ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ 作:グレン×グレン
この作品は「大量の神様転生者及び、その落伍者による世界への影響」とかも書くので、後者の類だと思ってください。
そして、ついに赤龍帝の転生王者まで登場しました。
ちなみにヴァンパイア編ではさらに三人ぐらい新しい転生王者が出てきます。
少し離れたところにあったキャンピングカーから、赤龍帝と間接的に認めた男が近づいてくる。
なんていうか、緊張感とか張り詰めたものが特にない動きだ。
だが、俺とイッセーはともかくヴァーリはなぜか、目を細めると少しだけ力の入れぐらいが変わっていた。
僅かな違いだが、いつでも動けるような、そんな力の入り方をしている気がする。
ん、なんだ?
そして赤龍帝も、近づくのを止めると似たような力の入り方になってるぽいぞ?
「え、え、なに?」
イッセーが困惑しているが、気持ちはわかる。
そんな風に俺たちが困惑していると、ヴァーリが少し口元に笑みを浮かべる。
「驚いた。殺気も敵意も戦意もないが、それが全く信用できない」
そのヴァーリのよくわからない言葉に、赤龍帝は苦笑する。
「おいおい。こんなところで
……俺から、ねぇ。
あいつが赤龍帝ってことは、九割九分転生王者だろ? ってことは、ヴァーリ・ルシファーが戦闘狂だってのは知ってるだろ? それもイッセーを本気にさせるためなら「両親を殺そうか」とか言っちゃう男なんだぞ?
そんなやつが仕掛けてこないって確信しているわけでもないだろう。
つまり、相手が仕掛けてくる可能性は考慮している。そんでもってその時は戦闘をする気はあるかもしれないと。
ヴァーリもそんな裏の意味になんとなく気づいているのか、なんかうずうずしているようだ。
「動きも態度も一見すると戦う直前には見えないが、しかしいつでも戦闘ができる絶妙な動き方と力の入り方だ。いいね、今回の二天龍対決は、かなりハイエンドに―」
「―いや、しないよ?」
―速攻で赤龍帝が告げた宣言に、ヴァーリが固まった。
………おぉ。はっきり言いやがった。
思わず目が点になっているヴァーリに、赤龍帝は肩をすくめてやれやれと首を振った。
「俺はお宅に個人的に恨みないし? それ以前に、
バカかお前はと言いたげなセリフに、ヴァーリは二の句が継げない。
そんでもって、赤龍帝は半目を向ける。
「っていうか、さすがに人様の管轄区域を吹き飛ばしかねない大騒ぎするわけねえだろ。人様の迷惑を考えないとか……馬鹿?」
早大に呆れたその言葉に、足音が返答となる。
「まあ、そうしてくれると助かるわね」
そして校舎側から現れるのは、ディーザさんを引き連れた幸希。
すでに木刀を構えて臨戦態勢の幸希は、鋭い視線をヴァーリに向ける。
「白龍皇ヴァーリ。先日のことは礼を言うけど、こんな一般人がゴロゴロいるところで二天龍対決とかは勘弁してほしいわね」
「これは手厳しい」
ヴァーリは苦笑すると、然し肩をすくめる。
「まあいいさ。俺もさすがにこんなところで二天龍の戦いを始める気はない。コカビエルと違って機をうかがう程度のことはできるからね」
「あ、そうなの? ……よかったぁ」
イッセーがほっとするけど、しかし安心は全くできない。
原作ではすでにこの時点で禍の団と組んでるはずだ。そして、こいつの手引きで禍の団が駒王会談にテロを仕掛けてきたはず。
つまり、必要とあれば
俺がそこを警戒してにらんでいると、赤龍帝がパンパンと手をたたく。
「……ま、これ以上余計なちょっかいはかけないでくれよ。文句があるなら現魔王政権についた俺だけじゃなくて、神の子を見張るものについた自分も恨みな」
そういう赤龍帝は、軽いウインクをヴァーリに放つ。
「ま、最悪「戦争の決着を代表戦で」とかってことになったら、その時はお互いに代表に立候補して俺を指名すればいいだろ? 俺も、あんたのカウンターとして会談に参加する予定だし」
「……ところが、そうはいきそうにないんだよ。うちの場合はね」
ヴァーリはそう返すと、肩をすくめながら踵を返す。
そしてその直前、キャンピングカーの方に視線を向ける。
「……現在に至るまで、二天龍にかかわった人物はロクな生き方ができてないと聞く。君たちはどうなんだろうね」
「おいおいひどいなー。俺って結構、やりがい・環境・お給金の三つは気を遣うぜ?」
そう冗談めかして反論する赤龍帝は、しかしにこりと笑うとヴァーリに告げる。
「レディッドだ。レディッド・キャニア。覚えといてくれよ」
「……聞いていると思うが、ヴァーリだ。ファミリーネームは激突ができる時にするとしよう」
……その言葉とともに、ヴァーリ・ルシファーは背を向けて今度こそ去っていった。
俺、兵藤一誠は、結構緊迫した空気から脱出できたみたいだ。
に、二天龍って確か、ドラゴンでもトップクラスに強い、魔王様や神様より強いって言われてるドラゴンなんだろ?
それが俺の持っている神器の更に上、
そんなのが二人も現れて、しかも激突寸前だったとかマジかよ。
正直、少しビビってた。
だって、こんなところで戦われたら、父さんや母さん、学校のみんなも死んじまうからな。いざとなったら俺も止めるために頑張らないといけないし。
助かったぁ。さすがに、悪魔になってからこんな短い間に何度も命がけとかは勘弁してほしいぜ。
なんだけど……。
「……赤龍帝、ねぇ」
「アジュカさんもファルビウム様も知らなかったそうね。全く困ったものだわ」
「……グマリオ・グラシャラボラスの戦車、それも二駒の転生悪魔とうかがってますが」
……な、な、なんで和正も幸希さんもディーザさんも、めっちゃレディッドさんも警戒してるんだ!?
なんて言うか、警戒心とか甘い感じなんなんだけど?
レディッドさんもレディッドさんで、苦笑しながら「仕方ないなぁ」って顔してるし?
……お、お知り合い?
なんか気になるし話進まないし、ここは俺が! と思ったけど。
「……レディッド、知り合いか?」
キャンピングカーから人がおりながら、その人がそんなことを聞いてきた。
薄紫の髪をポニーテールにした、凛とした雰囲気の俺ぐらいの少女だ。
か、かわいい! しかもなんか、エロイ!
雰囲気はどっちかっていうと清楚なのに、雰囲気がエロい!
あんな人にこう、「全く、仕方のないやつだ」とかそんな感じでエロい関係になってみたいです!!
うぉおおおお! 妄想がたぎる!
「……なんか、奇想天外な子だね?」
「「いや、知ってるでしょ」」
レディッドさんになんか言われた上に、なぜか幸希さんと和正がシンクロでひどいこと言ってきた!
え、そんなに俺、悪魔社会で有名なの!? 俺、悪魔になってからそんなに活躍した覚えないけど!?
なんか混乱している俺の前で、ディーザさんが一歩前に出ると頭を下げる。
「グマリオ・グラシャラボラス様の戦車であるレディッド・キャニア及び、ペリア・アスタロト様の女王である
「あ、どうもどうもー。ご推察の通りって感じだな」
「ああ。よく知っているな」
二人はそうあっさり答えると、後ろのキャンピングカーに指をさす。
「……難しい話を立ち話でするのもなんだ。ちょっと場所を移ろうぜ?」
「ああ。拠点として借りているホテルがある。少し遠いところなので乗ってくれ」
あ、あのキャンピングカーは移動用なのか。
よく見ると、運転席の部分には女の人が乗っていた。
「……なあ、レディッド」
と、そこで睡蓮といわれた人が、レディッドさんに声をかける。
なんだろうと思っていると、ちょっと顔を赤らめてエロイ表情をこっちに向けてきた。
「なんというかかわいがりがいがありそうだ。あとでアイツと一緒にかわいがって良いか?」
「いえ、待ってください」
と、そこでディーザさんが割って入る。
え、なに? お持ち帰りされそうだったの?
できればお持ちかえられたいですディーザさん! 俺は、ハーレム王を目指す男としてエロイ目にあえるのは正直大歓喜ではあります!
だめか。だめなのか。ディーザさんも俺とエッチなことをしてくれたのに、俺が他の人とエッチなことをするのはダメなのか。
あ、でも前向きに考えよう。これはきっと、俺に対してLOVEな感情があるのかもという期待を―
「イッセーくんは私たちが育ててるんです。横から変な育成されても困るので、私も混ぜてください」
―なんか変化球の文句がキター!?
山の手側にあるラブホテル。微妙に廃れ始めてたところに、一年契約1450万円―1日約4万円―でレディッドたちの眷属が一番大きい部屋とカセットトイレの処理の代行を依頼したことで持ち直したそこが、レディッドたちの拠点らしい。
グマリオ・グラシャラボラスとペリア・アスタロトは婚約者の関係であり、二人は眷属たちと必要に応じてチームを組ませて行動しているとか。
で、そのうちペリア・アスタロトの女王である鳳凰堂睡蓮は、キャンピングカーの運転手だった女性とともに、イッセーにすり寄っていた。
「なに緊張するな。おもてなしをするのは私たちのほう。君はただ、私たちで気持ちよくなってくれればいいし、それこそ私たちもやりがいがある」
「いえいえ。男も女もお互いを高めあうことこそが最良というもの。イッセー君、私はもちろんお二人も気持ちよくさせてあげるように!」
「……が、がんばります楽しみますうっひょー!?」
そんな風に美女美少女に引っ張られ、イッセーがキャンピングカーを出てラブホテルの方に連れていかれる。
……めっちゃうらやましい!
だけど、我慢我慢。ディーザさんもこっちに視線を向けてきたし、何より幸希も我慢してるしな。
さて。
「……それで? こんな拠点があるならキャンピングカーなんていらないんじゃない?」
「いやいや、ホテルのキッチン借りて自炊やティータイムってわけにもいかないだろ? さすがにティーバッグで招き入れた来客を持て成すと、主の顔に泥を塗るだけだしな」
幸希にそう返したレディッドは、そういいながらキャンピングカーのキッチンで紅茶用のお湯を沸かしている。
きちんと適温のお湯を沸かしてお茶を用意するとか、案外できるなレディッド・キャニア……っ。
更に三人分のハムエッグを焼きながら、手際よく冷蔵庫に作り置きしてたっぽいスモークサラダをコンビニで買ってきたカット野菜に盛り付けて、ひと手間加えておいしそうになったサラダを用意したり、更にインスタントとはいえスープを用意するなど、手際よくもてなしの準備を完了。
そしてそれらを買ったものと思われるパンと一緒に三人分に取り分けてテーブルに置くと、紅茶を三人分入れてから自分も席に座る。
「ほら、簡単だが昼めしも用意したぜ? さすがに陶器の皿ってわけにはいかないが、強化プラスチック製の高級品だから勘弁してくれ」
……困った。割とうまそう。
時間は十一時半。ちょっと早いけど昼飯時で、適度におなかもすいていた。
食べたい。でも怪しい!
俺が不安に思って躊躇していると、幸希はため息をついてからソファーに座る。
え、いいの?
「大丈夫よ。毒の類がないのは魔眼で確認したわ。少なくとも、悪魔や人間にとって致命レベルの毒素は入ってないわ」
「まったくだ。やるならもっと手の込んだ真似するか、もっと単純に力押しでつぶすよ。だけどこんなところで暴れたら、ホテルの方に失礼だ」
そ、それなら……いいのか?
おっかなびっくり座ると、更にうまそうなにおいが俺の鼻に入る。
あ、これ我慢できる自信がない。
「い、いただきます」
「お、礼儀正しいねぇ」
レディッドに茶化されながら一口スモークサーモンサラダを食べると、俺は警戒心が一瞬吹き飛んだ。
「……美味い」
マジ美味い。これマジで美味い。
スモークサーモンは最近食べてないから比較対象がないけど、単純にうまい料理かどうかって意味なら、家庭料理の三希さんや、栄養しっかり管理しているディーザさんのそれにも匹敵するんじゃないか?
幸希も気になったのか食べてみて、思わず目を大きくした。
「……かなりいけるわね」
俺たちが感心していると、なぜかレディッドがガッツポーズをする。
え、何その喜びぐらい。
ま、まさか!?
「「作ったの!?」」
「ああ。いやぁ、作った料理が褒められるってのはうれしいねぇ」
主語抜いたけど意味は通ってたから、素直にレディッドは喜んでいた。
マジか。これ作ったの、目の前のこいつなのか。
「また意外な研鑽詰んでるのねぇ。これ、インフレバトルに関係ある?」
「インフレバトルが始まるからって、インフレバトルの備えだけするのも詰まらねえだろ? それに美味い飯ってのは基本誰もが好きだし、自分で作りたいってのはおかしな話かい?」
幸希にそう返したレディッドは、パッと手を軽く振るう。
その瞬間どこからともなく現れた折り紙の鶴を見せつけながら、レディッドは天井を見上げる。
「できないことができるようになる。わからなかったことがわかるようになる。学ぶってのは、適度な負担で済むなら楽しいもんだ。おかげで俺は料理や宴会芸には自信があってね。自動車も、無免許でいいならスクーターから戦車まで動かせるぜ?」
そんな風にいうレディッドに、俺と幸希は面食らう。
な、なんていうか。
今まで見た転生王者で、こいつより人生をエンジョイしてる連中を見たことがない。
そんな俺たちに苦笑しながら、レディッドは用意した昼飯に手を向けて促す。
「とりあえず、まずは昼飯を終わらせようぜ。睡蓮たちも二時間ぐらいははしゃいでから飯をルームサービスでとるだろうし、積もる話はあとでいいだろ?」
ちなみにレディッドの主である「グマリオ・グラシャラボラス」は転生王者でも転生落伍者でもありません。そこは断言します。
そしてレディッド・キャニア、今までの転生王者でもトップクラスに人生をエンジョイしている男。モデルとなった塵屑の赤龍帝を見てくださった方々はわかるかもですが、こいつは人生エンジョイする気満々の男です。そのため「戦闘に直接関係ない」多芸の持ち主でもあります。