪我をした生徒もいなかったが…

 

(あいつらがいるとオールマイトが庇いながら戦うことになっちまう…!)

 

雨梟は痛む体に鞭を打ち、ゆっくりと起きあがり、歩いて向かっていった。

戦場では…

 

「俺たちでサポートすれば!」

 

「ああ。好きにはさせねぇ」

 

ここに集った4人…爆豪、轟、切島、緑谷はオールマイトと一緒に戦うつもりでいる。

それをオールマイトは許さないようだ。

 

「ダメだ!下がってなさい!」

 

オールマイトの言葉に反発しようとしたところで雨梟が到着した。

 

「っ!だけど!」

 

「おい!アホ共!下がるぞ!」

 

「志波くん!?」

 

「どうしてだ」

 

「お前たちが居ることによってオールマイトは戦いにくいぞ。さっきだって爆豪はオールマイトが助けなかったら大怪我…下手したら死んでた。違うか?」

 

「…っ」

 

爆豪は先程の目で追うことすら出来なかった攻防を思いだし、口をつぐむ。

 

「でも…」

 

「はっきり言わないと分からねぇのか?俺たちは足手まといなんだよ。今の俺たちじゃあの次元の戦いに着いていけねぇって言ってんだ」

 

「志波少年…」

 

雨梟の言っている事は全く間違っていない。

今、この瞬間では退くことが最善だ。

気持ちの問題など気にしている時間すら惜しい。

オールマイトは自分が言い聞かせなければいけない言葉を雨梟に言わせてしまっていることを悔やみながらも申し訳なさそうに雨梟を見つめている。

 

「分かったならさっさと行くぞ」

 

そう言って歩き出す雨梟。

悔しそうにしながらも後ろを歩いてくる4人。

この悔しさを忘れずに強くならなくてはいけない。

雨梟が下がったのを確認したオールマイトは脳無に向かっていく。

オールマイトが脳無のショック吸収を突破するために選んだ手段は正面突破だった。

 

「うおっ!?ここまで衝撃が…!」

 

「確かにあそこに立ってるだけでも無理だな…」

 

時間にしては数十秒の拳の打ち合い。

だが、圧倒的な衝撃と平和の象徴が今だ健在であることを知らしめる様な激しさだった。

脳無はオールマイトの渾身の一振りで天井を突き破り吹き飛んでいった。

 

「ショック吸収をないことにしちまった…究極の脳筋だぜ」

 

「デタラメな力だ…。再生も間に合わねえ程のラッシュってことか…」

 

「随分遠くにいやがるな…No.1」

 

改めてNo.1の強さを目にした雨梟達。

敵は脳無がやられたことに動揺し、オールマイトの圧力に後ずさっている。

だが、逃げるつもりはないようだった。

 

「俺たちは皆の所に戻るぞ」

 

「ああ。あとはオールマイトに任せよう」

 

「そうだな!」

 

雨梟達は入り口に戻る選択を使用としたが、様子がおかしい人物が1人。

 

「ん?緑谷?」

 

「……」

 

「っ!切島!デクを止めてくれっ!」

 

切島の声に後ろを振り返った雨梟は、切島に声を掛ける。

だが…

 

「は?…あっ!おい!緑谷!」

 

「くそっ!またかよ!」

 

制止も間に合わず、緑谷は今まさにオールマイトに襲いかかろうとしている敵目掛けて飛び込んでいった。

それに気づいた死柄木がワープを通して緑谷の顔を掴もうとした瞬間…

 

「ぐっ…!!?」

 

死柄木の手に銃弾が当たり、何とか緑谷は助かった。

慌てて銃弾が飛んできた方を見ると、雄英高校教師陣が勢揃いしていた。

救援がギリギリ間に合ったのだ。

この救援により、敵は逃がしたものの事態は収拾した。

 

「デクのやつ…あとで説教だな」

 

その後、警察が駆けつけ、フィールドに残っていた敵の拘束などを行った。

相澤先生と13号は重症だったものの、命に別状は無いとのことだ。

生徒の中では、緑谷と雨梟が入院することになった。

初めての敵との戦闘。

生徒達はこれから自分達が戦うべき相手を見据え、強くならなければいけない。

これにてUSJ事件は幕を閉じた。

 

 

 

 




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