ハイスクールD×D×R 転生者たちはイレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、そういうわけで曹操の聖槍保有や聖槍軍団の謎が明かされます!


停止教室のヴァンパイア15 幸希「まぁ、型月系統チートならそういう方向が普通よねぇ」 和正・正一「言ってる場合か!!」

 その少し前、戦闘は少しだが確実に激しさを増していた。

 

 そしてそのうちの一人であるディーザ・ビュートは、間違いなく苦戦といっていい状況に巻き込まれていた。

 

「ゼノヴィアは右後ろに歩兵部隊一射撃班があつまっていますから気を付けて! 逆に由良さん達は前方に一射撃班がそちらに気づかず集まってますから、私が大声を上げて気を引いた瞬間に不意打ちをお願いします! ……わぁああああああ!!!」

 

 その大声とともに慌てた射撃音が響き、更に反対側からの攻撃に慌てて散会して回避を行っている。

 

 それを振動で感知しながら、更にディーザは持っていたクラッカーを引き抜くと一斉にひもを引いて破裂させる。

 

 そしてさらに三か所で攪乱に成功したのを確認してから、立ち眩みを覚えて頭を振って我に返る。

 

 この戦いにおいて最も負担を背負っているのは、まず間違いなくディーザである。

 

 その理由は、彼女が習得した星辰光(アステリズム)にある。

 

 ディーザの星辰光の能力は振動干渉能力。能力の影響範囲内の振動を感知して干渉する能力である。

 

 Aという拡散性ゆえにかなりの範囲を感知することが可能であり、出力を上昇させれば、自分が感知して聞くだけでなく、自分を経由する形で別々の場所にいる者たちを会話させることも可能。集中していない状態でも、自分達の周囲数百メートル範囲内にある程度の人数があつまっているかどうかを感知する程度は十分できる。

 

 基準値(通常出力)Eに発動値(最大出力)Dという出力の低さゆえに振動波で攻撃という真似はできないが、先ほどのようにクラッカーを鳴らすなど音量を確保できれば、音を敵の耳元に減衰ゼロで伝えることで、スタングレネードじみた真似をすることも可能。

 

 この想定外の過ぎる敵戦力の数に対して誰一人として幸希・リアス・ソーナの眷属に死人を出していないのは、ひとえにディーザのこの能力で的確なオペレートができているからである。

 

 とはいえ、異能を持っていることとそれを運用する能力を持っているかどうかという点には明確な違いがある。

 

 周囲数百メートルの音を全部正確に位置まで把握して感知し、それをまったく別々の場所にいる人物に、相手の位置からわかるたとえで通達し、必要とあれば指示を出す。それも、それを別々の場所にいる複数の相手に対して的確に使用する。

 

 一言で言おう。無茶である。

 

 全員に対して的確な指示を出すことがまず困難であり、すでに死人も何人か出ているのが実情。何より当人の集中力が限界に達しかけており、本人は気づいていないが視界がかすんでいる。

 

 その上で、ここまで持たせられたことは十分すぎるほどに成果といっていい。

 

 維持性の高さゆえに能力の持続時間はこんなものではないが、初の全力使用でこれだけの大人数に同時に使用するというのは、明らかにディーザ・ビュートという個人の限界を超えていた。

 

 それゆえに、ディーザは自身に対する警戒をおろそかにしていることの気づくのが遅れた。

 

 そしてそれを自覚したのは、自分のすぐ後ろに大きな振動が発生したときだった。

 

 それに気づいて振り返ったときに映ったのは銃口。

 

 それを構える機械の巨人に、ディーザはとっさに魔力を放とうとするが、それより先に足の力が抜けてへたり込む。

 

 意識したものではない。敵に狙われたことで集中力のバランスが崩れ、それが原因で緊張と精神的疲労が限界を超えたのだ。

 

 反撃が、追いつかない。

 

(こんな、ところで……っ)

 

 脳裏に浮かぶのは、自分が以前死にかけた時に助け出そうと必死だった幸希の表情。

 

 あの表情を思い出したがゆえに、自分ではもうどうしようがないのに、どうにかしなければと思ってしまう。

 

 そう、彼女は弱い。強いが弱い。

 

 その彼女が、自分が死んだと知ったらどう思うか。

 

 それがつらく、然し決定的なほどではないのは、きっと()がいてくれるからだろう。

 

 自分たち落伍者とは違う、本当に意味で幸希の同類である彼がいるなら、きっと幸希は立ち上がれる。

 

 自分のように弱いところも担当できるのではない。お互いに弱いところを支えられる、そんな関係になれるはずだ。

 

 それが支えになってくれることを願い、ディーザは意識を支えきれずに目を閉じそうになり―

 

「悪いな」

 

 ―そんな声とともに、巨人の背中で爆発音が響く。

 

 一瞬巨人が震えるとともに、その衝撃が原因なのか崩れ落ちる。

 

 銃口がディーザから離れる代わりに、巨人そのものがディーザに倒れてくる。

 

 それをどうにかする力はディーザに残されていない。

 

「って想定外やっべぇよっしゃセーフセェエエエエッフ!!」

 

 しかし、その声が響くとともに、体が動かされる。

 

 音から判断して、とっさに地面に激突する勢いで加速しながら着地し、そのまま横っ飛びで自分の体を救い取るようにして助け出したらしい。

 

 そして轟音とともに巨人が倒れ、その衝撃で土が舞い上がり―

 

「ディーザさん大丈夫ですか!? えっと、とりあえず安全なところに……安全なところってどこだよ!?」

 

 あわあわしながら流れ弾が当たらないように体で自分を庇ってくれるのが、和正だということにようやく気付いた。

 

 気づくのが遅れたのは、彼がSFのような装甲でおおわれているからだ。

 

 コカビエルとの戦いで使用した装甲だろう。彼の星辰光はそういう物だと聞いていたが、見るのは初めてなので気づくのに遅れた。

 

 そして、どこか腹が立ってくる。

 

「……何を、してるんですか……!」

 

 今が激戦なのはわかっている。

 

 だからこそ、幸希もまた、彼女の性格からいって激しい戦いをしていることが読めてしまう。

 

 そんな彼女の支えに、きっと自分より向いている彼が―

 

「私たちより、幸希を―」

 

「ディーザさんたちに何かあったら、幸希がそれこそだめになりますよ」

 

 ―そのことを、理解できていないわけがない。

 

 だからこその反論に、ディーザは息が詰まる。

 

「大体、こっちを任せてほしいって幸希に言われたんで安心してください。幸希にとってディーザさんたちは、大事な仲間なんですから、そこのフォローをしないとそれこそアウトでしょ?」

 

 そう言いながら周囲を警戒する和正に、ディーザはほっとする。

 

 短い付き合いだが、彼はすでに幸希について理解しているところがいくつもある。それこそ、どうしても負い目がある自分以上の側面があるほどだ。

 

 ああ、彼ならきっと、幸希が自分にも見せられないところを支えてくれる。

 

 そしてそれが、自分達を守るという点にもあるのなら―

 

「……あなたがいて、よかった…ぁ……」

 

 心の底から安心でき、それゆえに意識が闇へと落ちていく。

 

 きっと、彼がいるなら大丈夫だ。

 

 その安心感が、彼女を疲労に見合った気絶へといざなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時期、幸希は二人の男を対峙している。

 

 神聖十字軍団の長である、真教皇ネオス・コンスタンティヌス。

 

 英雄派の最精鋭、真栄衆の創設者と名乗る男、童門朝野。

 

 それに対峙する、己も己ですさまじい。

 

 アジュカ・ベルゼブブの直属として、最初から上級悪魔として転生した特式上級悪魔。自分の立ち位置もある意味で彼らと同レベル以上であり、その後のアジュカからの任務を遂行して最上級悪魔に至っていることも考えれば、やはり実状的にも同格だろう。

 

 そして、何より()()であることを示す理由に、幸希は当然、ネオスと朝野も同じ答えに至っているのだろう。

 

 そう、そしてそれこそが二人がこれだけのことを成し遂げたことの理由だろう。

 

 曹操という、本来持っているはずだが奪われた黄昏の聖槍を持っている理由。

 

 そして、ネオス及び彼の部下たる三人の男女が聖槍を持っているのも、そのチートの方向性から考えれば答えに思い至ることは難しくない。

 

 そう、幸希のチートのある一点は―

 

「……型月世界の魔術回路をチートに要求した者同士、酒でも酌み交わそうって誘いなのかしら?」

 

 ―そう、挑発半分で告げた幸希の発言が答えだ。

 

 朝野もネオスも、それに対して意味深な笑みを浮かべる。そしてそれが、幸希の一種の質問の答えであることは明白。そしてその答えは、肯定だ。

 

 型月世界の魔術は、この世界のそれとは大きく異なる。

 

 アジュカが個人的興味からの研究で、特殊な悪魔の駒という形でそれを人工的に与える技術はできている。幸希のカウンターウェイトとなる、大王派閥側からの特式上級悪魔がそれを使用しているし、そのため幸希は交流もかねてある程度指導もしている。特にトレイヤとよく話しているのも知っている。

 

 だが、問題はそこではない。

 

 幸希はかなり特殊な方向性でチートをを選んだが、この方式のチートを選ぶなら定番といえるものがある。

 

 サーヴァント。

 

 過去に大きな業績を上げ、信仰を集める過去の英霊。その影法師をクラスという箱に収めて協力者とする魔術。

 

 その大魔術は願望器として使用するための前段階といえるが、然しサーヴァントはサーヴァントであるだけで絶大な力を発揮する。

 

 人間でありながら人間を超えた存在に昇華した彼らは、たいていが戦場で名を馳せたものであることから戦闘能力は桁違いだ。

 

 宝具という伝承の結晶を利用した戦闘能力は戦闘機のオプション武装にもたとえられ、白兵戦力としては異常といってもいい。

 

 しかし人格まで再現されているがゆえに、呼び出したマスターとのいい関係性を築き上げる必要が存在する。一応前提条件として三つの強制命令権はあるが、掻い潜りようはあるので、ただの奴隷のように使っていい相手ではない。

 

 しかし、そこでいくつかの発想を転換させた試みがある。

 

 それが、人間に英霊の力を宿すという方向性だ。

 

 原典たるstaynightからこの手の能力が出てくることはあったが、同時に代償が大きいうえに限定的であることがほとんどである。

 

 だがしかし―

 

「……まあ、性能は落ちるが必要な能力があるのなら仕立て直しはできるさ。何よりこの世界の使い手の()()にするのなら、宝具に特化して与えればいいからな」

 

 そう言いながらネオスが見せるのは、天秤を持った女が描かれた一枚のカード。

 

 そして朝野は朝野で苦笑しながら、紅真を相手に追い込んでいる曹操を見て目を細める。

 

「まあ、原作の並行世界ならやりようはあるってね。同一人物が本来の力を宿すだけなら、邪魔されることはないと思ったさ」

 

 そういう朝野の発言から推測できるのは、おそらくはデミ・サーヴァント。

 

 おそらく曹操が原作でも異形社会や異能側の人間での知名度が高いことを利用して、「原作での曹操というサーヴァントの力」を「この世界の曹操」に宿したということなのだろう。

 

 こちらもデメリットの低さや想定される再現力が大きくすぐれている能力だ。必然的に強大というほかない。

 

「やってくれるわね、ほんと」

 

 まあそれが正攻法だと、幸希も納得するほかない。

 

 少なくとも、原作では直接出てきてない能力を思いついたから再現するための技術を求めるという、自分のやり方の方が変化球すぎるのだから。

 

 むしろ正攻法な手段をとってきたのだから、感心するべきかもしれない。

 

 幸希がそう頭痛を覚えていると、朝野は半分ぐらいあきれた表情でネオスに視線を向ける。

 

「つってもあんたもよくやるぜ。外見から見て五十は超えてるだろうけどよ、そこまでずっと雌伏してアンチしてるとか、よく我慢できたな、オイ」

 

 それは確かにとも思う。

 

 レディッドのように原作を知らないないならともかく、知っていてその年まで行動を起こさなかったというのなら感心するところだ。

 

 少なくとも、暴発せずに機をうかがう精神力は認めるほかない。

 

 その二人の視線に対し、ネオスは静かに苦笑する。

 

「大願成就には、時間だろうと資本だろうと人材だろうと修練だろうと、あればあるほどいいことを知っているだけだよ。だから最初からそれを集める時間を得るべく、第二次大戦後初期に産まれるようにしたのだよ」

 

 そう返すネオスは、はっきりと言い切る。

 

「大まかな歴史が共通しているなら、歴史をきちんと学んでいれば、歴史の教科書に載るレベルの大事件や事故が起きるタイミングに合わせた準備ができ、比較的適切な対処をとらせることができる。資本確保のために求めたチートによって、番号当選型宝くじで毎年数百万ドルを得ることもできてね。直接稼いで資産運用で増やしたり、大災害を予測しての対処で心酔させた事業主などにそれとなく伝えて事業を成功させる元手を用意してさらなる心酔を得るなどしたのさ」

 

 そう苦笑するネオスの言葉は、しかし的確かつ正論だった。

 

 ハイスクールD×Dにかかわらず、この手の「現実世界の裏側にある異能系統」は、歴史の流れは大きく変わらないものが割と多い。

 

 そんな状況下であればあるほどいいものを集めるのなら、原作開始時に主人公たちと同年代になるように生まれるより、もっと前から生まれるに越したことはない。

 

 大抵の作品では主人公は僅かな期間で出世したりすることは多いが、大半の偉い人物は主人公たちより年配なのだ。

 

 つまり、蓄積がものをいう力を欲すなら、もっと前から転生するのがいいに決まっている。

 

 歴史の授業を得意としていたり、経済やテロ・災害の記録に興味があったのならなおさらだろう。経済ならば特定の市場の急速な発展タイミングを見計らった投資や起業に、バブル崩壊を見越した空売り。

災害やテロならその被害発生の推移を見越した支援物資の準備やら近場に前もって救助できる人員を派遣する。そういったことができれば大きな力を後々得れる。

 

 株の売買や投資の最適なタイミングがわかれば絶大な金が手に入るし、直接融資したり誰かにアドバイスして成功させれば、その恩恵からその人物から強い感謝の念を抱かせて支援者になってくれるだろう。テロや災害で適切な支援や救助を行えば、それこそ彼らは命を懸けてでも恩を返そうとする私兵にする余地が生まれる。

 

 それらの成果や後援者の力を利用して、一つの事業で年月を重ねれば、必然的に出世においても力になるのは自明の理だ。

 

 またブックメーカーなど、何事においてもギャンブルという形が成立することは多く、それを利用して金を稼ぐことも可能だろう。

 

 世界の基本は資本主義社会で、世界の主要国家は民主主義国家。すなわち金持ちと人気者が有利に立ち回れる世界であり、経済活動・犯罪史・災害の記録といったものに対する知識が豊富なら、それらを活用して有利な立ち位置を会得することは不可能ではない。

 

 ……そこまで考えて立ち回っていた結果が、教皇に次ぐ聖書の教えの人間の最高位である司教枢機卿という立ち位置。

 

 地位、人望、そして資産。

 

 それらすべてを持っているからこそ、ネオス・コンスタンティヌスが絶大な戦力を確保できるのは当然の理だった。

 

 その入念な下準備に、幸希はもちろん朝野も威圧されたらしい。

 

 ごくりと、二人の喉が同時に鳴る。

 

 それに対して、ネオスは少しだけ恥ずかしそうに苦笑した。

 

「と言われてもね。これでも予知どころか知っていると思われないように7割程度の的中率にとどめていたし、バタフライエフェクトや思い違いもあって五割程度の的中率だ」

 

 だがそれで十分だ。

 

 賭け事に対する最大の注意点は、全財産をかけないことだ。

 

 本来当たらないのが基本だからこそ成立する産業だ。本来は負けて当然の物であり、だからこそギャンブルの勝利には数倍から十数倍の儲けが手に入る。

 

 そんなギャンブルにおいて、五割前後で正解がわかるのなら十分すぎる。

 

 選択範囲が極小の賭けとは、当たったときの配当は二倍や三倍では効かないものだ。

 

 万馬券ならそれこそ絶大。たいてい競馬は数千円以上かけるものなので、必然として数年レベルで遊んで暮らせる金が手に入るものだ。そのようなギャンブルの正解率なら、一回当てた分を十回に分けて五割の的中率なら、ぼろ儲けというレベルではない。

 

 その資産があれば資材や人材を集めることができ、それを利用して大規模テロや大災害の支援物資や救援部隊を送ることで、スポンサーの名声も増えるものだ。

 

 売名行為という手合いもいるし実際そうだが、行動に対して見返りを求めるのはそれだけでは悪ではないのだ。むしろ恩恵を与える代わりに見返りを得ることが経済の基本である以上、何かしらの形で堂々とそれを語っているのなら、すでに言っていることを盾に跳ね除けるのも簡単だろう。

 

 だからこそ、絶大的な資金力と自分をあがめる人材が集まった。そしてそれがさらなる資金と人材を集める。

 

 そしてその力を利用すれば、当然のごとく人材も戦力も集まっていくものであり―

 

「私個人の資産と、事実上の私の資産を持っている者たちの力を借りて、30年かけて作り上げたのが、われわれ神聖十字軍団専用のクラスカードに専用の(クラス)だ」

 

 その意味深な言葉の推理は後に回し、幸希は歯噛みして告げる。

 

「……なるほどね。歴史に名を遺し信仰すらされるものを呼び出す力がこの世界にあるなら、呼び出される英霊は必然的にこの世界の英霊ってことね」

 

 だからこそ、聖槍は四本もあるのだ。

 

 何かしらの形で黄昏の聖槍を宿し、何かしらの形で人々の信仰を集めたものをクラスカードで呼び出せば、どうなるかは自明の理。

 

 それこそが、四本の聖槍を持つ、神聖十字軍団の先遣部隊の絡繰りだ。

 

 まして、彼らの手元にあるのは()()のクラスカードでしかない。

 

 聖杯戦争は基本として()()()()であり、更にネオスが持っているカードは柄で判別して、聖杯戦争の監督を担当とするルーラーのクラスカード。

 

 すなわち、最低でもあと四人入ると仮定するべきである。

 

 ……流れから推測するに、聖槍を宝具として持っているものは四人どまりだろう。だが、それは四人分しかクラスカードが用意できないことを意味しない。

 

 まず間違いなく、断言してもいいレベルで、相応の戦力にクラスカードはいきわたっている。

 

 それこそ禍の団の主力派閥に匹敵する規模の人数を持つ勢力にして、英雄派の幹部以上の人数のクラスカード保有者がいる、大勢力であると仮定するべきだ。

 

 その懸念を、ネオスは微笑みながら首肯して肯定する。

 

「その通り。クラスカードは七つ以上あるし、それとは別に切り札もある。……かつての失敗は繰り返さないさ」

 

 そう告げる男の胸にあるのは、勝利の確信ではなく勝利のための渇望。

 

 勝つと、聖書の教えを心に広めるという、狂信ゆえに曇りない信仰の形だった。

 

 そう、ゆえにこそ―

 

「なので、同胞を失う気もないので失礼するよ」

 

 ―彼はこんなところで死ぬ気などない。

 

 速やかにバックステップをすると同時に、クラスカードを起動して聖槍を展開。

 

 そして同時に、王冠を具現化。

 

 その瞬間、彼から絶大な力が放たれる。

 

「「宝具が二つも!?」」

 

「厳密には三つだがね。しかも残りは聖槍に比べればはるかに見劣りするが」

 

 驚愕する幸希たちを置いて、遠慮なく走り出す。

 

 人材は宝であり、ここに来ているメンバーは聖槍という最強の聖遺物を手にした者たちだ。

 

 そんな彼らだからこそ開戦ののろしを上げるにふさわしいが、反面失った時の被害も絶大だ。

 

 一番いなくなっても問題ない人物を護衛にしてサーゼクスと戦っていたが、それでも倒されずに済むならそれに越したことはない。

 

 ゆえに、今はそちらに注力する。

 

 いきなりこの場で決着をつける気は毛頭ない。別動隊の茶番で更に人材を集め、その上で本格的なクラスカードの適合者を集める必要もある。

 

 決着をつけるのは、その時からで遅くはない。

 

 何より―

 

「トライヘキサの開放、結構ではないか」

 

 ―そのもっとも最適な手段こそが本命だと、彼は誰にも知られないようにぽつりと漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「創生せよ、天に描いた星辰を―――我らは煌めく流れ星」

 

 そして曹操は、その力の一端を全力で開放する。

 

「死戦を潜りて疲弊した身で、さらなる激務は死につながれど、我にそれを恐れる心無し」

 

 脆弱な人間が、それでも神仏や魔王にすら通用できるか試すのが英雄派。

 

「光なく、高みにもない人生に、得られるものなどありはしない」

 

 そのためならば手段を択ばず、然し何の因果かより強大な力を手にすることができたのが、この世界。

 

「矮小にして脆弱なこの身ですら、偉大なる勝利を掴み取ることに価値がある。死すその時まで大いなる高みに到達できず、挑みもせずに命長じたところで、大したものなど残せぬのだから。」

 

 大規模な後ろ盾足る南洋同盟の特殊部隊という立ち位置をえれたのも僥倖だが、真の幸運は童門朝野に出会えたことだということを、彼は知らない。

 

「我ら矮小たる身である我こそ、大いなる勝利を掴み取らんと吠えるのだ」

 

 聖槍を奪われ下位の神器を宿した曹操を、妖怪に襲われ死にかけた自分を助け、本来持つべきだった力すら別の形で取り戻させた彼の存在が、この世界の曹操の命脈をつなぎ、より強大な力と勢力を手にさせるに至ったのだと、知る由はない。

 

「ゆえに、戦におびえる者たちに、命を懸けて伝えよう」

 

 だがそんなことはどうでもいい。何より目指すべきは、己がどこまでいけるかというその事実。

 

「その高みより見えた風景を、王や貴族に民草が、己も見んと決意させるため」

 

 何より彼らの長として、己こそがその生き方の最先端でいるべきなのだ。

 

「命燃やして駆け抜けて、そしてたどり着いたその先で、最期の言葉を伝えよう」

 

 そう、世界中で知られる長距離走種目。その語源となる戦いの勝利を伝え、命と引き換えに戦争を決断させた偉大なる戦士に倣おうとしよう。

 

「我ら、マラトンにて勝利せし!!」

 

 いずれ戦いの果てに死ぬその時に、そんな言葉を言うために。

 

超新星(メタルノヴァ)―――空の元、死ぬその時に、勝鬨を(フェイディビデス=ウィル・ヴィクトリア)

 

 その男の名を関した星辰光が、曹操という男を強大化させる。

 

 そんな曹操に蹴り飛ばされながらも態勢を整え、正一は校舎の壁を垂直に上る。

 

 壁の近くにいることで相手の方向を誘導することは十分可能だ。たとえすぐに壊せるとわかっていても、人は障害物を避けて移動したがる悪癖があるし、より近いルートに障害物がないならそうしたくなる生き物だ。

 

 ゆえに曹操もそうしたが、その仕方が非常識だった。

 

「まったく、聖槍を使いこなしているのはいいことだが、しかし聖槍を十全に使えているだけなのは残念だ」

 

 あろうことか、曹操は校舎の壁を()()()上り、そのまま攻撃を仕掛けてくる。

 

 聖槍を伸ばしたりオーラを放ちながらの攻撃を捌きつつ、正一は歯噛みする。

 

「……なんて常識はずれな」

 

「と言われてもね、俺の星辰光(アステリズム)はそういうのだからね」

 

 正一との攻防で飛び散る破片を足場にしつつ、曹操は変幻自在な攻撃を繰り広げる。

 

 曹操がいたりし星辰光は、言葉にするなら踏破能力および走破環境強化能力とでもいうべきものだ。

 

 足場として認識できるものがあるのなら、それが地面から垂直にそびえたつ壁であろうと、空中に浮かぶ土煙だろうと足場と定義して踏破可能にする能力。

 

 自分という肉体に各種補正を与えることはもちろん、多少の拡散性と高い操縦性・付属性・干渉性ゆえに、足場にする対象により高い影響を発揮。引力の精製や踏み込みに使うための抵抗力など、最適な機能を無意識レベルで曹操は与えることができる。

 

 さらにガイアメモリ「アドルフ・ヒトラー」メモリの効果も絶大だ。

 

 聖槍を宿し、聖十字架に選ばれ、そして聖杯すら手にした男。時の枢機卿がセラフよりも重要視したことすらあるその男のメモリは、聖槍使いである自分との相性がいい。

 

 さすがにメモリだけでは聖遺物系神滅具三種を宿すことなどありえないが、聖槍の持ち主が使用するだけあって、絶大な相性で聖槍を強化している。

 

 その出力向上率は禁手の領域。星辰奏者という強化も踏まえれば、その身体能力は()()()()()抜きでも、転生悪魔と聖槍の組み合わせすら突破できると自負している。

 

 もしこれがこの世界のあるべき聖槍の持ち主だというのなら、これぐらいはどうにかしてもらいたいものだ。

 

「どうした? 俺はまだ伏せ札がいくつもある。使わせもせずに倒されるっていうのは、さすがにちょっと肩透かしなんだけどね」

 

「な、めるなぁ!!」

 

 その気迫に合わせて攻撃が激しくなるが、曹操はそれをスマートに躱していく。

 

 この程度なのだろうか。それは残念だ。

 

 大恩人である朝野は、自分を助けて聖槍を託してくれた時にこう言ってくれた。

 

『これは、お前が本来持つべきだった力だ』

 

 そして、まるで自分のことのように悔しそうな表情をして、同時にやはりそうなったかとでも言いたげな納得の表情を浮かべて、こういった。

 

『今の聖槍使いは、聖槍以外にもお前が持ってない力をもっているはずだろうな』

 

 だから、少しは興味があったのだ。

 

 その男は、きっと自分より能力があるのだろう。

 

 だけど、もしそれを乗り越えることができたのなら。もし勝つことができたのなら。

 

 その景色は、きっとあの時よりはるかにきれいだろうと―

 

「それがこれでは、肩透かしだね!!」

 

 それに嘆きすら覚えながら、曹操は攻撃を繰り広げる。

 




 クラスカードやデミサーヴァントの前に、ディーザと曹操の星辰光のステータスをとりあえず明かしますと、こんな感じです。

ディーザ
基準値:E
発動値:D
収束性:E
拡散性:A
操縦性:B
付属性:E
維持性:A
干渉性:B

曹操
基準値:D
発動値:B
収束性:C
拡散性:D
操縦性:A
付属性:A
維持性:D
干渉性:A

 ディーザの能力は原作のシルヴァリオシリーズでもいくつか出てきた振動操作系統ですが、能力バランスから見てもわかるように、原作で出てきた二種類のような攻撃に転用できるものではありません。
 高い拡散性と維持性、そしてこちらも割と高い操縦性と干渉性を生かし、基本的には盗聴や索敵が主体。全力発動してようやく自分を中継する形で他者に対して別の場所の音をダイレクトに伝える能力。原作は異能保有者同士のバトルが主体なのであまり出せない、サポート系統に特化したモデルです。
 最も能力を長く出すことができても、それとは別の意味で使い手の負担がでかいので、戦闘でフルに使用すると当人の精神力が先に摩耗しきってああなります。とりあえずまだ完全には明かされてない彼女の特典もどきと併用して、別の方法でのアプローチを行う予定なのでお楽しみに。


 そして曹操の能力も攻撃力はあまりないです。
 ステータスそのものは星辰奏者としては割と高い部類ですが、良くも悪くも「なんでも走破できるようになる」ものなので、この力を殺傷性に変換することは困難。理論上はレーザー光線だろうが重力波だろうが修練次第で足でいなしたり足場にして駆け上ることも可能ですが、「どんなものも走破できるようにする」という観点上、むしろ踏み込みで壊れないようにしてしまうため、攻撃に転用することがとても困難。しかも自分の足にしか作用しないので、足でさばけないと普通にダメージが入るという、めっちゃ使いにくい能力です。原作の駄狼もこれならディーザの星辰光を欲しがるでしょう。
 そのためかなり使いにくいですが、曹操の技量は原作でもトップクラスなのでこれも使いこなします。当人がスペシャルだからこそ凶悪という意味では、純粋な星辰奏者としてシルヴァリオシリーズに送り込んでも、魔星相手に単独でいい線行くだろうと思っております。









 そして曹操の聖槍保有の種は、簡単に言うと「原作の曹操をランサーのサーヴァントでデミ・サーヴァントにした状態」です。

 設計段階でイッセーから赤龍帝の籠手を分捕ることは決まっていましたが、ここで転生王者がらみの設計を考えたら「原作の神滅具使いから神滅具を分捕るタイプ」はかなりいると思い、そこから「そいつらに原作の力を取り戻させて味方にする」タイプの転生王者を思いつきました。まあ設計とかがいろいろあってこの手のパターンのデミ・サーヴァントは極僅かですが、それゆえに原作より強化されているといっておきましょう。

 そんでもって神聖十字軍団はクラスカード。それも「宝具」に特化した仕様です。
 これにより聖槍が四本も出てきていますが、これはまだ序の口。とりあえず幹部格で七騎士分は設計していますし、それ以外のぽっと出怪人ポジションを一人は思いついております。ついでに言うとサーヴァントそのものも出します。

 ちなみに幸希をサーヴァントマスターにする予定はなかったのですが、ちょっと変則的な形で出してみようかと考え中です。









 あ、それとアンケートでも出してますが、クロス先があとちょっとで増えます。とりあえず次の更新で答えが六割出てくる形で、次の次で思いっきり出す感じです。

 さあ、当ててみろ! ただし当てても商品は出ないけどね!!

オリジナル(ゼロワン風)ドライバー、どうしよう

  • 剣+鞘型でいいよ?
  • 銃+ホルスターでもよくね?
  • あきらめるな! 完全オリジナルだ!
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