ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ   作:グレン×グレン

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 さて、少しずつ状況も動いてきます。

 何度か行ったと思いますが、この作品は「転生王者や転生落伍者だけでなく、そのバタフライエフェクト」がオリジナル要素の根幹です。








 つまり、相当数の王者でも落伍者でもない手合いが物語を大きく動かすこともあるのです。


停止教室のヴァンパイア9 ディーザ「黒歴史ってありますけど、これはもはや黒前世というべきでしょうか?」

 そして、誰も知らないところで物語は動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 東南アジア。その森林に囲まれたとある地区に、一人の男性がいた。

 

 外見は日本人だが、髪の色だけは真っ赤という日本人離れした特徴を持っている。年齢は二十代後半に入ったばかりといったところで、体つきはしっかりとしつつ、然し過剰に筋肉をつけていない、俊敏な動きを考慮した体格だ。

 

 そんな彼は、このあたりの人々にとっては英雄といってもいい人物だ。

 

 もともとこの辺りは物資の輸送手段などに乏しく、普通の農作物では大した稼ぎにならないところだった。

 

 一時期はこの立地に目をつけた犯罪組織が麻薬ビジネスの根幹として取引を持ち掛けた。その結果、生活はなんとかなったが、然し足元を見られているため収入はやはり貧乏とはいえるレベルだ。

 

 しかも一歩間違えれば、国連軍などの武装勢力がこの畑を焼き尽くしかねないというリスクもある。そんなことになれば確実に飢え死にが何十人も出るが、足を洗うのもリスクがあるばかりか、そも足を洗った後の生活が困難だ。

 

 そんな状況下、四年前に彼が来てから大きく変わった。

 

 彼はこの村以外にも複数の村に契約を持ち掛けており、持ち込んだ農作物を育て増やすことをと引き換えに、麻薬密造を持ち掛けた業者よりも多くの対価を払うと宣言したのだ。

 

 そしてその契約はきちんと守られ、あろうことか怒り狂った麻薬売買組織すら、彼との交渉の末にそれを了承する。

 

 驚くべきことに、彼によって太陽光発電機器や浄水器によって生活の質も向上。週に何回も肉を食べることができ、たまに海の魚を新鮮な状態で持ち込んでくれる。更に子供たちに勉強を教えてくれる者や医者すら連れてくるなど、この男によってこの一帯は大きく変わった。

 

 生き神扱いされているそんな男の隣に、一人の女性が現れる。

 

 どう見てもこのあたりに住んでいるとは思えない高級品に身を包んだ女は、座り込んで本を読んでいる男の隣に立つと、視線をそちらに向ける。

 

「……こんなところで農業の本とは。いえ、確かにあっていますが、日本の本でいいのですか?」

 

「先進国の技術をなめたらいけねえよ。こういうところはそもそも育て方が時代遅れだから、その辺を是正するだけで収穫量が倍ぐらいにはなるからな」

 

 そう返答する男は、本を閉じると視線を女に向ける。

 

「で、返答は?」

 

「構わないと、結論が出ました。セラフォルーをこの手で殺せないのは残念ですが、堕天使以外がどれだけの首脳陣を送り付けるかわからない以上、安全性を考慮した形になりますね」

 

 その言葉に、男は満足そうにうなづいた。

 

「そりゃ重畳。あいつらも喜ぶんじゃないか、作戦が動きやすくてよ」

 

 そう言いながらくっくっと笑う男に、女性は半目を向ける。

 

「別段こちらは構いませんが、そちらはよろしいので? はっきり言って、三大勢力以外も本腰を入れてくる上に、そうなれば困るのは()()のあなた方では?」

 

 人の姿を持ちながらそう聞く女性に、男は平然とうなづいた。

 

 彼女が言うことには何の問題もない。

 

 彼女は人間ではないのだから、言い回しに問題もない。そして世界中が敵に回るのは望むところで、むしろそうでないと困るのだ。

 

 少なくとも、男にとって()()とは大衆が知ることのできる存在でなければならない。そして敵が国家レベル複数という規模である以上、こちらも相応の規模で大騒ぎにしなければ押しつぶされる。何より世界を変えようというのだから、世界的になってくれなければ困るのだ。

 

「どうせ国連に宣戦布告する準備は整ってるんだから、あいつらも問題ねえだろ」

 

「確かにそうですね。愚問でしたか」

 

 そう答え、そして女はあたりを見渡す。

 

「……この規模の農場が二十もあるとは驚きです。おかげでだいぶ助かりますが、費用は足りるものなのですか?」

 

「ああ。何せ俺は金持ちだからな」

 

 そういうと、男は立ち上がる。

 

 そして女に体を向き直すと、軽く悪戯めいた視線を向ける。

 

「なあ。ここに住んでる農家一つ一つに、俺が年いくら払ってると思う? 俺の母国の円で答えてくれよ」

 

 その質問にけげんな表情を浮かべながら、女は少しだけ考え込む。

 

「この規模の農場にこの規模の生活。普通に考えれば4百万円前後でしょうか?」

 

「いや、その十分の一程度だよ」

 

 その答えに面食らう女性に、男は告げる。

 

「物価の高さってのは国ごとに違うもんだ。俺はこの規模の農場を確かに両手の指ほど持ってるが、資材の持ち込みなどの事前準備含めても、農場全部で10億円ちょいでいける。俺はこれでも年百億はかせいでるからな。派閥の構成員の生活費に一人420万円使って約50憶円ぐらい減ってても、余裕だ余裕」

 

 それは嘘偽りのない事実である。

 

 1100人程度の通常構成員。夏冬のボーナス含めて倍以上の年俸を払っている数十人の精鋭候補生。そして平均1600万を給料にしている、最精鋭の七人の幹部。

 

 100世帯もない農場を20ほど用意するなど、資材の費用含めて10憶円程度でおつりがくる。

 

 それとは別に体よく動かすための人材や施設を踏まえても、十分対応できる資金を彼は稼いでいた。

 

「大盤振る舞いですね。よくそんな躊躇なく払えるものです」

 

 驚けばいいのか呆れればいいのかわからない女性に、男ははっきりといった。

 

「カリスマに率いられている連中にきちんと生活費払ってりゃ、抜けられる可能性はないんだよ。理想と現実がどっちも充実してりゃ、やめる理由なんてかけらもねえしな」

 

 そう。男の行動は必要経費だ。

 

 男のいる国での平均年収と同程度、月30万に同額のボーナスを夏と冬。そんな所帯持ちのサラリーマンレベルの収入を与えていれば、理想に邁進するのに足を引っ張られる現実もない。

 

 英雄という理想のために生きる者たちに、苦しい現実を生き抜く手段まで与えているのだ。家族などほとんどがいない人員であることを考えれば、厚遇以外の何物でもないのだからなおさら大丈夫だろう。

 

 そう考える男は、来るべき本来の目的のためににやりと笑う。

 

「さあ。……勝利も高みも望まねえ負け犬どもが。お前らが訳知り顔で馬鹿にする連中が、お前らより上だって教えてやるよ」

 

 ……この農村にいるものは知らない。

 

 男が育てさせている植物は、麻薬の原料ではないが、同時に希少な魔法薬の原料になるものもあれば、高級食材として高値で取引されるものもあるのだと。また、男の属する組織の者たちが食べたがるが、裏社会で流通させるのが難しいものを足を突かれない形で調達するための者だということを。

 

 男は確かに麻薬密売組織を黙らせたが、それは正義の鉄槌でもなんでもない。別の方法でそれ以上の大麻を提供する手段があるという、組織の者たちにも秘密にしている男の伏せ札の方が安上がりだと判断しただけだということを。

 

 男が持ってきた各種機械は協力者からタダでもらった中古品だということを。

 

 男が連れてきた医者や教師は、麻薬乱用などの理由で表の社会で居場所がなくなった者たちだということを。

 

 そして男がこれから参加しようとしているテロ行為を、彼らが知ることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな日々が数日続く中、会談の当日がやって来た。

 

 まだ時間は昼過で、イッセーと幸希は学校で待機してそのまま会談の予定。

 

 で、俺たちも会談の時に駒王学園高等部に移動する予定ではある。

 

 まあ、ちょっとした別件といえば別件なんだけどな。

 

 そしてそれはともかくとしてだ。

 

「……さて、これ登録するのも大変だよなぁ」

 

 俺は今、持っている電子記録媒体にアジュカさんたちが再設計したり新規設計した兵器の設計図を登録中だ。

 

 あとで星辰光を発動して、最低限のテストは行っておくつもりだ。しかしそのためにもさっさと設計図に登録をしておかないとな。

 

 悪魔でこれは設計図だから、きちんとテストをしないと何か起きてからでは遅いわけだ。

 

 まあ実戦で使ったら実戦だからこそわかる欠陥が見つかるかもしれないけど、それはもう使ってみなければわからないから覚悟しておくしかない。

 

 だからまあ、とりあえずミスなく記録して使えるようにしておかないとな。

 

 そう俺が作業していると、紅茶のカップが置かれた。

 

 みると、少しだけどクッキーも置かれている。

 

「少し休んだ方がいいですよ? 適度な休息は入れた方が効率が良くなりますし」

 

 と、微笑みながらお茶を持ってきてくれたのはディーザさんだ。

 

 あ、結構緊張してたかな?

 

 まあそれは仕方ないんだけど、それでも気を使われるほど張り詰めてたのは反省しないとな。

 

「ありがとうございます。ディーザさんはもう帰れたんですか?」

 

 まだバイト中だと思ってたら、意外と早いお帰りで。

 

「ええ。私はまだバイトを初めて浅いので、あまり長時間は入れなくて」

 

 そう苦笑すると、ディーザさんは駒王学園がある方向に顔を向ける。

 

「良いところですよね。私は共学になる前にいた程度ですけど、それでもいい思い出は結構あります」

 

 そう懐かしむディーザさんは、だけどどこか寂しそうだった。

 

 そして、俺はその理由をある程度は知っている。

 

 だから、踏み込むのに一瞬躊躇して―

 

「聞いて、良いんですよ?」

 

 ―そこはすでに、気づかれていたらしい。

 

「私は十年前から自覚してますから。トレイヤと桃華はまだ受け止めきれてないところがあるので距離をとってしまっていますが、それでもだいぶ腹もくくっていますし」

 

 ああ、確かに。

 

 最近どこかぎこちない雰囲気だったのは、そういうことか。

 

 俺という転生王者を味方に入れたことで、自分達転生落伍者の過去について、深入りされると思ってたのか。

 

「まあ、言いたくないならいいですよ。俺も気にはなりますけど、不用意に深入りしていいことでもないと思いますし」

 

「……でも、私たち三人はどこかでしゃべってしまいたいんですよ」

 

 俺の言葉に、ディーザさんはそう返す。

 

「少なくとも、私たちは全員前世の自分の愚かさを嫌っています。だけど、それを堂々と愚痴ることも文句を言うこともできないのは、結構ストレスではあるんですよ」

 

 ディーザさんたちのつらさは、俺にはわからない。

 

 俺も転生王者の1人として、世界に対して自分の特殊性を相談できないのはつらかった。

 

 だけど、俺はかつての俺と今の俺との間に連続性がある。だからこそここまで頑張ってこれた。

 

 それが、ディーザさんたち転生落伍者にはない。

 

 この断絶は、知ってから一週間かそこらでどうにかできる類じゃない。

 

 だから、俺は気にはなるけど踏み込もうとは思ってなかった。

 

 でも同時に、ディーザさんたちは踏み込んでほしいところもあるらしい。

 

「だから、まずは私の愚痴を聞いて下さい」

 

 そう、ディーザさんは苦笑する。

 

 そして、俺の隣に座りこむと、一度自分の中の問いかけにうなづいてから、俺に向き直った。

 

「そして、もし二人が話す気になったら、二人の話も聞いて下さいね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、私たち転生落伍者は、前世の記憶をほとんど覚えていません。

 

 大まかな一部の思い出とかや、ゲームメーカーにチートを要求するときの光景を、幸希の魔眼の応用で見ることができます。でもそれだけで、人の経験をその視点で見ている程度の自覚しかできない。

 

 特にトレイヤは趣味が真逆らしくて、かなりストレスがたまるみたいです。私たちは三人とも、自覚してからへこんだりしますが、彼女が一番ストレスが溜まってましたね。

 

 ……私の前世は、ロミオとジュリエットが大好きだったみたいです。

 

 絵本にしろ小説にしろ映画にしろ劇の映像にしろ、結構な種類を集めて、それぞれの解釈や演出の違いを語ることができるぐらいのマニアでした。

 

 だからでしょうか。「ハイスクールD×D」という作品で、()()はクレーリア様と八重垣さんの悲恋を特に悲しんでいました。

 

 そして彼女自身が死んでゲームメーカーにあったとき、彼女はたった一つを要求したんです。

 

 二人の恋愛に介入できる運命。ただこれだけです。

 

 ……笑っちゃいますよね? 聖剣使いやバアルの本家が動くレベルの騒動に介入するなら、それこそ相応のチートが必要でしょう。少なくとも、ただ努力するだけで止めれるだけの力が手に入るほど、世の中は甘くできてませんよ。

 

 初代バアルの手ごまなら、相応の経験を持っています。聖剣使いに選ばれた信徒なら、その責任感で相応の鍛錬を積んでいるでしょう。そして、その上で相応の才能やいくつもの死線を潜り抜けた実績があるからこそ、それだけの強さを得ているでしょう。

 

 にもかかわらず、()()はそれ以上のチートを望みませんでした。

 

 ゲームメーカーも一応能力を指定させようとしていましたが、結局「漫画で見た技がやってみたい」なんてばからしい理由で、到底この世界のインフレでそのまま運用できるとは思えない能力を求めました。外見などをかわいらしくするつもりはあっても、強い能力を得ようという発想がかけらもなかった。

 

 ()()は「事が起きたらディハウザーに伝えればいい」とはっきり言って、それで本当に大丈夫たと思い込んでたんです。

 

 ……馬鹿ですよね。素直に「王の駒の件で口封じされそうになっている」なんて言ったら、当時の冥界で内乱が起きて大変なことになっていたはずです。何より、表向きの理由は他にあってクレーリア様も王の駒の証拠をつかんだわけでもないのにそんなことを言っても信じてくれるわけがない。しかもその時点で、二人の関係は殺されるだけの事態が引き起こされても、文句を言い切れない事態でした。

 

 結局、()()は夢見がちな馬鹿な女だったんです。

 

 自分がいればそれでどうにかなる。知っているから対処できる。そんな根拠が全くない自信だけの、現実がわかってない馬鹿な女。

 

 ……私と彼女は別人です。記憶がないだけだから素養はあるかもしれませんが、それまでの経験がない以上、やっぱり別人でしかありません。だから、彼女は私であって私じゃない。

 

 幸か不幸か、生まれた時私は、そのチートに近い魔力適性をもって生まれた、ベリアル領の娘でした

 

 高い魔力とベリアル家に近い髪質で割と周りからはやっかみを持たれていまして、更に両親が私が子供の時に死んだりで大変でした。

 

 ただベリアル家は領民にやさしくするのをモットーとしてまして、その縁で孤児院に入ることはできましたし、慰問の関係で訪れたクレーリア様に気に入られて拾われることもできました。

 

 ……だからこそ、私はあの一件に巻き込まれることになりました。

 

 私は所詮一眷属悪魔で下級でしたので、状況に流され巻き込まれるばかりでした。

 

 ですが、それでもクレーリア様を助けようと思って、でもすべては手遅れで、私自身殺されそうになって……。

 

 気づいた時、私はかつての自分が何を願ったのかを、追体験していました。

 

 幸希もあの時はパニックと後悔でいっぱいいっぱいで、更にこんな事実を知って私が更に沈んでいると思って、相当へこんでましたね。

 

 ただ、自分よりはるかに落ち込んでいる人がいたおかげで、少し冷静になれたのは救いです。

 

 私はそれからアジュカ様の支援を受け、ビュートの姓をもらい整形も受けて別人になりすまし、ベリアル家からはクレーリア様と同様に死んだことにしました。ベルアル家は私のことを「名前が同じ別人」程度にしか思っていません。怪しんではいるでしょうけど。

 

 ……ただ、一つだけ決意したことがあります。

 

 私は、生き残りました。

 

 私は、馬鹿が馬鹿な考えをした結果、悲劇を目撃しました。

 

 私は、あんな馬鹿には絶対になりたくないです。

 

 だから、二度と同じことにならないように頑張ってきました。

 

 真面目に勉強してまじめに訓練しました。

 

 医大に行ったのは、悪魔と人間の内臓の位置は近いので、冥界の医大のような旧家の人たちに勘づかれやすいところに行かずに非常時に助けられるようにと思ったからです。

 

 まあ、その時食育の概念に嵌りまして。もともとそういう理由なので病院に勤める気はなかったので、そのまま管理栄養士の資格も取ろうと思って短大の管理栄養士コースを受けたりしたんですけどね。

 

 同じことがあったとき、今度は助けられるように、そんな風に頑張って生きてきましたけど、楽しむってことを捨てた気もないんですよ?

 

 ええ。だから私は、楽天的な態度は嫌いです。

 

 「どうにかなる」ではなく、「どうにかする」ための努力を積み続けたい。その上で、自分の人生をしっかりと生きてみたいです。

 

 しっかり前向きに生きて、そして後悔しないために努力をしていきたいと思っています。

 

 ……だから、私は幸希のことが好きです。

 

 あの人は、私を助けるために一生懸命だった。そして同時に、自分の愚かさを心から後悔している。その上で二度とそんなことがないように私よりも努力して、それでもへし折れないように適度に息抜きをしながら頑張ってます。

 

 でもやっぱり、あの人は結構大変なんです。

 

 トレイヤや桃華には強いところを主体として見せてます。私には付き合いが長いこともあって気心も知れてますし私が結構弱いところも知ってるので気を許してくれてますが、それでもやっぱり、強いところを見せずにはいられないんです。

 

 私たち落伍者はあくまで前世と別で、前世の被害者でしかない。幸希はそういう風に思わせたがっているみたいですが、だからこそ自分のことは加害者側だと思っているみたいです。

 

 だから、弱いところをある程度見せれる程度の私では限度があります。どうしても、本当に弱いところを見せてくれる人が必要だと思ってました。

 

 だから、お願いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幸希が受け止めてくれる分、幸希の一番弱いところを受け止めてくださいね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、なるべく頑張るさ」

 

「あら、いきなり何?」

 

「いや別に。ちょっと自分に問いかけててな」

 

 と、俺は幸希にそう返答する。

 

 もうすぐ会談が始まるため、俺たちも駒王学園に到着していた。

 

 トレイヤと桃華は、ディーザと同じく別働任務。この辺微妙に問題視されそうだが、アジュカさんが裏で手を回してくれたらしく何とかなった。

 

 むしろこの土壇場の調整で天使・堕天使陣営に注意も向けられるから、だいぶ変わると思う。

 

 そう思いながら、俺と幸希は、会談場所である会議室に入る。

 

 明らかに冥界から持って来たっぽい高級仕様のテーブルの周りには、アニメで見た顔が並んでいる。

 

 サーゼクス・ルシファー、グレイフィア・ルキフグス、セラフォルー・レヴィアタンの魔王側。

 

 紫藤イリナを連れた熾天使ミカエル、すなわち天使・教会側。

 

 白龍皇ヴァーリを連れたアザゼル総督、つまりは堕天使側。

 

 そして一番関係悪魔の中では外様ゆえに、一番早く来て眷属を連れずに参加し、介入者にして食客である俺を連れてきたのが幸希だ。

 

 この後ソーナ先輩が副官ともいえる女王の真羅椿姫を連れて入り、最後に担当官であるリアス・グレモリー眷属が、眷属の大半を連れて入ってくるはずだ。

 

 イリナが来ていることから考えると、流れはアニメ版に近いようだ。つまり小猫ちゃんはギャスパーくんの護衛か。

 

 ……そしてこの和平会談が、禍の団という組織の活動の始まりでもある。

 

 もし禍の団側に転生王者がいるなら、この会談で仕掛けてくる禍の団が強化されてる可能性は大きい。

 

 何よりヴァーリだ。こいつが寝返っている可能性が高すぎるからこそ、俺たちも警戒するしかない。

 

 そしてもう一つ警戒するべき内容は、禍の団の作戦がギャスパー君を利用することだ。

 

 そのための備えはしているが、さて、どうなるか。

 

「……ディーザ、頼んだわよ」

 

 静かに幸希がぽつりとつぶやき、俺は心の準備を整える。

 

 さて、ここからが、本番で―

 

「失礼します」

 

 その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 俺たちは視線を向け、そして俺はあることを思い出した。

 

 ……ああ確かに。白龍皇がいる三大勢力の会談が行われる街。

 

 そこに悪魔側についた赤い龍が来ているなら、そりゃそうだな。当然だ。

 

 緊張で忘れてたよ。おかげでいいサプライズで気分がさっぱりできたな。

 

 ああ、白い天龍に対するカウンターとして、赤い天龍はいい刺激だしな。

 

「……ルシファー様たちの命で参りました、現赤龍帝にしてグマリオ・グラシャラボラス様の戦車(ルーク)、レディッド・キャニアです」

 

 レディッドが、見覚えのある少女と見覚えのない少女を連れて現れる。

 

「レディッドのサポートを主より命じられました、ペリア・アスタロト様の女王(クイーン)鳳凰堂睡蓮です」

 

「同じくサポートを命じられました、グマリオ・グラシャラボラス様の騎士(ナイト)、イエナ・ファミリアヘッドです」

 

 そして睡蓮が一礼すると同時、もう一人の少女もそういって一礼した。

 

 赤茶色の髪の一部を後頭部の上でまとめた、睡蓮と同じぐらいの年の少女。

 

 まあ、少女といっても悪魔だから年齢は完全にはわからないけどさ。

 

 さて、だいぶ原作から変わり始めてるが、こっからどう変化するのやら。

 

 ……できれば、禍の団なんて小物が多い集団で戦力を確保しようなんて奴はいないでくれるといいんだけどなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当然のことだが、そんな予想は外れると思っていた。

 

 思っていたけど、今思い返してからこう言わせてほしい。

 

 ……転生王者もそうだけど、落伍者によるバタフライエフェクトが多すぎだろうが!!

 




 まあ、本格的な会議の内容はこれまでの作品で書きまくったので、会議関係はまた特殊な視点で書きます。ご了承ください。

 そして転生落伍者そのものの登場は転生王者より少ないですが、むしろ影響力は下手な転生王者よりはるかに絶大です。記憶がうっすらとしかなく、それっぽいとはいえ能力を持っていることもあり、バタフライエフェクトを発生させやすいことが要因です。

 ある意味とんでもない規模の影響を引き起こしている手合いもいるので、そのあたりもかけるといいな~って思ってます。
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