死神のヒーローアカデミア   作:icy tail

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第14話

2回戦が始まる前。

雨梟は控え室で座禅を組みながら、モニターを見ていた。

爆豪と麗日の試合は佳境を迎えている。

今まさに、麗日の秘策が爆豪を襲っている所だ。

 

「おーおー!やっぱり面白ぇ奴ばっかだねぇ!」

 

楽しそうに笑いながらモニターを眺める。

爆豪が麗日の秘策を正面から破り、麗日が力尽きたため、爆豪の勝ちとなった。

 

「2回戦の開始まで少しあるな…今回からはちょっと深めに入るか…」

 

試合が終わったのを確認した後、フィールドの補修を挟んでから2回戦。

10分ほどの時間ができた。

雨梟は目を閉じ瞑想を始めた。

 

「…」

 

瞑想を始めて5分がたった頃。

ゆっくりと目を開く。

 

「……………行くかぁ!」

 

先程の静けさが嘘のように雨梟は悠々と動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『2回戦第1試合!まずはコイツだ!見た目は地味だがやることは派手なんだよなあ!結構目立ってんぞ!1年A組緑谷出久!』

 

「遂に来た…!」

 

『今回は何が飛び出すか!戦い方は無限大!?人間ビックリ箱!1年A組志波雨梟!』

 

「多彩から随分な急降下だな!」

 

マイクの気の抜ける紹介に背中を押され入場する。

お互いに入場を終えて向かい合う。

 

「楽しみで仕方なかったぜ!デク!」

 

「僕もだよ!志波くん!」

 

そして…

 

『スタート!』

 

試合が始まった。

 

「水天逆巻け『捩花』!」

 

「来るっ…!」

 

先程の瀬呂戦の事を考慮したのか無闇に突っ込まず距離を保つ緑谷。

 

「お手並み拝見と行くか…五月雨(さみだれ)!」

 

雨梟が捩花を回転させると、小さい無数の水の矢が緑谷目掛けて飛んでいく。

 

「はやっ…!あぶっ!ない!」

 

緑谷はギリギリ転がって交わし、次に備えるために雨梟に向き直る。

 

「危なかった…あ、あれ!?」

 

だが、雨梟の姿が見当たらない。

さらに足元に違和感を感じ下を見ると…

 

「い、いつの間に…水…!」

 

「さぁ…いつだろうな?」

 

状況確認に追われていると、後ろから声が聞こえた。

 

「っ!後ろ…」

 

「おせぇよ!破道の三十一『赤火砲』!」

 

慌てて振り返ろうとしたが既に遅く、背中にモロに入った。

 

「ぐあっ!」

 

勢い良く吹っ飛ぶ緑谷。

フィールドのギリギリで何とか持ちこたえたようだが、頭が混乱してしまっている。

 

「くっ…な、なんだったんだ今のは…」

 

「考えてる暇はねぇぞ!…五月雨!」

 

「くそっ!ちゃんと見ないと!」

 

考えさせる暇を与えないようにもう一度攻撃を放つ雨梟。

緑谷はできるだけ小さい動きで躱し、雨梟を観察した。

すると…

 

「なぁ!?溶け…いや、水と一体化してるのか…!」

 

雨梟の体が水に溶けていった。

 

(流石だ…だが、分かったところで意味がない!)

 

カラクリは割れてしまったが対処のしようがないと判断した雨梟は緑谷の様子を伺いながら水の中を移動する。

そんな中、緑谷は…

 

「この水…だよねっ!」

 

空中に飛びあがり、何やらフィールドに向かって狙いを定めている。

 

(何やってんだ?デコピン?)

 

「スマァッシュ!」

 

緑谷はデコピンの要領で空気の塊をフィールドに打ち付けたのだ。

 

(はぁっ!?維持できねぇ…ってか場外…!か、解除っ!)

 

このデコピンで水は弾け飛ぶ。

もちろん水と同化していた雨梟も一緒に。

雨梟は慌てて同化を解き場外負けを回避する。

 

「見つけたっ!はーあっ!」

 

「避けれ…がはっ!?」

 

(な、なんてパワーしてやがるっ…!)

 

緑谷は雨梟が現れるのを待っていたのか、解除した瞬間を狙って思いっきり拳を振り抜いた。

雨梟は勢い良くフィールドに叩きつけられ大きく砂煙が舞った。

 

「力の制御はできた!…けど、多分上手く防がれた」

 

「ゲホッゲホッ…あぁーマジで効いたぜ」

 

「やっぱり…」

 

雨梟は咳き込みながら立ちあがる。

緑谷は確信しているようだが、雨梟はインパクトの瞬間に一緒に飛ばされていた水を集めて小さい盾にしていたのだ。

 

「一瞬でも遅れてたら負けてたなぁ!…にしても指…」

 

「あはは…まだ上手く制御できなくて…。今のは上手くいったんだけどね!」

 

そのまま戦闘を継続しようとしたが、緑谷の指が目に入り少し止まる。

 

「ふむ…」

 

(長期戦で指を全滅させて勝ちました…じゃぁ意味ねぇもんな)

 

「し、志波くん?」

 

先程までの激しい攻防から一転、顎に手を当てて考え込んでいる雨梟。

緑谷もどうしていいか分からずあたふたしている。

そして、そこから数秒後…

 

「よし!決めた!」

 

「え、えーっと…何を?」

 

「次の一撃で最後にすんぞ!」

 

「ええっ!?」

 

雨梟の言葉に緑谷は驚きを隠せない。

それもそのはず…緑谷はパワー系、雨梟はどちらかと言うとテクニック系だ。

明らかに緑谷が有利な条件。

 

「志波くんそれじゃ…」

 

「僕が有利…ってか?」

 

「うっ…ま、まぁ」

 

「ははっ!なら尚更やんぞ!水の力ぁ!見せてやんよ!」

 

「…分かった。受けるよ!」

 

「そうこなくっちゃな!」

 

結局、お互いの同意で決まった。

次の一撃で勝敗を決する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁさぁ!訳も分からぬうちに何だか面白いことになってんぞ!一撃のもとに決着を!これもこれで見ごたえあるぜ!』

 

実況にも熱が入る。

雨梟と緑谷はお互いに距離を取り、思い思いに力を込めていく。

 

「近接が弱点なんて思われねぇ様に考えといたんだ!攻撃に全振りした俺の最強の技を見せてやろう!」

 

雨梟は霊力を右腕に集中させ、水を出来る限り圧縮して纏わせる。

さらに、回転のエネルギーを上乗せした。

簡単に言うと、渦潮のエネルギーを右腕に閉じ込めている。

雨梟の右腕には、水が渦巻いており、遠目から見ても相当な力が込められていると分かるほどだ。

 

「僕も…今出来る最大限をっ…!」

 

緑谷もワンフォーオールの力を右腕に集中させる。

腕が故障しないギリギリの力を込めていく。

 

「ふぅ~。暴発しちまう前にケリ着けんぞ!」

 

「僕も…もういける!」

 

『なんかヤバそうなんだけど…こ、これ大丈夫!?セメントス!壁作ってぇ!』

 

先程まで楽しそうに実況していたプレゼントマイクも2人から漏れるエネルギーに慌て始める。

雨梟と緑谷はお互いにタイミングをはかり、同じタイミングで地面を蹴る。

 

「行くぞっ…!」

 

「デトロイトォ…!」

 

そして…

 

海皇拳(かいおうけん)!!!」

 

「スマァァァッシュッ!!!」

 

渾身の一撃がぶつかり合った。

会場中に衝撃波が届き、その激しさを伝える。

 

「負け…ねぇ!!!」

 

「負ける…もんかぁ!!!」

 

わずか数秒の競り合いにお互いの持てる全てをぶつけ合う。

そして…五分五分の競り合いの均衡が破れ始める。

 

「ぐぅっ…!お、押される…!?」

 

(っ!今ぁっ!)

 

「おおぉぉぉらぁぁぁっ!!!」

 

僅かな緩みを見逃さずに、拳を振り切った。

 

「っ!?抑え切れ…うあっ!」

 

フィールドの中心から一人だけ高速で吹き飛び場外の壁に激突した。

 

「はぁっ…はぁっ…!」

 

フィールドで荒く息を吐きながら拳を突き上げるのは…

 

「俺の…勝ちだぁ!!!」

 

雨梟だった。

 

「緑谷くん場外!志波くん準決勝進出!」

 

先程までの規格外の力のぶつかり合いに、声を失っていた観客達が我先にと歓声を飛ばす。

これにて、2回戦第1試合は幕を閉じた。

 

 

 

 

 




技紹介

・五月雨
無数の小さな水の矢を飛ばす。

・海皇拳
腕に水を圧縮させて纏い、さらに回転の力をプラスさせる打撃技。
ようは、渦潮のエネルギーを腕に纏わせて殴る。




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