◎月◯日 晴れ
フロストノヴァとその小隊の『スノーデビル』の人達と行動を共にした、彼らは気が良くて優秀でとても好ましい、その懐にあるアルコールの類については秘密にしておいてあげよう。
フロストノヴァに最近のタルラについて聞かれた、フロストノヴァも苛烈な思想になってきたタルラの行動を疑問に思っているからだろう、一番近くにいる私に聞くのも道理だ。
確かに武力行使が増えてきたが、それでも私と一緒にいる時はあまりその一面を見せない、その事を伝えると何故か納得したようだ。
帰りにWと出会ってそのまま飲みに連れていかれた、その後の記憶はあまり覚えてない。
◎月□日 晴れ
珍しい人物と出会った。
各種実地踏査などを主に活動するライン生命の外勤専門員、マゼランだ。
と言うのも個人的興味からボリビアの黒流樹海に来ていた私は、同じく実地調査に来ていたマゼランと出会ったのだ。
こんな未知の領域に人がいると思わなかったのだろう、マゼランはオーバーリアクション気味に驚いていたが私も驚いた、私の知識の中でも出会う事は無いと思っていた人物の一人だったからだ。
マゼランは私の事をレユニオンの幹部の一人と知っていたようで、敵対心の無い私に困惑していたが、私にマゼランをどうこうする理由はない。
ライン生命医科学研究所に対しても、特に思う事は無い。寧ろライン生命の生命科学には興味がある。
ロドスのオリパシーの治療を目的とした研究もそうだが、鉱石病に関わる事は何かと詳しく知りたいのだ。
本当に鉱石病がどうにかなるのだとしたら、それに越した事は無いのだから。
マゼランにあったからといって行動を共にする訳でも無いので、そのまま別れる事にしたら今度はマゼランが私についてきた、私が攻撃的行動をしないと判断したマゼランは元気満々に話しかけてきた。
元気に押されて少し引いてしまったが、一人で探索するより二人で探索しませんかと提案されたので、半ば押される形で了承した。
道中マゼランのドローン技術を見せてもらったが、とてもでは無いが私には理解出来なかった、すごいものだと言う事ぐらいだ。
対してマゼランは私の結晶化するアーツに興味があるようで、調査した結果オリジニウムそのものに近い物質を生成しているようだ。
それはつまり、私がアーツを使う=オリジニウムをその場で生成する=感染者を増やす事に他ならないらしく、私の命を狙っている者は多いとの事。
日記でも書いた例の部隊同士での戦闘で起きた結晶地帯は非感染者が向かったその日のうちに感染者になったと、そうマゼランに言われた。
……やはりというか、危険すぎるアーツだ。
後残りしないよう、結晶化したモノをこの世から消すことにしよう、労力はかかるが、出来ない事もない。
私が持つには過ぎた力すぎる、だからと言って今更世の為にこの身を犠牲にする事は出来ない、私は簡単には死ねない。
目的のものは黒流樹海にはなかった、マゼランはまた会いましょうと言ってくれたが……それは難しいだろう。
彼女を感染者にしたくない。
笑顔で見送ってくれる彼女を見て尚更そう思った。
◎月☆日 にわか雨
イーサンと出会った、出会い頭感謝されたが何のことだろう?
聞いてみると、飯が不味いレユニオンをここまでまともな食環境を整えた私に敬意を表しているらしく、いつか出会いたかったのだと。
そういえば私の知識では、イーサンは食事がまずいという理由でロドスに加入したと記憶している、まあ気持ちは理解出来る、あんなものは食事とは言えない。
ただ本当にそれだけの理由でレユニオンから離れたとは考えにくい、彼にも何かがこれから起きて、結果的に積み重なった不満が爆発してロドスに行ったのだろう。
あわよくばこのままレユニオンに居て欲しい所だ、彼とは敵対したくない。
……そもそも、私はロドスとも敵対したくはない、それは少しばかり欲張りで、恐らく実現不可能なことだが。
しかし実際に彼の擬態能力を見てみると本当にそこから消えたように感じる、まるでファウストのようだ。
その擬態能力は是非とも私の部隊『クリスタルレンズ』に欲しい逸材だ、それとなく誘ってみると、考えてみると言ってくれた。
良い返事が返ってくると嬉しい。
◎月◇日 曇り
珍しく、スカルシュレッダーと食事を共にした。といってもたまたま相席になっただけなのだが。
スカルシュレッダーは私も含めてあまり他の幹部と関わろうとしない、これを機に親睦を深めようと距離を詰める事にした。
幸い私に対してはあまり不信感や嫌悪感は感じてないようで、そこそこ話が弾んだ、その時に少し踏み込んだ話をされた。
もう一度姉に会いたいと言った彼に私はきっと会えると返した、それは私の知識の中で会うとわかっていたから言った言葉だが、スカルシュレッダーは本気には捉えなかったようだ。
……家族か。
転生前なら兎も角、今生に家族と言えるのは……それこそタルラしか居ない。
私が物心ついた時には両親は鉱石病で死んでいた、幼い私が何とか生きられたのはタルラと出会えたのと、環境が良かったからだろう。
結局その日常も感染してから全てが変わった。変わらなかったのは私とタルラの関係性ぐらいだ。
家族であり親友であり同胞、それがタルラと私の最も近い関係性だろう。
その事をスカルシュレッダーに伝えたら驚いた様子だった、そういえば人に私とタルラの関係性を言うのは初めてか。
「あんたにとってタルラが特別な様に、タルラにとってあんたも特別なんだな」と言われ、少し照れた。
そうであったら、嬉しい。
どう思う?タルラ。
◇月□日 暴風雨
思えばこのテラの世界で私は一度も天災に遭遇した事は無かった。
この日は初めて天災に遭遇したので日記に書く事にした。
暴風雨、洪水、噴火のみならず隕石の落下までもが天災に含まれている、今回はその暴風雨に遭遇した。
とてもではないがあの風をまともに受けたら人は愚か建物すらも簡単に暴風で破壊されるだろう、すぐに移動都市を起動させ離れたが、その際にオリジニウムで変貌し、進化した魔物と呼ぶべきカラスや、ワイバーンのようなモノ達と交戦した。
都市にいるレユニオンの構成員を私の指揮で適切に動かし倒していく、同時に私もサブマシンガンで応戦して何とか退けた。
二丁の短機関銃は私に良く馴染む、今まで気にしていなかったが複雑な銃器を扱える事から私の種族はサンクタ族だったようだ。
……思えば大規模なアーツを行使する時は天使の輪っかのようなものが頭上に出ていたな。
それにしてもこんな時にタルラも私以外の幹部も居ないのは本当に辛い……一人も犠牲が出なかっただけ良かったか。
このテラという惑星に救いはあるのだろうか?
破壊されていく大地を見て私は疑問に思わずには居られなかった。
◇月☆日 曇り
起きたらタルラが隣で寝ていた。
ええっと、まず整理しよう。
昨日は久々にタルラと共に居た、書類等や政策等々を一緒にある程度纏めて、たまには息抜きに飲みに行こうと誘ったのは覚えている。
そんな余裕はないとか渋っていたタルラを強引に連れて行って飲み始めたのも覚えている。
久々に二人きりで飲む酒は美味しく、結構なペースで飲んでいた、タルラもそこそこ飲んでいた気がする、途中その様子をファウストが「それ以上飲むのは辞めた方が良いんじゃないか」と言っていたのもなんとなく覚えている。
それをWが面白がってさらに酒が追加されてから記憶が無い。
なんで私もタルラも脱ぎかけなんだ……?
は、恥ずかしくなってきた、何をしていたんだ?何かしたのか!?
い、いやいや、女同士で何かあるわけじゃない。暑くて脱いだんだろう、きっとそうだ。
しかし、寝顔が綺麗だな……穏やかに寝ているタルラを見るのは何年振りだろうか、最近では難しい顔で常に考えていることが多い彼女だった。
私は少しでも、タルラの役に立っているだろうか?
その独り言が聞こえていたのか、タルラが起き上がって「君がいて良くないと思った事は一度もない」と寝ぼけた声で私に言った。
……このタラシめ。
とりあえず次Wに会ったら殴ろう、そうしよう。
◇月◇日 晴れ
元レユニオン幹部と出会った、タンカラーに赤色がアクセント(ゲーム内SDでは黄色)のEOD(対爆)スーツに身を包んだ大柄な男性、Big Bob 『大柄のボブ』
変わらない現状に絶望し、自らに賛同する『兄弟たち』を連れてレユニオンから離反したボブは、最初は私を連れ帰る為の追手だと判断しあわや戦う羽目になりそうだったが勿論そんな事は無い。
基本的にレユニオンは去るものは追わない、それに戦ったとして私一人でボブ、そして彼らの兄弟たちを完全に無力化する事は難しいだろう。
ならばなぜ出会ったかといえば偶然としか言えないだろう、私は他のレユニオン幹部と少し違う立ち位置で活動しているのだから、こう言う事も起きがちなのだ。
鉱石病についての研究、安全な環境を作ること、もしくは移住する為の拠点探索、食改善の為の現地採取、技術開拓の為の未知の領域調査などを私は主に行っている。
その事を誠心誠意伝えたら納得してくれたようで、戦闘にならずホッとした。
レユニオンは変わったか?と聞かれたので、あるがままを伝えた。
「結局、戦いからは逃げられないのなら俺たちに居場所は無い」と言った彼の言葉が印象深い。
だけど私は、非感染者の考えが一変しない限りその居場所は作れないと思った、そしてその考えを一変させるには感染者が、レユニオンが表立って権利を主張し勝ち取る他ないと。
それを暴力以外でどう話す?と問い掛けられ、話し合える事に越した事はないと返した、それでもそれが実現出来ていない矛盾を抱えたままだ。
「ミラー、君がトップなら或いは」と言ってくれたが、私にタルラほどのカリスマ性もなければ、志も強くない。
タルラについていく事を決めたのは私自身だ、その責任は自分で取る。
私の考えを聞いて満足したのか、ボブはクルビアに移住する事を私に告げてその場を後にした。
……クルビアか。
もしあの時、私がもう少し知恵を振り絞ってクルビアに車を走らせていたら、タルラは➖➖➖のままだったのかもしれない。
そこに後悔は無いが、少しだけ過去に戻りたくなった。
◇月★日 曇り
(酷く乱雑な文字だ、読み解く事が出来ない)
◇月×日 曇り
昨日は不安定になっていたようだ、最近はアーツを使用していないから大丈夫だとは思っていたが、それでもやはり起きる時は起きるようだ
偶にこう言う事が起きる、人格が安定しなくなる。どうやら二重人格などでは無いようだが、それに似た傾向らしい。
目の前の長い金髪の女性、感染者援助団体「使徒」に属している、ナイチンゲールからそう告げられた。
人格が崩壊して倒れていた所を保護してくれたようで、私は彼女に感謝した、お礼を言われることでもないと言うが私はレユニオンの幹部であり、見つけるものがもし違っていたら私はこの世に居なかったか、政治的人質に使われていたのかもしれない。
というとナイチンゲールは「レユニオンの幹部なんですね」と驚いていた、あれ。私実はそんなに知られてない?
それから少し話して気付いたが、ナイチンゲールの感染状況は私より危険だ……短くはないが、そう遅くもない、そんな印象を受けてしまう。
何とかしてあげたいが、私が出来ることはその逆でしかない、私に触れる事は感染を悪化させるだけだからだ。
ナイチンゲールが私の検査をしてくれたお陰で気付いたが、どうやら私の体は他の感染者よりも更に他人に対して鉱石病に悪影響を及ぼす体のようで、自意識がある今は制御できても、寝ている時や人格が保てない時は周囲を結晶化させるようだ。
そんな状態の私を保護してくれた事に改めて感謝しないといけない。
……だからこそ、私は少しでも早く彼女が良くなるように、ケルシー先生の事を打ち明けた。
私はもう戻れないが、ナイチンゲールは私とは違う、正当に診て貰えるだろう。
クリスタルレンズの構成員が私を捕捉して迎えを寄越してくれるまで私はナイチンゲールと他愛のない話をした。
また会いましょうと言われ、もう会わない方が良いと返すのも彼女で何度目だろうか。
「それでも、私は会いたいと思いますよ」と、笑顔で言う彼女に少しだけ嬉しくなった。
彼女と敵対する事は出来そうにないな。
◇月◯日 強風
普段は無口なクラウンスレイヤーだが、今日は饒舌だった。
口が酒臭かったので飲んで酔っ払ったのだろう、珍しい事だ、こんな機会もなかなか無いので酔っ払いの相手をしてあげよう。
クラウンスレイヤーは最近仕事ばかりで疲れたと喚いていた、確かに最近のクラウンスレイヤーの仕事量は多い、主に諜報活動など。
まあクラウンスレイヤーのアーツはそれらの作戦にうってつけで替えが利かない、だからタルラも酷使するし、仕方ない無いことかな。
だからそれは頼られてるって事だ、と言うと納得し得意げな様子だ、案外乗せられ易いのか?私は心配になった。
そんなこんなで飲み(私は飲んでいない)話していたらタルラが乱入しに来た、タルラもまた疲れが溜まってきたのだろうか。
……なんで怯えているんだ、クラウンスレイヤー。
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p.m1:15 曇り 感染者援助団体「使徒」本部
ナイチンゲールの検査結果。
【源石融合率】15%
明らかな感染症状。
【血液中源石密度】0.63u/L
基準値を大きく上回っている。非常に危険であり、充分な処置をしなければ長くは無い。
彼女のオリパシーは一般的なオリパシーと比べてその在り方が異質だ、主に他者に対して危険な影響をもたらす。
鉱石病を飛躍的に進めてしまう物質が体内に存在している、まるでオリジニウムそのもののようだ。
もし彼女が死に、それが災害になるとして。その災害は世界を巻き込むだろうと容易に想像できる。
何とか感染者の基準値まで治せたが、気休め程度だろう。
これは考察だが、ミラーは時折人格が保てなくなり意識を失うと言っていた、私が発見した時も意識を失っていた状態で見つけた。
彼女の周囲30メートルが結晶の波で出来ていた事から……恐らく、体内で生成される結晶が致死量に至ると体の防衛本能としてそれを体外に放出しているのだろう。
本当なら定期的に彼女を検査したいが、彼女にはやるべき事があり、もしレユニオンの幹部を匿っていると周囲から知られると「使徒」としても不都合が多すぎる。
……ミラー自身も好感の持てる女性でした、彼女はもう二度と会わない方が良いと言っていましたが、それは私の体を案じて言ってくれたのでしょう。
そういえば、私が自己紹介する前から私の事を知っているようでした、それ自体はどうとは思わないのですが……。
不思議な方、まるで旧知の存在のように感じてしまいますね。
アークナイツの小説増えろ……ッ増えろ……ッ