死神のヒーローアカデミア   作:icy tail

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第11話

雄英体育祭当日。

A組の面々は控え室で待機している。

この体育祭はコスチュームの着用は禁止されていて、全員が体操服だ。

刻一刻と選手入場の時間が迫る中、轟が緑谷に話しかけた。

少々、険悪…あまりよろしくない空気が漂っている。

内容としては、強めの宣戦布告だ。

そして次は…

 

「志波。おまえにも勝つ」

 

「ん?おお。全力で来いよ?全力でな」

 

「…ああ」

 

雨梟に向き直り、宣戦布告をしてきた。

だが、雨梟が返した言葉に少し歯切れが悪くなる轟。

追及される前に離れていってしまったが何かがあるのは確実だった。

 

「デク。俺はお前とも戦いたいんだ。絶対に上がって来いよ?」

 

「志波くん…!うん!」

 

静かな気持ちのぶつかり合い。

すでに戦いは始まっている。

そして、選手入場。

 

『敵の襲撃を受けながらも鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!1年A組の入場だあああああ!!!』

 

実況のプレゼントマイクの仰々しい紹介に背中を押され、入場する。

大きな歓声が沸き起こり会場が揺れる。

回りを見渡すと数え切れないほどの観客が見受けられる。

 

「くぅ~っ!滾るねぇ!」

 

こう言う時に楽しめるのも雨梟の強さに繋がっている。

緊張なんて感じない、逆に燃えている。

A組の入場から始まり、全部のクラスの入場が終わった。

最初のプログラムは選手宣誓。

 

「選手宣誓!!」

 

今年の体育祭の1年主審のミッドナイトが仕切る。

 

「1ーA志波雨梟!!」

 

「はい!」

 

ミッドナイトに名前を呼ばれた雨梟は壇上に上がり、マイクの前に立った。

 

「志波くん…だ、大丈夫だよね?」

 

「志波くんはあれで結構激しいところがあるからな…」

 

様子を見る限り本人以外には伝えられていなかったらしい。

それよりも何かをやらかさないかを心配している緑谷と飯田。

そして…

 

「宣誓!我々、選手一同は日頃の成果を存分に発揮すると共に、雄英高校の生徒である誇りを胸に正々堂々と競い合う事を誓います!」

 

「ホッ…普通だ」

 

「素晴らしい選手宣誓だな!」

 

「ですが…」

 

「へっ!?ですが!?」

 

「ここが我々の競い合いの場だと言うのならば…『私が天に立つ』」

 

『や、やりおったぁぁぁ!!!?』

 

『A組調子乗んなオラァ!』

 

実はテンションが振り切っていた雨梟。

藍染様モードフルスロットル!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初っぱなから波乱の幕開けとなった体育祭。

早くも第一種目が始まる。

 

「それじゃあ早速第一種目行きましょう。いわゆる予選よ!運命の第一種目!今年は…コレ!!」

 

ミッドナイトの合図に合わせて、巨大なモニターに第一種目が映し出された。

 

『障害物競争』

 

今年の第一種目は障害物競争に決まった。

さらっとルールの説明を受ける。

コースはスタジアムの外周で、コース内ならば何をしてもいいらしい。

 

「さあさあ!位置につきまくりなさい!」

 

ミッドナイトに促され全員が一斉にスターと位置に着く。

そして…

 

『スターーーート!!』

 

一斉に走り出そうとする生徒達。

だが、ゲートが狭い為に詰まってしまっている。

最初のふるいはもう始まっているようだ。

 

「水天逆巻け『捩花』!嵐揮流!」

 

雨梟はと言うと、詰まるのを予測して少し後ろに位置どっていたようだ。

捩花の能力で上から突破した。

いち早く抜け出していた轟も抜いてトップに躍り出る。

 

「おっ先~!」

 

後ろの連中も続々と続いてきているようである。

 

『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!』

 

先頭を進んでいた雨梟の前に現れたのは、入試時の巨大なロボだった。

 

「おお!懐かしいなコイツ!まぁ残念ながら今回は時間掛けてらんねぇよ!」

 

そう言うと、捩花の一本槍の方の先端に水が圧縮されていき、刃の形に変化した。

その間にも真っ直ぐに雨梟に向かってくる巨大ロボ。

 

「『捩花』!斬雨(きりさめ)!」

 

雨梟はそれを真っ二つに斬り裂いた。

 

「ッはぁ!余裕だぜ!」

 

横に真っ二つに斬られたロボは崩れ落ち、後続の足止めになる。

 

『1ーA志波!障害物をものともせず余裕で抜けたぁ!!足止めまでしやがったぞ!!こいつぁシヴィー!!』

 

実況にも熱が入る。

雨梟はどんどん進んでいき続いて第二関門。

 

『オイオイ!第一関門余裕だってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォーーーール!!!』

 

目の前にあるのは言わば巨大な綱渡りのようなもの。

落ちたら即リタイアだ。

 

「なんだなんだぁ?また余裕じゃねぇの!」

 

雨梟からしたら障害でもなんでもない。

落ちる心配がないのだから。

 

『先頭を進む志波!またまた余裕で突破…なんてさせる訳ねえって話だぜ!』

 

「後ろはまだ来てねぇな…っはぁ!?」

 

後続の確認をしてから前に向き直った雨梟。

目の前には大きな何かが迫ってきていた。

 

『空を飛べる生徒がいるって聞いたから速効で取りつけたギミック!巨大ハエたたきだぁ!』

 

「ちょっ!まっ…がはぁ!?」

 

雨梟は避けることもできずに後ろに吹き飛ばされたのだった。

後続組。

第一関門を突破した少し先を進んでいる。

 

「先頭はもうあんなところに!急ぎませんと!」

 

後続組を引っ張るのは八百万。

第一関門で大砲を創造し、思ったよりも時間を取られてしまったのだ。

 

「もう少しで第二関門…」

 

「あぁぁぁああ!!!や、八百万ぅ!どいてくれぇ!」

 

向かって走っていると前の方からものすごいスピードで何かが飛んできた。

 

「へっ!?志波さ…きゃっ…!」

 

飛んできたのは先程、第二関門で返り討ちにあった雨梟だった。

八百万は避けることができずに、雨梟に巻き込まれて地面を転がる。

 

(やべぇ!このままじゃ八百万まで怪我をさせちまう…!)

 

「くっ…!」

 

(体制をた・て・な・お・すッ!)

 

雨梟はとっさに八百万を抱きかかえ体制を立て直すことに成功した。

 

「はぁ…はぁ…だ、大丈夫か?八百万?」

 

「…えっ!?は、はいっ!」

 

「なら良かった!悪かったな急に突っ込んできちまって…」

 

「…っ!だ、大丈夫ですっ!///」

 

何かに気づいたのか急に顔を真っ赤にする八百万。

雨梟は気づいていないのか気にした様子はない。

 

「おぅ!そんじゃ先行くな?八百万も予選突破しろよ!」

 

そう言って雨梟は走っていってしまった。

八百万は雨梟の背中を見ながら1人呟いた。

 

「あ…あれがお姫様抱っこと言うものですのね…!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジでひどい目にあったぜ…」

 

八百万と別れて先頭集団を追う雨梟は2度目となる第二関門の前に到着した。

渡ることをためらっている生徒達が固まっている所をすり抜けて前に立つ。

 

「もう作戦は考えてある!…『捩花』!大瀑水衝波(だいばくすいしょうは)!」

 

雨梟が技を発動すると大量の水が出現し穴自体を水でいっぱいにした。

そして、その水の上を走って渡りきった。

 

「落ちなきゃいいんだろぉ?落ちなきゃよ!」

 

『さっきギミックの餌食になった志波!戻ってきたと思ったら穴塞いじまったよ!しかも水の上を走ってる!?どうやってんのあれ!?』

 

『あのバカ…後続に道作ってるじゃねえか』

 

後続組もこれ幸いにと泳いで渡り始める。

 

「知ってるかぁ?海水ってのはよぉ…電気を良く通すらしいぜ?」

 

そう言って雨梟は後ろを振り返り足場を繋いでいる綱を掴んだ。

そして…

 

「破道の十一『綴雷電(つづりらいでん)』!」

 

『ぎゃぁぁぁぁぁ!!?』

 

泳いで渡っていた他の生徒達全員に電撃がはしった。

 

「ふぅ。スッキリしたぜ!…じゃ、お先~!」

 

『性格悪っ!!ストレス発散だぜ今の!!』

 

『後続の妨害な。合理的だ』

 

雨梟は爽やかな顔をして額の汗を拭い、また進み始めた。

先頭集団に追い付くために嵐揮流で飛ばす雨梟。

 

「やっと先頭が見えてきたぁ!」

 

最終関門は全面地雷源の怒りのアフガン。

先頭では轟と爆豪が激しいデッドヒートを繰り広げている。

 

「はっはぁ俺は関係ねーーー!!」

 

「爆豪…!」

 

「てめェ!宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ!」

 

「おいおい!俺抜きで楽しそうじゃねぇの!」

 

「ちっ!来たかよ…水ヤロー!」

 

先頭の2人に追い付いた雨梟が加わり、さらに激しさを増す。

 

『おおーっと!ここで志波も先頭争いに飛び入り参加だぁ!!まさにデッドヒートォ!!!』

 

競り合いながらもゴールに向かって進んでいく3人。

だが、次の瞬間。

 

BooooooM!!!

 

3人の後ろで大爆発が起こった。

そして、その爆風を利用して飛んでくる人物が1人。

 

『後方で大爆発!!?偶然か、故意か…A組緑谷!爆風で猛追ーーーっつーか!!!抜いたああああー!!!』

 

「やるじゃねえかぁ!でも負けねぇ!!」

 

「俺の前を…行くんじゃねえ!!!」

 

「後ろ気にしてる場合じゃねぇ…!」

 

3人は競り合いをやめ緑谷の後を追う。

そして、失速した緑谷の横を抜けようとしたその時、緑谷がもう一度爆発を起こし一気に最終関門を突破した。

 

「マジかよ…!?完全にやられたぜ…!」

 

雨梟達を抜き去って1位でゴールする緑谷を呆気にとられたように見ていた雨梟だったが、次第に好戦的な笑みに変わっていった。

結局、雨梟が2位、轟が3位、爆豪が4位の順番でゴールした。

 

「はぁ~!つっかれたぁ!…にしても、デクやるじゃねぇか!」

 

「へっ!?いやっ…あの…たまたま成功したって言うか…」

 

「なーに言ってんだ!たまたまで勝たれたら困るっての!自信もてよぉ!」

 

「っ!うん!」

 

緑谷とそんな話をしていると続々と他の生徒達もゴールし始める。

 

「おっ!来たな…んん?」

 

「くっ…こんなハズじゃあ…!」

 

「一石二鳥よ!オイラ天才!」

 

「サイッテーですわ!!」

 

自分が直接妨害してしまった八百万が予選を突破出来るかを気にしていた雨梟だが、無事にゴールできたみたいだ。

なんかくっついてるけど。

 

「お前は何してんだっ!」

 

「いってぇー!!?」

 

雨梟は八百万に近寄り、くっついてる峰田に拳骨をして強制的に引き剥がした。

 

「し、志波さん!ありがとうございます!」

 

「おぅよ!気にすんな!無事にゴールできたみたいで良かったぜ!」

 

「と、当然ですわ!」

 

「ならいいけどよ!にしても…さっきはごめんな?痛みとか残ってないよな?」

 

「は、はい!あの…だ、大丈夫…です///」

 

「お、おい!顔赤いけど大丈夫か?」

 

先程の事を思い出して赤面する八百万をマジで心配している雨梟。

こんなやり取りをしているとゴールした耳郎がやって来た。

 

「おーい!志波ー!ヤオモモー!」

 

「…ん?おー!耳郎か!早めにゴールできたんだな!」

 

「うん!なんとか…ってヤオモモどうしたの?」

 

「いっ、いえ!なんでもありませんわ!///」

 

雨梟は普通に返したが、八百万がおかしいことに気付いた耳郎。

八百万はと言うと顔を赤くしながらちらちらと雨梟の方を見ていた。

 

「しーばー?」

 

「はぁ!?ちょ、ちょっと飯田のとこ行ってくる!」

 

「あっ!ちっ…逃げられたか」

 

なぜ怒っていたのかは分からなかったが、危険を察知して逃げ出した雨梟だった。

こんな感じで第一種目が終了した。

予選通過は42名、次から本戦だ。

ここから、さらに激しさを増していく。

体育祭は始まったばっかりだ。

 

 

 




技紹介

・斬雨
水を圧縮し形を変化させ斬り裂く。
高速で振動してあるため良く斬れる。

・大瀑水衝波
瀑水衝波の広範囲バージョン。


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