波乱の初日が終わり、二日目。
午前中は必修科目などの普通の授業をこなし、昼休み。
雨梟は緑谷たちと食堂に来ていた。
「食堂広いね!」
「さすが最高峰!生徒達の健康管理まで力をいれているとは…!」
「あはは…そう言えばここの食堂はランチラッシュが作ってるんだよね?」
「うぇっ!?マジでか!?今のは本当か!?デク!?」
「えっ!?ほ、本当だけど…」
「うおぉぉぉぉ!!!大っファンなんだよ!!握手してくる!!おーい!ランチラッシュ~!」
雨梟はそう言うと興奮した様子でランチラッシュの元へ走っていってしまった。
「な、なんだったんだ…」
「彼にあんな一面があるとは…」
「あははー。ビックリしたよ!」
雨梟の事を冷静な人物だと思っていた3人は驚いた様子で雨梟の背中を見つめていた。
そして数分後、雨梟が戻ってきてから昼ごはんになった。
「いや~!感動だ!これからは弁当作ってこようかと思ったけど、卒業まで学食しか使わねぇ!俺は決めたぜ!」
「ほ、本当に好きなんだね…。そ、そう言えば午後のヒーロー基礎学何やるのかな?」
「オールマイトが見てくれるんだよね!」
そんな話をしながら昼食を終わらせ、午後のヒーロー基礎学。
「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」
オールマイトがコスチュームを着て教室に入ってきた。
生徒たちは皆興奮した様子でいる。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う課目だ!!早速だが今日はコレ!!…『戦闘訓練』!!!」
「戦闘訓練!滾るねぇ!」
ヒーロー基礎学は初っ端から戦闘訓練のようだ。
緊張する生徒もいれば楽しみな生徒もいる。
もちろん雨梟は楽しみなようである。
「そしてそいつに伴って…こちら!!!」
そう言ってオールマイトがなにかを操作すると壁がせりだしてきて、それぞれの生徒のコスチュームが出てきた。
『
「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだよ!!」
『はーい!!!』
生徒たちは興奮冷めやらぬ中、移動を開始した。
そして、更衣室でそれぞれのコスチュームに着替える。
「おお!要望通り!やっぱコレだよなぁ!」
「志波くんのコスチュームカッコいいね!」
「だろぉ!!いやー!俺がコイツを着れる日が来ようとはなぁ!」
雨梟のコスチュームはもちろんBLEACHの隊服だ。
コレだけは譲れない。
ちゃんと耐熱などの効果もある。
(感動だぜ!それに…卍解を使いこなせるようになったら隊長服に変更しよう!浮竹隊長の意思は俺が継ぐ!)
テンションが上がり、いつになるか分からない未来設計まで考えている雨梟。
まぁ、今ぐらいは良しとしよう。
そして、雄英高校での最初のヒーロー基礎学が始まる。
・
グラウンドβに行くと、先に着替えていた生徒たちが集合していた。
そこに向かって歩いていると耳郎がこちらに気づき声をかけてきた。
「志波のコスチュームは袴?」
「おぅ!似合ってんだろ?」
「う、うん!///カッコいい…///」
「ん?どうした?顔赤いけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫!何でもないから!」
「そうか?ならいいけどよ…それにしても、耳郎のコスチュームもいいな!ロックミュージシャンみたいだ!似合ってんぞ!」
「そ、そう?あ、ありがと!///」
顔を真っ赤にして照れている耳郎。
だが、雨梟はなぜだか全く気づいていない様子だ。
こんな話をしていると全員揃ったのか、オールマイトが説明を始めた。
「今回の戦闘訓練は、2対2の屋内戦闘を行う!」
詳しい内容を聞くと、ヒーロー組と敵組に別れ、ヒーローは敵を捕まえるか核兵器の回収で勝利。
敵は核兵器を時間いっぱい守り抜くか、ヒーローを捕まえれば勝利だ。
コンビと対戦相手はくじで決めるみたいだ。
そして、くじを順番で引く。
「おお!宜しくな!耳郎!」
「うん!志波が一緒とか心強いよ!」
雨梟は耳郎と組んで、青山・芦戸組が相手になった。
一戦目のペア以外はモニタールームに移り観戦をすることになっている。
早速、一戦目の緑谷・麗日、爆豪・飯田が始まったのだが…なんだか雲行きが怪しい。
「あの二人はなんかあったのかねぇ。…っ!オールマイト!」
ちょっとした喧嘩かなにかと思って見ていた雨梟は爆豪がやろうとしていることに気づき声を荒げる。
「っ!爆豪少年!ストップだ!」
結局、オールマイトの制止を無視し攻撃を放った爆豪。
そのまま、爆豪の組が勝つかと思われたが土壇場の機転で緑谷たちが勝利した。
「チームの勝利を目指した者と、目先の勝利に固執した者の差か…」
そして、講評が終わりどんどん進んでいき、次は雨梟達の番になった。
「耳郎ちょっといいか?」
「ん?どうしたの?」
「作戦があるんだがーーー」
「えぇっ!?そんなことできんの!?」
「もちろんだ!まぁ任せろ!」
そんな会話をして開始位置に着く。
雨梟たちはヒーロー組だ。
『スタート!!』
「さァ!ショータイムだ!」
・
雨梟たちの戦闘が始まる少し前、モニタールーム。
「風の噂で聞いたんだけどよ、志波って入試トップらしいぜ!」
「マジ!?」
「まぁ確かに個性把握テストも一位だったもんねー!」
「…アイツが」
生徒たちは始まる前にそんな話が持ち上がっていた。
「さぁ、私語はそこまで!始まるよ!」
オールマイトの声で視線をモニターに向けた生徒たち。
そして、わずか3分後…
「ヒ、ヒーローチーム!WIN!!!」
「なんだよアレ…!」
「あんなこともできんのかよ!?」
「チートじゃんかよぉ!」
全員が驚きを露にしながらモニターを見ていた。
少し時間は遡る。
「作戦があるんだが…鮫になってみたくねぇ?」
「ん?鮫?」
「ああ!開始と同時に全フロアに水を張るから鮫になって敵を驚かして欲しいんだよ!」
「えぇっ!?そんなことできんの!?」
「もちろんだ!まぁ任せろ!」
そんな話をしているとスターとの合図がオールマイトによってなされた。
『スタート!!』
「さァ!ショータイムだ!」
雨梟は楽しげに笑みを浮かべながらそう言うと捩花を顕現させる。
「水天逆巻け『捩花』!…んじゃちょっと建物から出といてくれな!」
「わ、分かった!」
耳郎が建物から出たのを確認すると深呼吸をして集中力を高める。
そして…
「ふぅーーー。よしっ!
雨梟が捩花を地面に突き立てると、大量の水が溢れだし瞬く間に全てのフロアを膝の辺りまで水で浸かった。
「いっちょ上がりだぁ!」
「本当にできるんだね…」
驚いていると言うよりは呆れている様子で言った。
「信じてなかったのかよぉ?まぁいいか…ちゃっちゃと終わらせようぜ!」
「そうだね!じゃあお願い!」
「おぅ!
そう言って雨梟が手をかざすと耳郎の事を水が薄い膜を張るように包み姿が変わっていく。
(凄く不思議な感覚…まぁ、とりあえず先に行くね!)
ちなみに雨梟が変化させたモノとは意思の疎通ができるようになっている。
「行ってらー!俺もすぐに行くからなー!」
あらかじめ耳郎の個性で敵の居場所は分かっているため、迷わずに敵の方に向かっていった。
雨梟は手を振って見送り、自分も行動を始めた。
「んじゃあ俺も行きますかねぇ!…
雨梟が技を発動すると、体が水のようになり溶けて無くなった。
決着の時は近い。
・
敵チーム陣地の核兵器のある空間。
「なにコレ!?急に水が!?」
「ボクのコスチュームが水浸し…」
こっちのチームは少しパニックになっていた。
急な対応を要するが、もう遅い。
「ひっ!」
「次はなに!?って鮫ー!?」
青山が小さく悲鳴をあげ、なにかと思いそちらを見てみると巨大な鮫が近づいて来ているのに気づいた。
「こ、こんなのどうしろって言うんだぁー!?」
そう言って逃げたそうとした瞬間に、今の状況に似合わない呑気な声が響いた。
「ほいっ!回収~!」
「…へっ?」
「もう…ヤダ…!」
慌てて核兵器の方に振り返ると雨梟が核兵器に触れて立っていた。
『ヒ、ヒーローチーム!WIN!!』
オールマイトの宣言が響くなか、困惑するように呆けている二人。
なにが起こって負けたのかも理解できていないようだ。
「解除!…お疲れさん、耳郎!」
「ふぅ…貴重な体験したよ」
雨梟の合図で先程まで鮫だったモノが徐々に人型に戻り、耳郎が現れたが、青山と芦戸は考えるのを諦めたのか、驚きもしなかった。
四人は講評の為に皆が集まっている場所に移動し、講評が始まった。
「それじゃあ講評の時間だ!今回のMVPは誰か分かるかな?」
「宜しいでしょうか」
手を挙げたのは八百万だ。
「勿論だとも!では、八百万少女!」
「ハイ。今回のMVPは志波さんです。敵の撹乱、味方も敵も傷つけることなく核を回収。さらに、外への被害にも気を使われていました」
「ふむふむ…かねがねその通りだ!だが…先程の作戦だと、相手が轟少年や上鳴少年の場合は通用しない。さらに、仲間も傷つけてしまうから気をつけるんだよ?」
「はい。少し安易でした」
「ウチも自分の意見を言うべきでした」
「うむ!ちゃんと理解しているようでなによりだ!」
八百万の講評にオールマイトが考えられる危険性等を付け足して雨梟たちの講評は終わった。
その後全員が戦闘訓練を終えて、本日の授業は終わったのだった。
「それでは今日のヒーロー基礎学は終わりだ! また会おう!」
『ありがとうございました!!』
技紹介
・瀑水衝波
なにも無いところから大量の水を出現させる。
最大で半径50メートル規模まで出せる。
・水変化
体の表面に水をコーティングして姿を変えることができる。
・浸空露
水と一体化して姿を眩ませる。
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