死神のヒーローアカデミア   作:icy tail

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第10話

USJでの一件が終わったあと、雨梟と緑谷は病院のベッドの上にいた。

 

「まさかこんなことになるなんて…」

 

「…」

 

「志波くんは怪我の具合はどう?」

 

「…」

 

珍しく緑谷の方が一方的に話す状態になっている。

緑谷は返事がないことを不思議に思いもう一度声を掛けた。

 

「あれ?志波くん…?」

 

「おい」

 

すると、ドスの効いた声が返ってきた。

 

「ひっ!は、はい!」

 

「おめぇ…自分がどれ程危険なことしたか分かってんのか」

 

「…っ。それは…」

 

雨梟が言っているのは最後の場面。

救援があと1秒でも遅れていたら緑谷は大怪我…下手したら死んでいたかもしれなかった。

 

「人の気も知らねぇでぴょんぴょん危険に飛び込んで行きやがって…!」

 

「志波くん…」

 

「もう少し頼ってくれてもいいんじゃねぇか?仲間だろ…俺らは」

 

「う、うん…ごめん」

 

「…分かってくれりゃあいい。まぁ、俺も人のこと言えねぇけどよ」

 

「あはは…。お互いに…だね」

 

そんな話をしながら休んでいる2人。

 

「ってかよぉ。ずっと気になってたんだけど…どちら様すか?なんで同じ病室?」

 

雨梟はそう言って緑谷の奥のベッドを指差した。

 

「えっ!?あっ…こ、この人は…その…」

 

「あ、ああ。私の事は気にしないでくれたまえ。ただの病人だよ」

 

「?」

 

こんな一幕がありながらも無事に2人とも退院した。

 

 

 

 

 

 

・

 

 

 

 

 

臨時休校をはさんで登校日。

 

「うぃーっす」

 

何時ものように教室に入ると耳郎と八百万が歩み寄ってきた。

 

「志波!大丈夫なの!?」

 

「志波さん!お怪我の程は!?」

 

「よぉ。リカバリーガールのお陰で1日で治ったぞ」

 

「良かった!お見舞い行こうと思ったんだけどさ…警察の人に止められちゃって…」

 

「そうなんです!行きたかったですわ…」

 

「大した怪我じゃねぇから気にすんなって!」

 

「「そう言う意味じゃ…」」

 

2人の気も知らず能天気に答える雨梟。

この鈍感男は手強いぞ。

こうして話していると相澤先生が教室に入ってきた。

 

「お早う」

 

『相澤先生復帰早えええ!!!』

 

1番重症だった相澤先生が1日で復帰したことに驚いている生徒達。

それを気にすることなく相澤先生が話し出す。

 

「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ戦いは終わってねぇ」

 

この一言により教室内に緊張が走る。

また敵が襲撃してくるのかなど、様々な妄想が膨らんでいくが…

 

「…雄英体育祭が迫ってる!」

 

『クソ学校っぽいの来たあああ!!』

 

安堵やら何やらで大はしゃぎする生徒達。

だが、ぽつりぽつりと疑問の声が上がってきた。

 

「敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」

 

確かに当然の疑問である。

あんな、大事件があったのにも関わらずに開催しても大丈夫なのか。

しかし、雄英側にも色々な考えがあるみたいだ。

 

「色々と理由はあるが…何より雄英の体育祭は…最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」

 

生徒達にとって、1年に1度の大チャンス。

プロのヒーローもスカウト目的でやってくるのだ。

結局、初めは疑問に感じていた生徒達だったが、何だかんだ言いながらもやる気に満ちている様子だ。

そうして、午前中の授業が終わり昼休み。

いつものメンバー(緑谷、飯田、麗日)で食堂への道を歩いている。

 

「そう言えば…麗日さんはなんでヒーローになろうと思ったの?」

 

「えっ!?わ、私!?」

 

歩いていると、急に緑谷が話をきりだした。

麗日は最初こそ慌てていたが話してくれた。

 

「お金欲しいからヒーローに!?」

 

「究極的に言えば…」

 

不純ではないものの意外な理由だった。

だが、ちゃんと強い意思があるようだ。

 

「私は絶対ヒーローになって、お金稼いで…父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」

 

「立派だなぁ麗日」

 

「麗日くん…!ブラーボー!!」

 

雨梟は感心したように拍手している。

飯田は大袈裟に、緑谷は何かを噛み締めるように拍手していた。

 

「は、はずっ///し、志波くんは!?」

 

「あっ!気になる!」

 

「確かに…聞かせてくれるか?」

 

麗日が恥ずかしさに耐えられなくなり雨梟にバトンタッチしてきた。

緑谷と飯田も気になるようで聞く姿勢をとっている。

 

「俺は…この力を護る為に使いてぇ。単純かも知れねぇけどな」

 

「やっぱりかっこいいな志波くんは…!」

 

「まさにヒーローって感じだ!」

 

「護る力か…単純だからこそ相当な覚悟が必要だな」

 

護るための力。

雨梟がこの世界でヒーローを目指す事を決めた時に、自分自身に誓ったこと。

 

「ああ。俺は神様じゃねぇから世界中の人を護るなんてデケー事は言えねぇけど…両手で抱えられる人を護れればそれでいいなんて控えめな人間でもねぇんだ。俺は…山ほどの人を護りてぇんだ」

 

「志波くん…強い訳だ」

 

「ブラーボー!ブラーボー!」

 

「わー!カッコいい!」

 

何があっても曲がらない、強い意志が雨梟にはある。

これを聞いた3人はまさに拍手喝采であった。

そんな話をしながら歩いていると、緑谷がオールマイトに連れていかれ、3人で食堂に向かった。

そして、放課後。

帰りのホームルームが終わり教室から出ようとすると人だかりができていた。

 

『何ごとだあ!!?』

 

見たところ、他のクラスの1年生が敵情視察に来ているようだ。

皆が教室から出れないでいると、爆豪が気にせずに歩き出した。

何やら物騒なことも言っている。

 

「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてえんだろ。…意味ねェからどけ、モブ共」

 

爆豪が言うと、人だかりの奥の方から1人の生徒が歩み出てきた。

 

「どんなもんかと見に来たが…ずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

 

「ああ!?」

 

話を聞くと、ヒーロー科を落ちて普通科に進学した生徒の1人らしい。

 

「おいおい。この問題児と一緒にしないでくんない?」

 

「あァン!?」

 

次に前に出てきたのは雨梟だった。

 

「随分自信があるみたいじゃねぇか。そう言う正面切って来る奴は嫌いじゃねぇ…受けるぜ、宣戦布告。もちろん…ここにいる全員のだ」

 

「へぇ。君みたいな人もいるんだ…覚悟しといてくれよ?」

 

「ああ。あの入試は戦闘系の個性に有利すぎたからな。どんな強い奴が潜んでるか分からんしな」

 

あの入試は個性の相性で埋もれてしまっている生徒が出てしまう内容だった。

それを含めた上で宣戦布告を受けると言った雨梟。

これにはA組の他の生徒達も刺激され、熱くなっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

・

 

 

 

 

体育祭前日の夜。

 

「だぁーッ!!駄目だ!間に合わねぇ!」

 

『そんなに簡単じゃないに決まってるでしょ…』

 

今は日課の修行中で、卍解を使いこなす特訓をしている。

雨梟は何とか体育祭に間に合わせようとしているらしいが、流石に難しいみたいだ。

 

『でもアタシは雨梟の成長の速度に驚きを隠せないよ』

 

「でもよぉ…1分じゃ戦うに戦えねぇって!」

 

雨梟が直面しているのは持続時間だ。

力のコントロールはできているが、燃費が悪すぎるせいで1分しか持続ができない。

持続時間の延長が今後の目標である。

 

『まぁ焦ることはないよ。ゆっくりやっていこうじゃないかい』

 

「だぁかぁらぁ!明日なんだっての!」

 

『ふふっ。冗談だよ。ならこんなのはどうだい?』

 

「なんか策が!?」

 

『いやね、体育祭とやらは最後は一対一で戦うんだろ?なら決勝戦だけ使えばいいじゃないか』

 

「ふむふむ…考えておこう」

 

『そうかい。それじゃ明日に向けてもう帰りな。お迎えも来てるよ』

 

「おぅ。じゃあな」

 

雨梟はそう言って目を開く。

さっきまでは座禅を組んで脳内で捩花と会話をしていたのだ。

 

「にぃちゃーん!ご飯!」

 

「ああ。今行くよ」

 

何時ものように里鶯が迎えに来て、一緒に家に向かう。

 

(皆、本気でやってんだ!俺も出来る限りのことをする!)

 

強い思いを胸に雄英体育祭に挑む。

ついに雄英体育祭が幕を開ける。

 

 

 

 

 




次回から体育祭です!
お楽しみに!

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