ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はーい。それでは視点を祐斗に向けて、状況の変化をぶちかまします!


月光校庭のエクスカリバー8 幸希「これが、主人公の漢……っ!」和正「いや、割って入らないとイッセー死ぬから!!」

 そして、事態は急変する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は、木場祐斗は戦慄していた。

 

 コカビエルによる、戦争再開のための駒王町破壊。

 

 それを適当に叩き潰した生き残りといって、教会のエクスカリバー使いである紫藤イリナを手土産に、コカビエルは宣言する。

 

 心優しいアーシアさんと正一くんの意見もあって、彼女は今治療中だ。といっても体力の消耗が激しいから寝かせているだけで、怪我自体はアーシアさんが治療済みだけどね。

 

 そして僕たちは駒王学園に陣取ったコカビエルに挑み、そしていくつもの衝撃的な出来事を知る。

 

 バルパーによって明かされる、聖剣使いの適性にかかわる因子の存在。その同胞たちから抜き取られた因子と彼らの残留思念とともに、僕が至った禁手、双覇の聖魔剣《ソード・オブ・ビトレイヤー》によって、合一化されたエクスカリバーを持ったフリードはなんとかできた。

 

 まあ、無事だったゼノヴィアの協力もあるけどね。バルパーですら至れない、デュランダルの適性をもっていたとは思わなかったよ。

 

 結果、エクスカリバーを持ったフリード・セルゼンは戦闘不能。しかし、その敗北そのものはバルパーにとってショックではなかった。

 

 聖剣エクスカリバーに対するあこがれから、人工的にエクスカリバーを使えるようにする技術を編み出した男。その執念の敗北を前に、しかしバルパーは僕の持つ聖魔剣にこそ狼狽していた。

 

 そしてその答えにたどり着いたバルパーを殺したコカビエルは、正一君とすら渡り合ったうえで、堂々とそれをばらした。

 

 聖書の神は、初代四大魔王とともに死んでいる。

 

 ……冗談じゃない事実だ。かつてでしかないとはいえ、仮にも主に対する信心を持っていた僕でも足元がぐらついたよ。

 

 これが信徒たちに知れ渡れば、大きな混乱が生まれることは想像に難しくない。解釈違いでしかないイスラム教やユダヤ教も混乱するだろうし、その三つの宗教が混乱状態になれば、世界規模の恐慌や犯罪発生率の倍増ぐらいは普通にあり得る。

 

 そして、そんな状況を知ってなおコカビエルは戦争を望んでいる。

 

 狂っているというほかない。少なくとも、そこまでしてまで戦争を求める思考が理解できない。

 

 その事実とコカビエルの猛威に、僕たちはひざを折りかけ-

 

「笑わせるな」

 

「―笑止なり」

 

 正一君と、そしてニーベル・バルンストックがそう切り捨てる。

 

 いつの間にか現れたニーベルは、その事実を聞いていたにもかかわらず、平然としていた。

 

「宗教とは、それをもたらした者が今どうあるかではない。その教えを胸に、いかに信徒たちは正しく生きるかが肝要。その程度のことで我らが信仰と正義と善が、揺れると思われては心外だな」

 

 そしてそれに対して、どこか共感の感情を浮かべていた正一君もまた、聖槍をコカビエルに突きつける。

 

「神が死のうが生きようが、正義をつらぬくことに何の問題もない。守るべき正しさに背を向けるものに、容赦なんて与えるものか!!」

 

 その毅然とした態度に、僕とリアス部長は奮い立つ。

 

 朱乃さんたちはなぜか立ち上がれていなかったけれど、だけもヘタレてはいられない。

 

 さあ、僕たちも頑張ろう。

 

 そう思った時、そこに白い龍が表れる。

 

 ……おそらくあれば、神滅具の一つである白龍皇の光翼だろう。

 

 かつて三大勢力の争いにケンカをしながら割って入った、主神クラスすら倒しうる二天龍を封じた神滅具。絶大な力を持っているのは当然だ。

 

 それでも、龍殺しの極点ともいえる魔帝剣グラムと、最強の神滅具である黄昏の聖槍をもつ正一君がいれば、勝ち目はある。

 

 だけど、それも杞憂だった。

 

「わるいなコカビエル。お前の気持ちもわからなくないが、タイミングがあまりに悪すぎる。戦争を望まないアザゼルが放っておくわけないだろう?」

 

 その言葉とともに、白龍皇はコカビエルに牙をむく。

 

 さらに白龍皇が持つ半減の力を使い、コカビエルを弱体化させつつ、白い龍は告げる。

 

「今は俺だけだが、時間次第で鳶雄とアルマロスも来るようだ。どうやらはぐれ悪魔祓い含めて千人以上連れてきたようだが、これで終わりだよ」

 

 その言葉とともに、拳がコカビエルに突き刺さり―

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうはいかん。ある意味でここからが本番なのだ」

 

『アーサー』

 

 そのありえない声と、透き通った合成音声が響き、白龍皇の動きが、止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「……なに?」」」」

 

 その光景に、コカビエルも、白い龍も、正一君も、ニーベルも唖然となる。

 

 それほどまでに、白い龍は動きを止め、そしてピクリとも動かない。

 

 そして、それを成した男は、その姿が変わっていた。

 

 王冠と一体化した顔全体を覆う兜。前身は鎖帷子で包まれながら、その上で豪奢な衣装で包まれている。

 

 そしてその手には、砕けていたはずのエクスカリバーが、これまで以上の強い力を放ちながら輝いている。

 

 それにこの声、まさか……バルパー!?

 

「……貴様、何で生きている!?」

 

「そんなことはどうでもいい。悪いがここで終わりでは困るのでな、こちらも切り札を切らせてもらう」

 

 驚いている様子から見て、コカビエルが手心を加えたわけでもないらしい。

 

 そして、バルパーはため息をつくと、コカビエルだけでなくフリードにも声を投げかける。

 

「いい加減にしろ。お前らももらっていたし処置は受けているだろう。このままやられっぱなしで終わっていいのかね?」

 

「……い、や~。そ~したいのはやまやまだけどっすね? ここまでやられてエックスカリバーちゃんもなしじゃ、さすがに……ね?」

 

「……半減を解除できん。これは時間経過で……待てよ?」

 

 虫の息のフリードに同調するコカビエルが、然しその途中で何かに気づく。

 

 っそいて、にやりと笑った。

 

「いや、これならいけるかもしれんな。いいだろう、フリードはこれを使え」

 

 そういうと、コカビエルは懐から取り出した小瓶をフリードに叩きつける。

 

 その瞬間、フリードから流れていた血が止まり、それどころか僕が切りつけた傷口が一瞬でふさがってしまう。

 

 というより、これは……!?

 

「そんな、フェニックスの涙をなぜ堕天使が!?」

 

 リアス部長が驚くのも無理はない。

 

 今の雫はフェニックスの涙。悪魔である元七十二柱フェニックス家の純血だけが生成できる、最高レベルの癒しの力だ。

 

 きわめて希少で高価だけど、瞬間的な回復力ならアーシアさんの神器すら超える。それゆえに、あくまでもなかなか手に入らない貴重品なのに……っ

 

 こちらが思わず動揺していると、コカビエルは面白そうに笑う。

 

「戦争を望んでいるのは堕天使(俺たち)だけではなくてな。探せばエクスカリバー使いの位置情報や、殺しやすいがフェニックスの涙を持っている馬鹿な上級悪魔の位置ぐらいはわかるんだよ」

 

「なん……だと……っ!?」

 

「そんな……っ」

 

 ゼノヴィアと朱乃さんが絶句するのも無理はない。

 

 まさかコカビエルの行動に、悪魔や教会の者が同調していたなんて、精神的に毒だ。

 

 そして癒されたフリードとともに。コカビエルもまた懐から何かを取り出す。

 

 普通よりはるかに大きいUSBメモリのような形状の、骨のような意匠が施された小箱は、中央部にイラストがあった。

 

 コカビエルが持っているのは龍のような意匠が施された「a」。そしてフリードが持っているのは、剣を持った男、それも剣から血の跡が流れる「S」だ。

 

 そして二人がそれを押した瞬間、それぞれ頬や額にQRコードのような模倣が浮かぶと同時、濁った合成音声が響く。

 

『アルビオン』

 

『シグルド』

 

「さて、おもちゃ一つでどれぐらいできるか……な!」

 

「やっほほーい! これで反撃タイムになるといいんだけどにゃ~っと!」

 

 そして二人は模様に小箱を突き刺すように触れさせ、姿が変わる。

 

 コカビエルは、白い龍人に。逆にフリードは返り血のような外装を纏った、神話の時代の剣士のような姿に。

 

 そしてそのオーラを感じた白い龍の鎧から、狼狽する声が響く。

 

『馬鹿な!? 気をつけろヴァーリ、これは―』

 

「白龍皇と、龍殺しのオーラだと!?」

 

 その事実に、白い龍は強引に停止を振り切ると距離をとるとするが、然し遅い。

 

「逃がさん。自分の力をたまには味わってみるといい」

 

 その瞬間、空間そのものが半減されるように歪み、白龍皇は動きを封じられ、

 

「悪いが余計な茶々はよしてくれ。ここで終わっていろ」

 

 天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)を使ったとしか思えない速度、回り込んだバルパーが白龍皇の背中を切り裂き、

 

「で、とどめは俺ちゃんデース! ジェットストリィイイイイイッム!」

 

 そして絶大な龍殺しのオーラを持った剣で、フリードが白龍皇を深く切り裂く。

 

 さらに、フリードはこっちに視線を向けてきた。

 

「さらに! リベンジにテイク2、いっきまぁああああす!!」

 

 その瞬間、フリードが振るった斬撃を、僕はとっさに受け止める。

 

 だけど、聖魔剣は半ば切られており、更にその剣は少しずつ聖魔剣を切り進んでいる。

 

「そんな!? 聖魔剣が、僕たちの絆が……!?」

 

「君が万全の状態なら、さすがにこうはいかなかったさ。だけど、そのガス欠の状態じゃ、禁手といっても僕ちんが相性抜群のメモリを使ってれば負けようはない。……なぁ~んて、さっきの意趣返ししちゃいまーす!」

 

 その言葉とともに、フリードの蹴りがぼくを弾き飛ばす。

 

 とっさに別の聖魔剣を作って防いだけど、衝撃で息が止まる!?

 

「フリード、これを使うぞ」

 

「あいよ、爺さん!」

 

 そして、フリードとバルパーはそれぞれ同じ銃を取り出した。

 

 横倒しになったSの文字が組み込まれた、拳銃のような武器だ。

 

 それを構えて放たれる弾丸は、とっさに防いだ僕をそれでも激痛にもだえ苦しませる。

 

 これは……っ! バルパーの方は、聖剣のオーラ!?

 

「祐斗!? これはいったい―」

 

「大したことではない。これはセイバーマグナムといって、私のアーサーメモリやフリードのシグルドメモリといった「伝説クラスの魔剣や聖剣」の力を弾丸として運用するための装備だ」

 

 そう告げるバルパーは、抜き打ちでリアス部長たちに銃撃を放って、こちらを蹂躙する。

 

 それらすべてが合一化前のエクスカリバーレベルであり、誰もが余波だけで蹂躙される。

 

「チッ! しかしコカビエルを無視するわけには―」

 

「リアス部長! コカビエルは任せてください、あなたたちなら、フリードとバルパーぐらい訳ありません!!」

 

 そういう正一くんとニーベルだけど、コカビエルは無理やり起き上がった白い龍も含めた三人の攻撃を、あっさりと捌く。

 

 どうしても連携が取れない三人の動きを捌くのは、さすがは最強クラスの堕天使。しかも今の彼は大幅に強化までされている……っ

 

「ふん! 連携が取れないならこの程度はな。この状況でも「なんとしてもほかの勢力事」などと考えるからそうなる!」

 

 その言葉とともに、コカビエルは羽の代わりに龍のうろこでおおわれた翼で正一君とニーベルをはじき、同時に白龍皇の攻撃を片手で受け止める。

 

『『DividDividDivid……っ!』』

 

「ぐ……互角だと!?」

 

 その力の拮抗に、白龍皇は悔しいの歯噛みする。

 

 それを面白そうに横目で見ながら、だけどコカビエルは顔を動かす。

 

「なかなか遊びがいのあるおもちゃだが、そろそろ本来の目的を終えるとするか」

 

 その視線が向いているのは、いまだ力なくたたずんでいるアーシアさんをフォローしようとしていた、リアス部長と朱乃さん。

 

 まずい、ここで三人まとめて滅ぼすきか!?

 

「……させないっ」

 

「させて―」

 

 たまるかと、小猫ちゃんに続いて駆けだそうとした僕に、つま先がめり込む。

 

「こ~らこら。僕、よそ見を戦闘中にしたらいけませんって、教官とかお師匠様に言われませんでした?」

 

 そんな、挑発目的で保父さんのような声色でいうフリードの蹴りで、僕は動けなくなる。

 

 まずい、あれは、聖魔剣もつかわなければ防げない!?

 

「がぁ!?」

 

「ゼノヴィア!? く、七分の四程度では、いくらエクスカリバーでもここまでは―」

 

「あいにく、足りない三本分ぐらいはアーサーメモリの力で埋め合わせらえるのでな」

 

 そしてニーベルとゼノヴィアも、バルパーの猛攻に押されて動けない。むしろ、ニーベルがこの状況でリアス部長たちを助けに行けるとは思えない。

 

「させるか! 守るべきものより先に死ぬような真似、むざむざ見過ごす気は―」

 

「はい! だからこそ邪魔するよ~ん!」

 

 そして正一君の動きをフリードが妨害する中、その光の槍が何本も放たれ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………さ、せるかぁあああああ!?」

 

「「あ、ちょま!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっとだけ間の抜けた声が響きながら、その光の槍を防ぐ壁が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景に、リアス・グレモリーは目を見開く。

 

「あっぶねぇ。ちょ、グレモリー先輩にアーシアに、あと二大お姉さまの姫島先輩に一年のマスコットの塔城ちゃんも! だ……大丈夫?」

 

 その、割って入った赤い左腕の少年は、本心からそういった。

 

 恐怖に頬が少しだけ引きつりながらも、戦闘者としての訓練を一切積んでない動きなのに、それでも彼は割って入った。

 

 その姿に、心のどこかが強い感情を放つ。

 

 正真正銘自分達を「ただの少女」として助けようとしたその姿に、リアスの心が求める何かが刺激される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その姿に、アーシアは何かが救われる。

 

「……っていうかアーシア、何泣いてるんだ!? くそ、あの野郎俺たちのアーシアに何しやがった」

 

 困ったところもあるが、自分の力を見て畏れることも恐れることもなく、ただの個人の個性のように受け止めてくれた少年。

 

 素晴らしく輝かしい正一には嫌われているが、アーシアは困ったところを感じながらも嫌いにはなれなかった。

 

 その少年が、純粋に自分が泣かされたと思って、怒ってくれている。

 

 この、一般市民からすれば恐怖と混乱しか生まないだろう猛威を前にそれができる。

 

 それは、きっと神にも負けない彼の美徳なのだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その姿に、姫島朱乃は目を奪われる。

 

「あ、それより怪我無いですか!? っていうか俺の禁手ってすごいな。なんか大砲みたいな一撃だったのに、ピンピンして……あ、直撃喰らってないからか」

 

 その姿は、彼女が嫌いとする男のそれとは異なっていた。

 

 どこか頼りないようでいて、何より最後まで寄り添ってくれるようなその姿。

 

 かつて慕っていたある男の背中を思わせるそれは、朱乃の心をほっとさせる。

 

 

 

 

 

 その姿は、塔城小猫に安心感を抱かせた。

 

「っていうか塔城ちゃんやアーシアまで荒事ってどうなんだよ。いや、悪魔なんだから魔法使いとかそんな感じ……かな?」

 

「失礼なこと言わないでください。腕相撲ならリアス部長の眷属で一番ですよ、私」

 

 そうイッセーの失礼な言葉に反論するが、なぜか先ほどまでの恐怖心が消えたそれは、強がりでもなんでもなかった。

 

 目の前の脅威に躊躇せず助けに入れるこの先輩は、きっと最後まで自分達を見捨てずに守ろうとするんだろう。

 

 おそらく技術込みなら自分でも勝ち目はある。だが、その姿は単純な戦闘能力の強弱とは異なる大切なものを、持っている気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その光景を成したイッセーはというと。

 

「………あ゛」

 

「「イッセー?」」

 

 笑顔だが、口元が引きつっているうえに目が全く笑ってないそのすごみに、やらかしたことに気づいてしまった。

 

 言われてみればその通りだ。

 

 自分は強力な神器をもっていて禁手にも至っているが、使い方をまったく知らない。

 

 とりあえず、発動させれば頑丈になって早く動けるぐらいは知っている。だから盾ぐらいにはなれると思ったのだが、考えが浅かった。

 

 同じことがあってもいいように、とりあえず明日から使い方を教わろう。

 

 二度としないではなく、二度目はうまくやれるようになろうという方向でイッセー反省する。

 

「い、以後気を付けてきたえます!!」

 

「いやすんな。……無理だろうけど」

 

「まあ、そういう子よね、イッセーは」

 

 と、ため息と苦笑交じりの二人の言葉に、我に帰ったコカビエルが反応する。

 

「……櫛橋幸希はお前か。一応部隊の三割を送り込んだんだが、逃げられるとはふがいない」

 

「それはどうも。眷属が優秀だったおかげでね」

 

 そう返す幸希は、木刀を一振り突きつける。

 

 そして静かな視線で、強い戦意を向けた。

 

「意外な展開になったけれど、まあどっちにしてもやることは変わらないわ。……ファルビウム様が来るまでに叩き潰す気でぶちのめしてあげる」

 

「いやいや幸希。俺にも手伝わせてくれよな」

 

 そして、和正もまた戦闘態勢をとる。

 

 攻撃を防ぐために展開した、透き通った結晶がところどころに存在した金属製の盾を消しながら、同時に展開した銃を抜き打ちで放つ。

 

 プルバック体勢になった、先込め式と思われるショットガン。そんな現代において非合理的な銃が、なぜか三発ほど連続して打ちこまれる。

 

 あろうことか一発目はバックショット(散弾9発)、二発目はスラッグショット(大型弾一発)、最後はバードショット《子弾42発》という、連射できるという事実以上に驚く弾丸の使い分けだ。

 

 さらに驚くべきことに、コカビエルはそれをガードしたにもかかわらず、僅かだがコカビエルはぐらついてた。

 

 その事実に誰もが目を見開く。

 

 全く想定外の人物が、コカビエルに僅かながらにも戦闘を挑める事実を示してのけたのだ。感心する者が出てもおかしくない。

 

「……着弾対象に衝撃を叩き込む弾丸か。銃弾もローレンツ力で放ってるようだが、神器というわけでもなさそう、いや違うな」

 

 その衝撃を受け止めたコカビエルは、興味深そうに無想和正を見る。

 

 大したダメージを喰らっていない銃撃だけで、その能力を把握したことも優れた見識の証明だが、コカビエルはそれ以上に能力の高さを示す。

 

「……弾丸のオーラから考えると、魔剣創造かそれに近しい創造系神器の禁手といったところか? 複数のパーツを組み合わせて一つの武装にしなければ、この威力の高さを説明できんが」

 

「な、僕と同じ、魔剣創造の亜種禁手……?」

 

 そのコカビエルの推測に、祐斗が目を見開く。

 

 自分が禁手に至った直後に、同じ神器の別の禁手を目撃したのだ。驚いたとしても無理はない。

 

 だが、和正は静かに首を振る。

 

「悪いが違う。まあ、ちょっとした反則技っていうか、応用技術っていうか……70点ぐらいか?」

 

「企業秘密ってことでよろしく」

 

 余計なことは言わないでいい。と言いたげに、幸希は釘をさす。

 

 そして静かに構えると、幸希は和正に目配せをした。

 

「……ごめんなさい。コカビエルを少しの間押さえておいて。それまでに私はフリードを叩き潰すわ」

 

「……え、マジで!?」

 

 思わず和正はぎょっとなるが、同時にフリードから文句が飛んできた。

 

「ちょっとお姉さ~ん!? いまのシグルドフリード君に勝てると思ってるんですかぁ? っていうかそこの僕ちんはボス相手に一対一で勝てるとでも思ってんですかねぇ!?」

 

「いえ、集団戦って弱いやつを確実につぶして士気と数を減らすのが定石でしょう? それに……」

 

 幸希はちらりと視線を向けると、そこでは壮絶な戦いが続けられていた。

 

「ふむ、なかなか興味深い現象が起きているか、これはつまり―」

 

「よくわからんが、これ以上背教者が我が前でしゃべるな!」

 

 この状況下で全力戦闘を敢行しているニーベルに幸希は感心するが、同時にその上で考え込みたがっているバルパーにもあきれる。

 

 ―仮面ライダーW系統って、フィジカル的には平成ライダーで低めの部類と思ったけど。このチート選んだ奴はこういう方向性を最初から狙っていたってわけかしら?

 

 ガイアメモリ。それは平成仮面ライダーでも人気においては上位側である、仮面ライダーWに出てくるアイテムだ。

 

 地球の記憶から特定キーワードの記憶をコピーしたアイテムであり、それを生体コネクタやガイアドライバーという幹部用アイテムに使用することで、作品における怪人であるドーパントの超人態に変身。ガイアドライバーの発展形であるライダー用のドライバーに挿入することで、仮面ライダーに変身する。

 

 パンチ力やキック力は高くても50tを超えないが、その気になれば「生物」や「無機物」はおろか「文明」や「人物」すら存在する。

 

 ……まさか「アルビオン」や「シグルド」をガイアメモリにすることで、この世界の同一存在の力を再現するとは思わなかった。ただこの世界にガイアメモリの存在を持ち込むのではなく、それなりのアジャストは施されているらしい。

 

 とはいえ、ここまでも事態になっているのは変身している人物の影響も大きいだろう。

 

 まずコカビエルは魔王にすら喧嘩を売れるレベルだ。原作ではヴァーリの不意打ちから流れるような半減に圧倒されたが、彼の基礎ポテンシャルは魔王を激高させて殺し合いをする選択肢を考えさせれるほど。白龍皇の光翼の力をもろに喰らわなければ食い下がれた可能性は十分にあり、まして同様の力―それも封印される前の反射や減少の毒すら使えた時期の記憶―があれば、相殺することで同等の戦闘能力を発揮してもおかしくない。

 

 バルパーはバルパーでエクスカリバーに対して強い執念を持ち、最終的に人工的にエクスカリバーの使い手を用意できる技術を確立させた男だ。ガイアメモリの適合率は使用者の性質だけでなく「願望」にも影響を受ける以上、バルパーがエクスカリバーの使い手であるアーサー王の記憶を宿したメモリを引き当て、性能を引き出せるのも道理だろう。人とメモリは惹かれあう、とはよく言ったものだ。

 

 フリードについてはわからないが、英雄シグルドの末裔にして、原作での魔帝剣の使い手であったジークと同じ研究機関の出身だったはずだ。グラム使いの転生王者だろうニーベルも白髪なので、おそらくフリードもなにがしらシグルドと縁があるとみるべきか。

 

 結論から言って、三人が三人とも相性抜群か地力の違いで仮面ライダーWに出てきたドーパントの大半より強い能力を発揮できるとみるべきだ。バルパーに至っては折れたとはいえ四本が合一化したエクスカリバーを持っている以上、相乗効果でオリジナルと同様の切れ味を持つとみるべきか。

 

 なので。

 

「紅真正一! いろいろ言いたいことがあるでしょうけど、これ以上イッセーを活躍させたくないなら、まずは協力してフリードを叩き潰すわよ!!」

 

「……ああ、間違ったものに偉業をなされれば、正しい者の心が間違った方向に行ってしまうからな!」

 

「ちょっとぉ!?」

 

 イッセーがショックを受けるが仕方がない。

 

 ここでこれ以上イッセーを活躍させれば、嫌でも現状格上の正一の動きが乱れ、連携が困難になりかねない。

 

 さらにニーベルはニーベルでこちらに対する警戒心を向けており、優先してはいないがもろとも殺せるなら……と考えていそうで共闘する気には断じてなれない。

 

 なので、ここはフリードの方を叩き潰してからコカビエルを叩きのめす。運が良ければ血まみれになっているヴァーリが回復する可能性もあり、その状況下でどうにかするべきだろう。

 

「……いい、基本は足止め。さっきのミンチ祭りで結構来てるみたいだし、無理に殺してでも……なんて考えなくていいわ」

 

「大丈夫、今はテンションが変な形に上がってるから、当分大丈夫……だと思いたい」

 

 微妙に情けない返事だが、無理に頑張ろうとせず、できない可能性を考えられるのは逆に安心できる。

 

 だから、可及的速やかに終わらせよう。

 

「さて、それじゃあここは、あえてこういうべきかしらね」

 

 幸希はとりあえずの方針を決定して、戦意を高める。

 

 そしてあえて左手を前にだすと、これまでで一番危険な戦いになるがゆえに、気合を入れなおすべくわざと茶目っ気を出した。

 

 ガイアメモリが流通する本来の世界。自分の住む街を泣かせるドーパントたちに告げる、あの街を守る二色のハンカチのセリフを、勇気を出すために今こそ借りよう。

 

「さあ、あなたの罪を数えなさい!!」

 




実は微妙に伏線を仕込んでおります。気づくかなぁ?








それはともかくとして、バルパー達のガイアメモリは結構スムーズに決まりました。

バルパー:アーサー……エクスカリバーに執着しエクスカリバーの使い手を生み出す男、人とメモリが惹かれあうなら、こいつがこれと惹かれあわない道理無し。

フリード:シグルド……転生王者の原作知識からは外れますが、フリードの来歴的に相性は間違いなく高いはず。

コカビエル:アルビオン……実は一番迷ったけど、とりあえずヴァーリをいったんフルボッコにする必要もあったので、対ヴァーリを「目には目を」精神で選択。他より相性は悪いけど、その分地力で強引に








 そしてイッセーが男を見せる。こっから正一の妄想は崩れ始めていきます。

 目覚めたばかりの力で、いきなり目の前で繰り広げられる絶大な戦いを見ながら、必要とあれば躊躇なく体を投げ出して盾にろうとするその精神。これがあるからこそ、兵藤一誠は英雄足りえるのです。

 それが理解できない正一も成果を出し続けていきますが、しかしそれゆえに崩れ落ちた時の負傷は致命的になると、今ここで断言させていただきます。






 そんでもって、次から本格的にしてエクスカリバー編最後の戦いです。

 和正と幸希の戦闘スタイルを見せつけつつ、激戦となる予定なのでお楽しみに!!
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