ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ 作:グレン×グレン
今後の流れも入れた伏線を考慮してから、前回言ってた今章登場する転生王者の人数が微妙に増えました。
微妙の意味が分からない方は本編をどうぞ。
そしてそれとタイミングを同じくして、駒王町の各地で黒い霧が発生。
それは数十秒程度で解除されるが、その霧があった場所からそれぞれ10人前後の者たちが現れる。
そして彼らはあえて自らの力を隠さず放ち、同時に前もって渡されていた地図に示された場所に向かって移動。
そして、その目的地に悪魔たちが姿を現す。
彼らはみな、アジュカ・ベルゼブブが「万一に備えて」待機させた悪魔の戦力。幸希との会話でテロリストがこの会談を襲撃することを知っていたアジュカによる、転生王者による直接介入やバタフライエフェクトに備えた余剰戦力である。
とある特務部隊から選ばれた精鋭たちを前に、しかし襲撃者は恐れない。
『―全員。最後に聞きなさい』
そして、彼らの主が通信ごしに告げる。
くしくも、アジュカの警戒は見事に的中していた。
この会談を狙って行動を起こした転生王者は合計三人。
そして、そのうちの一人はその警戒のための増員こそを狙いうつ。
『―勝利条件は足止めの成功。敗北条件は己の死。生き残りさえすれば、今勝てなくても勝てる可能性はある。少なくとも、己が納得できない死を得るぐらいなら、恥をかいてでも逃げなさい』
その言葉に、戦士たちは全員がにやりと笑う。
誰もが命の危険を前にして、自分が必ず五体満足で生き残れるなどとは思っていない。だが、生き残るために全力を尽くし、生存を掴み取るために全力を尽くす覚悟を決めていた。
『……とはいえ、あまり数を割けないから待機してるのも面倒ね。どこかの映画みたいにBGMに音楽でも弾いてあげるわ』
その対応に、全員が苦笑する。
自分達が高みに行けるかもしれないという希望を与え、そのためのおぜん立てをしてくれた彼女。そしてそれだけの無味乾燥な生活を送らせないのはいいことである。
なので、あえて止めはしない。
むしろ逆だ。戻った後で感想を伝えるべく、こんなところで死んでたまるかという強い決意を持つことができた。
そして敵が動きを見せる。
戦闘準備を取り、迎撃態勢をとる敵を前に、彼らは全員腰のベルトに手を伸ばす。
特殊なバックルについているスイッチをした瞬間、彼らの周囲に一人八体の兵士が表れる。
燕尾服を思わせる格好をした、骨のような意匠を持つ頭部を持った、フリントロックのような拳銃にサーベルで武装した兵士たち。
彼らはこの戦力を、こう呼ぶのだと教えられた。
「……マスカレイドチャレンジャーの準備はOK。じゃ、いくか!」
ここに、本来あり得ない禍の団の精鋭軍団と称される戦士たちと、冥界の秩序を護る独立権力部隊が激突する。
そしてそれと同じくして、本命の戦場では混乱が発生していた。
「う、うわぁああああああ!?」
「逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろぉおおおお!!」
「し、死ぬ、殺されるぅうううう!?」
「びゃぁああああああああ!?」
結界の外で、結界の内側で、魔法使いが、天使が、悪魔が、堕天使が、種族の区別なく数割レベルで逃げ惑う。
わき目も降らずに逃げ出すどころか、正真正銘逃げるという本能にだけ支配された結果、建物にぶつかって壁を砕く程度は当たり前。結界にぶつかっていることに気づかず全力で移動しようとし、己の骨を砕いて死ぬ者すら生まれている。
その謎の凶行状態に、唖然とするのは匙元士郎だった。
「な、なんだこりゃ? なんか急に怖くなったと思ったら、何でこいつら、わき目も降らずに逃げ出してるんだ?」
「……よくわかりませんが、さっきの恐怖と何か関係してるんでしょうか?」
匙に同意する武流もまた、先ほどの恐怖と寒気を思い出して肩を震わせる。
思わず何もかも忘れてここではないどこかに走り出そうとした。それを何とか先輩たちを見捨てるわけにはいかないと踏ん張り乗り越えたと思ったらこの事態。状況がつかみきれず困惑する。
自分達に襲い掛かってきた魔法使いはもちろん、救援に来てくれた三大勢力の戦士たちからも逃げ出すものが出てくる。
その謎の恐慌状態に、誰もが混乱したその時―
「……なるほど。言われていながら耐えられないとは、これは情けないな」
そんな声とともに、音が響く。
その声と音に振り返れば、そこにあるモノの存在に目を見開いて唖然とした。
それは、まるで空飛ぶ船。
SFの世界から出てきたかのような飛行物体から、30人ほどの兵士が下りてきていた。
彼らの手には突撃銃と思われる装備が握られており、そのままこちらに接近する者たちが、数百メートルほど離れたところで銃口を構える。
「……どちら様? っていうか、人間の国軍みたいだけれど、この国が戦争を行わないことを明言していて、ここが三大勢力の会談場所のなのはご存じよね?」
そこにトレイヤ・ワンが一歩前に出る。
すでに両手には投擲用の魔剣が握られており、一瞬でも戦闘が始まれば、その時点で投擲する準備は万端だとわかる。
その完全な最後通牒に対し、相手は平然としていた。
そのうちの1人、階級章からして少佐と思われる黒人男性がはっきりと告げる。
「ああ、安心してくれ。我々「南洋同盟」は一時間三十分ほど前に国連に宣戦布告済みだ。わざわざyoutubeどころかこの国のニ〇ニ〇動画とかいうのにも宣戦布告の内容を投稿しているはずだ。……まあ、あくまで広報担当の対応なのでこちらはまだ見てないが」
「「えええええええええ!?」」
匙とトレイヤが絶叫するが、しかし武流は少し違った。
叫びだすその寸前、ある事を思い出す。それが驚愕の声を出すよりも、思考を回転させることに意識を向けさせたのだ。
一時間半ほど前、確かに南洋同盟は国連に宣戦布告を行っている。自分がスマートフォンをたまたま見た時に気づき、他の人たちに報告したから間違いない。
そしてそのタイミングで南洋同盟が軍事的侵攻をこの会談に対して仕掛けてきた。
この二つから考えられることは、ただ一つだった。
「……南洋同盟の本命の戦争相手は、三大勢力なのか?」
そのぽつりと漏れた言葉を、兵士の隊長は聞くことができていたらしい。
少しだけ苦笑すると、然しはっきりとうなづいた。
「そうだ。より厳密にいうならば南洋同盟の要求は「バチカンを中心とする組織の要請で世界が秘匿に協力している技術体系を、全世界の人間がわかる形で公開し、民間利用が問題ない範囲内の魔法は、誰もが基礎教育を受けれるようにする」だ。……さすがに余計な混乱を避けるため、そちらに関しては公表していないがね」
その発言に、その場にいた三大勢力の者たちは声も出ない。
三大勢力を中心とする異形や、人間が悪魔の魔力を再現することをもくろんで生み出した魔法などの異能は、表の人間社会には基本的には秘匿されている。
これはこれらの異能を不用意に明かすことは、人間社会を大きく混乱させると思われたが故の判断。そしてそれを知ることがあれば、人間は滅びの道を進みかねないと危惧する者が多いことに由来する。
その危険性を考慮していないとしか思えないその内容に、悪魔歴の長いトレイヤは舌打ちした。
「元人間の私が言うことでもないけど、世の中管理されないといけない情報ってのはあるわよ?」
「そこは気を使っているだろう? 我々は「民間利用は問題ない範囲内」の魔法を一般教育課程に組み込めるように要求している。軍事利用を主目的とした魔法などは、兵器と同じく相応の管理体制をとるべきだと思っているとも。……もっとも、上層部は異形側こそそれができてないと思っているようだが」
そう告げる男は、失望の目で匙に視線を向ける。
「……上級悪魔すら
そう匙を例に挙げて語る男の目には、どこか憐憫と怒りの表情が浮かんでいた。
だがそれも一瞬のこと。男は一瞬で切り替えると、冷徹な視線を彼らに向ける。
「投降するなら早くしてくれたまえ。一応投降した敵は殺さないのが軍隊の基本だが、兵士も人間ゆえに目の前で同胞を何人も殺されれば自制しきれんこともある」
そう告げるとともに、兵士たちが一斉に銃火器を構える。
いつの間にか突撃銃だけだった兵士たちの武装は切り替わっており、分隊支援火器や狙撃銃、更にはロケットランチャーを構えるものが多数現れていた。
そして誰もがそれを放てる体勢になり、戦闘その藻は避けられない。
その事態を前に、匙は耐えられないのか、歯ぎしりをした後で大きく吠える。
「こっちが三大勢力で平和にやろうって時に、何なんだよあんたらは! 南洋同盟とかいう前に、喧嘩するなら自分の名前でやったらどうだ!!」
その怒声に兵士たちは答えない。
動揺はしない。嘲笑もしない。戦意だけを現しながら、無感情に銃の引き金を絞る。
そして指揮官の黒人は、わずかに悲しそうに首を振った。
「覚えておけ少年。戦闘とは個人ではなく国家でするもので、兵士の引き金は個人の感情ではなく国家の命令で引くものだ。出なければ大半の人間は理性で殺し合いをすることなどできないのだよ」
そう切り捨てる男は、然し道場の視線をもって続ける。
「どうしても恨む相手の名前が知りたいというのなら、私の名前を憶えていけ。南洋同盟開闢行動旅団所属、第一特務歩兵中隊長、エリンド・フォース大尉だ」
その言葉とともに、エリンドと名乗った男は左手を上げる。
そして匙が歯ぎしりをしながら腰を落とし、トレイヤは何も言わずに鋭い表情で魔剣の投擲体勢に入り、武流は十束剣を構える。
そしてそれよりわずかに早く、エリンドの号令が中隊に向けて放たれた。
「戦闘開始」
そして、銃声が鳴り響く。
そんなこんなでどこもかしこも戦闘状態な時、俺は俺でかなり緊張感あふれる状態だ。
だってこれ想定外すぎるぞ。
警護の連中を止められずに済んで状況改善かと思ったら、突如パニックを起こした連中が大量に出て大混乱。それも結界にぶつかっても一切気にせず理解もしないで、そのままバキゴキと骨が砕けてようやく失神する始末。
……冗談だろ。何がどうなってんだ。
「……これは想定外ね。紅真は?」
「こちらも想定外ですよ、櫛橋先生」
先と紅真も普通に会話している。学校での職務上の会話以外はしないくせして、こうして会話してるってことはそれ相応の事態ってことか。
こりゃ、さすがにまずいか……?
俺が歯噛みしてるのと同じように、アザゼル総督やほかの首脳陣も歯噛みしている。
この状況、どうもあちらさんにとっても予想外らしい。
原作でテロられたときは結構平静だっと思ったけど、それだけこれは変則的ってことか。
俺がどうしたもんかと思っていると、ミカエルさんが指を顎に当てて下を向く。
「……彼らが逃げ惑う前、強い恐怖心を覚えましたね。殺気を感じたとかそういうのではなく、純粋に自然と恐怖が浮かんできました」
「あ、私もです! なんていうかこぉ……「逃げないと死ぬ!」って感じな」
あ、イリナの言った感情は俺も感じた。
俺も一瞬本気で、理由もわからず逃げたくなった。
ただここで逃げるとさらに大変なことになるって確信してたんで、一瞬だけ逃げたくなったけど何とか耐えたんだが……。
ああ、なるほど。
「今パニック起こしてる連中はセービングスローに失敗したのか」
「いや総督さん? TRPGみたいなこと言われても困るんだけれど」
アザゼル総督の一部ジャンルにはわかりやすい説明に、幸希が即座に突っ込んだ。
まあ、とりあえず種はわかった。
そんでもってそんなことをされたってことは―
「……くるな、本命が」
「可能性はあったけれど、この規模は想定外なのよ」
サーゼクスさんとセラフォルーさんが警戒する中、そいつは来た。
白を中心とする髷を結った異形。
その姿に、約三人が心当たりを覚える。
それは、ガイアメモリを世に出した作品に出てくる、変態にして中ボス。
サブライダーの家族の仇であり、独自の哲学と理論を持つ、ガイアメモリに取りつかれた危険人物。
強化形態抜きではライダーですら一対一では勝てなかった存在。
そう、その名は―
「「「――ウェザー、ドーパント……っ!?」」」
寄りにもよって、一シリーズの強敵が、ここで来るのかよ!?
微妙に増えた=声だけ登場。
申し訳ありません。別に顔出しはしてませんが、今後出てくる禍の団のオリジナル要素の伏線を組み込んだらこんなことになりました。マジすいません。
そして匙たちが人間の軍隊に仕掛けられているなか、現れるウェザードーパントに会議室側の転生王者が戦慄。まあ原作での中ボスポジションがこの時期に出てきたのですから、ちょっとは戦慄するというものです。