プロローグ
ここは世界の何処か、俺は依頼を受けてその依頼のターゲットのあとを追って居た。俺はとうとう追い詰めてやったと笑いを浮かべてしまった。
「ヒィィイイ!来るな来るなァ!!!」
そのターゲットは非常に怯えた表情で、尻餅つきながら後退りしている。何とも滑稽なものだろうか。この程度のやつのために俺が駆り出されたと思うと頭が痛いもんだよ。
「さぁて、もう袋小路だ。まだ逃げれるなら逃げていいゾ。今日はこの依頼だけだからな、一晩中遊んでもいいぜ?」
軽い調子でふざける。実際に俺はこのあとしばらくの期間は暇になる。何せこの依頼以外の依頼を消化してしまったからだ。もう今目の前の"悪魔"の相手をしている以外やることが無いのだ。
「ふざけるな……ふざけるなァァァァ!!」
目の前の悪魔が急に襲いかかってきた。鋭い爪で串刺しにするべく攻勢に転じてきた。窮鼠猫を噛むとはよく言ったものだ、まさにこの状況そのものを言えている。けど、そうやすやすと噛まれるほど馬鹿じゃない
「はっ!しゃらくせぇ!!!」
俺は一歩距離を詰めて、右手で悪魔の顔を掴み勢い良く地面に叩きつける。半径50cmのクレーターが出来上がった。後始末が面倒な事だ。
「ぐっ……き、貴様……に、人間のくせに……!」
「まだ意識があるのかよ。思いの外頑丈だな……でもまぁ、ここがお前の終着だと知りな。それだけのことをしたんだからな」
俺は右手を構える。俺の右腕は黒い布に覆われ、手には青紫の宝珠が埋め込まれた黒いグローブがつけられている。
「……!その右手、その黒衣!まさか貴様は!人外の奴らの依頼を引き受ける何でも屋の……!」
「そういう事だ。じゃあまぁ、自分の行為を呪って喰われやがれっ!!」
俺の右手から異様な赤黒いオーラを放つ。そのオーラは獣の頭部、または竜の顔を形作る。さぁ、仕上げと行こうか
「虚無に喰われろぉぉっ!!」
俺の右手から出た頭部は、悪魔に喰らいつき、有無を言わせずその悪魔を消滅させた。
『盟友よ、今回は少し遊びすぎだ』
右手の宝珠が光り、俺を諌める。だよな、俺もそんな気はしてたが、最近ろくな仕事がなかったせいで、フラストレーションが溜まっていたというものだ。そこは多めに見てほしい。
「分かってる、悪かった。ゼローグ」
俺を盟友と呼ぶのは、俺の神器に宿っているドラゴンのゼローグだ。俺がこの力に目覚めてからずっと話している奴だ。頼りになる相棒だ。
「で、どうだった今回の悪魔は?俺的にはなんの足しにもならないと感じたんだが」
『盟友の感じた通りだ。この程度の木っ端悪魔を食らった程度で何も変わらん』
だよな。程度がしれている下級悪魔だった。特に目新しいことをしてきたわけでもないし、面白いことをしてきたわけでもない。その程度のものを倒したんだ。
「とりあえず、依頼報告の連絡を……ああん?」
携帯を取り出し、電話をかけようとしたら、先に電話がかかってきた。けど、それは依頼主じゃなかった。その携帯には【アザゼル】と書かれていた。
俺は嫌な予感を感じながら、溜息をつき電話に応じる。
「もしもし?」
『おー案外早く出たな。仕事はどうだよ』
「ぼちぼちだ。今丁度最後の依頼をこなしたばかりだ。誰かのせいで便利屋になりそうな気がするけどな」
『ハッハッハ!上々みたいで何よりだよ』
クソ!俺の精一杯の抵抗はあっさり流された。たく、子供だと遊びやがってまぁ、世話になったのはこっちだが、限度がある。
「で?世間話をするために電話をかけてきたわけじゃないだろ?……今度の依頼は何なんだ?」
「話が早くて助かるよ。実はな、コカビエルの動きが怪しいんでな、その調査と対処を依頼しようと思ってな。俺が直接手を出すのは色々あれだからな。頼めるか?雄真」
「その対処で戦うことになったらどうすればいい?」
「そうだな、殺さない程度に痛めつけてくれていいぜ。素直に帰る奴じゃないだろうしな」
たく、本当に適当だなこの人は……でも、案件が案件だ断るわけにも行かねぇな。
「分かったその依頼受けるよ。休みが無くなるのは少し嫌だが、動いているやつが動いているやつだからな。それでどこを調べればいいんだよ?」
「そう言えば言って無かったな。調査場所は駒王町だ。じゃ、頼んだぞ"黒天龍王"」
電話はそこで切られる。言うだけ言って切るかよ。まぁ今に始まったわけじゃ無いから直接もう言うつもりは無いけど。
「堕天使のいざこざか?……まぁ、人間の俺だからもし仮に、悪魔や天使と対峙しても三大勢力の戦いにはならないし、いい立ち位置に居るよな俺」
面倒くさそうに頭を掻きながら見上げた月を右手で隠し呟く。
「駒王町……か」
新しい依頼と行き先に少し心を動かされながら、俺は依頼完了の電話をかけた。
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