感染転生者の活動日記   作:ゆう31

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本日二度目の投稿ですわよ。
日記要素ゼロです、どうぞ。


◆月☆日 雨「レユニオン・ムーブメントにて」

pm.3:37 雨 レユニオン・ムーブメント 

 

タルラが帰ってきた。

 

直ぐにでも会いに行こうと私はタルラの元に向かおうとするが、体が言う事を聞かない、激しくのたうつ様な激痛が私の行動を制限する。

 

ふざけるな、痛みなんて幾らでも受けてやる、いいから私の言う事を聞け。

 

私は痛みを無視して足を進める、途中ファウストとメフィストに出会ったが、ファウストのくぐもった表情に疑問を持ち引き留めた。

 

何か起こったのかと聞くがファウストは何も言わない、黙っていてもわからないと言っても口を割る事をしなかったので、これからタルラに会うとだけ言った。

 

するとファウストは引き留めようと動いたが、直ぐにその行動を辞めた、ファウストは「頼んだぞ」とだけ言ってメフィストを連れて去って行った。

 

なんだったんだ?……いや、まあいい、早くタルラに会おう。

 

いつもの道を歩く、この廊下を曲がってすぐの扉にタルラはいる。

 

ノックをして、扉を開けた。

 

まるで私が来る事を待っていた様にタルラは椅子に座っていた、意思を持った瞳が私を見つめる。

 

話をしよう、そう言う私にタルラは頷いた。

 

色々な話をした、今までの事を互いに言い合い、そして私はある程度話した後に、ロドスの件をタルラに話した。

 

レユニオンがロドスと手を組めば私達の鉱石病の進行はある程度抑えられる、互いに感染者を受け入れ、鉱石病を克服する未来はすぐそこだ。

 

「……なるほど」

 

タルラの顔は何も変わらない、もう少し喜ぶと思っていた。もう向こうのトップとは話を付けてある、後は正式な場所で互いに手を取るだけだ。

 

「……そうか」

 

後はタルラの返答次第だ、まぁ確かにタルラにとっては無名の製薬会社かもしれない、でも確かに信用できる企業だ。

 

 

「君は、私よりロドスを、その製薬会社を信用するのか?」

 

 

そうじゃない、違うんだタルラ、私は「もういい」

 

タルラが言葉を遮り、変わらぬ表情で言葉を放つ。

 

「私はチェルノボーグを落とそうと思う」

 

チェルノボーグを落とす……?

 

私は、頭痛から視界が移りそうになるのを堪えて、何故?とだけ言った。

 

「何故?それこそ愚問だ、ウルサス帝国は滅ぼさなければならない、見せしめの為にも──────なんで震えている?」

 

私は言ったはずだ、それは何の意味も無い、ただ感染者と非感染者の亀裂を更に広げるだけだ、私達の掲げている理想を実現出来ない、そう言った。

 

武力で制する事に何の意味がある、確かに意味がある時もある、だが私たちがそれをして、不利になるのは私たちだ、私たちだけじゃない、このテラ中の全ての感染者を更に苦境に立たせるんだぞ。

 

「……いいや、それは違う、寧ろ彼らは奮い立つ筈だ、私達がやられてきた、虐げられてきた事をそっくりそのまま奴等に同じ事をするだけだ」

 

「それに非感染者と感染者の亀裂が広がるだけと言うが、以前にも言ったな、分かり合えないモノは居ると、その最もな代表者は奴等だ、君は話し合いで解決出来ないなら、最後は武力で解決するしかないと言ったな?それは今この時だ」

 

違う、確かに私はそう言った、だが分かり合えない事はない、時間はかかるが話し合いで解決出来る問題なんだ、行動で示し、鉱石病を治す事が出来れば互いに尊重しあえる未来が来る筈なんだ。

 

「……その時君はいるのか?」

 

いるよ、だから早まらないでくれ、タルラ。

 

「それは嘘だな、優しい嘘だ、残酷な嘘だ、最も聞きたくない嘘だ」

 

「君が長くないのを知っている、そのマントは結晶鉱石を隠すための羽衣だろう?今までマントなんて着なかったからな?君の左目の変色も鉱石病の影響か?……君を治す手筈は大方整ってきた、私に任せてくれ」

 

やっぱりタルラには隠せなかったか、微細な変化でもすぐ気付く。

 

私を治す手筈が整った……?まさか、それはつまり鉱石病を治すという事に他ならない、そんな都合の良い、いや違う、それは後で良い。

 

とにかく考え直してくれタルラ、戦争はつまり……今のレユニオンを変えることに他ならないんだぞ、この日常を壊してしまう。

 

今彼らが笑えているのは、私達があくまでも平和的に交渉を続けてきたからこそなんだ、それはタルラだって分かっているだろう。

 

そういうと、タルラは押し黙る、思い当たる例があったからだろう、こういう時タルラは言葉を閉じて考える癖がある、私は畳み掛ける様に考えを変える様に言った。

 

それに私の体だってロドスが何とかしてくれる筈だ、私自身も鉱石病を治す為に行動するし、している。

 

だからやめよう、武力で制するのは今じゃない。

 

「……思えばいつも私と君は衝突しあっていたな、互いに意見をぶつけ、その度にお互いの距離が離れていっている様に思えた、一時はそんな事は無いと思ったが、あぁやはり……離れてたんだな、私と君は」

 

何を言っているんだ、そんな筈無いだろう?

 

「じゃあ君は何故私よりそのロドスを選ぶ?」

 

それは──────

 

「私のやり方が気に入らないか?君は調停、平和を良しとするからか?それで君が滅んでしまったら?君は心配するなとだけ言うが、私より深刻な君を見て心配にならない親友が居る筈が無い」

 

「私では君を治せないと思っているんだろ?どうなんだ?ミラー」

 

その質問はダメだ。

 

だって私には答えられない、信頼していない(信用していない)わけじゃない、そんな筈が無い。

 

でも私は、転生者の知識でタルラを知ってしまっている、だからこそ仮に私を治す事が出来ると言われても、その道に必要の無い犠牲が起きてしまうのでは無いかと、そう怖じけている。

 

怖じけている────そうか、私はタルラが変わってしまうのが怖いんだ、暴君になってしまう事を恐れている、指導者から制圧者に変わってしまう事を恐れていたのか。

 

現に今、タルラは必要のない犠牲を、必要だと言い実行しようとしている。

 

「意地悪な問い掛けだったな、謝る……ただ、君が私を信用しているなら、信頼しているなら、私の言葉を信じてくれないか?」

 

誠実で、どこか必死な言葉だった、気付けばタルラ椅子から立ち上がって、同じ目線でそう問い掛ける。

 

今までと変わらない表情だった、でも私にはそれが拒絶されたく無いと、そう言われている様に感じた。

 

……とりあえず、チェルノボーグを落とす事はダメだと告げると、タルラは「君の体を治す為に必要な事だ」と良い、私の言葉を跳ね除ける。

 

ああ、どうすれば良い?

 

私はタルラを信じたい、でもそれは開戦の始まりだ、やがてロドスとも敵対し、レユニオンは二度と今のレユニオンには戻って来れなくなる。

 

それだけじゃ無い、きっと多くの無関係な犠牲者が生まれる、私の知識にある様に……守りたい者達が生まれる。

 

死んでしまったら終わりなんだ、殺し合って得るモノなんて何も無いんだよ、ただ悲しみと憎しみしか生まれないんだ。

 

それは、ダメだ。それだけはさせたく無い。

 

……タルラを信用している、信頼している。その事は変わらない、この目で見て経験した上で彼女は正しい指導者である事を知っている。

 

 

私は──────

 

タルラ、私は君を信用している、信頼している。

 

 

「なら」

 

でも、ダメだ。ダメなんだよタルラ、私は他のレユニオン・ムーブメントの者達を死なせたく無い、戦争とはつまり、誰かの犠牲を生むモノだ。

 

私は誰だって死なせたくないんだよ。

 

「……そうか」

 

「やっぱり、君を納得させられなかった」

 

タルラは目を閉じて深く息を吸って、吐く。

 

次に開いた目は決意を宿していた(諦めた目をしていた)、それが私にはそれは少し狂気的に見えた、執着というべき、ナニカを見据えた。

 

「ミラー、もう一度だけ言う、私の言葉を信じてくれ」

 

私だって信じたいよタルラ。

 

「信じたい……か、それが君の言葉か、君らしい、残酷な程に」

 

そう言ってタルラは私を突き放した、簡単に崩れた私に少しだけ心配する様な顔を出したが、直ぐに無表情になる。

 

「もう話は終わった、どの道私は戻れない、君を救う為にもチェルノボーグを落とす」

 

➖➖➖ッ!

 

「その名で言うなミラー……クラウンスレイヤー、居るな?ミラーを運んでくれ、丁重にな」

 

扉を開けてクラウンスレイヤーは私に戻る様促す、軋む体を動かしてその手を払い除けて、タルラに向かってその足を進める。

 

「もう良い、歩くなミラー、体が痛むんだろ」

 

あぁ痛むさ、心が痛む。

 

体の痛みなんて耐えれば良い、でも心の痛みは耐えられない!

 

私に何を隠している?ずっと前から隠してる事があるだろう?そもそもタルラは最初からそんな暴力的思想じゃなかった、それをなんで教えてくれない?

 

「……ああ、なら私はこう言おう。君こそずっと私に隠してる事があるだろう?どう考えても知り得ない事を君は知ってるじゃないか」

 

それは私がーーーッ

 

体が崩れる、痛み以上に機能が動かなくなってきた、不味いーーー!不味い、ここで倒れる訳にはいかない、このままじゃあ何も変わらない。

 

崩れそうになる体を気力で立つ、まだ立てる。

 

「クラウンスレイヤー、もう良い。早く連れて行ってくれ」

 

タルラは再度クラウンスレイヤーにそう言うが、クラウンスレイヤーは扉の前から動かない……私の味方をしてくれているのか?

 

「私は、ミラーにも救われた、今この場でミラーの意識が有るのに連れて行く事など私には出来ない、人選ミスだったな、タルラ」

 

「お前……」

 

あぁ、後でクラウンスレイヤーには奢ってあげないとな。

 

私は力を振り絞って、タルラと向き合う───そんな悲しそうな顔をしないでくれ、私の体を気にしているなら大丈夫だ、タルラは私を治すと言うが具体的にどうやって治すんだ、それは言える事だろう?

 

そう言うと、タルラは口を閉ざす。それも教えてくれないのか、なら先に私が教えてやる、荒唐無稽な話だと言うかもしれない、でも私のこの言葉は真実で、事実だ。

 

そう口に出そうとしたその時、私の視界からタルラが消えた。

 

違う、これは私が、私の体が──────倒れかけるその瞬間、タルラが受け止めてくれた、そのことを嬉しく思うが、私はまだ言葉を届けられていない。

 

次第に目蓋が重くなる、あぁ……力が入らなくなってきた、こんな時に私の体は思うように動かない。

 

「……ミラー、安心してくれ。絶対に君を治す」

 

そんな優しい言葉を聞きたいんじゃない、それじゃあダメなんだ、あの都市を制圧してから全てが終わって、始まってしまう。

 

意識が保てない。

 

➖➖➖……。

 

「おやすみ、ミラー」

 

 

私の視界が真っ暗になる前に、最後に見たのは➖➖➖➖➖➖

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

pm.4:10 雨 タルラの私室

譁 ュ怜喧縺鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡?

 

「これで良かったのか、タルラ」

 

私は思わず聞かずにはいられなかった、ミラーは最後までタルラに言葉を届けようとしていた、自らの限界を超えてまで言葉を届けていた。

 

日を改めてもう一度話し合えば双方納得出来るんじゃないかとも思った、だがあの様子じゃあ……いやそれでも。

 

「お前はロドスにいるケルシーを信じるのか?」

 

信じるわけが無い、あいつは裏切り者だ、それは分かってる。だがもしミラーがロドスと協力すると言うなら、私はその上でケルシーに問い掛ける事も出来た。

 

ミラーのお陰で私の傷は少しマシになった、狂う事も無かった、だから理性を保てた。

 

「……わたしを信用しないなら消えればいい、私は一人でもやる」

 

「そうは言ってないだろ、私はタルラを信じてる」

 

それにミラーの鉱石病を治したい気持ちは程度はあれど同じだ、その過程で非感染者に手をかける事があってもそれは仕方ない事だ。

 

1を救うのに10も救う、それをミラーは提示し続けてきたが、それは夢物語だ、私はそれを理解しながら提示し続けたミラーを好ましいと思う反面、どこか嫌っていた。

 

あんな奴らまで優しくしなくて良いって何度思っただろうか。

 

そう思うのは私だけじゃ無い、代表例をあげるなら、メフィストはミラーのそう言う所だけは愚痴のように嫌だなと口に出してたな。

 

そもそも何故レユニオン・ムーブメントがあるのか、それは全て非感染者の、ウルサス帝国やその他の国の迫害と人権無視の非合法な所業故だ。

 

同胞達と巡り合えた事に感謝こそすれ、奴らのやってきたことの罪が消える事はない。

 

これから起こる事はあいつらの自業自得だ、ミラーは否定したが、私はそれには否定しない。

 

他のレユニオンの同胞達の一部……いや半分ぐらいは良い顔はしないだろうが、命令には従うだろう。

 

幹部の数人は従わないかもしれないが、タルラがミラーの容態とそれに対する“アテ”、その為に必要な犠牲だと言えば従うだろう。

 

……ああただ、もう今までのような笑顔で飲み交わす彼らを見る事は恐らく一生無くなる、それは少し寂しいものを感じる。

 

何よりそれを最も悲しむであろう者が、タルラの救いたい者だという事実に、私は言葉にできないモノを感じた。

 

「ミラーを任せた」

 

そう言ってミラーを私に渡す、背中に乗せたミラーの体は見た目からは想像も出来ないぐらいにとても軽くて、病人の体のようだ。

 

いや私達皆病人である事には変わりないが、ミラーのこれは……そう考える私を察したのかタルラは私を睨み付けた。

 

「早く行け」

 

「……わかった」

 

狂気的なモノを感じる瞳に気圧されタルラの部屋を後にする。

 

医療室に運ぶ途中にWに出会った、いつものニヤケ面が形を潜めて、真剣そのもので私を、いや私の背中に乗せているミラーを見る。

 

ふとWの格好に疑問を持ち、口を開いた所でWが先に口を開く。

 

「あいつ、前から気に食わなかったの、この辺で雌雄を決してあげる」

 

「……止めはしない」

 

「それで良いわ、ミラーをよろしくね」

 

会話はそれだけだった、私はWの全力を見た事はないが勝算は一割も無いだろう、生きる怪物と語られるテラの英雄を一人で倒せる相手は二人と居ない。

 

ふとWから視線を外すと、今度はフロストノヴァが立っていた、Wの後を追ったらしい。

 

「あら、あなたは自宅にいるかと思ったけどねえ」

 

「ファウストが来るまではな……私も行く、良いな?W」

 

「はぁ、まあ、構わないけど?」

 

そう言って並び立つように、今から強大なモノと戦いに挑むようにあの二人はさっきまで居たタルラの私室に向かう。

 

レユニオンは実際の所、ミラーを慕う人間の方が多い、こうなる事はタルラも分かっていただろうに、反旗を翻そうとする者達を前にして勝つ自信もあるのだろう。

 

改めて私は医療室にミラーを運ぶ。

 

医療室に寝かせて医療担当者に後を任せる、ミラーの容体を見て泣きそうな担当者は彼女を良くて➖➖だと言う。

 

……彼女は無理をし過ぎた、後に名前の付いた『ビースト』との戦闘が最もな例だ、それだけじゃない、何かと私達に隠してちょくちょくと使っているのも知っている、顔色を見れば分かる。

 

彼女は自分自身がどれだけ他人に影響を与えたのかいまいち理解していない、だからタルラも過保護になるんだよ、私から見ればミラーがタルラにする行動も過保護だが。

 

ミラー、君は多分こう考えて動いているんだろう?「例え自分が死んでも、その先に輝かしい未来を作る為なら構わない」って。

 

でもそんな未来は誰も望んで無い、納得する筈がない、ミラーが死んだら全てお終いなんだよ。

 

私だってミラーに死んで欲しくなんか無い、長い目を見て何れ鉱石病が治る未来は確かに来るかもしれない、でもそこにミラーが居ないと何の意味も無い。

 

「こんな残酷な世界……」

 

いっそ壊れた方が良いんじゃないか?そう思うのは私だけじゃ無い筈だ。彼女はそれを望まないだろうが。

 

「何日後に起きそうだ?」

 

「……一週間は」

 

「そうか」

 

私はそれを聞いた後に医療室から出て、煙草を取り出して一服挟む。

 

吐き出した煙が虚しく空に舞った。

 




感想評価、誤字報告等々待ってま!いつもくれる人はありがとう!
筆が進んだら夜にまた投稿する、出来なかったら数日後にする。
え?癒しがほしいって?もう与えたでしょ(にっこり)
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