ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、そういうわけで停止教室のヴァンパイア編です。


エクスカリバー編のバトルは大体一話分で一区切りですが、こっからは派手ですぜ?


停止教室のヴァンパイア
停止教室のヴァンパイア1 正一「みんなも導き家族も正しく成長させる。毎朝実感できるのは気分がいい」


 

 

「さ~て、こりゃ面白いことになってきたな」

 

 冥界のとある小さな城。その一室で一人の男が、一枚の書状を読んでいた。

 

 その視線は書状に向けられているが、しかしその一室にはマジックミラーとなっており、隣での光景をちらりと眺めている。

 

「こっちは良好。この調子なら、色ボケ中小貴族を二十は取り込めるな。……やはり娼婦にも学問は必須、世において勉学は明確なステータスだ」

 

 うんうんとうなづいた男は、間違いなく教育という者を大事に思っている。

 

 冥界、それも城の中で、このような細工が施された一室を持つような人物で、このような発言をすることは珍しい。

 

 なにせ貴族たちは下級の可能性など興味がない。あるとしても眷属として登用するときの戦力が主体であり、むしろむやみやたらと成果を上げられては、自分達の取り分が減るという理由で嫌悪している者も多い。

 

 まして彼が対象としたのは娼婦だ。性風俗産業に属する女性を低く見積もるものは多く、花魁やクルチザンヌのような高級娼婦という概念に対して言及する手合いは、人間社会でも少数派の部類だろう。

 

 にもかかわらず、彼は娼婦という職業に学があることを良しとする。

 

 しかし、実際そういう能力があることにメリットは多い。

 

 学問と一口に言っても、それこそいろいろな種類が存在する。

 

 娼婦といえど高級がつく手合いともなれば、相手にするのは当然それなりの地位や資産を持つもの。必然的にそれなりに高度な悩みを持つことも多い。

 

 その悩みがどういう者かをある程度でも理解し、それに合わせた癒し方を学ぶ。これができれば相手は喜ぶし、そうなれば娼婦本人も娼婦を用意した者も評価され、将来的なお得意様になるだろう。

 

 現実問題、花魁も芸事や礼儀作法を相応に学んでいるものなら学んでいるほど金がかかり、そして状況次第では大名の側室ぐらいは普通にありえた。ごくごく一人握りとはいえ、非常に絶大な勝ち組になりえる存在もいるのだ。

 

 そういう観点を理解しているからこその彼の言葉は、すなわち目に映っている女性たちを、自分の商品として見ているものでもある。

 

 事実、彼の視界に映っている光景は、乱交会場だ。

 

 見目麗しい美女や美少女、それも転生悪魔だけでなく下級とはいえ純血悪魔までもがいる。

 

 その多くがそれなりに地位のある悪魔たちを相手に性交をかわし、時として睦言に花を咲かせ、時には酒をグラスに注ぎ、もしくは口移しで飲ませている。

 

 ほとんどの者たちは会話に映っている間、職務において愚痴を漏らす悪魔たちに、理解を示し話を弾ませている。

 

 それらの多くは領民からの税が少なくなっただの、農産物の取れ高や売れ行きが芳しくない、中には領民たちの態度に対する不満もあった。

 

 そのほとんどに対して、彼女たちは貴族の立場から見る苦労の類を理解し、領民の立場からの視点を語ったうえで、苦労している貴族たちの気持ちを理解しない領民たちを下げる方向で同意を行う。

 

 階級が低い下民や転生悪魔からのその態度に、男たちは気分を良くしてチップを下着に挟み込むという、わかりやすい風俗業界風のチップのはずみかたをしている。

 

 その様子を見て、男は仕事の成果がよかった時の職人の顔をして、グラスに入れたビールを飲む。

 

 市販の缶ビールでも瓶ビールでもないこの手のビールは、グラスに入れて香りを楽しみながらある程度少しずつ飲むべきもの。そんな楽しみ方があったことを知り、事実上の城主として立ち回っている彼は、立ち位置にあったそんな飲み方をよく一人の時でもしている。

 

 そして、空になったグラスにビールを注ぐものがいた。

 

「……サンキュー。っていうか、そっちはもういいのか?」

 

 男がそういう視線の先、そこにいたのは一人の美女だ。

 

 紫の髪を伸ばした、気品あふれる顔つきと所作を持つ、十代後半といえる少女だ。

 

 しかしその格好は扇情的な下着で、それも肌はシャワーを浴びたばかりなのか、少しほてっている。表情もまた、ほおを赤らめて性的な興奮と退廃的なけだるさを感じさせていた。

 

 明らかに情事を終えて汗を流した後で、そしてさらに淫蕩な行為を行おうとしている状態だった。

 

 そんな少女は、クスリとほほ笑むと男の肩に手を回す。

 

「全く。表向きとはいえ主とその婚約者を利用してこんな乱痴気騒ぎを起こしておきながら、自分は優雅に酒とはひどい男だ」

 

「まあいいじゃん。()()()は俺が主だ。それにお前たち高品質の女を抱けるとなれば、あいつらもそれなりの利権や便宜を図ってくれるだろ?」

 

 そうなんて事の無いように告げる男は、静かに視線を書状に戻す。

 

 その動きにつられて視線を書状に向けた少女は、眉を少ししかめた。

 

「これは、現ルシファー様と初代バアル様の連名じゃないか? それも、白龍皇に対抗するためだと?」

 

「……そして追加に書かれている()()()()()・バアルの名前。こりゃ俺も、本格的に動けってことだろうな」

 

 少女にそう答える男は、最後に自分で言った名前の部分を面白そうに見てから、苦笑しながらそれをしまう。

 

 そしてそそがれた高品質ビールを軽く飲み、その上で振り返るとしなだれかかっている少女に告げる。

 

「悪いんだけどさ、今度駒王町に行くから、ちょっとついて来てくんない? ペリアやグマリオは予定が挟まってるからついてこれそうにないし」

 

「主と婚約者殿を差し置いて私とはな。つまり、荒事になると?」

 

 その少女の言葉に、男は苦笑しながら首をひねる。

 

 その辺については、断言できないのが困っている。

 

 それは―

 

「いや、白龍皇は会談の日に暴れるそうだから大丈夫だろうけど、()()()()の主とその男がやばいっぽいんだよなぁ。あとリアス・グレモリーの兵士も何か言ってきそうだし」

 

 ―彼という転生王者の立場からすれば、微妙な判断だった。

 

 しかしそれを自然な態度として、はっきりといった。

 

「ま、本番にはもう一人か二人空くだろうけど、一人でのこのこ行くのも危険だからな。頼むぜ、睡蓮(すいれん)

 

「まあいいさ。私がお前の指示を断れるのは、すでに予定が詰まっているときだけだからな。……今代の赤き龍の帝王殿」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その返答に、赤龍帝たる転生王者は苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてある日の朝、一人の男は軽いランニングを終えてから、汗をシャワーで流したうえで洗面所を出る。

 

 紅真正一は常に努力を欠かさない。

 

 前世から正義を貫くことを良しとし彼は、悪がこちらの都合を斟酌しないことを、死をもって知っている。

 

 ゆえに常に精進して力を身に着けるべきだ。そして学問もできることなら納めるべきだ。人生において体力と知恵はあればあるほどいい。少なくともないよりはある方がいいことがほとんどだ。

 

 そしてリアス・グレモリーとアーシア・アルジェントは、私室で眠っているころあいだろう。

 

 二人も早朝からトレーニングをしたがっているが、女性の睡眠不足は肌の大敵だ。

 

 偉大なる聖槍を宿す正義の体現者の妻となるだろう者たちが、美容を気にしないというのも問題だろう。

 

 精進する時間はまだまだ用意できる。なら、若い時でも必要な睡眠などはきちんととるべき。成長とは鍛錬や修学だけでなく、休息や食事も組み合わさって初めて生まれるものだ。

 

「正一、シャワーはいいのか?」

 

「ああ、今日も食事の準備をありがとう、父さん」

 

 食品会社に勤めている父に挨拶して、正一はタブレットを片手にニュースを調べる。

 

 ネットとはいえ購読している新聞は、日本だけでなく海外のも数誌用意している。

 

 情報はきちんと定期的に確保するべきで、できればいくつもある方がいい。どうあがいても情報発信元も人間である以上、間違いや己の主義信条に有利な偏向報道が少なからずあるものだ。多角的に判断する材料が多いに越したこともない。自国の情報では自国に有利になるが、友好国と仮想敵国の情報もあれば、制度はかなり高くなる。

 

 幸い兄は海外出張を自分の()()で快諾し、海外からの生の情報を送ってくれる。全寮制の学校に通っている妹からも、定期的に情報は送られてくる。

 

 人の命に係わる衣料品メーカーに属する兄と、人の生活をつかさどる食品メーカーで共働きをする両親に、そして人の心を豊かにする演劇の役者となるために修行を積んでいる妹。

 

 素晴らしい道に家族を導けたことといい、ゲームメーカーと謙遜する神の与えてくれた力には感謝しかない。

 

 しかし、それにおごり高ぶるわけにはいかない。

 

 なんのいたずらか、赤龍帝の資格のない兵藤一誠は、持つに値しない神滅具を失ってもなお、強大な神器を手にしてしまった。更には、彼に協力する愚かな転生王者までいる始末。

 

 負けるわけにはいかない。英雄にふさわしくないものが英雄として偉業を成せば、人々は悪い影響を受けてしまう。

 

 英雄とは目指すものではない。責務を果たしなるべきものなのだ。

 

「……ここからが、正念場か」

 

 そう漏らした正一は、静かに己の右腕に視線を向ける。

 

 その魂に宿る、黄昏の聖槍。

 

 少なくとも、この輝かしい聖なる極限を、愚かな中二病から簒奪できたことだけは誇るべきだ。

 

 願うなら、これにより英雄派などという愚かな中二病のテロリストがいなくなってくれるといいのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「世とは本当にままならない。万が一を考慮して、揺り戻しが来る可能性は考慮するべきか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その警戒が吉と出るか凶と出るか、それは彼にはあずかり知らぬこと。

 

 そして、彼に運命の出会いが訪れるのも、あと少しの時を必要とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれの思惑で兵藤一誠に深くかかわる転生王者が動こうとする。

 

 そんな中、兵藤一誠とともにある二人の転生王者は―

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これがあなたのチートの一つね。なかなか面白い上、能力の一つとごまかせばいいだけだからばれても安全ね」

 

「………いや、幸希」

 

 とある6畳一間レベルの一室を見渡す櫛橋幸希(くしはし さいき)に、無双和正(むそう かずまさ)はジト目を一瞬向け―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。ゲートの設置さえできればどこからでもこの部屋に入れ、更にここに出入りする程度ならゲームメーカーのペナルティにはならないということか。なかなか興味深い」

 

「……なんで俺、コカビエル戦から一月もたたずにまた魔王にかかわってんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔王アジュカ・ベルゼブブを、ワンルームのアパートじみたチートで持て成すことに、非常にいたたまれない気持ちになっていた。

 




 と、言うわけで赤龍帝の籠手をチートで手にした男登場。

 こちらはいろいろ告げていますし九尾さんも気づいていますが、以前書いた神様転生系短編での赤龍帝をベースにしています。

 当面はトリックスター的な動きになると思いますので、やきもきしてくださいな。



 光り輝かんばかりに「お前どうしようもねえな」な正一。これで善行をしているつもりだから始末に負えない。

 とりあえず正一の最期はあいつの性格的に実に屈辱的かつ絶望的なコンボにする予定です。その上で兄貴や妹関係においては出すかどうかは未定。ようは「伏線にしよう思えばできる」程度の軽い仕込みです。拾うかどうかは状況次第。



 そして早い段階でアジュカ・ベルゼブブと顔を合わせることになった和正。

 そして謎の部屋の正体も含めて、明日をお待ちください!
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