ハイスクールD×D ゼロの名を持つ龍王   作:皐月の王

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長い間お待たせしました!


第22話

「……何気に、こうして顔を合わせたのは随分と久しぶりな気がするな」

 

『此度は何が目的でこんなところまで出張ってきた、オーフィス』

 

相棒はオーフィスにそう問いかけた、アザゼルも沈黙を貫いたままオーフィスの答えを待っている。

 

「暇。ただ、それだけ」

 

「高みの見物、って訳かい……それにしてもこんな簡単にひょっこり現れるなんてな、ここでお前さんを倒せば世界は平和……ってか?」

 

アザゼルは苦笑しながら光の槍を突きつけながら言うが、オーフィスは首を横に振り、

 

「無理。アザゼルとゼローグじゃ、我を倒せない」

 

何でもないように言いやがる……

 

だがこの世界最強の一角、無限を司る龍神となれば当然の反応か……もし仮にここで倒すことが出来るのならば『禍の団』を一気に崩壊まで追い込めるだろう、まあ流石にそれをやってのけようという蛮勇を見せられる程、俺は実力を見誤ってはいない。

 

「では、三人ではどうだろうか?」

 

巨大な豪翼をはためかせながら、巨大な紫龍がこちらに降りてきた。

 

「タンニーン!!」

 

もう自分の担当箇所の殲滅を終えてこっちに来たのか……流石だな。

 

「あれ程世界に興味を示さなかった貴様が、今頃テロリストの親玉だと?何が貴様をそうさせた!!若者達が未来を掛けて戦場に立っているのだ、いくら貴様といえど茶々を入れるのは気に食わんな!!!」

 

「暇つぶし――――なんて今時流行らない理由はやめてくれよ?各地であれだけの被害と犠牲を出しておいてそれは言わせないぜ?もはやお前さんの暴挙は、世界が無視出来ないレベルに至ってんだからな」

 

タンニーンはオーフィスを睨み、アザゼルは厳しく見据えながらオーフィスに問い糺す。そんなオーフィスの答えは

 

「―――静寂な世界。次元の狭間に戻り、静寂を得たい。ただそれだけ」

 

その言葉にアザゼルは眉を顰める。

 

「……成る程な。ホームシック、と笑い飛ばしたいところだが、次元の狭間つったら……」

 

「そう、グレートレッドがいる」

 

っ!そう言うことか。次元の狭間は今はグレートレッドが支配している空間だ。元々そこを根城にしていたオーフィスはそれが邪魔で仕方ない、その問題を解決してやるって口車にまんまと乗せられて、お飾りの首領として担ぎ上げられたってことか……。

 

そんな推測をしてると突如オーフィスの前に魔法陣が出現し、何者かが転移して来た、現れたのは貴族服の男……そいつは一礼をして此方を向きながら不敵に笑った。

 

「お初にお目にかかる、俺は真のアスモデウスの血を引く者、クルゼレイ・アスモデウス。『禍の団』真なる魔王派として、黒天龍王である貴殿に決闘を申し込む!!」

 

首謀者の一人が姿を現したか。

 

「随分と人気になったじゃねぇか雄真、旧魔王派のアスモデウスから直々のご指名だぞ?」

 

ドッ!!!

 

全身から魔のオーラを迸らせるクルゼレイ、しかしそのオーラはドス黒いものとなっている。

 

「旧ではない!真なる魔王の血族は我等こそが相応しい!カテレア・レヴィアタンの敵討ち、今こそ果たさせてもらおう!」

 

……敵討ちか。ほんの少しまで何も考えて無かったが、余裕が持てると余計な感傷が生まれるものだな。だが、

 

「いいぜ、お前が敵討ちを望むなら……相手になってやる。恨まれることを仕事にしているんだから……」

 

アザゼルとタンニーンは黙っている。俺はクルゼレイを見据えながら

 

「二人共、手出すなよ?これは俺のケジメだ」

 

「いいぜ、タンニーンもいいだろ?」

 

「サシの勝負に手を出すほど無粋では無い、何より貴様であれば何の心配もないからな。我等がオーフィスを動かさん、存分にやれ」

 

俺は極黒のオーラを迸らせながらクルゼレイと向き合った。

 

「真なるアスモデウス、クルゼレイ推して参る!!!」

 

「黒天龍王・逢坂雄真が受けて立つ……!」

 

誰から行く合図も無く俺は突貫し、奴と激突するその瞬間、乱入する転移用魔法陣が現出した。この魔法陣は!

 

「サーゼクス!?」

 

「何故こっちに来た?サーゼクス」

 

俺は驚愕し、アザゼルはサーゼクスに質問を投げ掛ける。

 

「君の情報で対策をしていたとはいえ、妹をまた我々大人の尻拭いに巻き込んでしまった……。私も前に出てこなければ、いつもアザゼルやユウマ君にばかり汚れ仕事を任せていては流石に悪いと感じてね。―――クルゼレイは任せてくれ。これぐらいしないとリアスに顔向け出来ない……ユウマ君はリアス達の所に向かってくれるかい?」

 

態々魔王が出張ってきての頼みか、まあ断る理由もないし向こうの状況も気にはなっていた、ここは乗らせてもらおう。

 

「分かった。部長さん達の事、確かに任されたぞ」

 

俺は禁手になって龍翼を羽ばたかせ、紫の光弾となり空を翔る。

 

「オーフィス…以前と何にも変わってなかったな。俺達の知ってるオーフィスまんまだ」

 

『ふん、相変わらず気に食わぬ龍神だ。次元の狭間は奴だけのテリトリーでも無かろうに』

 

実は虚無を司るゼローグにも、次元の狭間を渡る力があるのだ。故に肉体があった頃はよくそこで眠っていたらしい、俺も禁手状態ならば長時間居たところで問題は無い。

 

……まああんな何も無いほぼ宇宙空間みたいな場所、長く居たいとは到底思えないが。

 

と、前方からいきなり旧魔王派の悪魔が俺を目掛けて飛んで来た、しかもかなりの頭数を揃えて。

 

「ったく鬱陶しいな……喰らい尽くせ!!!」

 

『Carnage Eater!!』

 

両腕やローブから数十の顎を作り出し、手当たり次第に喰い殺す。

 

「っ!……これ、数増やしたら思いの外クるな、今回は乱用を控えるか……」

 

そんなことを考えながら喰らった命で力を回復し、再び飛び始めると前方に見えた悪魔達を横から様々な色の魔法が消し飛ばした。横を見ると飛んでいる鎧姿の女性がいた……彼女は確か、オーディンの付き人のヴァルキリー!名前は……

 

「貴方は確か、『黒天龍王』のユウマさん!」

 

「ロスヴァイセ、あんただったか……助かった、ありがとな」

 

軽く礼を言いながら迫ってくる悪魔を喰い散らす、ロスヴァイセは北欧由来の魔法を使っているようだ……複数の攻撃術式を同時に併用している、その技量に俺は素直に驚いた。俺も魔法は独学で身に付けたものや喰らって得たもの含めて色々使えるが、ここまでの併用は出来ない。恐らくだが才に長けるヴァーリにも難しいだろう。

 

「いえ、お礼を言われる程じゃありません。オーディン様が参戦するのですからそのお付きの私も参戦するのは当然の事です」

 

「律儀な事で。結構苦労してるだろ、あんた」

 

「……前から思ってましたが、本当にしっかりした方なんですね」

 

「そこまで意外か?」

 

そう尋ねると、ロスヴァイセは言い辛そうに答える。

 

「いえ、アリシア……『蒼天龍妃』がかなり凄いのを私は昔から知ってますので……割と思い付きと好奇心で何でも成功させてきた子なんですよ。だからそのライバルのユウマさんもどこか常識外れなところがあるのかと思ってまして……」

 

な、成る程……よくよく考えてみれば、一誠はドが付く程の変態野郎、ヴァーリは戦闘狂、そしてアリシアはイマジネーションの塊……まさか、四天龍でまともな奴って俺しかいない可能性あるのでは!?嘘だろ!?

 

「まぁ、その、なんだ……価値観の侵食ってやつか?そういう奴が昔から側にいたんなら、ライバルの俺に対してそういうイメージ持ってしまうのも仕方無い……んだと思う。多分、な」

 

俺は片手で頭を掻きながらに誤魔化した、というか今までそんなこと考えなかったわ。これからの四天龍の争いに一抹の不安を感じながらも、二人で悪魔共を片っ端から片付けていき、その大半が終わりを迎えようとしていた。その時、一誠の、正しくは赤龍帝の気配が大きく揺れたのを感じた。

 

「こ、これは!?」

 

「この力の波動は……ゼローグ!」

 

『間違いない。ドライグの力が凄まじい速度で増幅している……しかしこの澱みは……』

 

目線の先にある巨大な神殿から緑色の光が塔の如く溢れだし、更に力を高めている。その力の波動に耐え切れずに、神殿は崩壊し始めていた。

 

「これは…不味いな!」

 

俺は嫌な予感を抱きながら、急いで神殿に飛んだ。向かう際に視界の端に緑の光が、ってまさか!?

 

『避けろ盟友!!』

 

ゼローグの怒号とほぼ同タイミングで体を捻り、緑の光、もといレーザーから逃れ、身を翻した。そしてその光の主を見据えれば、そこにいたのは文字通り、赤き龍だった。気配からしてドライグと一誠だろう、にしてもこのフォルムの歪さ……どうやら中途半端に《覇龍》となったみたいだな。

 

「トリガーは大体予想つくが……面倒なことになりやがったなこれは」

 

と、魔力を感知したので目線を向けると、グレモリー眷属達が魔法陣を宙に展開して立っており、魔法陣と聖魔剣を盾にして一誠が放つ攻撃の流れ弾を何とか防いでいた。俺は禁手を解いて魔法陣を展開、着地する。

 

「おい!お前ら無事か!?」

 

「ユウマ君!」

 

「「ユウマ先輩!!」」

 

状況は大分悪いが、一誠とアーシア以外は全員居るな。アーシアは……聞かない方が良さそうだな。

 

「雄真、貴方なら一誠のあの姿が何なのか分かる?」

 

「ああ、あれは『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』封印系の神器には大抵制御の為の枷が掛けられてるんだが、ドラゴン系の物に限って枷を外すことで封印された真の力を一時的に解放出来る。それが『覇龍』だ。使い手次第で神に匹敵する力を得られるが、いかんせんリスクが大きい。代償として寿命を大きく削るし、理性も失われるから自由に力を振るうこともまず叶わない。このままだとアイツ、寿命と命を枯らすまで暴れ続けるぞ」

 

俺は覇龍となった一誠を見据えながら言う。

 

「……この状態からはどうすれば戻れるの?」

 

とはいえ一誠のあれは完全な覇龍じゃない。どうなるかは分からないが戻る可能性は……無いわけでは無い。

 

「……断言は出来ないが戻る可能性がないわけじゃ無い。何にせよ先ずはアレを止めないと話が進まないな」

 

「でもさーあれ止めるの苦労するんじゃないの?」

 

上から軽い言葉が聞こえてきた。その方向を見ると俺のライバル、『蒼天龍妃』のアリシア・フルーディルが飛んでいた。自身の神器である剣杖を魔女の箒の様に乗り熟しながら遠くを見る仕草をして言う。

 

禁手(バランス・ブレイク)で挑もうなら、相手は仮にも覇龍だから返り討ちだよ?どうするの、黒天龍王さん?」

 

禁手だと、中途半端とはいえ赤龍帝の覇龍状態の一誠とは出力が違い過ぎるので勝ち目は薄いだろう。なら、こちらも切り札を切るしかない。

俺は大きく息を吐き出し、ゼローグに告げる。

 

「……覇龍を使う」

 

『……本気か?盟友よ』

 

「ああ、本気だよ。相棒が嫌なのは百も承知だ。だけど中途半端とはいえ仮にも四天龍の覇龍だ。半端に行けば俺が殺られる可能性の方が高い。なら、こちらもカードを切るしかないだろ。何、タダじゃ働かない。キッチリ赤龍帝の力、喰らいきってやるさ。それがあればきっと今後大きな力になる……頼む、相棒」

 

俺はゼローグに聞く、って答えは聞かなくても何となくわかってるが……ゼローグは観念したのか

 

『……全く、本当に世話のかかる宿主だ。……盟友の全魔力と体力を対価として5分だ。5分を超えれば理性に罅が入り、数十秒で暴走するぞ。寿命を犠牲にしたくなければ余裕を以て4分でカタをつけろ。忠告はしたからな』

 

「……ありがとよ、相棒」

 

『一度決めたならば言っても聞かぬだろう?好きにするがいい』

 

俺は息を吐いて下に降りようとする、同時にコートの袖がキュッと引っ張られた。誰かと思って振り返れば、

 

「……小猫、どうした?」

 

小猫は弱々しい声で

 

「……イッセー先輩を…お願いします。でも、ユウマ先輩も無茶は……しないでください」

 

……驚いた。軽く無茶するな、ってアザゼルに諭されることはあるが、こんな風に誰かに言われたのは初めてだな。

 

……いつも一人で戦ってきたからだろうか。誰かの願いを受けるというのは、何となく……心地良い、変な感覚だ。

 

俺は小猫の頭を軽く撫でる。

 

「…ああ、善処するさ。あのバカはキッチリ俺が止めてやる。それに理性を失った獣に負ける程、柔な人生は送ってないさ!!」

 

『Absorb Dragon Balance Breaker』

 

俺は浮遊していた場所から禁手状態になって飛び出し、覇龍となって暴れている一誠の眼前に着地した。

 

そして静かに、重く、詠唱を紡ぐ。

 

「……我目醒めるは……覇の理を無間に堕とせし四天龍なり……」

 

詠唱を始めると共に歴代の黒天龍王の残留思念の声が頭に響く。

 

《終わらせよ…》《終わっちゃうね!》

 

「無限を喰らい、夢幻を呑む……」

 

《偽りの世界を》《泡沫の夢が》

 

肉体が変化を遂げていくのを理解する。それと同時に一誠が標的をこっちに定める。だが、止める訳には行かない。

 

《突き動かすのは》《願うのは何時だって》

 

 

「我、黒き龍の覇権を掴みて……汝を虚無の根源へ拓こう」

 

《そこには何も無いというのに……》

 

そして詠唱を終えた俺は、紫紺に輝く龍眼を見開き、叫ぶ!!

 

「――――覇龍(ジャガーノート・ドライブ)

 

『Juggernaut Drive!!!!!!!!』

 

ゴォォォォォォォォォォォ!!

 

ゼローグの絶叫と共に、俺は黒い竜巻に包まれた。

 

 

 

小猫said

 

 

 

ユウマ先輩が黒い竜巻に包まれた直後、イッセー先輩が

 

「グギュアアアァァァァァァァァァ!!!!!!(うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!)」

 

嘆きの咆哮と共に口からレーザーの様なブレスを竜巻に目掛けて放ち、ブレスは竜巻に直撃、大爆発を起こした。

 

「「「「「「雄真(君)(先輩)!!!!」」」」」」

 

それを見た私達は、ユウマ先輩がやられてしまったと思った……そんな、ユウマ先輩が……。

 

「上を見なよ、グレモリー眷属さん」

 

上を見ながら観察しているような眼でアリシアさんが空に浮かぶ影を指差し、その場にいる全ての視線が、その影を見る。

 

そこにいたのは……

 

「………ユウマ、先輩?」

 

影に覆われて見えなかったそのシルエットが明らかになっていく。

 

フォルムは遥かに巨大だけど、その姿は人型のドラゴンと言っても差し支えない。依然黒の鎧に包まれてるけど、有機的になり鋭くなった爪や牙を持つ両腕や両足、そして頭部がそれを表している。

 

腰部分にあった剣の様な尻尾部分は本当の龍の尾となって伸びて、ローブマントは荒々しくなりながらも真鎧の肩部と融合する形で健在、

 

そして左右それぞれ4枚の巨大な刃とも言えるような翼が、背部のリングを中心に左右対称となるように配置されている、それはまるで太陽を表してる様でもあった。

 

頭部は鎧を残しながらも龍の頭部になっており、一対の巨大な角が伸びて、その上には巨大なリングが天使の輪の様に浮いている。

 

『……悪いがリミットがあるからな、遊びは無しだ。とっとと終わらせてやる!!』

 

ユウマ先輩はそう言い放ち、イッセー先輩へ強襲した。

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