ハイスクールD×D ゼロの名を持つ龍王   作:皐月の王

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第21話

小猫side

 

レーティングゲームの当日になった今日、転送されてから私達はまんまとディオドラ・アスタロトの罠に嵌められ、アーシア先輩が攫われてしまった。私達の周囲一帯には禍の団の旧魔王派に属する上級、最上級悪魔が夥しく囲んでいる。

 

雄真先輩が疲れと時間をを惜しんでまで警告してくれたのに、情け無いです……でもアーシア先輩を助ける為にも、まず私達はここを抜けなければなりません。

 

そんな時でした、朱乃先輩とギャー君の悲鳴が聞こえたのでそこの方を見ると……朱乃先輩のお尻を撫でているローブ姿の隻眼の老人と、ギャー君を抱き締めている大きな青いリボンが特徴的なポニーテールの少女がいました。身長は……アーシア先輩とあまり変わらない位だと思います。

 

「うーん、良い尻じゃな。何より若さ故の張りがたまらんわい」

 

「へぇー!ハーフヴァンパイアって初めて見たよ!君、太陽とか十字架とか大丈夫なの?」

 

「このクソジジィ!どっから出てきやがった!?それにそこの青リボンの可愛子ちゃんは一体誰だ!?」

 

でも隻眼の老人には見覚えがありました。部長はその老人のことを覚えていたようで、

 

「オーディン様!どうしてここへ?」

 

隻眼の老人の正体はアース神族の長で北欧を代表する主神、オーディン様……ということは青いリボンの少女も神族なんでしょうか?

 

「何じゃ、儂が参加するのは聞いておらんかったのか?……さては堕天使の小僧秘密にしておったか。

 

……まぁいいわい、此度は『禍の団』の襲撃によりゲームは乗っ取られ、今は運営側と各勢力が協力態勢で迎え撃っておる。オーフィスの力を受けた悪魔と戦うとなれば、お主等のみでは危険に過ぎるという訳で救援に来たのじゃ。厄介なことにゲームフィールドは強力な結界で覆われててのう、下手に破壊する訳にもいかん」

 

「じゃあ、爺さんはどうやって入ってきたんだよ?」

 

「片方の目を差し出した時、わしはこの手の魔術や魔力、その手の術式に詳しくなってのぅ。結界に関しても同様じゃよ」

 

オーディン様の左目は水晶の義眼で、その水晶の水色は、心の底まで冷やされるような威圧感を感じさせる。

 

そんな中、旧魔王派は無数の魔力弾を放ってきた。私達は覚悟を決めて迎え撃とうとした時、オーディン様は杖を1度だけトンと地に突く。その瞬間、無数の魔力弾は宙で自壊し弾け、一つ残らず消滅した。

 

「お爺ちゃんならこの位なんて事無いよね!あ、そうだ。

 

はい、これ。アザゼル総督から預かってるよ!」

 

するとアリシアさんが魔法陣に手を突っ込んで、何かを取り出して部長に手渡しました。

 

……私達眷属の人数分のインカムみたいです。

 

「ほれ、ここはこの爺とアリシアに任せて神殿の方まで走れ。ほれ、アリシア景気付けじゃ。一発かけてやりなさい」

 

「分かった!」

 

アリシアさんはこちらに手を向けると、私達の体が薄く輝く水色のベールに包まれて体に吸収されるように覆い、溶けた。

 

「それが神殿までお主等を守ってくれるじゃろう。ここは儂等に任せて走れ」

 

「でも、爺さん!二人で大丈夫かよ!」

 

イッセー先輩は心配そうにオーディンさまに言う。オーディン様は愉快そうに笑い飛ばし、

 

「ハッハッハ!!!言われとるぞアリシア!見せてやれい今代の『蒼天龍姫』の力を!!!」

 

「うん、見せてあげる」

 

ゾワっとする、全身の毛が逆立つ感覚が私達を襲う。

 

『この気配、やはりかシェリアス』

 

『久しいわねドライグ。でも、今は貴方と話す時間は無いの』

 

「じゃあ、行くよ――――来て、『蒼天龍姫の剣杖(クレアーテ・グローリー)』」

 

青と黄金の光がアリシアさんの手に集う。青い光は杖の形状になり黄金の光は大剣の形となり一つとなる。自分の体格より一回り大きい大剣?杖?の様な神器をアリシアさんは軽々と持つ。刀身は青と黄金を纏い眩しく光り、更に早口で何かを唱えたのか大剣は水色の烈風を纏い、

 

「―――――吹き飛んじゃえ」

 

軽くそう呟いた、と同時に放たれた極光の嵐は圧倒的な魔力を以てして旧魔王派を薙ぎ払い、数十を越える命を消し飛ばした。

 

「うーん、もうちょっと行けるかと思ったけどやっぱり禁手しないとダメかな?」

 

「好きにすればよい……さて、テロリストのコウモリ共よ。その儚き命を以て、全力で掛かって来るが良いぞ。この老いぼれと小娘は、貴様等の想像を絶する程に強いぞい?」

 

「こ、これが『蒼天龍姫』……雄真のライバル、かよ……滅茶苦茶強いじゃねぇか」

 

『あいつは俺達二天龍みたいに争った訳じゃねぇ、ゼローグの様にとばっちりを受けた怒りで暴れ散らしてもいない……だが四天龍、真天龍と称される力は見ての通りだ。ゼローグと対を成す蒼の龍、どうやら今回は余程主に恵まれたらしいな。かなり肉体的、精神的に相性が良いようだ』

 

イッセー先輩の籠手が光ながら感嘆の声を発していた。

 

「……すいません!それではここをお願いします!

 

皆、神殿まで急ぐわよ!」

 

部長は二人にお礼を言い、走り出した。私達もその後を追い掛ける。

 

神殿に向かう最中私達は、渡されたインカムを取り付けた。すると聞き覚えのある声が響く。

 

『無事か?こちらアザゼルだ。オーディンの爺から無事渡されたみたいだな」

 

アザゼル先生の声が聞こえた。

 

『言いたいことは山程あるだろうが、一先ずは聞いてくれ……』

 

そして状況の説明をしてくれた。雄真先輩によって齎された情報によって禍の団の襲撃を事前に予測していた為、現在は各勢力で旧魔王派を撃滅しているということ、それは私達もユウマ先輩の集めてきた情報の中で予測も出来た。首謀者は旧魔王派の旧ベルゼブブと旧アスモデウスの子孫であり、旧魔王の血を継ぐ悪魔達は現魔王政府へ向ける憎悪に満ちている話も聞いた。

 

「もし、俺達が万が一死んじまったらどうしてたんですか!?」

 

イッセー先輩が慌てながらも何気なく聞くと

 

『俺もこの命を掛けて相応の責任と取るつもりだった。雄真は俺から事前にこの作戦を聞いた時には何も言わなかったが、責任を取ろうとはしてただろうよ……人一倍責任感が強い奴だからな、アイツは』

 

真剣な声色でそう答えた。私はその言葉を聞いて胸がギュッとなった。何故かは分からない、けどユウマ先輩もそこまでの覚悟があると思うと……

 

「先生、アーシアがディオドラに連れ去られたんです!」

 

『っ!そうか、やはり雄真の読み通りだったか……防げなかったにせよお前達をこれ以上危険なところに置いておく訳にいかない。アーシアは俺達に任せておけ』

 

「先生も戦場に来ているんですか?」

 

『ああ、無論雄真も来ているぞ。アイツは今旧魔王派の大部分を喰らいまくっているけどな。』

 

「アーシアは俺達が救います!」

 

……家族、ですから。私達が救わないといけません。部長も続いて

 

「アザゼル、悪いけど私達はこのまま神殿に入ってアーシアを救うわ。ゲームは駄目になったけど、ディオドラとの決着をつけないと納得出来ない。私の眷属を奪うということがどれほど愚かなことか、教え込まないといけないのよ!!!」

 

アザゼル先生はその言葉を聞き

 

『……止めても聞かねぇよな、頑固なガキ共め……ま、いいさ。好きに暴れて来い!今お前達のパワーを抑えるものは何も無い!特にイッセー!赤龍帝の力を、裏切りの小僧に見せつけてこい!!!」

 

「オッス!!」

 

そして私達はアーシア先輩を取り戻す為の戦いに臨む……

 

――――――――――――――

 

雄真side

 

「部長さん達の状況はどうなっているんだ?アザゼル!!」

 

「アーシアが攫われたこと以外無事みたいだ」

 

って結局やられたのかよ……

 

「俺たちに任せろと言ったんだが、自分達でやると聞かなかったぜ。全く頑固なもんだ……」

 

アザゼルは肩を竦ませながらに言う。それはそうだが、不確定要素がまだ多い中でよく行かしたな……

 

俺は禁手状態で迫り来る旧魔王派の命を喰らいながら、アザゼルと話していた。それにしても先程蒼天龍妃の気配が大きくなったのを感じた。

 

……どうやら向こうも大分ハメを外して暴れてる様だな。

 

「取り敢えずは、この雑魚共を蹴散らさないとな!よし、新技いっとくか!!」

 

俺は魔力を両手に集中させて一回り巨大な球体を作り出し、旧魔王派の悪魔共に向かって放った。巨大なその黒球体は半ばから罅割れて牙を生やした顎門となり、旧魔王派の悪魔を縦横無尽に喰らい、仕留めていく。

 

「ひ、ひぃぃぃ!!何だこいつ!!こっちの攻撃が効かねえ!?っガッ!?」

 

「魔力が効かない!?く、来るなァァァァァ!?」

 

旧魔王派の悪魔共を8割方喰らったところで肩鎧下のローブが反応した。そして、ゼローグが興味深げに呟く。

 

『この気配……ほう、まさかこの様な些事で奴が……』

 

アザゼルの短槍、より正確にはファーブニルの宝玉も光り輝いていた。目の前に瞬間移動が如く突然現れたその人影を視認すると同時に、ドクン!!と脈打つように神器が反応した。アザゼルはアイコンタクトで俺に訴えてきたので、それに従いその人影の前に浮遊する。腰まである黒い長髪をたなびかせた小柄な少女。黒いワンピースを身につけ、細い四肢を覗かせている。その少女は可愛いくもありミステリアスでもある整った顔をしているが、目線はグレモリーとアスタロトがいるフィールドの神殿に向けられている。

 

「―――お前自身が出張ってくるとはな」

 

『随分と久しいな……オーフィスよ』

 

アザゼルとゼローグの声に反応し、こちらに顔を向け薄く笑う。

 

「アザゼル、ゼローグ。久しい」

 

世界最強の一角、禍の団のリーダーに君臨している『無限の龍神』、オーフィスが不敵な笑みを浮かべながらそこに存在していた。

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