ハイスクールD×D ゼロの名を持つ龍王   作:皐月の王

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あけましておめでとうございます(かなりおくれました)


体育館裏のホーリー
第18話


「……意外にいい部屋だな、此処」

 

アザゼルに仕置きをしたあの日以降、アザゼルからの詫びということでマンションの部屋を一部屋買って貰った。広さは3LDK、一人暮らしには広いかもしれない。が、アザゼルが折角ならいい部屋にしとけ、と……まぁ、これだけ広ければ新しい拠点として色々改造出来そうでいいとは思う。

 

「にしても……家具どうすっかね。亜空間に仕舞ってる物の中に使えるやつねえしな…前の拠点(仮)にあったやつは全部処分しちまったし…

仕方ない。家具屋にでも行って補充するか、何だったら自分で作ってもいいしな」

 

夏休みが終わるまでまだほんの少し時間はある。この時間を使い、俺は駒王町における拠点(真)を整える事にした。

 

「兵藤夫妻には挨拶はしたしな……どの道トラブルが起きればまたあそこに集合しそうな気はするし、要請があったら行けばいいか」

 

困ったことがあればいつでも力になるから、と言ってくれた兵藤夫妻には本当に頭が上がらない。あれ程優しい人というのも万事屋をやってきた俺から見ても珍しい、今度行くときは何か土産でも買って行くとしよう。

 

「よし、そうと決まれば早速行きますか……」

 

そして、俺は近隣のデパート内にある家具屋に直行した。一通り欲しいであろう家具を買い揃える。ソファーやベッドは天下の往来で収納するわけにもいかないので運送してもらうとして、食器類は百均で買い揃えることにした。割れた時に替えが効くようにと思ったからだ。

 

……実際のところ万事屋家業のお陰で金は飽き腐る程あるのだが、あまり散財しないので基本は可能な限り安く済ませる性分だ。万事屋初期は限られたもので事態を解決しなければならないことが多く、飯にも苦労してたので、その時に染み付いたのかもしれない。

 

「にしても最近の百均ってのは馬鹿に出来ないな……中々値段不相応に使えそうなものもあるしよ、いやー見てるだけでも飽きないな……」

 

俺は意外にもノリノリで買い物をしていた。気分良く物を揃えたのでいざ会計に行こうとすると……

 

PPPPP!!!

 

突然携帯が鳴っている……何だよ、折角人が上機嫌に休日満喫してたってのに……。俺は苛立ち混じりに携帯を手に取り

 

「はい!!逢坂雄馬ですが!?」

 

『雄真!!今すぐ俺の家に来てくれ!』

 

ピシ、と固まる……てっきりアザゼル辺りかと思ったのだが、このタイミングで来たのが一誠と来たもんだ。随分な慌て様だが、また何かのトラブルだろうか……

 

嫌な予感しかしないのだが、

 

「……何があったか知らんけど、取り敢えず行ってやる」

 

『サンキュー……何か都合あったのか?だったら……』

 

「何でも無い!今行くから待ってろ!」

 

俺は勢い良く通話を切る。ったく、折角の休日が……

 

頭を掻きながら溜息を吐き、歩き出す。目的地は兵藤邸、つい最近まで世話になっていた場所だ。

 

―――――――――――

 

「うーわっ、これはたまげたな………」

 

到着して程なくして俺が見せられたものは山の様に盛られた大量の手紙、否ラブレターだ。数えるのが億劫な位目の前に積まれている。

 

「これはディオドラ・アスタロトからアーシア宛に送られたラブレターや映画のチケット、食事のお誘いとかよ……呆れたことに全て、ね?」

 

部長さんは頭を抑えながらに言う。この様な事がおよそ二週間前から行われているらしい。

 

…俗に言うストーカーだろうか。いや、貴族悪魔が行うこれはもはや

 

「求婚されているのか……」

 

「アーシアは絶対にあの野郎には渡さねぇ!!」

 

一誠は絶賛燃え上がっている。相変わらず仲間思いな事だと一旦スルーし、一先ず呼び出された経緯を聞くことにする。と言っても十中八九ディオドラ・アスタロトに関してのことだろう。求婚するにしてもこれは流石に異常だ、普通に犯罪では?

 

「俺が呼ばれた理由はこれか?」

 

「ラブレターの件では合ってるわ。本題なんだけど……貴方にディオドラ・アスタロトの調査を依頼したいの」

 

部長さんは俺を見据えて言う。まぁそうだろうなとは思っていた。これだけのものを見せられて、手紙の主まで判明している。であればこれは間違いなく案件沙汰と言っていいだろう。

 

……よし、

 

「その依頼、確かに引き受けた」

 

「依頼料金の件のことだけど……」

 

「今回に関してはそれはいらないぜ」

 

その場にいるメンバーが頭に?を浮かべるだろう。俺は万事屋、こういう仕事は金が動かないと確かに受けないが…

 

「……今回の件、何となくだが嫌な予感がする。確信がある訳じゃねぇけど、それなりの経験の直感って奴だ。自発的に動かないと取り返しが付かない、そんな感じがするんだ」

 

手紙を一枚手に取り部長の方を見て

 

「それに、一応俺も仲間……なんだろ?だったらアンタ達の為になるなら可能な限りは引き受けるさ」

 

「……ありがとう、助かるわユウマ」

 

「サンキュー雄真!良い情報、期待しているぜ!」

 

肩を竦ませながら俺は言う。

 

「少し本腰を入れるから学校は所々休ませてもらうけどな……少し時間をもらいたい。だが、必ず真相を掴んで来ると約束する。」

 

「ええ、手続きはこちらでやっておくわ。お願いね?」

 

「ああ」

 

俺は立ち上がり、立ち去ろうとすると

 

「あら、雄真君来てたのね!今から晩御飯だけど食べていかない?」

 

一誠の母上から晩飯のお誘いを受けた。いや、今から調査に行こうかと……

 

グルルルルルルル

 

……タイミング悪く腹が鳴る。そういや今日は朝早くに新居に行ってからはそのまま家具屋に入り浸りだったもんで、珍しく朝も昼も食べてない。

 

「……いただきます」

 

………恥っず!!!!まさかこの歳で人前で腹を鳴らすとか、久々過ぎる休日で気が抜け過ぎていたかもしれない。今一度気を締め直さなければいけないみたいだ……その日、俺は二度と朝昼晩の飯を何があっても欠かさないと心に誓った。

 

そして、翌日。俺は堕天使のルートを使って冥界に向かっている。

 

『…まさかお前がただで依頼を受けて、堕天使のルートを使わせろたぁ、随分変わったんじゃねぇのか?いや、昔に戻ったって言う方が正しいのかね』

 

携帯越しにアザゼルが笑いながら言う。俺はルートを通りながら

 

「……どうだかな。それに今回の一件、どうも裏がある様にしか思えないんだよ。それをキッチリ掴んで部長さん達の負担を軽くしてやることが、未来の俺の負担を削る事にもなるし、何よりそれがアンタとの契約だ。仕事はキッチリ果たす。何も変わってなんかいないよ、俺は」

 

『とか言って本当は………っとそっちはもうすぐ冥界か。頼んだぞ、雄真』

 

通話を切ったと同時に俺はゲートを抜けて、冥界に到着した。

 

「……よし、行くか」

 

冥界の地を歩き出す、これから何を知るかは分からない。この予感が単なる思い過ごしならいいんだが、部長さん達の抱える今回の一件がどうなるかは俺の齎す情報によって左右されると言っても過言では無いだろう。

 

「……ったく本当に楽じゃねぇな、この家業も」

 

ふと呟く言葉は、冥界の空に溶けていった。

 




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