感染転生者の活動日記   作:ゆう31

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日曜に間に合ったぞ
ではどうぞ


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?月?日 ?

 

モノの数分で戦闘は終わった、ドクターの指揮の上で動いてみて分かったが、これはもはや魔法にかかったような感覚だ、最適解を見つけるスピードの速さ、そして状況に合わせた適切な指示は惚れ惚れする。

 

ウルサス帝国の兵士達はたしかに私達三人を相手にするには格下だったが、それでも遥かに楽に動けた。

 

私は過去のドクターの指揮を見たことはないが、記憶を失っても指揮官としての実力はなんら衰えていないのだろう、そう言わしめる程だ。

 

流石だなとドクターに告げるが、彼は彼で自分が指揮をするまでも無いぐらいに実力がかけ離れていると言い、本当に自分の指揮が必要だったのかと言う。

 

その言葉に私がフォローする前に、双剣少女が「謙遜するな、お前の実力は測れた。指揮官としてお前を認める」と言ったので、私は驚いた。

 

彼女が私以外に意見を言うなんて珍しい、心から思ったのだろう。

 

言った後に照れたのか、暗闇に姿を消して偵察に励んだ双剣少女に微笑ましい気持ちになる、そういえば彼女はレユニオン全体から見ても年下の少女だったな。

 

倒れた兵士の装備を探ってみるが、無線をしていないのを察するにこのサルカズの兵士達ははぐれだろうか。

 

それでも不可解だ、この場所の情報は数少ないはず、それとも何者かが情報を得たのだろうか?

 

いや、今気にする事じゃ無い。

 

とすると──────と、ペンを走らせていたらドクターは「何を書いているんだ」と聞いてきた。

 

この状況で紙媒体にペンを走らせる私を疑問に思えただろうか、これは私にとってもはや呼吸のようなモノ、記録を書いているんだと話すと「そうなのか」と言い、それ以上の事は聞かなかった。

 

アーミヤが来るまでにまだ時間があるみたいだ、ならばとドクターにこの世界の事を学んでもらう事にした、基本的な知識を私はドクターに教える。

 

変な感じだ、このテラで生まれ育ったとはいえ、転生者としての意識を持っている私が、このテラの中心人物になる者に知識を授けているなんて。

 

簡単な世界情勢、このテラを蝕む鉱石病の存在などを教えたところで、「それで君たちは何者なんだ」と言われたので、再度改めて自分たちがレユニオン・ムーブメントと言われる者達の一員だと言う事をドクターに告げた。

 

反応は淡白なものだった。

 

記憶を失っているとはいえ私はしっかりと鉱石病とはなんなのか、感染者とは何か教えたのだが、「そうか」の一言で流され呆気に取られてしまった。

 

「何を驚いているんだ」と言われたが驚かない者がいるだろうか。

 

記憶を失って現実感もないだろう、そう言ってくれるのを予測していたが、実際に言われてみるとなんというか……なんとも不思議な感情になるじゃないか。

 

そしてその人間性、感染者であろうと差別のしない在り方に心から嬉しく思う、この世界を蝕む全ての元凶に一石を投じる人物なのだと改めて理解する。

 

そういうところは昔と変わらないじゃないか、君。

 

「ロドス・アイランドを見かけた、直ぐに此方に来る」と偵察から帰ってきた双剣少女は伝えた。

 

アーミヤとその面々だろう、遂にここに現れるか……さて、どの様に説明しようかと考えると、ドクターは疑問に思いながら今から来るのは仲間なのかと、そう聞いた。

 

そうだよ、君の帰るべき、待っている者達のいる居場所だ。

 

元々私が何かしなくても君は彼女達に助けられていた、私が君を助けたのは……そうだな、これから分かるよ。

 

と、少しはぐらかしてドクターに言う、そういうと「どんな理由であれ助けてもらった事は事実だ、ありがとう」と言われて少し照れた。

 

確かにドクターに会いたかった気持ちもあった、ただ打算も無しに会いにきた訳じゃない、私が彼を助けたという事をロドスに知ってもらい、レユニオンとロドスの間をより近付ける目的が主なところだ。

 

……いや、助けたというか、ウルサス帝国に同じ所に拉致られたと言い訳した方が通り安いだろうか、一応私は捕らえられた身だし。

 

その考えが実際どうなるかはこれから分かる事だ。

 

ロドスの公表リーダー、最高執行権を有する彼女とのファーストコンタクトは果たして、どの様になるだろうか。

 

私は彼女を歓迎する、あの子は少し純粋過ぎる所もあるが、非情になれる側面も持っている、何があろうと決して自分の信じた道を進み続ける。

 

その在り方は私と似ている、だから分かり合える筈だと私は思っている。

 

微かに足音が聞こえた、もう間も無く私は邂逅を果たすだろう。

 

 

待ってたよ、ロドスのリーダー。

 

 

警戒しつつ扉が開かれたのを見て、私は歓迎の一言を放った。

 

部屋に入ったアーミヤと、複数のロドスの面々は私の存在に更に警戒を強めてしまった様だ。

 

ファーストコンタクトは失敗したらしい、何がいけなかっただろうか。

 

「貴女は何者ですか」とアーミヤに問われる、ケルシーから聞いていないのか?……いや、ケルシーが素直に話す人物だとは思わないな。

 

そうか、アーミヤは私を知らないのか、姿形だけでは何者か判断出来ないという事だろうか?

 

まあ確かに、私よりタルラの方が圧倒的に知名度が多い、表舞台に立つのは彼女だからな。

 

私が名乗る前にアーミヤが私の近くにドクターがいる事に気付いてその表情を驚愕に染める、もう起きているとは思わなかったのだろう、その肝心のドクターは何をしたら良いか分かってないらしい。

 

行ってやれ、彼女には君が必要だ。

 

そう言うとドクターは少し躊躇した後にアーミヤのいる方に歩いていく、近寄るドクターにアーミヤはすぐに駆け寄るが「君は一体……?」とドクターに言われてその動きを止める。

 

アーミヤは自分の名前を言って、ドクターに私達ロドスの仲間だと言う、そう言うアーミヤに対して「思い出せない」とドクターが言い、ドクターが記憶喪失だとアーミヤは知った。

 

アーミヤは一瞬、此方に敵意を向けたが、それは直ぐに霧散した。

 

私が何かしたのではないかと思ったのだろう、そして直ぐにそうだとするならここに居るのはおかしいし、何よりロドスとドクターを接触させる意味がわからないと、多分こう考えた筈だ。

 

とにかく無事で良かったと安堵したアーミヤは、一頻りドクターと話した後にこちらに一歩踏み出す。

 

私もアーミヤとはゆっくり話し合いたかったが、それは叶わないようだ。

 

刹那、地面が揺れた。

 

私はこの揺れを転生者の知識で知っている、始まったか。

 

アーミヤ含めロドスは今の現状を掴めていない、それはそうだ、この情報は私しか知らない。

 

私は軋む体を動かして、彼女達についてくる様に言う。

 

早く此処から出ようとロドスの者達に言うが「信用ならない、アーミヤ、ドクターの回収はした。私達の作戦で此処から出るぞ」と見覚えのある人物が助言する。

 

あれは確か、ドーベルマンか。

 

ボリバルの元軍人であり、行動隊E1の隊長、詳しい実力は知らないがドクター救出に同行している事を考えれば、優秀なオペレーターなのだろう。

 

私について来ないならそれでも良いが、どうする?アーミヤ。

 

そう私に問われて、アーミヤは「……貴女がドクターを起こしたのですか?」と言われたので、そうだと返す。

 

「わかりました、此処から出る目的は同じです。協力しましょう」

 

ドーベルマンは考え直すようにアーミヤに言うが、アーミヤは信じてみましょうとドーベルマンに促す。

 

良かった、少しは信用してくれたらしい、未だに私が此処にいる猜疑心もあるだろうが、私がドクターに対して「何もしていない」という事が分かったのだろう。

 

私はロドスについてこいと言って先導する、時間は限られている。

 

次に私は➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

 

 

(空白)

 

 

(空白)

 

 

(空白)

 

 

(空白)

 

 

(空白)

 

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

ふと、目眩がした。

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

「隊長?」

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

「隊長」

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

「隊長!」

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

体が揺すられた。

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

少し意識を失っていたようだ。

 

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

 

状況を確認する。

 

ドクターが眠っていた建物から脱出し、私達は外に出た。

 

外に出れば、壮絶な光景が広がっていた。

 

レユニオン・ムーブメントとウルサス帝国のチェルノボーグでの戦争だ。町を破壊し、兵士が惨殺され、同胞の一人が無残に切り裂かれ頭を潰される。

 

如何に被害を減らしたところでそれがゼロになるわけじゃ無い、関係の無い人を避難させたからと言って、ウルサスの兵士は同胞はその命を散らし、同胞はウルサスの兵士の命を刈り取る。

 

……本当は同胞達に争いなんてさせたく無かった。

 

こんな戦いに───────────

 

ふと、泣いている少女が居た、チェルノボーグの市民なのだろう、逃げ遅れてしまったのだろうか。

 

そんな少女にレユニオンの同胞が駆け寄る。

 

そして少女に対して刃を───────────振るわなかった。

 

刀を仕舞って少女の頭を撫でて、避難誘導を始める、少女だけでは無い、彼らは抵抗を辞めて武装を解いたウルサスの兵士を殺さなかった。

 

殺したいだけの恨みを彼らは持っている、それでも抵抗を辞めた者に対して、憤怒の言葉を吐きながらも、殺める事をしなかった。

 

あぁ、良かった。

 

私は振り返って、今起きている状況を理解出来るかとアーミヤに考えさせた。

 

そう問われて彼女は「今日だとは思いませんでしたが……」と前置きをして、自らの考えを話した。

 

「数日前、レユニオン・ムーブメントのNo2がチェルノボーグに幽閉されたと全国で情報が拡散されました、レユニオンはこの事に怒り、実力行使にてチェルノボーグを制圧する事を決めたと」

 

では、彼らの行動をアーミヤはどう見る?正義だと思うか?悪だと思うか?それとも別の、善悪でも無いなにかか?

 

「……以前に調査に来てから明らかに民間人や感染者の数が少ない、レユニオンは予め戦場から遠ざけたのでしょう、必要以上の犠牲を生まない為に」

 

「この戦争の発端はウルサス帝国に有ります、レユニオンはある日を切っ掛けに組織的になり、理性ある行動で(・・・・・・・)感染者の権利、共存を訴えていました」

 

「だからこの行動は“それ以外に方法が無かったから”だと、私は推察します」

 

「この戦争が善か悪か、私にそれを選定する権利は有りません」

 

成る程、アーミヤはそう考えるのか。

 

「でも」

 

「ロドスとレユニオンが争う必要も、有りません。私は彼らは歩み寄れると、そう思いたいから」

 

─────────────────そっか。

 

歩み寄れる。

 

そう言ってくれたアーミヤに対して私は微笑んでアーミヤの頭を撫でる、急に撫でられた事に私の行動に疑問を持ちつつ赤くなって「や、やめてください……」と恥ずかしげに言う。

 

ふと、ドクターと目があった気がした、私はアーミヤを撫でる手を辞めて、ドクターに向き合った。

 

君はまだ何もわからないだろう。

 

自分が何者なのか、何をすれば良いか、これからゆっくり、知っていけば良い。

 

君は君の目的の為に進め、それがどれだけ難しい道でも、必ずやり遂げられる筈だから。

 

私はドクターに対して握手を求めた、フルフェイスで表情の見えない彼、或いは彼女は何を思っているのだろうか、暫くした後に私の握手に応えてくれた。

 

ムッとしているアーミヤに「別に取らないよ」と言うと、そういうことじゃないです!とムキになったので、此処が戦場だというのに、微笑ましくなった。

 

私は隻腕の彼に、他のクリスタルレンズの隊員を集めて“例”の作戦を実行する様に言った。

 

寡黙だったが、忠実に私のお願いを聞いてくれる彼は良い奴だ。

 

次に双剣使いの彼女に、このままロドスがチェルノボーグに脱出するまで手助けをする様に告げた、レユニオンとロドスが接触したとしても、彼女が居れば説明もスムーズだろう。

 

会った当初は感情の無い機械のようだったのに、今ではそんな過去を感じさせない、可愛らしくなった少女だ。

 

私は私の目的を実行しに行く、たった一人の親友に会いに行って、ちゃんと話さないと。

 

集団に離れてその場を離れようとした時に「待って、名前を教えて下さい」とアーミヤに言われた。

 

───────────私?私はミラー。

 

そう告げると、アーミヤは驚愕した顔を隠さない。

 

アーミヤだけじゃない、ドクター以外のロドスの面々は私が何者なのかを理解した、ある者は警戒し直して、ある者は逆に警戒を解いて。

 

アーミヤは、真面目な顔で私を見続けていた……そこに敵意は感じられなかった。

 

私は体の制限を解除して、肩から翼を出して広げた、時間は限られている、走るより飛ぶ方が速い。

 

さて、お別れだロドス、そしてドクター。

 

また会おう(・・・・・)

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

?月?日 チェルノボーグ

黒兎から見た結晶娘。

 

 

「行ってしまいました……」

 

誰に言うわけでもなく私はそう呟いた、先程まで話していたあの人がまさかレユニオン・ムーブメントのNo2だったなんて。

 

ウルサス帝国に囚われたというのは嘘だったのでしょうか?でもそれなら尚更何でドクターと同じ場所に居たのかわからない。

 

思えば最初あの人を見たときに少し既視感があった、でも私が前以て資料で見たあの人とは全然違って見える。

 

片目を眼帯で隠してなかったし、サンクタ族特有の輪っかも無かった、髪の長さも変わっていた気がする、

 

それに上手く隠していたけど、時々意識がはっきりとしていないようにも見えた。

 

『結晶世界』と名を轟かしたあの人に弱々しいなんて、当て嵌まらない筈なのに。

 

ミラーさんは「アーツを使った時に出現するあの輪っかは鉱石病の進行で出現する」とケルシー先生は言っていた。

 

ならあの翼も鉱石病の進行で得たものなのでしょうか……?

 

まるで結晶のような羽だった、白くも黒くも無い、鏡の様に透明で、触れたら割れてしまうんじゃないかと錯覚するような、そんな翼。

 

その姿にまるで、段々と人の形から外れていっているような、そんな印象を抱いてしまった。

 

それに、私の思い違いじゃ無かったら、翼を出した時、微細だったけれども空間にオリジニウムの結晶のようなモノが生まれては消えてを繰り返していたような。

 

───────────嘘。

 

もしかして──────原石結晶、滲出性の?

 

滲み出している……?

 

そんな、あの人は……

 

いえ、いいえ、ミラーさんは「また会おう」って言ってくれました、だから絶対にまた会いに来てくれる、来ないなら私たちから会いに行く。

 

まだミラーさんとちゃんと話していない、話すことはいっぱいあるのにその一つも話せてない。

 

 

 

だからお願い、生きて。

 




感想評価、誤字報告ここすき等々いつもありがとうございます〜!
彼女の話にも終わりが見えてきました。
次は未定、一週間の間には続き書けたらいいなあ
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